ブレーキオイルとは?
ブレーキ装置の伝達役
ブレーキオイルとは車などの油圧式ブレーキで油圧系統内に充填する液体の総称を言います。運転している時にブレーキを踏むとブレーキマスターシリンダーに掛かった力がブレーキオイルによってブレーキキャリパー、ドラム式ブレーキに伝達されブレーキが作動します。
パスカルの原理
ブレーキはパスカルの原理によって一点の場所に加えた圧力をそのままの強さで他の部分に伝えるという原理の事です。この原理により小さな力で大きな制動力を得ています。
ブレーキオイルとブレーキフルードは同じ物?
意味的には同じ物
ブレーキオイルやブレーキフルードと車を整備する際には二つの言い方が飛び交っていますが実はブレーキオイルもブレーキフルードも同じ物です。初期のブレーキ装置やブレーキシステムが鉱物由来の鉱物油(オイル)が使われていたため、その名残でブレーキオイルという呼ばれ方がされています。
作動油と潤滑油
一般的にはオイルはエンジンオイルなどの潤滑油を指し、オイルと呼ばれますがブレーキオイルはブレーキを作動させる為の作動油にあたるためフルード(作動油)と呼ぶ方が意味的には正解です。当記事では聞き馴染みのあるブレーキオイルで呼び方を統一します。
ブレーキオイルに種類はあるの?
ブレーキオイルには成分によって大きく3種類に分けられています。グリコール系、シリコン系、鉱物油系となっていますのでその特性を順番に紹介します。
グリコール系
現在、ブレーキオイルの主流であるグリコール系は主成分がポリエチレングリコールモノエーテルとなっており、吸湿性が高い為、湿気を含むと沸点が下がるが吸湿時にも沸点を維持できる様にホウ酸が加えられています。経年劣化により沸点が下がって行きますので2~3年ごとの交換が勧められています。
シリコン系
シリコン系のブレーキオイルの主成分はジメチルポリシロキサンとなっておりレース用などに用いられています。吸湿性がなくブレーキシステムのゴム類に攻撃性が高くなっており、吸湿しない為混入した水は溶けずに水滴のままブレーキオイル内に存在してしまいますので水滴がそのまま沸騰してしまったり、凍結してしまう可能性があります。シリコン系と指定されたブレーキシステム以外に用いる事ができません。
鉱物系
鉱物油を主成分としたブレーキフルードです。一部の車種でサスペンションやステアリングとブレーキオイルを共有していた為、鉱物油がブレーキフルードとして使われていました。ブレーキ単独のシステムと異なって他の装置もオイルを共有していますのでグリコール系を併用する事ができません。もしもグリコール系と混ざると分離してしまいます。
乗用車はほぼグリコール系
3種類のブレーキオイルの説明をしてきましたが乗用車はほとんどがグリコール系を使っています。3種類とも単一での使用が前提となっていますのでご注意ください。不安な点がある場合は購入したお店で確認するとより安心できますね。
ブレーキオイルの交換方法とは?
ブレーキフルード交換方法は手順だけを追うととても簡単にできてしまうように見えます。現在使っているブレーキオイルを抜き、新しいブレーキ液リザーバータンクから入れれば交換完了です。ただ自動車に詳しくない方がボンネットを開けてもどこに何があるのかわからない場合が多いと思いますのでディーラーや購入した車屋さんでやってもらう方が安全です。
具体的な手順とは
具体的な交換方法の手順はまずボンネットを開けてブレーキオイルタンクの周りをまずはきれいに拭き取ります。そしてブレーキオイルタンクの蓋を開けてからスポイトやポンプで古いブレーキオイルを抜き取ります。抜けるだけ古いオイルを抜いたら新しいブレーキオイルを忘れずに入れましょう。次にタイヤを外してブレーキキャリパー部にメガネレンチと排出用のホースを取り付けブリーダーを緩めながらオイルを抜き取ります。抜き取りが終わったらレンチでブリーダーを閉めてから排出用のホースを取り外します。
ブレーキオイルの交換は車検ごと?
ブレーキオイルの耐用年数が約2〜3年なので車検ごとに交換することを強くおすすめします。ブレーキフルードは吸湿する性質がありますので耐用年数を大きく超えて使用すると水分を多く含む様になり性能が下がってしまいます。ブレーキオイルの性能が下がるということはブレーキを踏んでも車が思う様に減速できないということです。大変危険な状態ですので定期的な交換を行い、安全運転につなげる様にしましょう。
新車は初回車検3年
新車を購入した場合の車検は3年ですがブレーキは命に繋がる部分ですので細やかな点検が必要です。新車だからと安心しきらずにディーラーや車屋さんのおすすめする定期点検のスパンでしっかりと確認してもらう様にしましょう。定期点検を受けていれば安心して毎日のカーライフを過ごす事ができます。定期点検は安い料金で車の状態を最適な状態に保ってくれますので安心を買うと思って有効に利用する様にしましょう。
ブレーキオイルの交換費用と料金は?
