水族館のラッコとは
ラッコは水生哺乳類
柔らかモフモフな毛皮に包まれているラッコは、昭和の時代から水族館の人気者でした。イタチ科に属している動物で、古代にイタチからカワウソに分岐し、それが海洋に定着したのがラッコの起源です。成体は体長100~130に達するほど大きく、イタチ科の中では最大の種類となっています。
ラッコの生態
とても可愛い外見とは違って、かなり驚異的な生態を見せつけるのがラッコ。人間ならコロッと凍え死ぬほど寒い海域に生息しますが、全身を覆う綿毛の中に空気層を作ることで、冷水の影響を直接受けない仕組みを持っています。水深20~90mまで潜って獲物を捕獲できる、類まれな潜水能力も特徴です。
独特な食事スタイルで知られる
食事の姿が独特で可愛いことで有名なのもラッコで、特に貝類やエビなどの甲殻類を好んで捕食します。自然界でも同様ですが、水族館で餌やりをすると、お腹の上で貝同士をぶつけて中身を食べる姿がよく知られます。これが人間の他の生物の中で、ラッコが道具を使う種類に数えられている理由です。
水族館のラッコの本来の生息地
北太平洋の寒冷な沿岸地域にすむ
水族館以外の自然界で多数のラッコが見れるのは、北米大陸のカナダとアメリカの西海岸やアラスカ、それにロシア東部に東西に伸びる、千島列島にかけての沿岸地域です。わずかに個体が確認される地域としては、中米のメキシコの西海岸、そして日本の方面では北海道の沿岸域も含まれています。
北海道の近海
今の日本国内でラッコが生息する地域は、全国でも北海道だけに限定されています。北はオホーツク海に接する知床半島、東は北方領土に面する根室半島、南は青森に近い太平洋岸の襟裳岬。このあたりが日本国内におけるラッコの生息範囲で、水族館とは違った野生のラッコを鑑賞できる機会があります。
水族館のラッコが貴重な理由
絶滅危惧種
もう日本では滅多に見られないラッコは、絶滅危惧種に指定される動物です。20世紀初頭にかけ、北米大陸では毛皮を目的として乱獲され続けました。さらに現在までも、環境汚染、自然災害、定置網漁による影響を受けて大量死が続いています。それとともに水族館で見れる機会も稀となって来ました。
自然界では頭数が回復するも・・・
今では若干数も回復し、絶滅危惧を少しだけ脱したとされています。それでも全世界の頭数は12万頭あまりしかおらず、人間が70億人もいるのと比較すれば少なさは明らか。日本の北海道東部で見れるとは言え完全に定着するには至らず、水族館をごくわずかに上回る程度の頭数しか確認されていません。
全国でラッコのいる水族館が激減中
2020年には5施設7頭だけ
日本の残りの7頭のラッコ達
— りゅうあ@あつ森 (@pom2purin) March 23, 2020
石川県
のとじま水族館
ラスカ♀
三重県
鳥羽水族館
メイ♀
和歌山県
アドベンチャーワールド
キラ♀
兵庫県
須磨海浜水族園
ラッキー♂
明日花♀
福岡県
マリンワールド
リロ♂
マナ♀
頑張れば観に行ける範囲の人は是非ともラッコを生で見て欲しいです。#ラッコ
20世紀の後半には日本全国の幾つもの水族館が、こぞって可愛いラッコを展示し人気を集めました。しかし20世紀末に絶滅危惧種となり、近年に国際条約で捕獲が禁止になって以降、展示する水族館も減り続けています。2020年3月31日現在では、国内の5施設、7頭を数えるのみとなりました。
2020年もまた水族館のラッコが世を去った
:cry:
— ちおまる (@chiomarulab) March 24, 2020
可愛いラッコがまた1匹…
海遊館のパタが死んだ時もかなり悲しかったぞ… https://t.co/7HDM1V415P
年々と全国の水族館で少子高齢化が進んでいることもあり、近ごろも数々のラッコの人気者がこの世を去りました。新しい情報では、新潟のマリンピア日本海のクータンが3月23日に死去したばかりとのこと。関東では2018年に茨城のカンナが死亡してから、もう1匹もラッコを見られなくなりました。
ラッコが見れるおすすめ水族館①(石川)
のとじま水族館
もはや北陸で最後のラッコの砦となって来たのが、石川県ののとじま水族館です。能登半島近海や国内の種類を中心として、500種、約40,000匹の生き物を展示しています。ジンベエザメの鑑賞もおすすめな水族館にはラッコ水槽があり、日本一高齢ながらも人気者のラッコがのんびり暮らしています。
ラッコのラスカ(25歳・メス)
石川旅行 1日目
— n@co (@nc1982nc) August 8, 2019
のとじま水族館
ラスカさんに会いに。
国内最高齢のラッコさん。
