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猛毒カエンダケ!触るのもの危険!少量で死に追い込むキノコとは?

みなさんはカエンタケという猛毒のキノコをご存知でしょうか。ここ数年、関西で大量に自生しているのが見つかり話題になりましたが実際は全国で発生します。死亡例もあり触るだけでも炎症を起こすという危険なカエンタケをよく理解して被害に合わないように注意してくださいね。
2020年8月27日
ふらわ
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はじめに

昨年、関西ではカエンタケの存在は大変話題となりました。他の地域ではどのように受け止められたのでしょうか。最近は高齢者の山登りブームもさることながら、山ガールという山登り好きの若い女性まで、様々な年代の人が気軽に本格的な山登りから、里山散策までやっています。カエンタケも身近な危険となりつつありますが、正しい知識があれば必要以上に怖がることもありません。お役に立つ情報を提供できればなによりです。

カエンタケの特徴

カエンタケの見た目

カエンタケは1本から10本前後に枝分かれした人間の指のようなキノコ(子実体)が生えてくるという特徴があります。一般的に想像される傘状のキノコとは一線を画す形状で、子どもや知らない人が見れば、キノコとは思わず興味本位で触る可能性もあり注意が必要です。 ”人間の指のような”とよく形容されますが、とても鮮明な目立つ赤色をしていますので、まさに地獄の炎のようであり、不気味な怪物の手でも生えているような印象で、見るからに危険で、どう間違えても一度特徴を覚えれば、わざわざ触ることもないと思いますし、まして食べることもない気がするのですが、実は他の毒キノコのように、他の食用のキノコと間違えて食べる可能性もあるようです。

カエンタケとベニナギナタタケ

上の画像がハラタケ目シロソウメンタケ科のベニナギナタタケで、食べることが出来ます。下の画像がカエンタケです。子実体の生え方や色合いの個体差で間違えることがあっても仕方がない気もします。ちなみにベニナギナタタケは無味で食べても別段美味しくないようですので、猛毒のカエンタケと間違える危険性があるなら、山で見つけてもそこまでして食べるものでもありません。

カエンタケの分類

ボタンタケ目ボタンタケ科トリコデルマ属と言われてもキノコに詳しくなければピンとこないですね。トリコデルマ・コルヌ・ダマエ(Trichoderma cornu-damae)という学名は〝鹿の角”ようなトリコデルマの意だそうで、命名者には日本人のように火炎には見えなかったようです。生え方によっては鹿の角に見えなくもないですね。

カエンタケの毒性と症状


カエンタケの毒成分

カエンタケの毒はマイコトキシンという菌類毒素の中でもトリコテセンと言われる主にカビ類から発生する毒ですが、カエンタケのようにキノコから発生することもあります。人、脊椎動物はもちろん、無脊椎動物や植物もこの毒の影響を受けるそうです。特にこのトリコテセンのなかでもカエンタケに含まれる6種類は猛毒で、カエンタケ内の毒に触ると皮膚が炎症を起こす可能性があります。

カエンタケの毒による症状

カエンタケを食べると、そもそも苦い味がするそうですが、10分~30分前後で腹痛、下痢、吐き気、嘔吐などの典型的な食中毒症状が現れ、更に徐々に発熱、脱力、痺れ、目まい、呼吸困難、臓器障害、造血機能障害などの深刻な症状に見舞われ、重体になると死亡します。致死量は3gとも言われ、キノコ類の中でも猛毒です。 運よく回復した場合でも脳障害や小脳委縮などが起こり、運動機能や言語機能に障害が残ったり脱毛や皮膚症状の跡が残るなど、その猛毒振りを発揮します。

触るだけでも皮膚に炎症が起きる?

食べると中毒になるとか、刺されたり噛まれたら毒が回るという類いの危険な食べ物や毒動物は多いのですが、触っただけで炎症を起こすというのは凄まじく危険ですね。カエンタケを食べて中毒になった人は食べる前に触るはずですが皮膚症状はなかったのでしょうか。さすがに外部に毒を垂れ流しているのではなく、あくまでもトリコテセン毒の成分に触ると、ということらしいので、可能性があるというのが正しいようです。実際の中毒事例では、手にかかった嘔吐物で炎症が起きたようです。何にしても直接触るのは危険ですので避けた方が良いです。

カエンタケ中毒の死亡事例

1999年、新潟県の旅館で、飾ってあったカエンタケを客5人が酒に浸して食べ、中毒症状になり1名が数日後に死亡。致死量3gというのはこの事故のケースのようです。 2000年 群馬県で男性がベニナギナタタケと間違えてカエンタケを食べ中毒に。翌日2名の内1名が死亡。 死亡事例は以上の2件ですが、記録に残るカエンタケで中毒になった事例としてはこの2件での中毒者を含めても10名ほどで多くはありません。猛毒なはずですが軽傷で終わった例もあれば、ひどい後遺症が残った例もあります。わずか3gほどで死亡した事例も考えると、個人の健康状態などの差や、カエンタケの毒に個体差があるのかもしれませんが、大変な中毒症状なのは違いありませんので食べるのも触るのもご法度です。  

カエンタケの分布

カエンタケの局地的な発生例がここ数年目立ちますが、それ以外の地域でカエンタケが生息しないわけではありません。カエンタケは日本全土が生息範囲で、日本以外に中国、ジャワ島にも分布しています。


