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失敗しないアジサイの育て方は?上手に管理しながら綺麗な花を咲かせる方法を解説!

うっとうしい梅雨空の季節にホッと心を和ませてくれる花が「あじさい」ですね。これから庭に地植えにしたり、鉢植えでも鑑賞したいが育て方を知りたいという方のために、失敗しないできれいな花を咲かせる「あじさい」の植え替えや増やし方など育て方や管理方法をご紹介します。
2020年8月28日
Meigen Oka
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「紫陽花(あじさい)」という植物

「あじさい」はあじさい科あじさい属。原産地が日本の落葉低木です。日本からヨーロッパに紹介されて品種改良が進み、後に日本に西洋あじさいとして逆に渡ってきたものです。日本在来種と区別して「西洋あじさい」や「ハイドランジア」と呼んでいます。江戸時代の長崎出島のオランダ商館の医師であった「シーボルト」が後に著した自身の植物誌に「あじさい」を日本での妻”お滝さん”の名を付け「オタクサ」と名付けたのは良く知られています。

あじさいの種別

あじさいは増やし方も容易ですので日本各地に生育し、一般的には6月頃から7月にかけて花を咲かせ、鬱陶しい梅雨の時期に心和ませる紫や白、青、紅色などの花(装飾花:額を咲かせて目を楽しませてくれます。花の形状が小さな花が重なり合っていてボールの様に球形状をしているあじさいは“手まり咲き”と呼び、花序の周りについている花びら(萼片:装飾花)が額縁の様であることから「がくあじさい」と呼びます。

あじさいの特徴

地植えにされている「あじさい」の樹高は12mで株元から数本の枝茎を伸ばします。葉は縁取りがギザギザのある鋸歯状で葉脈がはっきりした卵形で淡緑色をしています。花と見えるものは装飾花で萼(がく)片で、中性花(雄しべ、雌しべが退化したもので、種子を作らない)です。

あじさいの花色

あじさいは開花してから徐々に花色を変化させていくのが特徴です。これは、あじさいは開花期間が長いために少しずつ老化していく事によって起こる現象です。開花時には含まれている葉緑素による色調ですが、それが徐々に分解されていって、同じく含まれているアントシアニンや色素補助色素(光合成色素の内の一部の総称)が生合成(生物の体内細胞で物質が合成される化学的変化)されて色が変化していくものです。また、地植えにされている「あじさい」は土壌中の酸性度(ph)によっても色が変わり、アルカリ性では赤、酸性では青になります。

あじさいの花言葉と語源

あじさいの花色が変わる意味から「七変化(ななへんげ)」「八仙花」とも呼ばれます。あじさいの花言葉は、変化する花色からと艶やかな色調から「移り気」「乙女の愛」、花が密集している様子から「家族の結びつき」とあります。

あじさいの名の由来

あじさいの名前の由来として、有力説とされているのが、“藍色”が集まっている様子の意味を表す「集真藍(あづさい)」が変移したもの、また味わいの“味”と花色を示す“狭藍”とで「味狭藍」を当てはめたものがあります。漢字表記では「紫陽花」とされていますが、これは、中国唐時代の詩人「白居易」が別の花に付けた名を、平安期の学者であった「源順」が勘違いをして当てはめたことから定着してしまったといわれています。

万葉集のあじさいの歌

万葉集にはあじさいを詠った歌が二首の記載があり、その一首に“あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にを、いませ我が背子見つつ偲はむ”(巻二十橘諸兄)と詠まれています。後書きに「左大臣、味狭藍(あじさい)の花に寄せて詠む」とあり、当時は「味狭藍」「安治佐為」と表記されています。また、“八重咲く”は八重咲きの意味ではなく花(萼)が密生して咲く様子を称したものです。

あじさいの種類

日本原産のあじさいですが、増やし方も簡単なことから現在では世界中に分布栽培されていて、約3,000種以上育種されているといわれます。日本での自生種は14品種ほど見られます。分類として広義には装飾花としての「がくあじさい」と狭義としての手まり咲きの「ほんあじさい」に分かれます。また、別分類としてヤマあじさいやハイドランゲア・スティロサも含む説もあります。

