排気ブレーキとは?
大型車両の補助ブレーキ
排気ブレーキとはディーゼルエンジン特有のエンジンブレーキの効果を増加させる補助ブレーキのこと。エキゾーストブレーキやエキゾーストリターダーとも呼ばれています。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比べるとエンジンブレーキの制動力が弱いためディーゼルエンジン搭載の大型車両では通常の車両より大きなエンジンブレーキが必要となるため排気ブレーキが装備されている場合があります。
排気ブレーキ以外の補助ブレーキ
大型車では排気ブレーキでもエンジンブレーキのが不足する為、複数の補助ブレーキが追加されている場合があります。ジェイクブレーキやリターダーという圧縮解放式エンジンブレーキです。排気ブレーキと同時に使うと強い制動力が働く為、ブレーキランプが点灯します。制動力の調整を状況によって複数の補助ブレーキを使い分け適切なエンジンブレーキの強さに調整することで安全速度で走行する事ができます。
排気ブレーキはどんな車に付いている?
トラックやバスなどの大型車両に
排気ブレーキは貨物自動車や大型旅客バスなどの大型車両やローカル路線で活躍する鉄道車両などに装備されています。共通するのは燃費を安くするための軽油を燃料とする車両で尚且つ車重が重たく一般の自動車に比べて重たい車両を減速、停止させる為の強い制動力が必要となる車両に補助ブレーキとして排気ブレーキが装備されています。まとめるとディーゼルエンジンで重量のあるトラック、バス、電車に装備されていると考えていただくとわかり易いですね。
普通車には付いてない?
普通車には排気ブレーキが着いていません。理由はガソリン車が大半である事と、例えディーゼル車で定員乗車しても通常のエンジンブレーキで必要な制動力を担保できるので普通車に排気ブレーキが装備されている事はありません。減速、停止するのに大きな力を必要とする大型車になくてはならない制動力を得るための構造となっています。
排気ブレーキの仕組みと構造は?
意外と簡単なメカニズム
排気ブレーキの仕組みと構造はエンジンから排出される排気ガスの排出量をフラップやバタフライと言われるバルブを閉じる事で排気量を調整しピストンを上昇しずらくし、エンジンの吸入を意図的に妨げることによりエンジンの抵抗を増やすことにより、減速力を強化させる仕組みです。
わかりやすく言うと
排気管の中に排気ガスを貯めて排気管の中の圧力を高めます。排気管内の圧力が高くなればエンジンの回転数を上げられなくなるのでより強いエンジンブレーキがかかると言う事です。要は排気ブレーキとは一段階上げたエンジンブレーキを作動させる仕組みという事です。
排気ブレーキの役割は?
ブレーキの不具合を防ぐ
排気ブレーキの役割は荷物を積載している時にフットブレーキだけでは制動力が足りない為、排気ブレーキを使う事で制動力の向上につなげています。また長い下り勾配の道などでフットブレーキを多用するとブレーキ部品が加熱されブレーキが効きづらくなるフェード現象やペーパーロック現象を防ぎます。
フェード現象とは
フェード現象とはフットブレーキなど摩擦で車を制動させる仕組みを連続で使用することでブレーキパッドの素材であるゴムや樹脂が分解し、気体化することによりブレーキローターの間に気体が入り込み摩擦係数が低くなり、ブレーキが効きにくくなる現象です。
ベーパーロック現象とは
ベーパーロック現象とはフットブレーキを使いすぎることによりブレーキフルードの加熱され沸騰してしまい蒸気が発生することによりブレーキペダルを踏んでも発生した蒸気や気泡がブレーキを踏んだ圧力が減少しブレーキが効きにくくなる現象です。
2つの現象が起こるとどうなる?
フェード現象、ベーパーロック現象が起こるとブレーキ力が弱くなり、重大な交通事故に繋がる恐れがあります。止まる必要がある時に止まりたい場所、タイミングで車を思い通りに止める事ができないのは大変に危険な事です。排気ブレーキを上手に使い分ける事でフェード現象、ベーパーロック現象を未然に防ぎましょう。
排気ブレーキの使い方とは?
スイッチを入れる
排気ブレーキの使い方はハザードやワイパーのスイッチの近くにある場合が多いようです。排気ブレーキのスイッチをオンにしてクラッチ、アクセルを戻すと排気ブレーキが作動します。荷物を積載していないときはスイッチをオフにし、積載物がある時は強い制動力が必要なので排気ブレーキのスイッチをオンにすることで排気ブレーキが効きます。
状況に応じて
状況に応じて、排気ブレーキ以外の補助ブレーキが装備されている車両ではリターダーやジェイクブレーキを排気ブレーキと同時に作動させる事によって適切な制動力を得る事ができますので、積載量や長い下り坂など道路の状況に合わせて複数の補助ブレーキを適切に利用し、制動力をコントロールする事が交通事故を防ぐのに大変有効です。
積載物がない時にスイッチ入れていると
積載物がなく制動力が必要のない時に排気ブレーキのスイッチをオンにしているとスリップしやすくなります。なぜかと言いますと排気ブレーキはリアタイヤに制動力を効かせますので積載物がない状態ですと、リアタイヤにかかる重さが足りていないので排気ブレーキの制動力を加えるとスリップしてしまいます。不必要な時の排気ブレーキをオンにしていることは事故の原因です。
排気ブレーキを使うと燃費は変わる?