ブレーキオイルの交換費用は交換をする場所や車種に使っているブレーキ液の規格よって異なりますが大きくディーラー、ガソリンスタンド、カー用品店の3箇所の交換場所に分けておおよその交換費用の目安と料金を紹介します。
ディーラー
ディーラーでのブレーキオイルの交換費用はやや高めの10000円くらいが目安の料金となっています。車検をはじめ何をするにも少し割高な工賃が掛かってしまいますが乗っている車を元々取り扱っている場所での整備に価値を感じられる方には安心を含めて料金を払っていると思えるのではないでしょうか。まためんどくさがりな人には一番おすすめする交換場所となっています。
ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでのブレーキオイルの交換費用は4000円からが目安の料金となっています。ガソリンスタンドでブレーキオイルの交換をするメリットはいつもの給油のついでに交換してもらえますので日常の中でブレーキに違和感を感じたら馴染みのスタンドで点検、交換してもらってもいいのではないでしょうか。
カー用品店
オートバックスなどカー用品店でのブレーキオイル交換費用はガソリンスタンドと同じくらいの4000円からが目安の料金となっています。カー用品店にはたくさんの種類のブレーキオイルが用意されている場合が多い為、使用用途にあったブレーキオイルを店員に相談しながら決められる事が大きなメリットではないでしょうか。
ブレーキオイルにグレードはある?
DOT規格とJIS規格
ブレーキオイルにはDOT規格とJIS規格がありますがほぼ同じ規格と考えても大丈夫です。DOTやJISの後に続く数字3や4,5などでドライ、ウェット時の沸点が定められています。数字が大きくなるほど沸点が高くなっておりブレーキを頻繁に使う運転をしてもベーパーロック現象を起こしにくくなっています。一般的な車には3か4の規格のブレーキオイルが使われている事が多くなっています。
ベーパーロック現象
ベーパーロック現象は液体が加熱され圧力伝達を邪魔される現象の事を言います。ベーパーロック現象はブレーキをたくさん踏む事でブレーキ液が過度に加熱しブレーキオイル内に気泡が発生してしまい、結果ブレーキが効きにくくなり大変危険な状態となってしまいます。長い下り坂などで発生しやすいので適切なエンジンブレーキ、シフトコントロールを行いフットブレーキを必要以上に使いすぎない事がベーパーロック現象を予防することになり、安全走行に繋がります。
ブレーキオイルの日常点検方法は?
目視で確認
ブレーキ液の量のチェックはボンネットを開けてブレーキリザーバータンクを目視して行います。ブレーキ液の量がMAXとMINの間に収まっているかを確認し、この時異常にブレーキ液が減っていたらブレーキシステムのどこかで液漏れしている可能性が疑われますのでディーラーや整備工場などで原因を突き止めましょう。ブレーキ液を継ぎ足ししても原因を修理しなければいつまでも改善されず最終的にはブレーキの故障に繋がり、自分の命や歩行者の命を危険にさらす事となってしまいますので、日常からしっかり点検する癖をつける様にしましょう。
色も確認
ブレーキ液は新品時は透明な透き通った色をしていますが経年とともに茶色っぽく色が変化してきます。リザーバータンクから目視で汚れてきたなとわかるくらいまで色が変化していれば劣化しおり、ブレーキシステムに不具合が起こる可能性が高まります。事故を起こす前に交換を行うようにしましょう。
リザーバータンクとは?
ブレーキ液はボンネット内のリザーバータンクからブレーキステムのマスターシリンダーを経由してタイヤのブレーキ部分に繋がっています。言わばリザーバータンクはブレーキ液の入口です。エンジンオイルの様に排出口が別に設けられている訳ではない為、基本的には交換方法のところで紹介した様にリザーバータンク上部から抜き取れるだけ古いブレーキ液を抜き取る事となります。点検の項目でも説明しました様に目視でブレーキ液の状態と量を確認する事ができる様になっていますので日常からボンネットをよく開けることはあまりないと考えられますが、定期的に日常点検を行う癖をつけると安全運転に繋がります。
他にもたくさんの部品が並んでいるが
ウォッシャー液のタンクやエンジン本体、エンジンオイルの点検に使うオイルレベルゲージの取手などが所狭しと並んでいますが車に詳しくない方はどこがどの部分になるのかわかりにくいので説明書を読むか車を購入した場所で日常点検の方法を聞いておくと安心でしょう。
ブレーキオイルまとめ
ブレーキオイルの働きや交換費用、料金はいかがでしたか。ブレーキは車に乗る上でもっとも大切な事の1つです。日常からリザーバタンクを目視確認行い安全運転につなげましょう。2~3年が耐用年数となっていますので車検ごとの交換は必須です。車検以外にも少しでも異常を感じた時は早めの点検が大切な命を守ります。走ることよりも止まることの方が車にとっては重要です。
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