ハナイグチとは
美味しいキノコの一種
ハナイグチはブナシメジやマツタケ、シイタケなど誰もが知っているキノコではありませんが、チチタケやアミタケのように食べられます。スーパーなどの店頭ではあまり見かけることがない種類ですが、美味しいと評判がいいです。かさにはなめこのようなヌルヌルとしたぬめりがあり、ゴミが付着していることが多いですが、いったんゆでるという下処理をして洗うと綺麗にとれます。
方言などで名前が複数ある
名前は地域によって異なりラクヨウやジコボウとも呼ばれています。ラクヨウは漢字でも表記され「落葉」となります。ジコボウの漢字表記はありません。ラクヨウだと落葉樹の林で採取できそうなイメージになってしまいますが、ハナイグチは落葉樹ではなく落葉性の針葉樹のカラマツの林だけで採取できる代表的種類です。
一部地域での注意点
一部地域では福島第一原発の事故により2019年でもセシウム-134、セシウム-137の基準値を超える濃度の放射能が検出されていて、販売の自粛を求めている地域もあります。採取地に関係なくセシウムは放射能の衰退、崩壊する半減期が長く未だに検出されるケースがありますよ。
ハナイグチの特徴1
かさの色とは
かさの色はなめこのような光沢のある赤褐色をしていることが多く、オレンジ色に近い明るい色をしている場合もあります。形はかさが開いたものはシイタケやまんじゅうのような半円形ですが、完全に開くと水平になりますよ。かさが開く前はマツタケのような形をしていて、丸みが強いです。かさのうらがわは表面とは対象的で鮮やかな黄色、レモン色をしていてスポンジのようにふかふかしている特徴があります。
水分があると艷やかに
常になめこのようにかさに艶があるといわけではありません。湿度が高くないと艷やかにならず、乾いている場所では普通のキノコと大きな違いはありません。本種も朝露や霧、雨などで湿度が高くなったときだけ艶が出てきますよ。
かさの大きさとは
キノコはブナシメジやスーパーで発売されているエノキのように小さいものからシイタケやのように大きなものもあり種類によってかさの大きく異なります。ハナイグチは小型だと3cmからあり、15cmほどにもなる個体もあります。成熟するに従ってかさが開きますよ。群生するため遠くからでもわかりやすいとも言われていて中型の大きさです。余談ですがエノキは自然界では非常に大きく育ち別種のようになります。
ハナイグチの特徴2
柄(え)の色がポイントとは
かさを支える軸となる柄の色は、つばの部分で変わります。つばとは柄の途中にある傘のようような形をした薄い膜のようなもので柄を取り囲むように生えていて、つばよりも上は黄色みがかかってます。またつばより下は、茶色や赤褐色と言われていますが、個体差がありますよ。本種かどうかは、つばの部分で区別することも多く見分け方の大切なポイントとなるので覚えておきましょう。
変色しない
バナナやレタスなどの果物や野菜は傷がつくとすぐに痛む、変色する物が多くキノコも変色しやすいです。しかしハナイグチは特に変色しないと言われています。似たキノコは変色するため、採取したときにわからないという場合は敢えて傷つけてみるのも見分け方の1つになりす。暖かい地域ではあまり聞かない名前のキノコですが、日本だけではなくカラマツが自生する中国や北米などにも生えている珍しくもない一般的な種類です。
ハナイグチの特徴3
断面の色とは
食用というといろいろな種類がありますが、誰もが名前を知っているエノキ、エリンギ、マッシュルームやブナシメジ、ヒラタケ、マイタケなどはかさの色や形がそれぞれ異なります。しかし、断面は白っぽい色をしているという共通点があります。一方ハナイグチは真っ二つにしてみると、かさの裏のスポンジのような部位と同じ黄色や濃いレモン色になっていて、毒ように見えますが色が有名なキノコとは違うというのが特徴です。
かなず黄色とは限らない
基本的には、かさの裏のスポンジ状の部分と同じ淡い黄色や濃いレモン色をしていますが、時期や状況によっては色が黒っぽくなっていたり、茶色っぽくなっていることもあります。食べるときに中に入っている虫を出すために食塩水につけたり、茹でたりすると断面の鮮やかな黄色も変化しますよ。自然界では断面の変化は切ってみないとわかりませんが、かさの裏は雨や霧などの水分で変色すると言われていています。
ハナイグチの特徴4
ハナイグチの採取できる場所とは
ハナイグチはヌメリイグチ科ヌメリイグチ属のキノコです。針葉樹ですが落葉するカラマツ林でのみ採取できることからラクヨウとも呼ばれています。カラマツが寒い地域や標高の高い冷ややかな場所にしか生えないため、標高の低い山、関西などの暖かい地域では採取されることはなくあまり馴染みがなく長野県や北海道などの寒い地域や北部で、採取されさまざまな料理に利用されているおすすめの食用キノコとなります。