こまめなスイッチのオン/オフが大事
排気ブレーキを使うと燃費が向上する、悪化すると2通りの事が言われますが、排気ブレーキのスイッチを制動力が必要な時にオンにし、不要時はオフにすると言った当たり前の事をしているかどうかによって変わります。積載がない時は強い制動力を必要としない為、排気ブレーキのスイッチをオフにし、下り坂や積載物がある時はスイッチを入れるなど細かいスイッチの切り替えをするとブレーキにも燃費にも優しくなっています。
維持費にも
排気ブレーキを適切に使わないということは維持費やメンテナンスの費用が高くつきます。なぜかというとフットブレーキは使用する頻度が多くなればブレーキ部品の消耗スピードが速くなり交換する頻度が上がる為です。排気ブレーキを正しく使う事は不要なフットブレーキをかける回数が少なくなる為、結果としてメンテナンス費用が安くなり維持費の節減にも繋がります。
事故防止にも
排気ブレーキに限った事ではありませんが車の機能を適切な使い方をすると燃費の向上にも繋がりますし、ひいては事故に繋がるブレーキの過加熱などの原因を未然に防ぐことになりますので排気ブレーキのスイッチは必要な時だけオンにする様にしましょう。
排気ブレーキの音はうるさい?
トラックと並走している時に聞こえるプシュッと言う音です
道路上でトラックなどの大型車両の隣を走行しているとプシュッという音が聞こえてきた事がありませんか?それが排気ブレーキが作動している時の音です。そっと急に回転数を上げないアクセルコントロールをすれば小さな音がし、急にアクセルを踏み込む様なアクセルの踏み方をすると大きな音がなります。運転する人のアクセルの使い方で排気ブレーキ作動時の大きさは異なります。
なぜ音がするの?
アクセルやクラッチを踏み込んで排気ブレーキを解除させる時に排気管の内側に閉じ込められていた排気ガスが車外に排出される事で独特な音がでます。一定の圧力以上にならないように調整されていますが排気ブレーキ作動時には圧力が掛かっている為、排気ブレーキが解除される度に圧力が解放されます。
排気ブレーキの調整は?
アクセルやクラッチで調整
排気ブレーキはスイッチをオンにした状態でアクセルペダルを踏み込みをやめたり、クラッチを切った状態からクラッチをつなげた時のエンジンブレーキが効き始めた状態の時に作動します。クラッチの加減で排気ブレーキの調整をすることもできます。ただしクラッチで調整するということは半クラッチの状態を必要以上に長くしている事に繋がる為多用すると燃費低下やクラッチのメンテナンスに不要な出費がかかる恐れがありますので注意しましょう。
減速が足りないときには
排気管ブレーキの減速力が足りない時にはひとつ低いギヤにシフトダウンし、同時にリターダーやジェイクブレーキなど他の補助ブレーキーを作動させる事とフットブレーキで減速し走行スピードを調整しましょう。適切な制動力を得られる排気ブレーキの使い方をして適切な速度を保てる様に走行スピードを調整し、安全運転に努めましょう。
排気ブレーキの故障と原因は?
排ガスによる煤や汚れ
排気ブレーキ故障の1番多い原因は排気ガスの熱で部品に煤や汚れが溜まり、故障の原因となる事が多い様です。排気ブレーキもそうですが使う頻度が多い部分は壊れ易くもなりますし、よく使うことによって故障している事にも気付き易くなります。
大型車ほど故障に気付き易い
大型車ほど排気ブレーキを使う頻度が高いので故障の早期発見に繋がります。燃費の低下や排気ブレーキ作動時の音などの日常運転時に故障していることに気付き易くなっていますので警告灯が点灯する前に故障原因を突き止めて修理や交換して事故を未然に防いでいます。
中小型車は?
一方、近場を走る中小型のトラックは排気ブレーキを使用する頻度が大型車に比べて少ない為、故障に気付くのは警告灯が点灯するまでわかりにくい為、故障の原因に気付く頃にはブレーキの効きが悪くなっています。定期的な点検をする事で交通事故になる原因を作らない様にする事が大切ですね。
故障した時の修理方法
排気ブレーキが故障した時は煤がついて浄化装置が機能不全を起こしている為、煤を取り除いて注油して調整しても再発し易くなっていますので排気ブレーキの部品を丸ごと交換する修理方法を取ることが多くなっています。
排気ブレーキって何?その仕組みや構造、使い方のまとめ
排気ブレーキは大型車両についている補助ブレーキでフットブレーキを踏み過ぎて起こるベーパーロック現象やフェード現象を防ぎ安全走行の助けとなっています。使い方はスイッチを入れ、クラッチやアクセルで効きを調整します。排気ブレーキのスイッチの入れっぱなしは燃費に悪影響を及ぼすのでこまめなオン/オフが大切です。トラックの近くを走行した時にプシュッという音が聞こえたら排気ブレーキをかけているんだなと思って下さい。
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