たくさん食べて
長生きしてね。 pic.twitter.com/zXbSr93GLA
推定で25歳を迎えたというラッコのラスカは、人間でいえば90歳という長寿。最高齢&7頭の赤ちゃんを生んだという、2つの日本記録保持者でもあります。水族館のラッコ水槽では、餌やりのあとガラスに叩きつける豪快なお食事タイムが醍醐味。この時に飼育員による詳しい解説も聞けるのも楽しみです。
基本情報
【基本情報】石川県七尾市能登島曲町15部40
【電話】0767-84-1271
【営業時間】3月20日~11月末:9:00~17:00、12月~ 3月19日:9:00~16:30(年末年始休業)
ラッコが見れるおすすめ水族館②(三重)
鳥羽水族館
海辺の観光地の伊勢志摩を代表するスポットが、のとじま水族館。1955年からの歴史の長い水族館は、1200種もの膨大な生き物を展示する日本最大級の施設です。海獣が多くて人気のアシカショーもおすすめな水族館では、Iコーナー極地の海という室内スペースにラッコの展示があります。
ラッコのメイ(15歳・メス)
イカミミジャンプ! #鳥羽水族館 #ラッコ 3/28 pic.twitter.com/6064y36Fin
— kuma (@XkumaoX) March 30, 2020
Iコーナーで人気なラッコは、もう15歳になったメスのメイ。空中のイカミミめがけでジャンプする独特な餌やりは、この鳥羽水族館の隠れ名物です。さらに近ごろの鳥羽水族館では、国内では珍しく餌やりシーンをネットでライブ配信していたりもします。自宅で可愛い生メイを拝見できるチャンスです。
基本情報
【所在地】三重県鳥羽市鳥羽3丁目3‐6
【電話】0599-25-2555
【営業時間】通常:9:00~17:00、夏休み:8:30~17:30
ラッコが見れるおすすめ水族館③(和歌山)
アドベンチャーワールド
動物園に水族館に遊園地と、3つの要素が合体したアドベンチャーワールドは、和歌山のリゾート地白浜の観光名所です。1977年に開園し、動物園ではサファリ、水族館では生き物のショーを名物としてきました。ペンギン王国の中で、餌やりが名物となっているラッコに出会うことができます。
ラッコのキラ(12歳・メス)
ちょ、ちょっと!!
— とらちゃん (@toratokuinoo) March 6, 2020
12:30から
キラちゃんのゴハンタイムのライブ動画だって!!
今気づいてよかったー#アドベンチャーワールド #ラッコ pic.twitter.com/b2O64c5XoB
キラは国内にいるラッコの中でも、まだまだ若者に含まれる12歳です。水槽でのごはんタイムは、アドベンチャーワールドで人気な見どころの1つ。貝やイカなど大好物の餌やり風景は可愛いと評判で、水族館に行けば無料で毎日のように鑑賞できます。近ごろはネットのライブ動画も見どころになりました。
基本情報
【基本情報】和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399
【電話】0570-064-481
【営業時間】10:30~16:30(時期により異なる、休園日あり)
ラッコが見れるおすすめ水族館④(兵庫)
神戸市立須磨海浜水族園
かつては日本で一番の入場者数を記録したこともある、須磨海浜水族園。この全国有数の水族館は、こたつにで温まりながら波の大水槽を眺められる名物展示があります。水族館のラッコ館は、今や日本国内でも数少なくなった、複数のラッコを飼育展示する場所としても知られています。
明日香(20歳・メス)とラッキー(21歳・オス)
2月。空港に行くまで少し時間があったので行ってみたかった須磨海浜水族園に行ってきた。水の流れで移動するラッコ。 pic.twitter.com/8CMCa1gDBb
— fuyo (@fuyo1307) March 10, 2020
明日香とラッキーという2頭のラッコはすでに高齢ですが、可愛い姿は変わりません。好物が伊勢海老で、餌やりタイムを見ることもできます。仲良しの2人が遊ぶ様子を楽しめるのが、全国のラッコソロの水族館との違いです。さらに本物のラッコの剥製の毛並みを触れるといった面白さもあります。
基本情報
【所在地】兵庫県神戸市須磨区若宮町1丁目3‐5
【電話】078-731-7301
【営業時間】9:00~17:00(12~2月の水曜定休)
ラッコが見れるおすすめ水族館⑤(福岡)
マリンワールド海の中道
昔と変わらない景勝地が残る海の中道で、九州最大級の水族館がここです。マリンワールド海の中道は人気のあるイルカやアシカのショーを始め、350種類20,000点の魚を展示する水族館。この施設でも全国的に貴重な2頭の若いラッコを見れるのが、子連れにもおすすめの要素です。