ハナイグチの栽培方法とは
食用ということで栽培方法もありますが、シイタケのように原木で簡単に栽培ができません。カラ松林の落ち葉を適度に片付ける手入れして、生えるようにするしか方法はありません。生えるよにするとは、人為的に胞子を蒔くということになり事前にハナイグチを採取して行う必要があり、スーパーなどで見かける美味しいキノコのように簡単に栽培できないことから少し高価です。林を整備してから採取までは3年は必要と言われています。
栽培方法は研究中
シイタケのように原木栽培できず従来は栽培不可能と言われていたホンシメジは研究の末、栽培できるようになりました。本来ホンシメジなどの原木栽培できないものは寄生する植物と共存しながら生きているため菌を植え付けるだけでは発芽しません。ホンシメジが成功したことで近い将来にハナイグチを含む原木栽培が難しい種類も手頃な価格で買えるようになるかもしれませんよ。
ハナイグチの特徴5
名前の由来とは
花猪口とはハナイグチの漢字表記となり、イノシシの鼻に似ていることから付けられた名前と言われています。イノシシとかさが似ていることに由来していますが、口が付いている理由は定かではありません。
複数の名前がある
ハナイグチは地方で名前が異なり、前述したものいがいでもジコボウが少し変化した名前がリコボウ、ジコウボウ、最後の「ウ」を発音せずジコボーということもあります。いろいろな名前がありラクヨウモタシという別物の種類のような名前や呼び方があり地域によって異なります。カラマツが自生したくさん採取できる北海道では、ラクヨウが一般的です。
流通している名前について
和名はハナイグチ、学名はSuillusgrevilleiとなりますが、流通しているのはハナイグチでもSuillusgrevilleiでもありません。ラクヨウとして販売されキノコは生鮮食品でもあり、収穫時期もあるため生のままではなくすでに料理に加工されていたり、冷凍された状態で流通しています。生のまま流通するのは道の駅や産直市場などの限られた場所が多く、自生する木がない暖かい地域では生で手に入れるのは難しいです。
ハナイグチの特徴6
収穫時期とは
野生のキノコの旬の時期が秋といわれているようにハナイグチの収穫時期は秋になります。前述した栽培方法でも自然由来の方法となるので採取できる時期は秋です。同属の似たキノコも秋が採取できる時期となりますが、本種はカラマツにしか生えてこない点を考えると見分け方が非常に簡単と言われています。具体的な採取できる時期は8月を過ぎた初秋から冬に入る手前までがおすすめの時期となります。
キノコ狩りの主役
非常に美味しいと言われていて、カラマツ林にしか生えず、群生し艶のあるかさが目立つということでキノコ狩りの主役です。キノコ狩りの時期になると早めに探しに行かないと先客が先に収穫すると言われていますよ。また似たキノコはあっても似た毒キノコはなく、あまり詳しくない方でも見分け方が簡単なキノコではありますが、初心者は必ず詳しい方に同行してもらうようにしましょう。
ハナイグチの特徴7
ハナイグチの風味とは
水分があると艶が出るほどヌルヌルとしている特徴があるので食感はなめこ(なめたけ)近いです。しかし、なめこより肉厚のかさがあり大きいため歯ごたえや歯切れがいいと言われています。またポルチーニ茸やマツタケのような強い香りはありませんが、美味しいと言われてなめことは比較にならないぐらいと例えられるますよ。中にはマツタケにも劣らないほどと高く評価されているキノコです。
食べ過ぎ注意
キノコということで食物繊維が豊富です。食物繊維は便秘の解消や食後の血糖値を穏やかにするなどの効果がありますが、ハナイグチは食べすぎに注意しましょう。消化不良を起こしやすいです。ギンナンのように食べすぎによる中毒ではなく水分が多いことによる消化不良を起こしますよ。
ハナイグチと似たキノコ1
似たキノコの代表格:ヌメリイグチ
似たキノコといえば同じ種類の仲間で、同じく食用とされるヌメリイグチです。大きさや形状(たたずまい)などは似ています。種類もハナイグチと同じヌメリイグチ科ヌメリイグチ属になりますよ。「ヌメリ」という名前の通り朝露や雨、霧などで湿度が高いとなめこやハナイグチと同じように光沢のあるヌルヌルとしたかさができる特徴も同じでよく似たキノコですが、見分け方は非常に簡単です。
見分け方
まずは生えている木を確認しましょう。アカマツやクロマツなどカラマツ以外の松に生えている場合は本種といっていいでしょう。ハナイグチはカラマツのみに生えますよ。生える場所以外の見分け方としては傘の色がハナイグチは明るく赤っぽいですが、ヌメリイグチはチョコレートを思わせる茶色です。かさの裏はハナイグチよりも淡い黄色となり柄にはツバがあまり付いておらず、さらに柄の色が白っぽいです。またぬめりが強いです。
