ペパーミントを家庭菜園で楽しむ育て方をご紹介
ペパーミントは、生長が早く、いつでも収穫できる育てやすいハーブです。失敗することはさほど多くはないはずですが、繁殖力の強いペパーミントは、注意しないと周囲の植物の生育を妨げてしまうことがあります。このため、ペパーミントの植え替えや植え付けの際、株が広がっていかないように注意しなければならないなど、育て方にポイントがあります。今回は、ペパーミントを栽培する際のポイントを、種まき、発芽、肥料、植え替え、挿し木、剪定などの生長過程でご紹介すると同時に、家庭菜園での増やし方のコツについて、生長の手順に応じてご紹介します。
ペパーミントはどんなハーブ?
さまざまな製品に使われるおなじみの風味
ペパーミントとは、シソ科ハッカ属の多年草で、西洋ハッカのことです。草丈は50cm~1mほど、開花時期は夏、花は白色をしています。香りが強く、メントールの量も多く、アメやガムなどに使われています。ペパーミントと同じ属にスペアミントがあります。スペアミントは香りがさほど強くなく、甘い香りがするのが特徴です。ガムや歯磨き粉などに利用されています。
薬として利用されてきたペパーミント
ペパーミントなどのハッカの香りは、香料や風味づけなどとして、古くから使われています。ヨーロッパでは、体を冷やす、麻痺を押さえる、吐き気を制する薬として利用されてきました。現在も、ペパーミントの香りは消化不良や気管支炎などの治療薬として使われる一方、アロマテラピーとしても、気分を変え、皮膚炎やにきび、喘息や消化不良などの症状を改善するとして利用されています。
ペパーミントの育て方のポイント
育てやすいがトラブルも
ペパーミントは繁殖の勢いがよく、育てやすいため、失敗せずに楽しめるハーブです。初心者の方も楽しく栽培することができますが、その一方で、ペパーミントの勢いが強すぎて、周囲の植木をダメにしてしまう恐れもあります。ペパーミントを育てる際は、鉢植えで育てたほうがベターです。地植えの場合、ペパーミントの株が広がらないように、地中にブロックを植えるなどする必要があります。
寄せ植えはNG
ペパーミントは、ほかの植物と寄せ植えすると、周囲の植物を枯らせてしまう可能性があります。また、近くにミント類を育てないようにしないと、すぐに交雑してしまいます。ペパーミント自体は育てやすいのですが、周囲の植物といっしょに育てていくことができませんので注意しましょう。
家庭菜園でのペパーミントの育て方①種まき
種まきできる時期が長い
ペパーミントの種まきの適期は、真夏や真冬の時期をのぞく、3月~6月ごろ、9月~11月ごろです。つまり、極端に暑かったり寒かったりする時期以外、いつでもペパーミントの種まきすることができるということになります。ペパーミントの種は飛ばされてしまいそうなほど小さいため、発芽するまでは室内で栽培するのも手。ペパーミントはやや湿っぽい土を好みます。日当たりが強すぎると乾燥してしまうため、半日陰で育てるのがおすすめです。
ハーブ用の土で種まきを
ペパーミントは乾燥にあまり強くありません。このため、ペパーミントを育てるには保水性の高い土を使う方がいいといわれています。土を準備したら、表面にパラパラと種まきをはじめます。軽く土をかふせたら、水やりを行いますが、大量の水を与えると、種が流れてしまうため、ペパーミントの種まきの後は霧吹きなどで土を湿らせていくようにしましょう。
家庭菜園でのペパーミントの育て方②発芽時期
発芽は10日~2週間が目安
ペパーミントの種まきを終えたら、土が乾かないようにしっかりと水やりをして管理し続けます。10日~2週間ほどで、ペパーミントは発芽します。ペパーミントが発芽したら、生育の弱い苗を間引きし、しっかりと管理し続けていきます。本葉が4~5枚程度になったら、さっそく植え替えましょう。ペパーミントの植え替えの際、植える場所には注意が必要です。地植えをしたらどんどん株を広げていきますので、後悔しないようにしたいです。
ペパーミントの発芽率はいい
ペパーミントは、種まきした後の発芽率が高いといわれています。ただし、暑さが落ち着いた9月~10月ごろにペパーミントの種まきをすると、発芽後、苗が小さい状態で越冬しなければならないため、発芽してもその後の成長が思わしくない場合があります。ペパーミントを確実に収穫したい方は、気温が暖かくなってくる4月ごろがベターです。
家庭菜園でのペパーミントの育て方③植え付け
苗で植え付けるのはかんたん
