新型スズキSV650ABSは乗りやすい?はじめに
スズキのSV650ABSは伝統的なネイキッドスタイルに90°Vツインエンジンを搭載した650ccのミドルスポーツです。尖った印象を受けるネイキッドスポーツが増える中、丸目ライトにクラシカルな雰囲気が漂います。ここではスズキの新型SV650ABSのスペックやインプレから気になるところを掘り下げ、記事末では旧モデルからの変更点を紹介します。
スズキ車の魅力は?
スズキ車の魅力はコンセプトの明確さにあります。コンセプトに沿ったスペックや装備は惜しみなく投入し、コンセプトに合わないスペックや装備は徹底的に削り取られるのが特徴です。ライダーの使い方に合っていれば高い満足感を得られる傾向にあり、比較的に価格が安いモデルが多いですね。
では本題!新型SV650ABSを徹底検証します。なおこの記事は2020年3月19日現在の情報をもとに作成しますことをご了承ください。
新型スズキSV650ABSのエンジン
スズキの新型SV650ABSには8500回転で76.1馬力を発生させる水冷DOHC4バルブの90°V型2気筒エンジンが搭載されています。90°Vツインエンジンは理論上振動を発生させない構造で、蹴り出し感の高い加速が魅力。ボア81×ストローク62.6mmのショートストロークエンジンですので、高回転の伸びにも期待できます。Vツイン=ドコドコというイメージがありますが、アメリカンクルーザーほどの鼓動感はありません。
エンジンに関するユーザーインプレ
SV650ABSはエンジンの評価が非常に高いですね。これは90°Vツインエンジンの構造が原因。90°Vツインエンジンの爆発タイミングは270度クランクの並列2気筒と同じなのですが、振動をバランサーで抑える必要がありません。ですので、エンジンに余計な負荷がかからず、ダイレクトな加速感を得られるのです。4気筒エンジンを搭載したGSX-S750よりスペックは劣るものの、味わい深さではSV650ABSに軍配が上がります。
初めてVツインに乗りましたが、スムーズさとパルス感のバランスが気持ち良いです。低回転域からトルク感もありますし、よく回ります。
「鼓動感の気持ち良いVツインエンジン」・・・言えば一言ですが、熟成されたエンジンは多くあっても、人間の五感を刺激してくるこのエンジンは本当に気持ち良いです。
新型スズキSV650ABSの最高速度
スズキのSV650ABSの最高速度はやや控えめな印象を受けるものの、公道を走行するうえでは実用的だといえます。SV650ABSのエンジンを敢えてハイスペックにしなかったところがスズキらしいですね。実用域を重視したエンジン特性はSV650ABSの乗りやすさにつながっているといっても過言ではありません。また、ワインディングロードでのファンライドにも期待できるエンジン特性です。
【新型スズキSV650ABSのスペック】
スズキ新型 SV650ABS |
750cc以下の 大型バイク平均値 |
|
最高速度1 | 183.4km/h | 229.69km/h |
最高速度2 | 174.7km/h | 184.58km/h |
※最高速度1:最高出力を発生させるエンジン回転数での理論上の速度(トップギヤ)
※最高速度2:最大トルクを発生させるエンジン回転数での理論上の速度(トップギヤ)
※2020年3月19日現在
最高速度に関するユーザーインプレ
最高速度に関するユーザーインプレを確認していると、紳士的なユーザーがSV650ABSを選ぶ傾向にある印象を受けます。エンジンに味わいを求めるベテランライダーほど評価が高いですね。また、大型バイク初心者からはパンチ力のある加速に大型バイクらしさを感じると評価されています。初心者からベテランまで楽しめるエンジンスペックですね。
高速で6速100㌔で流していても、ギアそのままで簡単に追い抜きもできます。低速から高速まで弱点のない熟成されたエンジン…
250ccと比べるとかなりトルクが有り回すとガツンと加速します。パンチ力があってすごく楽しいです。Vツインの特性なのか加速とエンブレがはっきりしている感じがします。
新型スズキSV650ABSでの街乗り
車体サイズを750cc以下の大型バイクの平均値と比較すると、SV650ABSは軽量でコンパクトですので、街乗りで乗りやすい大型バイクだといえます。しかし、他社の650ccネイキッドスポーツと比較すると全長が長く、最小回転半径が大きめです。これは前後に長い90°Vツインエンジンを搭載しているのが原因。軽い車両重量や低いシート高は街乗りで有利なものの、街乗りでの小回りでは大きさを感じるかもです。
【新型スズキSV650ABSのスペック】
スズキ新型 SV650ABS |
750cc以下の 大型バイク平均値 |
|
全長 | 2140mm | 2166.7mm |
全幅 | 760mm | 795.0mm |
全高 | 1090mm | 1193.8mm |
車両重量 | 197kg | 208.4kg |
シート高 | 785mm | 795.2mm |
最小回転半径 | 3.0m | 2.91m |
※2020年3月19日現在
街乗りで快適なローRPMアシストを装備!