ハナイグチと似たキノコ2
似たキノコ:チチアワタケ
チチアワタケもヌメリイグチ科ヌメリイグチ属ということで似たキノコになります。似ているということで特徴もよく似ていて湿度が高いとやはりかさにぬめりが出てきますよ。色は赤みのある茶色で成熟すにつれて傘が平らになるところも似ています。ハナイグチよりも消化不良を起こしやすいので注意しましょう。本種に似た毒キノコはないと前述したように上記の特徴だけでは似ていますが、見分け方がたくさんありますよ。
見分け方
見かける時期は同じですが、見分け方は複数あります。まずカラマツ以外でも生えます。次に柄の色が白で表面に点がありますよ。つばもありません。見た目が似ていますが、成熟するとぬめりがなくなったり、生えて居場所が違っていたりと見分け方はたくさんあります。汁物の料理におすすめされていましたが現在は食べないほうがいい毒キノコという分類です。
ハナイグチと似たキノコ3
似ているようで似てない:シロヌメリイグチ
同じ仲間のイグチ科ヌメリイグチ属ということで似た部分もあり似たキノコといして紹介しますが、よく見ると見分けやすいです。収穫時期やカラマツの周辺に生え、同属ということで条件が整えば他の仲間と同じようにぬめりがあります。美味しいキノコとして知られていますが、ハナイグチと同時期ということで本種よりも美味しいとされるハナイグチだけに注目が集まります。本種もおすすめですよ。
見分け方
全体的に白っぽいころが特徴となり、傘の色も白いから淡い褐色です。柄にもぬめりがありますよ。かさの裏は褐色です。表面は成熟するに連れて色があわくなり、裏は成熟するにつれて褐色になる少し不思議な変化をします。いろいろな料理に使えますが、汁物の料理や麺料理などがおすすめとなります。
イグチ科のアレルギーについて
裏は取り除いたほうがいい
ハナイグチのかさのうらのは処理しなくても大丈夫でと言われていますが、極めて低い確率でアレルギーの原因になるとも言われています。特にハナイグチではなくヌメリイグチは取り除いたほうがいいと言われていますよ。また消化できない部位としてかさの表面と裏のスポンジ状の部分が挙げられていて、毒キノコとしても分類できるチチアワタケは取り除いたほうがいいとされているので注意しましょう。
共通事項
イグチ科は有毒なものが少ないのですが、消化しにくいものが多いと言われています。いろいろな料理に使われて美味しいと言われているハナイグチでも前述したように大量に食べるとお腹をこわす可能性があるので食べるのは少量がおすすめになりますよ。また日持ちしないことで知られているいますです。
ハナイグチの基本の処理方法
虫だしやゴミ取りの方法
落葉(らくよう)きのこある分 塩適量 水適量
大きなゴミなどを取り除いたあと塩水につけて30分ほど置いておきます。その後小さなゴミをとりのぞいて短時間茹でれば下処理の完成です。必ず火を通してから食べましょう。下処理が終わると味噌汁などにいれて食べられますよ。
ハナイグチの美味しいおすすめ料理1
ラクヨウの醤油漬け
材料 (2人分) ラクヨウ(下処理済のもの)100g 醤油20㏄ 麺つゆ(3倍濃縮)10㏄
なめこと似た性質をしていることから、醤油漬けにしてご飯の共にするということもおすすめです。作り方も非常に簡単で、ぬるま湯に塩とハナイグチを10分ほど入れて虫を出す下処理をしてゴミなどを取り除いてからお湯で短時間湯で、水分をよく切ったあとめんつゆなどの調味料に漬け込むだけで完成です。
ハナイグチの美味しいおすすめ料理2
ハナイグチの醤油パスタ
材料 (1人前) ハナイグチ80gほど パスタ100gほど バター10g 醤油小さじ1 赤ワイン小さじ1 甜麺醤小さじ1/4 シソ・白髪ネギなど適宜
おすすめの料理としては汁物が多いですが、ハナイグチはいろいろな料理に使えるキノコと言われています。下処理で虫を出したあと食べやすい大きさに切り、バターで炒めていきましょう。黄色い汁が出てきたら調味料を混ぜて、ソースの工程は終了です。あとはスパゲティーを絡めながら火を通せば完成です。風味があり美味しいハナイグチだからこそできるおすすめのスパゲティーとなります。
ハナイグチのまとめ
貴重品になりつつある
東京など都市部でも美味しいとして知れ渡ったことにより、都市部でも食べられるようになったと言われています。冷凍や水煮状態で通販でも販売されていることもあり、前述したように一部地域では出荷できないということも重なり貴重品となりつつあります。北海道では非常にポピュラーです。
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