はじめに
ネバネバした独特の食感で、栄養満点のオクラ。家庭菜園で育てる野菜としても人気があります。オクラは畑に直接種まきをすることが多いですが、実は苗からでも育てることができます。今回はそんなオクラの苗からの育て方を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
オクラとは
オクラの基本情報
科名 | アオイ科 |
属名 | トロロアオイ属 |
学名 | Abelmoschus esculentus |
原産地 | アフリカ北東部 |
英名 | okla |
大きさ | 最大高さ2m |
近年人気の野菜
オクラは原産地がアフリカ大陸という事もあり、日本ではもともと沖縄や九州地方を中心とした暖かい地域で栽培、利用されていました。しかし、近年では栄養豊富で健康につながる野菜と言われるようになり、全国で育てられる野菜となりました。また、国内で生産の減る冬場は、東南アジアから輸入されています。
オクラの栄養素
オクラの特徴であるネバネバ成分は食物繊維の一種で、糖質の上昇を抑えたり、コレステロールを低下させる効果があると言われています。また、βカロテンが豊富な緑黄色野菜の一つでもあり、生活習慣病の予防にもつながるとも言われています。この豊富な栄養素を持つことが、健康野菜と言われる所以です。
育てやすいオクラの品種
五角オクラ
一番オーソドックスなオクラで、スーパーでよく見かける品種です。名前の通り、切り口が五角形をしています。大きさは5~10cmほどで、大きくなると固くなりやすいので早めに収穫するのがポイントです。
丸さやオクラ
丸さやオクラは、名前の通り、断面が丸いオクラです。大きさは10~15cmほどで、その形状から、筋がないため、五角オクラと比べると、大きくなっても柔らかく、若採りしたものは生でも食べやすいです。
白オクラ
白オクラは名前の通り、皮が白っぽい種類です。他の種類と比べて大きくなっても柔らかく、15cmほどになっても十分に食べることができます。また、アクも少ないため、サラダなどの生食や、サッと湯通ししただけでも食べられます。
赤オクラ
赤オクラは、皮が赤い種類で、「紅オクラ」とも呼ばれます。大きさは5~10cmで、ほかの種類に比べて川が少し硬いです。この赤い色は、熱を通すと失われてしまうため、色を生かすためには、若採りしてサラダなどの生食がおすすめです。
ダビデの星
ダビデの星は、切り口が星形に見えることが、名前の由来となっています。ほかの種類に比べて太くて短く、5cmほどに育ったころが収穫時期になります。少しでも取り遅れると一気に固くなるため、収穫時期を見逃さないようにしましょう。切り口を活かした料理を楽しめます。
オクラの家庭菜園での育て方①苗づくり
種まきの時期
オクラはもともと南国の野菜ですので、気温が低いと発芽率が落ちてしまいますし、発芽後や定植後の生育が悪くなってしまいます。そのため、気温が十分に高くなってから種まきをしましょう。地域にもよりますが、4月の終わりから6月中旬頃が目安となります。早めに種まきをする場合は、畝にマルチを張るなど温度を上げる工夫が必要です。
種まき前の浸水処理
オクラの種は硬い殻に覆われています。そのため、そのままでは発芽率が悪くなってしまうため、種まき前に浸水処理をして、発芽率を高めるのがポイントです。タッパーなどの容器に種を入れ、ひたひたになるくらいの水を入れ、ティッシュで包んでおくと、2日ほどで発芽します。発芽したものだけを種まきすることで、余分な鉢や用土を使わなくて済みます。
ポットに種まき
まず、市販の4号のビニールポットに種まき用土を入れます。人差し指の第一関節程度の穴を空け、6粒の種を等間隔で種まきします。その後、覆土をして、手でしっかりと鎮圧をしましょう。たっぷりと水やりをしたら、用土が乾燥しないように新聞紙を被せ、さらにその上から水やりするのがポイントです。
間引き
発芽後、本葉が出そろったら、生育の良い苗を3~4本残して間引きをします。オクラは1本の苗で栽培すると、実が硬くなりやすいです。それに対し、密植気味にして育てると、お互いが干渉しあい、生育がゆっくりとなり、実が硬くなりにくくなります。そのため、密植栽培することが美味しいオクラを作るポイントとなります。
オクラの家庭菜園での育て方②土づくり
石灰をまく
オクラは酸性に傾きすぎた土壌ではうまく育つことが出来ません。そのため、事前に石灰を撒いて土壌の酸度調整を行いましょう。苗の植え付けの2~3週間前に、1㎡あたり、100~150gを目安に苦土石灰をまき、よく耕します。苗を植える直前にまくと、苗の生育に影響が出る可能性があるため、予め施しておくのがポイントです。
元肥を施す
土壌の酸度調整が出来たら、元肥を施しましょう。1㎡あたり、150gの化成肥料をまいて、よく耕しておきます。酸度調整同様、苗を植える直前に行うと、生育に影響が出るため、植える1週間前までには終わらせるようにしましょう。
溝肥を施す