リロ(13歳・オス)、マナ(8歳・メス)
マリンワールド海の中道、今日のラッコ達
— 大分らっこ (@oita_racco) January 25, 2020
リロ君がマナちゃんを抱えて仲良く泳ぐ様子も見られました
マナちゃんをしっかり守ってあげるのだよ! pic.twitter.com/GV4HFmRizl
人工繁殖で成長したというマナは、国内水族館ではもっとも若いメスラッコ。そのため繁殖の可能性があることで、全国から期待を集めています。ここはいつも可愛いラッコの挨拶やショーが見れる場所。餌やりの時間にリロとマナが一緒に食べていたり、毛づくろいをし合っている姿も見逃せないところです。
基本情報
【基本情報】福岡県福岡市東区大字西戸崎18‐28
【電話】092-603-0400
【営業時間】3~11月:9:30~17:30、12~2月:10:00~17:00、GW:9:30~21:00、夏休み:9:00~21:00、クリスマス:10:00~21:00
ラッコ飼育の水族館が増える可能性は?
絶滅危惧種のため補充が不可能
3/25新潟日報朝刊
— ヨンロク kenchan (@46_yonroku) March 25, 2020
・マリンピア日本海 最後のラッコ死ぬ
新潟市の市水族館「マリンピア日本海」は 3/24、同館で飼育展示している雄のラッコ「クータン」が死んだと発表した。同館で最後に残ったラッコだった。ラッコは絶滅危惧種のため新たな補充は出来ない。#新潟日報 pic.twitter.com/4Aku3EqUfT
水族館ファンにとって気がかりなのは、全国のラッコがあと何年見れるのかという話かもしれません。高齢化が進んでいるラッコが多く、絶滅危惧種に指定されているために、新たな補充ができないという問題があります。数年後には、ラッコを展示したり餌やりが楽しめる施設はかなり限定されそうです。
水族館で絶滅危惧のラッコが増えるには?
すでに絶滅危惧種で補充不可能だと言え、水族館でラッコが増える可能性が無いわけではありません。例えば福岡の若いマナが赤ちゃんを誕生させ続ければ、ラッコを見る機会も恵まれます。さらに人工授精技術のほか、クローン技術の利用によってラッコを増やすという可能性も残されています。
自然のラッコが見られる場所①(北海道)
知床半島
真冬の流氷で知られている北海道の知床半島は、今では世界的にも有名な景勝地。羅臼岳を含む広い範囲が国立公園で、世界遺産にも選ばれた自然環境のよさが魅力です。水族館はない土地ですが、ラッコが繁殖している北方領土に接するため、根室海峡沿岸は時々ラッコが漂ってくる貴重なスポットです。
知床半島のラッコ
ラッコに会いました♪ pic.twitter.com/ps2GR2QHbS
— 知床ドリーム (@hayakawa0622) August 29, 2018
特別にラッコが多いとは評されないのが知床半島ですが、ラッコがよく目撃される国内の北限であるとも言われています。ラッコは斜里町の岩場の多い海岸で、ごはんタイムをしている様子が近年も目撃されました。水族館と無縁なラッコは、絶滅危惧を感じさせないのんびりさを見せてくれます。
基本情報
【基本情報】北海道根室振興局目梨郡羅臼町
【電話】0153-87-2111(羅臼町役場)
【時期】春~秋
【頻度】稀に見れる(流氷の時期は見られない)
自然のラッコが見られる場所②(北海道)
根室半島
近年になりラッコの目撃例が増えてきたのが、北海道で人気の高い観光地の根室半島です。北方領土の歯舞群島がすぐ目の前という興味深い場所は、可愛いラッコを目撃する複数の方法があります。全国の水族館では決して見れない生ラッコを見るなら、国内でもおすすめの候補地になります。
根室半島のラッコ
陸地の最東端にあたる野寒布岬が、出現率の高いラッコ目撃地点です。さらに根室半島で船の拠点となっている花咲港や、海辺の景勝地として知られる落石岬の沿岸も、ラッコの継続的な観察例があります。沖合のユルリ島やモユルリ島は、水族館並みにラッコがよく見られる場所です。
クルーズ船でラッコに出会える
【落石ネイチャークルーズにのってきたネム~!】
— 眠郎【公式】 (@nemurou2525) May 29, 2018
夏は、エトピリカをはじめとする海鳥やラッコ、ゼニガタアザラシが見られるクルーズだロウ。
寝ぼけたラッコが船のすぐそばにやってきたネム~!目が合ったロウ。
☆根室でしか体験できないクルーズはいかがネム!
