はじめに
アスパラの収穫や株分けのコツと栽培の流れ
アスパラガス栽培は種まきからだと時間がかかりますが、農業のプロでなくても意外と簡単に毎年収穫できる楽しい家庭菜園のひとつです。宿根草で1度種まきすれば10年は収穫できるというコスパの良さが魅力のアスパラ栽培。その土作りから肥料やり、年ごとの管理の流れなどから上手な収穫方法株分けまで細かく見ていきましょう。
アスパラの栽培・手入れ方法1.種まき
アスパラガスの種は筋蒔きにして成長した良いものを選んでポットに上げる方法と、はじめから数個ポットに植え付けて間引く方法があります。どちらでも良いですが全て収穫まで持っていこうとせず良いものを厳選して量と質の両立を計るのが良い方法でしょう。
アスパラガスの種まきの時期
【HORTUS社】アスパラガスの種・Argenteuil 3g
アスパラガスは発芽地温が25-30度と必要ですので、種まきの時期は暖かくなってきた春近いころがおすすめ。寒い地方では3-4月になることもあるでしょう。一般的には2月ころが種まき時期とされています。
種まきの方法
ここではポット上げの必要がない間引く方法でご紹介。1つのポットに植え付ける種の数は3-4個。覆土は2-3ミリと浅くかぶせるようにします。たっぷりと水やりをして、発芽まで14日ほどかかる植物なので乾燥を防ぐためにスプレーなどで湿らせた新聞紙をかぶせて管理しましょう。
発芽率を上げる種まきの下処理
黒く硬い種は少々発芽率が低いので発芽のための下処理をしておくことで、かわいらしい芽がたくさん生えてきます。その方法はぬるま湯に2日ほど浸けておくだけ。その後上記の方法を参考に種まきをおこなってください。
アスパラの育て方コツ
植物の発芽温度はとても大切な要素です。アスパラに関しては25度以上必要ですがこれが30度を越してしまうとまた発芽率がガクンと落ちます。暖かい地方は時期が遅くならないよう、地温が上がりすぎないよう日陰に置くなど工夫をしてみてください。
アスパラの栽培・手入れ方法2.植え方
アスパラガスの植え方・定植の時期
年ごとに管理の流れが違うアスパラ栽培。全体の流れから見ると少し時間が前後しますが種まきのあとということで植え方を先にご紹介しましょう。定植の時期は種まきから1年後の春。温暖な地域では4月下旬ころからとなります。
アスパラの植え方
アスパラガスは定植すると肥料の関係か1年めからおどろくほど草丈が高く成長します。支柱を立てて支えるか、周りに倒伏防止のための紐などを張って準備してください。
植え方・土作り
畑に定植する場合は2週間前から苦土石灰と堆肥・化成肥料をまいてよく耕し土を作っておきましょう。その分量は1平方メートルあたり苦土石灰は150g程度。
アスパラの肥料(元肥)は
元肥として与えるのは堆肥3kg・化成肥料は150g程度となります。苦土石灰の土の中和から1週間後を目安に元肥を混ぜ込む作業をするのが一般的ですが、2周間前に一度に元肥まで混ぜ込んでいらっしゃる方もいます。畑の土作りの時間が取れない場合はこちらでも良いでしょう。
アスパラの育て方コツ
水はけをよくするため20センチほどの畝立てをしてから株間は4-50センチとできるだけ広めに取って植え付けてください。
アスパラの栽培・手入れ方法3.肥料(追肥)
アスパラガスの肥料(追肥)の時期
追肥は収穫まで1年の間で計3回おこないます。それほど頻繁にあげなくても良いのですが、間が開き過ぎで逆に忘れてしまわないよう注意してください。時期は3月、5-6月、冬に枯れ枝を払ったときにもう1度の3回です。
肥料(追肥)の与え方
追肥は株元に長く効果が続く化成肥料をあげますが、元肥にしたのと同量の1平方メートルあたり150gが目安。これを先ほどの時期を目安に年3回おこない、収穫に向けて株を充実させてください。
アスパラの育て方コツ
緩効性の化成肥料を与える場合では年に3度の追肥ですが、液肥などをあげたいというときはパッケージに書かれた分量にうすめてもっと短いスパンで追肥をあげる必要も出てくるでしょう。どうしてもという場合を除き、化成肥料150gを年3回が手間もそれほどかからずおすすめ。
アスパラの栽培・手入れ方法4.1年めの世話
ここからは種まきしてから年間でするお世話の流れをご紹介しましょう。まずは1年め。種まきからはじまって育苗をしていくことになる年です。
アスパラ栽培1年めの流れ
1年めの2月ころ、暖かくなってきたのを見はからなってポットに種まきをします。そのまま土が乾いたら水やりを忘れずポットのまま1年間過ごさせ苗として成長するのを待ちましょう。
1年めは間引きなど育苗する期間
発芽して5センチほどまで成長したら一番丈夫そうなものを残して間引きして育てます。アスパラらしいあのシュッと糸のように伸びた葉(実は葉に見える部分も茎)の姿が涼しげでこの期間も苗を眺めるのもまた楽しいものになるでしょう。
アスパラの育て方コツ
この育苗期間も冬になると地上部が枯れて黄色くなってきます。小さいので心配される方もいるでしょうが、地下部分はしっかり生きているのでこの枯れた茎もカットしてしまってください。
アスパラの栽培・手入れ方法5.2年めの世話
アスパラ栽培2年めの流れ
