はじめに
タコスッポンタケの見た目や学名の意味をご紹介!
タコスッポンタケというキノコをご存知でしょうか。別名に悪魔の指やエイリアンの卵・クトゥルフなどとも呼ばれる赤いキノコで、この名前だけでも恐ろしい姿を想像できますね。今回はこの不思議な形をした赤いキノコ・タコスッポンタケの特徴やその名前の意味など正体に迫ってみましょう。
タコスッポンタケとは?:基本情報や名前
タコスッポンタケの基本情報やその学名・英語名の意味に込められたこのキノコの特徴的な姿をまずは見ていきましょう。
基本情報
Clathrus archeriという”きのこ”らしいけど・・・こんなん庭に生えてたら・・・ pic.twitter.com/1kOWkk2PY3
— Kouji Tajima 田島光二 (@Kouji_Tajima) May 31, 2016
科・属:スッポンタケ科アカカゴタケ属
原産地:オーストラリア
英語名/学名:stinkhorn/Clathrus archeri(Phallus impudicus)
学名の意味は
このキノコの学名であるClathrus archeriにはそれほど深い意味はなくアカカゴタケのキノコというような単純に分類分けだけですが、特徴を表す学名としてはスッポンタケの方。Phallus impudicusという意味はPhallusには男性の生殖器でimpudicusは無恥となります。これはスッポンタケの仲間の見た目の大きな特徴を示しているのです。
英語名の意味は
もうひとつこのキノコの特徴は英語名にも現れており、stinkhornとは異臭を放つ角という意味。キノコといえば傘のような姿のものも多いですが、たしかにタコスッポンタケは角のような形に見えなくもありませんね。このような学名や英語名の意味がわかってくるとだんだんとこのキノコの不気味な形状がしっかりとイメージできてきたのではないでしょうか。
タコスッポンタケとは?:南半球のキノコ
基本情報でもご紹介しましたが、原産地はオーストラリア。しかし現在はアメリカなどでもこのキノコの姿を見ることができます。いったいどうやって南半球のキノコが北上してきたのかご興味はありませんか?
原産地はオーストラリアなど
この赤いキノコは元々は南半球でのみ見られたものでした。南半球といえばオーストラリアやニュージーランドですが、そんな遠くからはるばる海を越えて今では北半球でも見られるようになってきています。
ハエによって運ばれた
この赤いキノコが運ばれたのは人の手によってではなく、ほんの小さな昆虫によってでした。元々ハエによって胞子を運んで増えるという性質をもっており、たまたまそのハエが南半球から北半球まで移動してきて増えたのだろうという説が有力です。
現在では北半球でも見られるようになった
そんなわけで、以前は南半球のみ生息していた珍しい赤いキノコ・タコスッポンタケもアメリカやアジアの各地でも確認できるようになりました。このような経緯でより多くの人の目に触れることとなったこのキノコは、そのグロテスクな姿から多くの別名が付くこととなるのです。
タコスッポンタケとは?:卵
キノコは胞子から大きくなってまた胞子をばらまく成体へと成長します。その最初の頃のキノコの幼体にもタコスッポンタケには大きな特徴がありました。
幼いキノコは卵と呼ばれる
Clathrus archeri (Devil's Finger's / Octopus Stinkhorn fungi) スッポンタケの一種。https://t.co/loYQiPr60iまるで卵から産まれるエイリアンのよう。 pic.twitter.com/30eIvg6OOt
— 草木のこと (@herecomethewar1) December 1, 2015
タコスッポンタケの異名のご紹介の前に前情報としてこのキノコの幼体を卵と呼ぶことについて触れてみましょう。植物なのに卵と呼ばれる苗はとてもめずらしいですね。形を見てみると一目瞭然。これは卵だと言われても仕方がないようなそのままの形をしています。
見た目もクトゥルフの卵そっくり?
画像を見ていただくとわかるのですが、これは本当にキノコなのか?と疑うような姿をしているのが確認できるでしょう。割れて中から出てくる様子もまるでクトゥルフ神話の名状しがたい神々の誕生のようだとか、映画エイリアンが生まれてくる時みたいという意見もたくさんあり、このことから古い神や宇宙生物・悪魔の異名が生まれたのです。それでは次の章では具体的にこの赤いキノコの別名について見ていきます。
タコスッポンタケとは?:悪魔の指などの異名
このキノコの別名で有名なものは3つあります。それぞれ姿と見比べるとなるほどと納得するものばかり。ここではその異名についてご紹介しましょう。
1.悪魔の指
キリスト教の国々では馴染みの深い恐ろしい存在が悪魔。別名その1は悪魔の指という呼び方です。色といい少しゴツゴツしたテクスチャーといい、そのものですね。赤い部分だけアップで見たらキノコではなく本物の悪魔の指ではないかと疑うくらいでしょう。
2.エイリアンの卵
異名その2は成長したキノコではなく、幼体の状態から成長する姿を見て付けられたのかエイリアンの卵という呼び名です。内側に薄い膜があることから、よりエイリアンが卵を突き破って出てくるような成長の仕方をします。また卵部分は赤ではなく白に暗褐色のまだら模様。これもモンスターっぽさや生物の卵を連想させるのでしょう。
3.クトゥルフ
クトゥルフとはラブクラフトという作家が書いた小説に登場する地球の古い神々という名目の宇宙にいるモンスターのことです。このクトゥルフはタコのような姿をしていると描写されることから、タコスッポンタケの異名になるのも想像に難くないでしょう。