栽培品種別分類

現在あじさいと呼ばれている品種には、花の咲き方やなど様々な特徴があります。育種されているあじさいの品種別分類を挙げてみました。

ほんあじさい

「ほんあじさい」は一般的に植え付けられている種類です。花びら(萼片)が集まって手まりの様になります。青色が最も多く、他に白、薄紅色、薄紫などの花色があります。

がくあじさい

「がくあじさい」は、完全花(雄しべ、雌しべを持つ)の周りに花びらの様に見える装飾花(萼片)が取り囲む様につき、額縁の様に見えることから付いた名です。「はまあじさい」とも呼ばれます。

ハイドランジア(西洋あじさい)


一般に「西洋あじさい」とよばれています。原産地日本から欧州に渡って改良されて逆輸入された品種です。矮性種が多く、種類も花色も豊富で花形も大きいのが特徴です。

やまあじさい

「やまあじさい」は日本各地の山林地帯の沢沿いなど半日陰状態の湿地に生育しています。「さわあじさい」の別名があり、通常のあじさいより花形や葉が小さくて薄く、光沢もない薄緑色をしています。

えぞあじさい

「えぞあじさい」は北海道から本州日本海側の比較的寒冷地とされる地域に生育していることからの命名です。「やまあじさい」よりも葉が大きく、淡紫色の両性花の周りに鮮やかな紫青色の装飾花を付けます。

こあじさい

「こあじさい」は別名を「柴紫陽花(しばあじさい)」とも呼び、山林などに生育します。やまあじさいよりも小型化していて、通常のあじさいの様に装飾花はありませんが、甘い香りを放つことから園芸家の間では人気があります。

たまあじさい

「たまあじさい」は、関東から中部地方の山林などの湿地などに自生します。つぼみが丸い玉の様になることから名付けられました。

ノリウツギ

「ノリウツギ」は、一般的なあじさいよりも開花する時期が遅く、花はあじさいに似ていますが円錐形なのが特徴です。

かしわばあじさい

「かしわばあじさい」は原産は北米で、葉の形がカシワの葉に似ていることからの名です。67月の初夏に円錐形をした花をうつむきかげんに咲かせ、時間を経ると花色が変わり、秋には葉が紅葉して楽しめます。

あじさいを育てる環境

あじさいを庭に植え付ける際には、他の庭木とのバランスを考えて、なるべくなら広い場所に植え付けることを考えましょう。あじさいは出来るだけのびのびと育てた方が良い花を咲かせます。

あじさいは広い場所で!

地植えのあじさいは、他の植物などとの混みあった狭い所で育てると場所ふさぎとなって、つい枝を切り詰めて小さくしてしまい勝ちです。毎年枝切りを行ってこじんまりとさせてしまっては、枝先いっぱいにこぼれる様に咲く花は見られません。立派な花を咲かせたいなら、草丈が伸びようと、脇枝が張り出そうと放っておくことが大事ですので、あじさいを地植えで植え付けるなら広い場所が良いということです。

あじさいの育て方と管理その①

植え方と手入れの方法・選び方

あじさいの苗が園芸店で出回る時期は4月中旬から5月頃になります。まず、植え付けてみたい種類や花色をラベルなどで確かめましょう。花付きの鉢ですと選びやすいでしょう。5月の母の日に合わせて数種類の鉢が並びますので選びやすいでしょう。苗も鉢植えも、株元から出ている枝茎が太くしっかりしていること、葉が元気で艶もよいこと、枝茎や葉などの裏側を良く見て、アブラムシなどの害虫が付いていないか、一部の葉が萎れていたりするのは病気かも知れません。

あじさいの育て方と管理その②

植え方と手入れの方法・植え付け

あじさいの苗を植え付ける際には、適度に日光が当たり、病害虫を防ぎやすい風通しの良い場所が適しています。耐寒性はありますが、冬場の北風が直接吹き付ける場所は、若い枝や花芽に悪い影響を及ぼしますから、北側の陽も指さない様な場所は避けましょう。夏場の暑い時期には直射日光による葉焼けを起こしますので、出来ることなら西日が当たらない半日陰の状態がベストです。植え付けの時期は地温が高まる4月から梅雨前の6月頃が適期です。

あじさいの育て方と管理その③

植え方と手入れの方法・用土


土壌中の酸性度(ph)によって花色が変化することは前述しました。土壌は水はけが良くやや弱酸性が適します。苗を地植えにする前に堆肥として腐葉土と、元肥に緩効性の有機質肥料を庭土に混ぜ込んでおきます。庭土が粘土質の水はけが悪い土であったり、反対に砂が多いと保水性が悪くなります。この様な土壌の場合は、ある程度の深さと広さで庭土を掘り返し、赤玉土7に対し腐葉土3の用土に酸性土壌を中和する苦土石灰を少量混ぜて植え付ける場所の用土とします。

