リボン刺しゅうをはじめましょう!
華やかで立体的な刺しゅうの技法「リボン刺しゅう」をはじめませんか?同じ技法でも、材料や道具、刺し方のコツがフランス刺繍と違います。華やかな出来上がりはフランス刺繍以上かもしれません。
リボン刺しゅう 基本の刺し方①
材料と道具について
リボン刺しゅうは針もリボンも特別な専用のものを使います。プレゼントに結ばれているような固くて大きなリボンは布を通らず、刺繍には向きません。針も針穴が縦に長いものを使います。どちらも数百円で購入できますが、小さな手芸店では取り扱いがない場合も多いので、通販サイトを利用しましょう。
針
◆クロバー(Clover) リボン刺しゅうステッチ針(57-081 57-082 57-083 57084)◆エンブロイダリーリボン用刺しゅう針 リボン刺しゅう/リボン刺繍針/
道具の針は、幅広のリボンを通しやすい針穴が長い専用の針を使います。リボン刺しゅう針かシェニール針という名前で売られています。刺しゅうをする布の厚みや種類で針が変わります。ニット地用のものはクロスステッチ針のように針先が丸いのが特徴です。
リボン
【MOKUBA】木馬 刺繍リボン(エンブロイダリーリボン) 3.5mm巾×5m 青系・紺 12色/全100色 No.MER1540-35f
材料のリボンはエンブロイダリー・リボンを使います。上品な光沢感がある合繊製のものや、柔らかなシルク製などがあります。5mくらいが一巻きになっていて1つ数百円で買えます。上記のものはMOKUBAの3.5㎜幅のリボンで一般的なサイズです。ほかに7㎜幅のもの、縁にピコットがついているもの、グラデーションになっているもの、オーガンジーやラメ入りなどがあります。
刺しはじめと刺し終わりについて
リボン刺しゅうでは玉結びの仕方がリボンの幅を生かしたやり方をします。ここでは材料や道具を生かした、簡単にきれいにできるコツを詳しくご紹介します。
刺しはじめ
リボンは刺しゅうしやすい長さ、50~60㎝くらいの長さで斜めに切って針に通します。斜めにカットすることで針に通しやすくなります。
リボンの端から1.5㎝くらい(人差し指の幅分くらいのところ)に針を通します。
糸を引いて輪を作ります。できた輪に針を通して引き、結び玉を作ります。
輪を引ききると上の画像のように結び玉ができます。
裏側に出ているリボンの端は、刺し始めのステッチで布と一緒にすくうようにします。こうすることで糸端がしっかりとまります。
刺し終わり
刺し終わりで、裏に針を通したら、刺し終わりの位置に針を重ねてリボンを回しかけます。
リボンを指で押さえながら針を引きます。これで結び玉ができます。
裏側にあるリボンの目に針をくぐらせて、余ったリボンをはさみで切ります。
リボン刺しゅう 基本の刺し方②
花びら、葉の表現
最もシンプルな花びらや葉の表現に使うステッチを集めてみました。使う色や幅、素材で同じステッチでも表情が変わります。リボンをまっすぐによれないように刺すもの、わざとよりをつけるものでも表情が変わります。
ストレート・ステッチ
刺し始めの位置から針を出したら、花や葉の大きさの位置に針を入れます。
リボンはよじれやすいのでよじれを直しながら刺します。どうしてもよじれてしまうときはリボンを引いて緩めてから針先を使って直しましょう。
放射状に刺すと花の形を作れます。
リボンによりをかけて刺す方法があります。刺し始めの位置から針を出したら、針をくるくると回してリボンによりをかけます。
強くかけると細い線、緩くかけると太めの線を表現できます。
リボン・ステッチ
リボン・ステッチはリボン刺しゅうの基本の刺し方の一つで、端がくるんと丸まるのが特徴です。刺し始めの位置から針を出したら、リボンの上から針を入れます。
リボンの引き具合で先が丸くなったり、尖ったりします。