カエンタケ発生の時期

人が山に入る時期(春~秋)と発生時期が重なるのか非常に気になるところです。キノコ狩りと言えば秋がシーズンです。カエンタケもキノコですので、発生時期は他の多くのキノコ同様、初夏から秋にかけてですし、当然生息域がベニナギナタタケと重なるところもあります。だからこそ、間違えて食べるということが稀でも起こるのです。

カエンタケの生息地

カエンタケはブナ科の広葉樹林(ナラなどドングリ系)の立ち枯れたものの根や朽ちた倒木などから発生します。ブナ科の広葉樹は北は北海道から南は鹿児島まで分布していますので、カエンタケはブナ科の樹木があるところなら山間部だけでなく山間部に近い林でも発生する可能性があります。 近年では奈良県の生駒山のように登山やアウトドアライフのために多くの人が入る山や、三重県名張市の里山、滋賀県南部の野洲、甲賀、栗東など、京都市左京区では通学路の脇、兵庫県西宮市の甲山など、比較的アクセスがいい、多数の人が利用する山にも発生、生息が確認されています。遠い地域の出来事ではありません。

カエンタケの大量発生の原因

いわゆる「ナラ枯れ」との関係

カエンタケが多く発生している山がある自治体では多くが「ナラ枯れ」との関係を指摘しています。「ナラ枯れ」はミズナラ、コナラ、クヌギなどのブナ科の樹木に発生するナラ菌というカビ菌の1種による伝染病です。ナラ枯れの被害は昔から知られていましたが、全国的には平成22年をピークに減少しつつありました。ナラ枯れは昔は日本海側で多く見られたようですが、近年はその被害が南下し太平洋側でも多く見られるようになりました。奈良県の例では県北部から南の方に広がっており、兵庫県の西宮市の例では近接する北摂の方から被害が拡大してきたとのことです。 近年、関西でのナラ枯れ被害の発生例が多く取り上げられていますが、ブナ科の樹木は日本全国に分布していますので、ナラ枯れも全国で発生しています。従って、ナラ枯れが発生するとカエンタケも発生しやすいということになり、実際、ナラ枯れの発生地とカエンタケの大量発生地は一致しているとのことです。

ナラ枯れの原因

上の画像のスケッチはカシノナガキクイムシという一般にはまったく知名度のない5mmほどのゾウムシの仲間の甲虫です。山に入らない人は一生お目にかからない虫です。長い名前ですね。この虫がナラ枯れの原因です。つまり、枯れたブナ科の樹木に生えるカエンタケ発生の間接的な原因と言えます。この虫の発生は今に始まったことではなく、昔からブナ科の広葉樹のあるところならどこにでも生息しています。日本全国の山間部に生息していると言い換えられます。 このカシノナガキクイムシは好んでブナ科の大木に穴を開けて潜り込み、自分たちが持ち込んだナラ菌という菌類を木の中で繁殖させてそれを食べるという非常にユニークな生態をしています。この虫が多少入り込んだところで木は枯れないのですが、時に大量発生し、多く入り込むとナラ菌の量も大木を枯らすほどになります。木の中で卵を産み、次の年には成虫になり、また近くの木に入り枯らす、というサイクルが続きます。これがナラ枯れです。

日本人の生活スタイルの変化とカエンタケの関係

山と森の国、日本


里山は里の住民にしっかり手入れ、管理されていましたが、最近はあれている里山も増えています

上述しましたとおり、カシノナガキクイムシがブナ科の大木に大量に潜り込み、ナラ菌を媒介していくことでナラ枯れが広がっていきます。昔からカシノナガキクイムシがいるのなら、なぜ今更ナラ枯れが頻繁に発生するのかですが、これには理由があります。日本は見るからに山と森林が多いですよね。日本の山地の面積は6割以上、森林率は7割近くになります。

山林と共生していた日本人の暮らし

昔はたくさんあった炭焼き小屋

日本が戦後経済的に急成長を遂げていく中で、それまで山や森林に非常に恩恵をを受ける生活をしていたのですが、木を伐採して炭や薪にしたり、木材として利用したりということが極端に少なくなり森林のコントロールが出来なくなってきました。ブナ科の樹木も大木になる前に伐採されるということが少なくなり、カシノナガキクイムシの格好の標的となりナラ枯れが連鎖する状況です。

現代的ライフスタイルがカエンタケの発生を助長しているかも

今、日本人が山林に足を踏み入れるのは多くはアウトドア活動で、昔の様に共生しているわけではありません。そういう日本人のライフスタイルの変化が今回のカエンタケの様に自然の暴発のような形で表れているのです。自然の乱開発はいけませんが、人間も自然の一部と考えれば、ある程度の介入をしなければ人間にとっては不都合なこともあり得るのです。

まとめ

ここの数年、カエンタケの発生事例が多く取り上げられるようになりました。カエンタケは日本に生息するキノコ類の中でも特筆すべき猛毒性で、事例が少ない中でも2件の死亡事故がおきています。カエンタケは非常に目立つわかりやすい色、形をしており、知識があれば誤食したり、触ったりすることは十分に防げます。また最近の頻繁なカエンタケ発生報告の遠因には、日本人が山林に関わる生活をしなくなったことが可能性としてあげられるということです。 とにかく、カエンタケは意外と人の生活圏に近いところにも発生しているのは事例の通りです。カエンタケの危険性を十分に理解して、楽しく山でのアウトドアライフを過ごしたいですね。