車体サイズで他の650ccネイキッドから水を開けられた街乗り性を相殺するために、SV650ABSはローRPMアシストを装備しています。ローRPMアシストは極低速を強いられる街乗りでエンストしないようにエンジン回転数を制御する装備です。モータージャーナリストの小林ゆき氏が街乗りを想定して試乗したインプレ動画では、エンストさせるほうが難しいほど効果があるとのこと。車体のバランスも高く評価されています。
新型スズキSV650ABSでのツーリング
スズキのSV650ABSは他社の650ccネイキッドスポーツより全長が長く、最小回転半径が大きいと先述しました。しかし、その長い全長はツーリングで安定感をもたらしてくれるといえます。また、蹴り出し感の強いエンジンは心地よく、ツーリング先での絶景ワインディングロードを格別なものにしてくれるでしょう。淡々と距離を稼ぐツーリングよりも、バイクを操る楽しさを求めるツーリングにピッタリです。
ツーリングに関するユーザーインプレ
SV650ユーザーのツーリングに関するインプレを確認すると、「派手さはないが、目に見えない質の高さを感じる」と高く評価されています。「ツーリングではお尻が痛くなりやすい」というコメントも見かけますが、SV650ABSはそれ以上の価値をツーリングで見いだせるバイクだといっていいですね。積載性の悪さを指摘するコメントも見かけますので、ツーリングではリヤキャリアを追加しましょう。
エンジンの良さ、シフトフィーリングの良さ、車体の安定感、安くとも日本製で良心的なバイク作りをしているスズキに好感を持っています。
ツーリングの休憩所でバイクを並べても誰も食い付いて来ません(笑)それでも、質実剛健と言うか、基本はしっかり抑えていてVツインの楽しさは十二分に味わえます。
新型スズキSV650ABSの燃費
スズキのSV650ABSの燃費はWMTCモード値(クラス3、サブクラス3-2)で26.6km/Lとまずまずです。750cc以下の大型バイクの燃費平均値は24.27km/Lですので、大型バイクとしては良好だといえます。燃費と燃料タンク容量(14L)をもとに航続距離を計算すると372.4kmですので、ガス欠を心配する必要はないでしょう。ただし、大型バイクは中型バイクよりも距離を稼げますので、無給油での日帰りツーリングは難しいかもです。
燃費にに関するユーザーインプレ
SV650ABSの実燃費は約25km/L。WMTCモード値燃費に近い数値ですので、まずまずだといってもいいですね。ツーリングではアクセルをワイドオープンする回数が少ないので、燃費はさらに伸びると考えられます。燃料タンクが大きいVストローム650ABSと迷ったユーザーもいますが、普段使いやワインディングロードでのファンライドを考えると、SV650ABSに軍配が上がるとのことです。
街のりで26㌔長距離で30㌔ぐらいです。
流れの良い国道を走れば30キロを超えます。ワインディング含めても25キロ前後でした。あくまでも、あまり飛ばさない自分の乗り方での燃費です。
新型スズキSV650ABSのカウル①
スズキのSV650ABSはカウルを装着していないネイキッドスポーツ。丸目ライトの上にあるのはカウルではなくメーターバイザーです。SV650ABSユーザーのインプレでは標準装備のメーターバイザーの評価が低いので、フロント周りをドレスアップするカスタムを検討しましょう。
メーターカウルのデザインが少し好きではなかったので、社外のスクリーンを付けました。
スズキ純正メーターバイザー
スズキ純正 SV650ABS用 メーターバイザー レッド 99000-990U0-006
風防効果よりもドレスアップが目的なら、スズキ純正オプションのメーターバイザーがおすすめです。丸みのあるデザインがSV650ABSに似合います。