リボン・ステッチを刺すときに、途中でぱたんと追って刺すと長い葉の表現ができます。
リボン・ステッチだけで花を作れます。
レイジーデイジー・ステッチ
フランス刺繍でも花びらや葉の表現に使うステッチです。リボンがよじれないよう丁寧に刺すのがポイントです。刺し始めの位置から針を出したら同じ位置から針を入れます。
お山の頂点のところから針を出します。リボンを針にかけます。よじれないように丁寧に調えながらかけます。
リボンを引いて輪を引きしめます。丁度よいところで引くのをやめて、輪のすぐ外側にリボンを押さえて、リボンの上から針を入れます。これで1つ刺したことになります。
放射状に刺すと花を作れます。
オープン・レイジーデイジー・ステッチ
レイジーデイジー・ステッチの針を入れる場所を少し開いて(離して)山なりになるように刺すステッチです。刺し始めの位置から針を出したら、少し離して針を入れます。
頂点に針を出します。リボンをかけて引き、頂点の外側に針を入れます。ここではリボンの上に刺しません。
リボンの形を調えます。小さなつぼみのような形を刺せます。
リボン刺しゅう 基本の刺し方③
葉と茎、直線の表現
ここでは、茎や葉、直線の表現をご紹介します。リボン刺しゅうで刺すとボリュームが出るので、細く小さく表現したいときは、刺しゅう糸でフランス刺繍で刺しましょう。バランスを見ながら刺すのがコツです。
アウトライン・ステッチ
刺しはじめの位置から針を出したら、針を回してリボンによりをかけます。
1目進んだところに針を入れます。よりが戻らないよう、軽く押さえておくとよいです。
1/3~1/2戻ったところから針を出します。この時リボンを下に下げておくと刺しやすくなります。リボンの厚みで針が通りにくいときは写真のように一気に刺さずに、一針刺して針を裏に出し、戻ったところからまっすぐ針を出すようにするとうまくいきます。丁寧に一針ずつ刺すのがコツです。
アウトライン・ステッチを使って茎を刺しました。先端部分はよりをかけたままストレート・ステッチで刺しています。
葉の表現をすることもできます。
スプリット・ステッチ
リボンの幅を生かしながら、ラインを描く時に便利なステッチです。刺し始めの位置から針を出します。リボンをきれいに調えましょう。
1目進んだところに針を入れます。針を入れた後、リボンを引きながら、形を調えます。針先をリボンの下に入れて、調えるとよいでしょう。
少しだけ戻って、リボンの下から針を出します。(この時リボンも一緒に針を通します。)
これを繰り返します。写真のように円にするときは刺し終わりを少しだけ重ねます。
フィッシュボーン・ステッチ
魚の骨のように左右のリボンをV字に重ねるステッチです。葉によく使います。図案の中央に補助線を引いておきます。
葉の頂点から針を出し、中央の補助線に針を入れます。
頂点の左側から針を出します。
最初のリボンが少し重なるように右斜め下に針を入ます。中央をまたぐ感じになります。
2回目に針を出したところと左右反対になるところから針を出します。
リボンが中央で交差するように、先ほど(右斜め下に入れたところ)と左右反対になるところに針を入れます。
これを繰り返します。リボンは一針ごとに整えましょう。裏側でもねじれないようにしたほうがきれいにできます。
リーフ・ステッチ
名前の通り葉を刺すのに使うステッチです。葉脈を表現できます。図案の中央に補助線を引いておきます。
葉の頂点から針を出し、中央の補助線に針を入れます。
頂点の左側から針を出します。
リボンを調えながら、今度は頂点の右側に針を入れます。
中央の同じ位置から針を出します。リボンはたるませて、左手の親指で下に押さえておきます。
針先にリボンをかけて引き、形を調えます。リボンを引く時は指で押さえながら丁寧に引きましょう。