あじさいの育て方と管理その④

植え方と手入れの方法・水やり

あじさいはやや湿り気のある土を好みます。植え付けをして根付いてしまえば、地植えのものはそれほど神経質に水やりをする必要はないでしょう。但し、雨が数日間降らずに土が乾燥状態である時には潅水をしてあげましょう。鉢植えの場合は水切れを起こすと、とたんに葉も花も元気を失い、更に落葉して枝先が枯れてしまいかねません。そうなる前に鉢土の表面が乾いていたらたっぷりと水をあげる様にしましょう。

あじさいの育て方と管理その⑤

植え方と手入れの方法・植え替え

あじさいの植え替えについては、地植えの場合と鉢植えの場合とがあります。あじさいに限らず植物は植えてある土壌の変化や、根の張り方によって定期的に植え替えを行う必要があります。

地植えのあじさいの植え替え

地植えの場合については特に植え替えは必要ありませんが、土壌の通気性を良くする為、葉が落ちている時期に、根を傷つけない様に注意して、株元から少し離れた場所の周囲の土を掘り返して腐葉土などを漉き込んでおくと良いでしょう。

鉢植えの植え替え

購入したばかりの鉢植えのあじさいは、花が終わったらすぐに植え替えをします。通常、店頭に並ぶ鉢は小ぶりであるために、根が鉢の中でいっぱい張って根づまりを起こした状態です。小さいプラ鉢で鉢底から根が飛び出していたりします。これではあじさいにとってかなりのストレスとなっていて、生育に悪影響を起こしますので植え替えをしなければなりません。通常鉢植えの植え替えは毎年行うことが必要です。

あじさい鉢の植え替え手順

鉢は出来ればプラ鉢でなく、通気性の良い一回り大きい素焼き鉢か瀬戸鉢がベストです。鉢には底網を敷き、底面には大粒の軽石かひゅうが土を入れて用意しておき、鉢から抜き取ったら、根を傷めない様に根回りの土を3分の1ほど手でほぐし取り、鉢に入れてあじさい用培養土か、赤玉土(小)6、腐葉土4の用土を入れて、全体に割りばしかヘラなどで良く突き込んでおきます。2週間ほど半日陰で管理したら肥料を鉢の縁に施肥します。

あじさいの育て方と管理その⑥

植え方と手入れの方法・増やし方

あじさいを増やす方法は幾つかの方法があります。その中でも挿し木による増やし方が一般的です。あじさいは大きな花の重みで枝が垂れて地面に付くと、その場所に根を張るほどですから割合簡単に挿し木での増やし方ができる植物です。

挿し木での増やし方

枝先から23節までを切り取り、先の葉を半分ほどにカットして残し後の葉は落とし、すぐに水につけて水揚げをしておきます。45号のビニールポットに、「赤玉土(小玉)5、鹿沼土3、バーミュキライト2」を混合した用土に挿し込みます。その際には挿し口は斜めに切り、ハサミで割れを入れておきましょう。発根剤をつければ尚良いでしょう。後は挿し穂が浮いてこない様に静かに水やりをしておきます。

取り木での増やし方

この増やし方は、前述した様に枝茎が垂れ地面に付くと節から発根します。時期としては56月頃が適期です。道理は同じで、長く伸びた柔らかい細枝の2節部分を地面まで誘引し、針金で作ったU字ピンで止めます。その部分に土を被せておきます。1か月ほどで発根しますから、しっかり根が増える半年後位を目途に親株から切り離して植え込みます。

株分けでの増やし方

この増やし方は、地植えの大株では大変な労力が必要ですので、鉢植えなどの小株で行います。鉢植えの植え替え時に同時に行うと良いでしょう。鉢から株を抜いたら土を良くほぐしながら落とし、底部から剪定バサミなどを使って切り、株を分けます。切り分けた株をそれぞれ鉢に植え付けます。後の手順は植え替えと同じで、忘れずに水やりを行い、用土に株が落ち着いたら肥料を与え始めます。