2年めにすることは、先ほど解説した植え方を参考に定植して畑(プランター)で大きく株を育てる期間です。植え付けて水やりや肥料を与えて大きくし、冬になったらまた枯れた枝を剪定して3年めの収穫にそなえましよう。
2年めは定植して株を大きく収穫にそなえる時期
まだ芽が出て来る前に定植し追肥をすることになるのですが、2年めでもなんとなく食べられそうなアスパラガスが生えてきます。しかしこの年のアスパラは収穫NG。株を育てるのを優先するためにこのまま成長させてください。
2年めの肥料(追肥)
追肥のタイミングは先ほどもご紹介したように3月6月冬の3回。毎月・毎週といったスパンではないので忘れないようにしましょう。
アスパラの育て方コツ
アスパラも2年めになるとかなり大きく成長して、夏場など子どもの身長を軽く超えるくらい大きくなるでしょう。風が強い日や台風などで倒伏する恐れがでてきます。支柱立てをして冬までしっかり育てることができるよう工夫してあげてください。
アスパラの栽培・手入れ方法6.収穫
アスパラガスの収穫時期
収穫時期は春から初夏5-6月となります。3年めにはそれほど数は出ないかもしれませんが全て採りきってしまわないよう注意が必要です。また時期がずれて6月以降に生えてきた小さな芽は必ず残すようにしてください。
収穫の目安
アスパラの食べごろの太さは、一度でも食べたことがある方ならばおわかりでしょう。太くなりすぎても固くて美味しくありません。欲張らずに適度なところでやわらかいうちに収穫するのがコツ。目安は穂先の部分が締まっているものが美味ですが、開いてくると固くなってしまった証拠になります。
収穫のやり方
収穫はハサミで切り取っても手で地面際で折ってもどちらも可能。アスパラの草丈が20センチくらいで収穫するのが高さの目安です。成長が早いのでちょっと忘れているとあっという間に大きくなってしまうので、時期を逃さないよう、できればこれは明日にしようなど残しておかず食べごろのものは少し小さめであっても一気に収穫、あとは株のために残しておくと良いでしょう。
すぐに収穫できる大苗
アスパラガスには1回丈夫に株を育てることでその後10年めまでを目安に手間がかからず毎年収穫できる育ってしまえば楽な野菜ですが、それまでの株を育てるのが大変・待てないという方は最初から収穫が可能状態になっている大苗というものが市販されています。植え付けてその年にすぐ収穫できるので3年めからスタートとなります。
アスパラの育て方コツ
アスパラの上手な収穫方法は5-6月に出てきてあまり大きくしすぎず食べごろで採ること。6月以降の芽は収穫せずに残しておくことで株が充実して翌年以降にもよいアスパラが収穫できるというのがポイントです。また大株を買ってきた人は芽の部分を地下に埋めないよう浅めに植え付け、伸びてきたところを収穫してあとは種まきでの育て方と同様に管理してください。
アスパラの栽培・手入れ方法7.病害虫
アスパラガス栽培で気をつける病害虫
アスパラガスの葉はとても細く背丈も大きく風通しは良い方ですが、多いのは茎枯病というカビが原因の病気です。害虫はジュウシホシクビナガハムシやヨトウムシ・尺取虫の仲間からの食害に要注意。
病害虫の対処方法
殺虫剤 害虫 野菜 ベニカ水溶剤 0.5g×10 住友化学園芸 M4
病気対策には土からの泥はね防止のためのマルチや敷きわらが効果的。害虫駆除には見つけ次第手で捕殺するかベニカ水溶剤などの浸透性の薬を株元に散布して、葉を食べた虫が駆除させるよう対策してください。
アスパラの育て方コツ
アスパラガスの葉を食べる害虫も困りますが一番やっかいなのが茎枯病です。この病気にかかってしまうと株が全滅してしまうことも。土の消毒が大切でそのために地温を上げるマルチはとても役立ちます。
アスパラの栽培方法8.株分け
アスパラガスの株分けの時期
アスパラガスは3年めから毎年収穫できるコスパの良い作物です。しかし10年ほどたつと株が年老いて収穫量がガクンと減ってしまいます。これをリフレッシュする役割も果たすのがアスパラの株分け。時期は10年ほどたった3月ころを目安にしましょう。
株分けのやり方
株分けのやり方は簡単で、古く大きくなった株を掘り上げ2-3つを目安に分割して植え替えるだけです。3月ころにはすでにアスパラになる芽が根元にできているので、その数がどの株にも平均してつくように分けてください。こうすることで、どの株も平等に成長するでしょう。
アスパラの育て方コツ
育て方によっては10年もたない株もあることでしょう。10年という時期はあくまでも目安ですので、極端に収穫量が減ったようであれば株分けをしてしまうのがおすすめ。そのときも株間はしっかり広めにあけて、茎枯病などの病気や害虫対策のために風通しをよくすることをおすすめします。
まとめ
アスパラ栽培は時間がかかるがコスパが良い
種まきからはじめると収穫まで3年かかりますが、そのあとは定期的に年3回追肥を与えることで10年という長い間毎年収穫できるアスパラ栽培。場所が確保できない方はプランターなどでも小規模なものなら倒伏対策をしっかりすれば栽培可能でしょう。株を弱らせないため全て取り尽くさないこと、追肥を忘れずに冬になったら枯れ枝はカットするほか雑草や病害虫にも注意して、おいしいアスパラを収穫してくださいね。
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