S2 Concept TANTO(短刀)フェアリングキット
S2 Concept SUZUKI SV650 TANTO(短刀)フェアリングキット
SV650ABSにイチオシのカウルはS2 ConceptのSV650 Tanto(短刀)です。GSX1100Sカタナの雰囲気が上手く再現されています。カフェスタイルのSV650X ABSにベストマッチのカウルですね。
新型スズキSV650ABSのカウル②
SV650ABSに付けられるビキニカウルは少ない
スズキのSV650ABSはライトケースの取り付け方法が特殊ですので、取り付けられるビキニカウルは少ないですね。2007年モデルまでのビキニカウルは見つかりますが、国内販売が始まった2016年モデルからは極端に少なくなります。シックデザインさんのビキニカウル一択かもです。
ビキニカウルを汎用パーツでDIY取り付けする!
SV650ABSにライト径Φ180用の汎用ビキニカウルをDIYで取り付ける方法もあります。手間はかかりますが、ビキニカウルのデザインを選べるのでおすすめです。汎用のライトステーと自作ステーで取り付けたり、メーターバイザーの取り付け台座を活用したりする方法があります。
新型スズキSV650ABSのモデルチェンジ
年式によるスペックの変更点
スズキのSV650ABSは2016年の8月に販売が開始され、2019年の1月にマイナーモデルチェンジを受けています。また、2018年の1月と2020年の3月にカラーチェンジを受けました。2019年のマイナーモデルチェンジでフロントブレーキが2ポットから異形対向4ポットへと変更されています。また、マフラーの形状も変更されました。エンジンや車体のスペックは変更されていません。
年式によるカラーの変更点
SV650ABSは毎年カラー変更を受けています。2020年3月のカラーチェンジでは白/青がなくなりました。新発売当初はシンプルな印象のカラーが多かったのですが、年々渋いカラーに変更される傾向です。年式によるカラーの変遷を表でまとめますね。
【スズキSV650ABSのカラーチェンジ】
タンク色/フレーム色 | |||
2016(新発売) | 白/黒 | 赤/黒 | 黒/黒 |
2017(継続) | 変更なし | ||
2018(カラー) | 白・青/黒 | 黒/赤 | 黒/黒 |
2019(MMC) | 白/青 | シルバー/赤 | 黒/青 |
2020(カラー) | シルバー/青 | 黒/赤 | 黒/黒 |
※MMC=マイナーモデルチェンジ
※2007年以前のモデルは海外向けの逆輸入車ですので省略しました。
新型SVスズキ650ABSは乗りやすい?まとめ
スズキのSV650ABSは実用的な乗りやすさと楽しいスポーツ性を兼ね備えたネイキッドバイクです。ハイスペックではありませんが、ライダーの五感を刺激する個性に魅力があります。バランスの良さや扱いやすさが初心者にも乗りやすく、数々の名車を乗り継いできたベテランライダーをも唸らせる90°Vツインエンジンのダイレクトな加速感に説得力がありますね。大人しいデザインに個性的なキャラクターが隠れたスズキ車らしいバイクです。
SV650ABSが気になる人はこちらをチェック!
ここではSV650ABSの気になるところだけを掘り下げましたので、スペックと試乗インプレ動画からツーリングを想定して徹底検証した記事もチェックしましょう。ツーリング向けのカスタムについても記載しています。また、650ccネイキッドバイクを比較した記事や、軽い大型バイクをランキング形式で紹介した記事もチェックしてくださいね。
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