https://t.co/EUKxsTL0qY pic.twitter.com/qxTsOsaMs6
この根室半島を拠点としている、ラッコを鑑賞できるクルーズ船ツアーもおすすめ。根室ネイチャーセンターの落石ネイチャーウォッチングは、根室半島はもちろん西方の霧多布岬やユルリ島方面までも船で乗り出せます。海辺の貴重なラッコや、エトピリカを目撃する船旅です。
基本情報
【基本情報】北海道根室市
【電話】(根室ネイチャーセンター)
【時期】通年
【頻度】地上からも目撃例が多い(根室からのクルーズ船ならかなり見れる)
自然のラッコが見られる場所③(北海道)
霧多布(きりたっぷ)岬
独特な灯台やキャンプ場がとても人気な、浜中町の海に突き出た霧多布岬。この魅力的な岬は、近ごろはラッコの出没頻度が高くなっているおすすめスポットです。海辺のキャンプ中に可愛いラッコに出会える可能性が高いという意味でも、水族館と違った面白さがあります。
霧多布岬のラッコ
昨日のラッコ(・:spades:・)#ラッコ#霧多布岬#えとぴりか村 pic.twitter.com/incz7hwceM
— おっち (@watch_desu) March 8, 2019
流氷の影響を全く受けることがない野寒布岬は、ラッコが1年を通じて訪れやすい環境が整っています。そのため福岡の水族館のようにカップルのラッコがじゃれあう姿が撮影できやすく、ラッコを目的とする観光でもおすすめできます。ただ高台から目撃することになると、やや距離が感じられそうです。
基本情報
【基本情報】北海道厚岸郡浜中町湯沸33
【電話】(浜中町役場)
【時期】通年
【頻度】目撃例が多い)
自然のラッコが見られる場所④(北海道)
襟裳(えりも)岬
国内で最南端となっているラッコ目撃地点が、太平洋に大きく突き出ている北海道の襟裳岬です。ここは歌謡曲でお馴染みとは言え水族館とは無縁な田舎の土地ですが、1990年代からラッコの目撃例が増え始めました。そのため、景勝地の観光のついでにラッコを目撃できるメリットがあります。
襟裳岬のラッコ
この海域は比較的に水温も高くて流氷も来ないので、ラッコにとっては居心地が良い環境のようです。岩礁が多くて海産物が豊富なので、可愛いラッコの他に数多くのアザラシも住みかにしています。水族館と違ったリアルな生態系が待っている襟裳岬でラッコを見かければラッキーです。
基本情報
【所在地】北海道幌泉郡えりも町字東洋
【電話】(えりも町役場)
【時期】通年
【頻度】稀に見れる
水族館や自然のラッコを見に行きたい
まずは近くの人気水族館で
もう日本国内では展示も減少する一途のラッコが、どうして今こそ見に行きたい動物なのか分かってきました。全国の水族館で増える可能性が低い絶滅危惧の存在なだけに、何とか餌やり風景にもお目にかかりたいところ。新型肺炎の心配がなくなってから、可愛い姿にじっくり会いたいものですね。
水族館が気になる方はこちらもチェック!
当サイトではラッコが見れる人気施設の他にも、全国のおすすめな水族館情報をまとめています。豪快なショーや餌やりなどの体験に興味がある方も、チェックしてみてください。
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