柿の木を上手に剪定する方法とは?
柿の木は、日本の庭木として、日本を代表する果物として、おなじみの落葉樹で、東アジアが原産だと言われています。果樹として栄養価が高く、世界中で栽培されている柿は、上手に剪定することで多くの実をつけることができます。
そこで今回は、柿を育てていくうえで大切な剪定について、剪定時期はいつなのか、枝のどの部分を剪定するのがいいのか、花芽がある場合、どこを剪定したらいいのか、基本の剪定方法、簡単な剪定のやり方とそのポイントやコツなど、今回は柿の剪定の仕方についてご紹介したいと思います。
柿の木の特徴を知っておこう
柿は、はじめて実を結ぶのに比較的時間のかかる果樹だと言われます。それは、「桃栗三年柿八年」の言葉からも想像できますが、しかし、現在ではさほど時間をかけなくても実が成るようになります。
実がなりはじめたら、毎年、秋の味覚を十分に楽しむことができるため、柿の木は庭木としても人気が高く、柿の木を植えてみようと考えてらっしゃる方も多いはずです。さっそく簡単に柿の木の特徴を押さえておきましょう。
柿は1本だけでは実をつけないこともある
柿の木は、雌雄同株であるため、1本の木で実を結ぶと考えられています。ただ、品種によっては雌花しか咲かないものもありますので、実を楽しみたい方は、雌花と雄花が咲く品種を選ばなければなりません。また、雌雄同株の木であっても、場合によっては受粉しにくいこともありますので、木を選ぶ際には注意する必要があります。
剪定しなければ枯れてしまうことも
柿の木は、剪定せずに放っておいてもどんどん成長していきます。しかし、剪定しないと枝が混み過ぎて、日光が当たりにくくなってしまいます。そうなると、日光が当たらなくなった枝が枯れてしまいます。
このため、剪定することで枝が枯れてしまうことを防ぐ必要があります。また、柿の木は、折れやすい木でもあるため、剪定せずに放っておくと自然に枝が折れてしまうこともあります。こうした理由から、定期的に剪定することが大切なのです。
柿の生長サイクルと剪定時期
柿の木の植え付けや植え替えは、実の収穫が終わった晩秋からはじめます。3月ごろまでに終わらせると、新しい枝が伸び、花芽がつき、初夏に花を咲かせます。
花が終わり、実をつけるまでの夏の間、必要に応じて追肥し、場合によっては余分な枝を取り除く作業も行います。夏の終わりから実が大きくなっていくころにかけて、大きな実をつけるための追肥を行うこともあります。こうして実の収穫を迎えます。
柿の剪定時期は
柿の実をたくさん楽しむためにも重要な剪定の時期は、休眠期である冬に行います。この剪定時期を逃してしまうと、新梢が伸び、花芽がつきはじめてしまうため、発芽する3月ごろまでに柿の剪定を終わらせておくようにしましょう。
柿の剪定に合わせて、この時期には肥料を施しますが、なるべく有機肥料を使うようにして、ゆっくりと柿の生長を促すようにしましょう。肥料が多すぎると、実が落ちてしまうことがよくあります。
柿の簡単な剪定の仕方のコツとポイント①
枝の切り方の基本は垂直に
柿の剪定では、枝の切り方が重要なポイントとなります。枝の剪定の仕方を誤ってしまうと、枝の勢いがなくなり、柿の木全体が弱ってしまうこともあります。柿の剪定の方法は、枝に対して垂直に切るようにするのが基本です。
剪定の際に斜めに切ってしまったり、切り口がガタガタになってしまったりすると、切り口から雑菌が入ったり、害虫に侵されるリスクが増えてしまいます。
剪定した後の切り口に癒合剤を使うことも
柿を剪定する際、太い枝を剪定した場所には癒合剤を塗るのも有効です。剪定した切り口は、人間の体にたとえると傷を負ったようなものなので、剪定した切り口がすぐに閉じるように薬を塗ることが有効になることもあります。剪定後の切り口は、病害虫が浸食することもありますので、大きな柿の木の枝を剪定した際は使ってみましょう。
柿の簡単な剪定の仕方のコツとポイント②
将来を予測しながら枝を切るのが基本
柿の木を剪定する際、この枝を切ったらどのようになるのかを想像しながら剪定することが重要です。
考えながら剪定することで、柿の木の樹形を整えることもできますので、やみくもに剪定するのではなく、考えながら剪定していくことが大切です。
また、柿の木の年齢によって、剪定のやり方も多少異なります。剪定の仕方を考える際は、木の年齢も考慮に入れておくようにしましょう。
将来の花芽を切り落とさないためにも
柿の木の花芽は、通常、それぞれの枝の枝先につき、その花芽から新梢が伸びていきます。このため、柿の木の枝先をやみくもに剪定してしまうと、花芽も切り落としてしまうことになります。
ただ、花芽を切り落とさないようにすることばかりにとらわれていると、剪定ができなくなってしまうのも事実です。基本的にはいい枝を残し、不要な枝は剪定していき、剪定の際には花芽の部分を残して剪定するなどの方法を取ることが大切になってきます。
柿の簡単な剪定の仕方のコツとポイント③
若木は切り過ぎないのが基本
植えたばかりの柿の木や成長段階の柿の木は、木の上部をどんどん大きくすることが重要です。このため、幼木は剪定する際に切り過ぎないことに留意します。幼木の柿の木を剪定するには、樹形を整えながら剪定していくこと。
柿の木は、なるべく横に広がるように樹形を整えていくと、実の収穫などもやりやすくなるため、横に伸びる枝や斜め上部に伸びる枝は残して剪定することもポイントとなります。