中央線のすぐ下に針を入れます。
これを繰り返します。リボンは一針ごとに整えましょう。
リボン刺しゅう 基本の刺し方④
立体的で小さい花
フレンチノット・ステッチ
フランス刺繍との違いは巻く回数です。リボンは刺しゅう糸よりずっと太いので1重巻きにします。使うリボンで表情が変わります。刺し始めの位置から針を出し、針先にリボンを1回かけます。
針先にリボンをかけたまま、すぐ隣の位置に針を入れます。
かけたリボンを引きながら針先を裏に出し、結び目が好みの大きさになるまでリボンを引きます。
上の白いものは3.5㎜幅のリボンで1回巻き、下の黄色いものはフランス刺繍の25番糸3本取りで2回巻きで刺したものです。
ループ・ステッチ
ふんわりとした花びらの表現に使うステッチです。軟らかめの幅の広いリボンを使うと華やかに仕上がります。刺し始めの位置から針を出したら同じ位置から針を入れます。
形が崩れないように指で調えながら、ループが丁度いい大きさになるまでリボンを引き、裏で玉どめします。
左から7㎜幅のリボン、白いものは11㎜幅のオーガンジー、一般的な幅である3.5㎜です。
リボン刺しゅう 基本の刺し方⑤
バラの表現①
スパイダー・ウェブ・ローズ・ステッチ
25番の刺しゅう糸3本取りで土台を刺します。中心から5本のストレートステッチを刺します。刺しはじめは返し針をします。五角形ができるように均一に刺すのがコツです。最後も返し針をします。
次にリボンを通した針を中心から出します。
土台糸の1本にくぐらせます。1本飛ばしてくぐらせます。同じように3周くぐらせます。ここではリボンはなるべくよじれないように(折れるのはOK)します。
3周したら今度はよりをかけます。針をくるくる回して、よりの具合を見ながら1本飛ばしで針をくぐらせていきます。
土台糸が見えなくなったら、花の下に針を入れて出来上がりです。
リボン刺しゅう 基本の刺し方⑥
バラの表現②
リボンの幅を生かして、たっぷりのギャザーを寄せてバラを表現します。オーガンジーや7㎜など幅広のリボンが向いています。
ギャザード・ローズ・ステッチ
結び玉から20㎝のところに印を小さくつけます。
リボンを通した針を裏から出したら、別の針で25番の刺しゅう糸を1本取りで用意します。リボンを出した同じところから針を出します。
3mmくらいの細かい針目で印をつけたところまでぐし縫いします。ぐし縫いはリボンの端のほうでします。
糸を引いてリボンのギャザーを寄せます。
刺しゅう糸を刺しているほうの針を縫いはじめの位置のすぐ下から入れて、裏からぎゅっと糸を引きます。
ギャザーを調えて、刺しゅう糸の針を裏から中心部分に出します。リボンの針は邪魔にならないように休めておきましょう。ギャザーの間を2回くらい縫ってとめます。
刺しゅう糸の針を休めておきます。リボンの針を根元から目立たないように入れます。ギャザーの形を調えながら、刺しゅう糸でさらに数回縫い留めます。裏側で糸端の始末をして出来上がりです。
アレンジ1
リボンの長さを倍にして(20㎝→40㎝)、リボンを2周巻くとボリュームアップした花を作れます。結び玉から40㎝のところに印をつけておきます。ぐし縫いするところまでは同じです。糸を引いてリボンのギャザーを寄せリボンを2周巻いて縫い留めます。リボンも脇から裏側に出して玉どめします。
アレンジ2
リボンを2重使いにするアレンジです。リボンはそれぞれ別の針に通しておきます。まずは7㎜のリボンを出します。同じ位置から今度は3.5㎜のリボンを出します。
この2本のリボンを重ねてぐし縫いしていきます。ぐし縫いは20㎝のところまでにします。
あとは同じように形を整えて、刺しゅう糸で固定します。
リボン刺しゅう 基本の刺し方⑦
バラの表現③