ペパーミントは苗で植え付けることもできます。ペパーミントの苗は定期的に出回っていますので、真夏や晩秋を除く時期に植え付けてみましょう。鉢植えの場合、苗よりも少し大きめの鉢を準備し、苗を植え付けていきます。あとは定期的な水やりなどの手入れをしていくことで、ペパーミントはどんどん成長していきます。
地植えの植え付けは要注意
ペパーミントを地植えで栽培することを考えてらっしゃる方は、植える場所をしっかりと見極めることが大切です。とにかくペパーミントは勢いがあるため、どんどん根が広がっていきます。放っておくと、どうにもならないほどペパーミントは増えていってしまうので、どこに植えるのかを決めたら、根が広がっていかないように板などで囲うことが大切です。
家庭菜園でのペパーミントの育て方④水やり
水切れを起こさないように
ペパーミントは放っておいてもどんどん生長していきますが、水が切れてしまうと葉が落ちてしまうことがあります。鉢植えの場合、土が乾燥したら十分に水やりしましょう。あまりにも乾燥がひどい場合は、ペパーミントの鉢に腐葉土などを加えて、土が乾燥しないようにしてあげることも大切です。ただし、注意したいのは水のやりすぎです。ペパーミントは、水をやりすぎると、根腐れを起こして、植木がダメになってしまいます。土の状態をしっかりと確認するようにしましょう。
土が乾いたら水やりの鉄則
ペパーミントは、土の表面が乾いたら水を十分に与えるようにします。地植えの場合、定期的に水やりをする必要はありませんが、猛暑時などの乾燥しやすい時期は、朝、水やりをしても、夕方には土が乾燥していることもあります。そういうときは、夕方にも水やりをしてあげるようにしましょう。
家庭菜園でのペパーミントの育て方⑤肥料
必要な肥料を施すことが大切
ペパーミントは、栽培環境が整っていれば、肥料を与えなくても十分に育ちます。ただ、心配な方は、ペパーミントの植え付けの際に、元肥として緩効性の肥料を与え、植木の生長を観察しましょう。生長が思わしくない場合、春から秋ごろにかけて、2~3カ月に一度、緩効性の肥料を与えてみましょう。
肥料の与え過ぎで香りが半減することも
ペパーミントに肥料を与える際、与え過ぎは禁物です。ペパーミントは、肥料を与え過ぎることで、香りが弱ってしまうことがあります。繁殖力の強いペパーミントは、日当たりや水やりなど、栽培環境と日頃の適切な管理によって、肥料がなくても元気よく生長していきます。ペパーミントの香りを楽しみたい方は、とくに肥料の与え過ぎには配慮が必要です。
家庭菜園でのペパーミントの育て方⑥剪定
風通しをよくする剪定を
ペパーミントは、栽培していく途中で、株が乱れてきたり、混んできたりすることがあります。春先に植えたペパーミントは、夏のころになると株元が蒸れてきます。そこで、梅雨に入る前ごろに剪定を行うのも有効となります。剪定することで、風通しがよくなり、秋から健康的に生長することができます。剪定の方法は、茎を半分以下に切り戻すだけ。切り過ぎかと心配される方もいらっしゃいますが、またどんどん伸びていきます。思い切って剪定しましょう。なお、ペパーミントの花を楽しみたい方は剪定はNG。花が見られなくなりますので要注意です。
ランナーも剪定する
ペパーミントを栽培していると、株元からランナーが伸びてくることがあります。ペパーミントの増やし方として、ランナーを誘導して根づかせるという方法もありますが、ペパーミントはどんどん増えていくため、鉢植えなどで育ててらっしゃる方は、ランナーを鉢の中に誘引するか、剪定時にカットしておかないと、鉢の外の土に根づき、どんどん増えてしまいます。ランナーが伸びてきたら剪定するかどうか、剪定しないのであれば、そのまま根づかせていいのかどうか、確認する必要があります。
家庭菜園でのペパーミントの育て方⑦収穫
収穫時期はほぼ通年
ペパーミントの葉が十分についてきたら、適宜、収穫することができます。適期は春から秋にかけてですが、一年中、収穫することができます。葉の利用法によって、苗からそのままちぎって収穫するもよし、葉の付いた茎をハサミで切り取り、風通しのいい場所で乾燥させながら保管させるもよしです。収穫した茎から葉をちぎってそれぞれの利用の仕方で楽しみましょう。
収穫したら保存方法に工夫を
ペパーミントを収穫したら、なるべく早めに利用しないとしおれてしまいます。収穫した葉を乾燥させて、入浴剤やポプリとして利用する場合はともかく、収穫した後は工夫して保存するようにしましょう。冷蔵庫や冷凍庫で保存すると、長期間、保存することができます。ただし、冷凍庫で保存すると、香りがなくなってしまうこともありますのでご注意を。収穫した新鮮な葉は、お茶に載せればミントティーになり、水にいれればミント水にもなります。オイルに漬けて保存すれば、アロマオイルとして香りを楽しむこともできます。