剪定する意味を考えながら
柿の木を剪定するのは、込み入った枝を整理して、日光に当たりやすくする理由もあります。このため、剪定によって枝が全体に広がり、日光に当たりやすく、風通しがいい樹形にしていきます。
枝が柿の木全体に広がるためには、同じ方向に伸びている枝を剪定することが重要です。また、日光に当たりにくくしている邪魔な枝などは剪定し、木をすっきりとさせていきましょう。
柿の簡単な剪定の仕方のコツとポイント④
成木になったら毎年剪定を
柿の木が十分に大きく成長したら、定期的に剪定するようにしましょう。定期的に剪定することで、今後の選定作業も楽になります。ただし、新しく伸びてきた枝は剪定しすぎると、実がつきにくくなる恐れがありますので、注意が必要です。必要のない枝や古い枝から剪定し、なるべくすっきりとした樹形を保つように剪定していきましょう。
剪定の基本に立ち返る
剪定とは、枝が混んできて日光が当たらなくなることがないように、混み過ぎた枝を切るやり方のことです。この基本に立ち返り、日光の当たり具合を確認しながら不要な枝をどんどん剪定していく方法もおすすめです。
柿の木は、日光が当たらない部分が枯れていくため、木の低い部分の枝がなくなってしまいがちです。枝の高い部分に実がなり、収穫するのもむずかしくなってしまいますので、樹形を整えながら剪定していきましょう。
柿の簡単な剪定の仕方のコツとポイント⑤
剪定後のケアも重要
柿の木を剪定した後、切り口に癒合剤という薬を塗ることで、病気や害虫を予防することが可能です。柿の木にとって剪定後の切り口は、人間の傷口と同じです。剪定した切り口を放っておくと、そこから病原菌や害虫が入ってしまうこともあります。このため、剪定した箇所に癒合剤を塗ることで予防することが可能になります。
枝の太さなどから癒合剤の必要性を考えて
柿の木の剪定後の切り口に癒合剤が必要かどうかは、枝の状態から考えるようにしましょう。太い枝を剪定すると、剪定した切り口も大きくなるため、剪定後の切り口がふさがるのに時間がかかります。
その間に病気や害虫に侵される心配があることから、癒合剤を使った方がいいと考えられます。また、枝が細くても、木全体が小さい場合、剪定後の切り口がその木にとってダメージとなることもあります。こういう場合は、たとえ枝が細くても剪定後の切り口に癒合剤をつけた方がいいと判断します。
ワンランクアップした柿の育て方に挑戦
柿の木を育てていくうえで、剪定以外にも大切な作業がふたつあります。それは、摘蕾(てきらい)作業と摘果(てきか)作業です。摘蕾とは蕾を摘み取ること、摘果とは果実を摘み取ることです。このふたつの作業によって、柿の実がおいしくなりますので、剪定時期にはしっかりと剪定し、おいしい果実を作りましょう。
おいしい柿の実をつくるための摘蕾のやり方
柿の木は、たくさん実がなりすぎると、翌年、実がならなくなってしまいます。また、たくさんの果実ができてしまうと、それぞれの果実の栄養が行き届かなくなり、結果としてあまりおいしくない果実となってしまいます。
このため、たくさん実がならないように蕾を間引きするのが摘蕾のやり方となります。この摘蕾の作業は、花芽が出てくる春先から行います。剪定が終わったら、ぜひ摘蕾も合わせて行いましょう。
摘蕾では真ん中の蕾を残すとよい
柿の木の摘蕾では、前年に伸びた新梢になったつぼみのうち、真ん中ほどにできた1~2つほどの蕾を残して取ってしまいます。枝の先端にできた蕾は大きくなりやすいため、この花芽を取り除くと実がなったときに枝が下の方に下がりやすくなるのを防ぐこともできます。また、形が変なものなどもこのときに取り除いてしまいます。
おいしい柿の実をつくるための摘果のやり方
柿の実は、木に負担がかかると自然に落下する性質を持っています。この性質を生理落下といい、この生理落下が終わったら、摘果の作業を行います。この作業でいい実を選び、おいしい果実を収穫することができるようになります。摘果の時期は、生理落下が終わる夏ごろで、1本の枝に1~2個の実が残るようにします。
実の数が少なかったら摘果する必要はない
夏になっても、柿の実が1本の枝に数個しかついていない場合は、とくに摘果の作業を行うことはありません。そのまま収穫まで大切に育てていきましょう。生育の悪い実や病害虫の被害にあった実なども合わせて摘果してしまいましょう。
基本の方法とやり方で柿を剪定してみよう
柿の木は庭木の定番として親しまれている果樹です。実をつけはじめると、毎年、たくさんの実を収穫することができます。そのためにも、剪定の時期になったらしっかりと剪定し、おいしい実がなるように育てていきましょう。剪定の基本を忘れずに、不要だと判断した枝はしっかりと剪定していくことが大切です。
柿のことが気になる方はこちらもチェック
柿の育て方や剪定方法のほか、柿の栄養価や健康への影響、おいしい柿の食べ方や食べた後の影響などについて興味のある方はこちらの記事も参考にしてみましょう。
ますます柿の木を育ててみたくなるはずです。果樹を育てると、その結果としておいしい実をいただくことができます。剪定方法などをしっかりと押さえてぜひ柿の木を楽しく育てていきましょう。

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