どれも禍々しいものばかり
このように異名を見てみるとこのキノコがどのように禍々しい見た目をしているのかわかりますね。悪魔の指・エイリアンの卵・クトゥルフと呼ばれるタコスッポンタケですが、その特徴は見た目だけではありません。次にこのキノコの特徴をご紹介しましょう。
タコスッポンタケとは?:特徴
キノコの仲間の中でも変わった性質を持っているのがスッポンタケ科の品種の特徴です。いったいどのように違うのかをご説明していきます。
他のキノコと大きく違うところ
一般的なキノコは乾燥しているとまではいかなくても、少なくともベタベタとしているものではないというイメージなのではないでしょうか。よりこの菌類を特徴づけるのが本体についているネバネバの粘液です。この粘液にはタコスッポンタケをはじめとするスッポンタケ類にとって大切な役割があります。
見た目以外の大きな特徴は
この粘液があるため、見た目以外の大きな特徴ともいえる悪臭が放たれる結果に。その臭さは尋常ではなく人によっては気分が悪くなるといわれるくらい強烈な異臭なのですが、先程ご紹介した胞子の媒介役であるハエには惹きつけられるにおいでそれを利用して子孫を絶やさないようにできています。
タコスッポンタケとは?:同じ種類のキノコ
ここではタコスッポンタケから少し離れて同じスッポンタケ科の仲間のキノコをご紹介しましょう。どれも学名のところでご説明したような男性器のような見た目の幼体が特徴。また先程説明したにおいという点でも共通しています。
1.スッポンタケ
スッポンタケ科でもっともポピュラーなのがこのキノコ。スッポンの首から頭にかけてのフォルムととても似ていることから、日本ではこのように呼ばれています。卵のうちはくさくはありませんが、大きくなると異臭を発します。
2.キツネノロウソク
タコスッポンタケが南半球のキノコであるのに対して北半球原産のスッポンタケの仲間といえばこのキツネノロウソクでしょう。やはり白っぽい幼体から赤いキノコが成長してきて先端はより色が濃くなってきます。割れたりしないためロウソクという名前になったのでしょう。ネバネバの粘液もしっかりありますが、時間経過と共に虫に舐め取られつるつるになっているものも確認できます。
3.キヌガサダケ
キヌガサダケというキノコは食通やそうでない方も名前だけは知っているという有名なものでしょう。これもスッポンタケの仲間で実は粘液があって悪臭をもつもの。中華料理の高級食材として珍重されており、日本でも竹林などで見かけることができるキノコです。やはり風ではなく昆虫に胞子を運ばせる立派なスッポンタケの特徴を持っています。
タコスッポンタケとは?:食用は可能か
同じ仲間のキヌガサダケは中華の高級食材
キヌガサダケは高級食材として有名ですが、スッポンタケも幼体のうちであれば食用にする人も少なくありません。大きくなるとその粘液の異臭がきつくてさすがに食べる人はいないようですが、卵のうちであれば美味しくいただけるでしょう。キヌガサダケ自体は無味といわれていますが、他のスッポンタケにはある食べ物と似た味があります。
異臭はひどいが熱を加えると魚の味になる
特にスッポンタケの卵の状態を油で揚げたものは、魚の味がするといわれています。大きく成長するとグロテスクでさすがに食べようと思わなくても、卵のうちであれば他のキノコのように食べてみようかと思う人はいるようです。しかし野生のキノコは毒を持ったものもたくさんあるので、山へいってやみくもにそれらしいものを取ってきて食べると言うのはリクスが大きすぎるのでやめましょう。
タコスッポンタケとは?:異臭の意味
姿がグロテスクでとてもくさい匂いを出すと悪いことばかりのようにご紹介してきましたが、その中の異臭についてはれっきとした理由があってのことです。最後になりますがなぜこのキノコはこのように臭いのかをご説明していきましょう。
虫媒体で仲間を増やす菌糸類
多くのキノコが風に乗せて菌糸を飛ばしあまり遠くまで仲間を増やすことはありませんが、この菌糸類においては昆虫媒体でかなり遠くまで分布を広げてきました。日本でもタテハチョウがよくこのスッポンタケ科のきのこに止まって粘液を舐めている姿が目撃されます。
胞子を運ばせるためにハエの好きなにおいを出す
タテハチョウだけでなくナメクジなどもこの種類のキノコに集まりその先端の粘液を食しますが、より多く胞子を胃袋に確認でき遠くまで運ぶといわれているのがハエの仲間。カブトムシの捕獲には焼酎とバナナを合わせて発酵させた餌を用いますが人には強すぎるにおいも昆虫にとってはごちそうとなるようです。胞子は虫の胃袋に入り、風では届かない遠くの場所まで移動していくでしょう。
まとめ
タコスッポンタケは不気味な形のキノコ
まるでSFやホラー映画に出てくるモンスターのようなグロテスクなきのこタコスッポンタケの様子や名前の由来・同じ種類の仲間などご紹介してきましたがいかがでしたか?臭いという以外は人にとって何か害があるわけではないですが、見た目が特徴的なので見つけると驚かれることでしょう。
キノコが気になる方はこちらもチェック
タコスッポンタケの他にもキノコには変わったもの、珍しいもの・食べると美味しい・猛毒で注意しなければいけないものと目が離せないがたくさんあります。それぞれのキノコについて美味しい食べ方や他のキノコとの見分け方、キノコ毒の症状の怖さなど解説記事をご用意しています。気になる方はこちらも要チェックしてくださいね。

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