家庭菜園でのペパーミントの増やし方①
挿し木で増やす増やし方
ペパーミントの増やし方にはさまざま方法があります。生命力の強いペパーミントは挿し木でも増やすことが可能ですので、興味のある方は挑戦してみましょう。挿し木として使う茎は、先端から15cmほどでカットします。先端の葉を数枚残し、あとは切り落としてしまいます。切り口を1時間ほど水につけてから、育苗用のポットに土を入れ、そこに箸などで細長い穴を開けて、そこに準備した挿し木用の茎を挿し込みます。挿し木の作業はこれで終わりです。
挿し木の後は2週間ほどしっかり管理
挿し木が終わったら、十分に水を与えましょう。挿し木したポットは、直射日光の当たらない明るい日陰で管理します。挿し木したポットの土が乾燥しないように、多めに水を与えてあげるようにします。うまくいけば、10日~2週間ほどで発根しますが、気長に待つつもりでしっかりと管理しましょう。忘れたころ挿し木が発根していたということもあります。
家庭菜園でのペパーミントの増やし方②
株分けによる増やし方
ペパーミントの増やし方に、株分けで増やす方法があります。株分けの時期は春か秋がおすすめです。株分けをする株は、ランナーなどを剪定しておきます。株分けの際は、株を少し乾燥させてから行いましょう。株を掘り起こし、根の土をていねいに落としてから、茎が3~5本ぐらいになるように分けます。必要な場合、ハサミやナイフなどを使いましょう。
株分けしたら根づくまでしっかりと
株を分けたら鉢や地面にしっかりと植え付けましょう。株分けの後は、根づくまでしっかりと管理してあげることが大切です。土が乾かないように水やりし、適度に日に当て、明るい日陰で管理していきます。ペパーミントの増やし方の中でも、かんたんにできる増やし方がこの株分けです。
家庭菜園でのペパーミントの増やし方③
水差しによる増やし方もできる
ペパーミントは、切った枝を水差しするだけで発根し、増やすことができます。水差しは春から秋ごろ、茎は長めにカットし、茎の節が2~3節ほど水に浸かるように、葉を落としておきます。根は節から伸びてくるため、節を水につけておかないと、発根しませんので要注意です。水差しの準備が終わったら、細長いコップに水を入れ、茎を挿しておきましょう。涼し気な雰囲気が出ますので、明るい室内に飾るとおしゃれです。
発根後は土に植え替える
根が出てきたら鉢やポットに植え替えましょう。明るい日陰で、水やりをしっかりと行って管理します。新しい芽が出てきたら通常の管理で手入れをしていきましょう。ペパーミントを水差しで増やす増やし方も、さほど難しいことではありません。根が出るのを楽しみながら、ぜひ挑戦してみてください。
家庭菜園でのペパーミントの植え替え
植え替え時に根を整理する
ペパーミントは生育が旺盛なので、すぐに根詰まりになります。このため、定期的に植え替えをして根を整理してあげると、元気よく育っていきます。植え替えの時期は、春か秋。この植え替えのタイミングで、株分けをするのもおすすめです。植え替えは、株を掘り起こし、土を落としてから、傷んでいる根や伸びすぎた根を切り落としていく方法で行います。
植え替え後は根づくまでしっかり管理を
根が軽くなった株を土に植え付けたら、十分に水をあげましょう。しっかりと根づくまでは手入れをていねいに行ってあげることをおすすめします。ペパーミントはとても生長が早いため、植え替えは1年に1回、定期的に行い、いつでもペパーミントを楽しめるようにしておきたいものです。
ペパーミントで清々しいガーデンづくりを楽しもう
ペパーミントの栽培は、さほど手がかからず、しかも、収穫後に料理やハーブティーなどで楽しむことができるため、健康的なガーデニングライフを送りたい方におすすめです。種まきから発芽、その後の管理、必要に応じた肥料、挿し着や水耕栽培、植え替えなどで増やす増やし方など、育て方にはさまざまな楽しみがありますので、日々の生活に取り込んで家庭菜園を盛りあげていきましょう。
ペパーミントの使い方が気になる方はこちらもチェック!
ペパーミントがたくさん収穫できたのに、使い道がよくわからなくて困っているという方、こちらの記事を読めば、きっと悩みが解決されます。ぜひ参考にしてみてください。

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