オクラは肥料の要求度が非常に高い野菜です。畝全体にまいた肥料だけではすぐに吸収されつくしてしまいます。そこで、深さ20cm、幅20cmほどの苗を植える溝を掘り、そこに肥料をまく溝肥を施すのがポイントです。1㎡あたり腐葉土と牛糞たい肥と化成肥料を各50g混ぜて溝に埋めましょう。腐葉土と牛糞たい肥はジワジワと肥料分が染み出るため、長い間効果を持続することができます。
オクラの家庭菜園での育て方③定植
本葉3~4枚で植える
育苗したオクラの苗は、種まきから約1か月後の本葉3~4枚で植え付けをします。株間は30~50cmほど開けますが、あまり株間を詰めすぎると、成長したときに風通しが悪くなるため、余裕をもって植え付けをするようにしましょう。
値を傷めないように植える
オクラは直根性の野菜です。植える際に根を傷つけてしまうと、その後の根の成長に影響が出るため、傷つけないように注意しましょう。苗の根元を掌で支え、ポットをそっと逆さまにして抜き取るようにしましょう。また、根鉢も崩さないように丁寧に扱って下さい。
植え付け後に水やり
苗を植え付けた後は、たっぷりと水やりを行います。苗が乾燥してしまうと、根の活着が遅くなってしまうため、忘れないように行いましょう。水やりをすると、一時的に地温が下がるため、気温が上がらない日が続くようであれば、苗を植える前日に、植穴に水やりをしておくのも一つの方法です。
オクラの家庭菜園での育て方④日常の管理
水やり
オクラは乾燥に弱い野菜です。乾燥が続くと、葉が枯れて落ち、最悪の場合は、苗自体が枯れてしまうことがあります。そのため、定植後は、晴れの日が4~5日続くようであれば水やりをしましょう。土壌の質により、あまりに乾燥が早い場合は、根元にワラを敷いて乾燥を防ぐのも一つの方法です。
追肥
オクラは肥料が大好きな野菜です。肥料分が少ないと、ツボミができても花がなかなか咲かなかったり、実が大きく育たなかったりします。そのため、最初の花が結実した後から、2週間に1回のペースで化成肥料を1㎡あたり30g追肥しましょう。晴れの日が続く場合は、市販の液肥を水やりと共に与えるのも効果的です。
収穫ごとの摘葉
オクラの実を収穫したら、収穫した実より下の1~2枚の葉を残し、それより下の葉をすべて切り取りましょう。摘葉することによって、風通しがよくなるため、病害虫の発生が抑えられるのはもちろん、実のつきもよくなります。また、実を見つけるのが簡単になり、採り遅れを防ぐこともできます。
オクラの家庭菜園での育て方⑤病害虫対策
害虫対策
オクラに発生しやすい害虫として、フタトガリコヤガ、ワタノメイガの幼虫が挙げられます。この害虫は葉や新芽を食べてしまいますが、特に新芽を食べられてしまうと、生育が止まってしまうので注意しましょう。市販のアオムシ対策の殺虫剤を散布すると簡単に駆除、予防ができますが、薬剤を使用したくない場合は、地道に探して捕殺しましょう。
病気対策
オクラがかかりやすい病気として、モザイク病やうどんこ病が挙げられます。モザイク病はアブラムシが媒介し、発症すると、治すことができません。アブラムシを寄せ付けないように、アブラムシ用の殺虫剤を散布することで、防ぐことができます。また、うどんこ病は多湿な環境で発症しやすいため、水やりのやりすぎに注意して下さい。
生理的障害
オクラは秋の涼しい時期になると、「イボ果」と呼ばれるにイボ状の突起のある実ができることがあります。これは病気ではなく、生理障害で、低温や日照不足、肥料不足が主な原因です。肥料不足であれば、肥料を追加することで改善されますが、それ以外の場合は残念ながら改善しようがありません。しかし、見た目は悪いですが、食べても問題ありませんので、通常通り収穫して食べてください。
オクラの家庭菜園での育て方⑥収穫
大きくなりすぎる前に収穫
収穫に適した時期は種類にもよります。多くの種類は大きくなりすぎると固くなるため、早めに収穫を行いますしょう。少し小さいかなと思う程度でも十分で、夏の暑い時期は毎日収穫しないと、大きくなりすぎてしまうものが沢山出来てしまうので、注意してください。
花も食べられる
実はオクラは、花も食べられる野菜なのです。「花オクラ」と呼ばれ、花の甘い香りとオクラの粘りを楽しむことができます。花オクラを食べる場合は、花が開く朝方に収穫をしましょう。実に成長する根元部分は固いので切り落として食べてください。流通量は少ないので、栽培者だからこそ味わえるものです。
まとめ
以上、オクラを苗から簡単に育てる栽培方法をご紹介しました。苗から育てるのは一見難しそうですが、ポイントを押さえれば簡単に育てることができます。直接種まきする場合は、発芽しないものがあると、空白の場所ができてしまいますが、苗からの場合は、そのようなこともありません。場所が限られている家庭菜園では苗から育てるメリットがとても大きいです。ぜひチャレンジしてみて下さい。
オクラの育て方が気になる方はこちらもチェック!
今回はオクラの苗からの育て方をご紹介しましたが、その他にもさまざまな野菜の育て方に関する記事が沢山ありますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
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