あじさいの育て方と管理その⑦

植え方と手入れの方法・肥料

あじさいは肥料を与えることによって生育が良好となります。庭木も鉢植えも春になっての元気な生長ときれいな花を咲かせる用意として、寒肥としての肥料を2月から3月初旬頃に施肥しておきます。

肥料の与え方

庭植えの場合は株元から5060cm離した場所に肥料を与えます。肥料は有効成分が長期間ゆっくりとした効力を発揮する緩効性有機質肥料が良いでしょう。2~3月の寒肥と5月頃の開花前にも同様の肥料を与えます。秋口には次の年の花芽を形成させるために即効性の配合肥料を与えておきます。鉢植えには510月期に10日ごとに液体肥料を与えても良いでしょう

あじさいの育て方と管理その⑧

植え方と手入れの方法・剪定の方法①


地植えのあじさいは剪定など手を入れずに自由に伸ばしておいた方が良い、と前述しました。但し、あまり大きくなりすぎて場所塞ぎになり、こじんまりにしたい場合には時期を図って剪定をします。次の年に花を見るのを我慢するなら、株元から切り取ってしまい、また放任して伸ばせば良いのですが、少しは花を見たいという時には、半分のみ切り取って半分を残し、後は次の年に切り戻しを行うという2年掛かりでの剪定方法があります。

植え方と手入れの方法・剪定の方法②

剪定を行うごとに枝を切り詰めて小さくしたのでは、いつも貧弱な花しか見られません。前述の剪定をする際に半分を切る時には、今年花を付けた枝を切り、花が付かなかった枝は残す様にすると、その枝には次の年に花を付けます。株元からの勢いのある枝も残します。

植え方と手入れの方法・剪定の方法③

もう一つの剪定方法は、花後に花から2節目の辺りで切り取ります。そうすると、その下の節の芽が花芽になります。強剪定といって枝の半分ほどで切り取ると、勢いの良い枝は出ますが、花芽はつきにくくなります。また、遅い時期の剪定は花芽のついている枝を切ってしまいかねません。

あじさいの育て方と管理その⑨

植え方と手入れの方法・病害

アジサイの病気で良く見かけるのは「うどんこ病」です。あじさいの新芽近くの茎や葉にうどん粉をまぶした様に白くなります。5~6月、9~11月頃の時期に発生しやすく、原因は土の中や落ち葉に潜む“糸状菌”というカビの一種です。繁殖が広がると白く覆われた場所は光合成ができずに枯れてしまいます。早めの発見が予防の早道で、見つけたら病気の枝を切り取り廃棄し、殺菌剤を噴霧しておきます。

植え方と手入れの方法・害虫

アブラムシやハダニの類の発生が見られます。アブラムシは気温の高い59月頃の時期に発生しやすく、葉や茎に群れをなして付着し、植物の養分などを吸汁して弱らせてしまいます。早期の発見が大切です。ハダニはやはり59月頃の時期に発生し、葉の裏などに生息して養分を吸汁して、酷くなると葉がカスリ状になってしまいます。アブラムシもハダニも早期の発見が大切です。見つけたら殺虫剤を噴霧し、被害枝は切り取り廃棄しましょう。

あじさいの育て方と管理その⑩

植え方と育て方のポイントと注意点

あじさいは元々日本が原産の植物ですので、一般的に日本の風土のなかでは育てやすい花木の種類です。鎌倉のあじさい寺は有名ですが、そのほとんどが伸び伸びと剪定などせずに育てられています。この様にあまり切り詰めないで育てるのが見事な花をいっぱい咲かせるポイントなのです。伸びた枝をかまわずに切ってしまうと、次の年には全く花のない木になってしまいます。特に土用過ぎの切り詰めはダメです。あじさいを庭に植え付けるには、他の樹木に邪魔とならない場所に植え付けることをおすすめします。

まとめ

日本庭園には欠かせないといって良いほど、「あじさい」は私たちの身近にあって親しみ安い花木です。育て方も管理もそれほど難しくない植物ですので、お庭の地植えにする花木としてはもっとも適しているといえるでしょう。地植えでも鉢植えとしても、植え替えの方法や増やし方、肥料のやり方等々、あじさいの育て方と手入れなど、きれいな花を咲かせる方法をご紹介してみました。ぜひ参考にしていただければ幸せです。

「あじさい」についてはこちらもチェック!

あじさいについては「暮らし~の」のWEBサイトでもいろいろな話題を提供していますので、ぜひご覧になってもらえるとうれしいです。