フレンチノット・ステッチとランニング・ステッチを組みあわせたステッチのアレンジです。リボンをぐし縫いしてバラの花に仕上げることができます。幅広の柔らかいリボンを使って、密集させるように刺すとより華やかです。
フレンチノット・ステッチとランニング・ステッチを使ったアレンジ①
7㎜幅のリボンを使います。結び玉から1.2㎝間隔で5回、0.7㎝間隔で3回の順番で印をつけます。印はリボンの中心につけるようにします。
針を出したら、印の一番端の少し外側で針にリボンを1回巻き付けます。巻き付けたままリボンの印に針を入れてぐし縫いします。
最初に針を出したところのすぐ隣に針を入れます。
リボンを引きながら針を裏に出します。リボンの輪が小さくなるまで引きましょう。
花びらの形を調えて出来上がりです。3.5㎜幅のリボン(写真右側の小さいもの)を使うときは0.7㎝間隔を5回、0.5㎝間隔を3回の順で印をつけます。
フレンチノット・ステッチとランニング・ステッチを使ったアレンジ②
印のつけ方を上下交互にすると柔らかな華やかさに仕上がります。
上記アレンジ①と刺し方は同じです。水色のリボンのものがこのアレンジで刺したものです。
リボン刺しゅう 基本の刺し方⑧
面を埋める表現
広い面を埋めるステッチです。どちらもリボンの幅や模様を生かして、丁寧に刺しましょう。よじれないようにまっすぐに針を刺すのがきれいに刺すコツです。フランス刺繍にもある技法ですが、リボンを使うとより華やかでボリュームのある仕上がりです。
サテン・ステッチ
あらかじめ刺す方向を補助線として入れておくと刺しやすくなります。重ねながら刺したいので、リボンの幅より1~2㎜狭くして引いておくとよいでしょう。
刺しはじめは中央の位置から針を出し、図案を見ながら針を刺します。
リボンは一針ごとに整えましょう。下のほうにリボンを引き出し、指で押さえながら裏側にリボンを引くのがコツです。
端まで刺したら、裏側でリボンの中に針を通して中央に針を戻し、反対側を刺していきます。
葉を刺すときは左右の片側ずつ刺していくときれいです。裏側もよじれないようにするときれいに刺せます。リボンの上側のよじれはリボンの下に針を入れて、上に持ち上げるようにするときれいになります。
バスケット・ステッチ
縦と横を編むように刺すステッチです。網目模様(ここではパイナップルの実)の表現に使います。リボンの幅に合わせて縦と横の補助線を引いておきます。
図案の中央から針を出して、補助線を目安にリボンを渡します。右でも左でもどちらでもよいので、端まで平行に刺していきます。
サテンステッチで端まで渡したら、中央から反対側に向かって刺します。裏側に渡してあるリボンの下に針を通して、中央に針を移動させます。
サテンステッチで端まで渡したら、中央から反対側に向かって刺します。刺し終わりは裏で玉どめします。
リボンを変えて、上下の中央から縦のリボンを交互にくぐらせます。
反対側まで来たら、針を入れて、リボンの幅分移動して針を出します。先ほどと逆になるように縦のリボンを交互にくぐりながら反対側にリボンを渡します。リボンがよじれないようにまっすぐ下にリボンを引きましょう。
リボンに針先が引っ掛からないように、ニット用の針にするか、クロスステッチ用の針を使うと刺しやすいです。同じように端まで刺したら、反対側も刺していきます。刺し終わりは裏で玉どめします。
リボン刺しゅう 基本の刺し方!まとめ
「リボン刺しゅう 基本の刺し方!材料、道具から丁寧にご紹介します」いかがでしたしょうか。一つの小さなモチーフでも、洋服や小物のアクセントになり、一気に上品な華やかさをプラスすることができるリボン刺しゅうの、基本をご紹介しました。参考にしていただければ嬉しいです。
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