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バイクの暖機運転は必要?騒音でうるさいといわれないための方法を解説!

バイクの暖機運転の方法についてまとめました。キャブ車は長時間のアイドリングが必要?FI車は暖機運転の必要がない?そんな疑問に対して、バイクの取扱説明書を確認しながら検証していきます。また、音に対して敏感になりがちな現代社会での暖機運転の方法も模索しました。
更新: 2021年2月17日
hosokawa_taka
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バイクの暖機運転は必要?はじめに

かつては当たり前のように行われていたバイクの暖機運転。暖機運転をしながら走行前の日常点検をしているバイク乗りは多いことでしょう。しかし、近年はバイクの暖機運転の必要性を問われることが増えてきました。

ここでは、バイクを取り巻く社会からの見られ方を意識しながらバイクの取扱説明書を検証し、最善といえるバイクの暖機運転する方法を見出します。

バイクの暖機運転とは?

暖機運転はエンジンや駆動系を走行に適したコンディションへ高めるために行うものです。人間でいえば出勤前の身支度のようなもの。始動直後はエンジンオイルが各部へ行きわたっていないので、エンジンはスムーズに回転しません。

また、暖機運転前のバイクは駆動系に強張りがあったり、暖まっていないタイヤ硬かったりするので、路面の接地感が乏しくなっています。

バイクの暖機運転は必要か?

バイクの暖機運転は必要か?答えはイエスです。しかし、バイクの暖機運転をうるさい騒音としか感じられない人は以前から多いので、周囲の人への配慮は必要です。また、暖機運転に対する捉え方がバイク乗りによって違います。

そして、暖機運転の方法や注意点はバイクの構造によっても違うのです。ここでは、暖機運転する際に注意すべきことも確認していきます。

バイクの暖機運転:長時間のアイドリング①

バイクを暖機運転するためにはエンジンを始動しなければなりません。しかし、バイクを始動すると排気音やエンジンのメカノイズが周囲に放たれ、周囲の人にうるさい騒音を浴びせてしまう可能性があります。

バイク乗りにとって排気音やメカノイズは心地いいものですが、それは単なる自己満足。バイクに乗らない人やバイクが嫌いな人にはうるさい騒音にしか感じられないのです。

うるさい騒音はバイク乗りの居場所を失う

エンジンを始動したら速やかに出発し、長時間のアイドリングで暖機運転するのは避けるのがベストだといえます。長時間のアイドリングで暖機運転をすると、うるさい騒音をまき散らしてしまいますので、ご近所トラブルの原因になりかねないからです。

ご近所から後ろ指をさされるようではツーリングを楽しめませんし、家族にも居心地の悪さを感じさせてしまいます。

バイクの暖機運転:長時間のアイドリング②

バイクは自動車よりもうるさい騒音を放ってしまう乗り物であることを認識しましょう。うるさい騒音になっていないと思っているのはバイク乗りの思い込みでしかありません。バイクのマフラーは自動車のものより小さく、排気音は大きくなりがちです。

また、自動車のエンジンはエンジンルームに収納されていますが、バイクのエンジンは外気にむき出しになっていますので、メカノイズをうるさい騒音として放ってしまいます。
 

長時間のアイドリングはNG

外気温が低い冬場はエンジンの冷えが著しいので、長時間のアイドリングで暖機運転したくなります。しかし、長時間のアイドリングで暖機運転できるのはエンジンのみですので、駆動系は冷えたまま。

しかも、アイドリング程度のエンジン回転数ではバッテリーを傷めてしまいますし、クランクケース内で発生した結露が蒸発するほど温度を上げられませんので、エンジンオイルに水分が混入する可能性があります。

バイクの暖機運転:キャブ車とFI車


キャブ(キャブレター)車とFI(フューエルインジェクション)車で暖機運転の方法に違いがあるかを検証するために、キャブ車とFI車の違いを確認します。

自動車は高度経済成長期の大気汚染を反省に、早い段階からFI化されたものの、キャブレターを搭載したバイクの生産が終了したのは2008年。ですので、今もキャブ車に乗るバイク乗りは多いですね。

キャブ車の構造

キャブレターは極めて物理的な構造の燃料供給装置です。始動時は、チョークを引いてガソリン量を増やし、エンジンをかかりやすくします。構造さえ把握してれば、バイク乗り自身でセッティングやメンテナンスを施せるのがメリット。

しかし、外的な要因でバランスを崩しやすいのが難点。始動性が悪いのは空気の通路が気圧差で冷えるため。冬場の暖機運転はFI車よりも長くなりがちです。

FI車の構造

FI車は電子制御で噴射量を決定する燃料供給装置です。始動直後に冷間始動システムが働きますので始動性は良好です。外的な要因で不具合を起こしにくく、安定したエンジンフィーリングを得られます。

しかし、各部に配されたセンサーの情報に不具合があると、正常に作動しない場合があります。不具合を感知するとエンジンが動かなくなる車種が多いですね。

キャブ車とFI車で共通すること

キャブ車とFI車の違いは燃料供給装置の構造のみです。エンジン本体や駆動系の構造はキャブ車もFI車も同じですので、「キャブ車は暖機運転が必要だが、FI車は暖機運転が必要ない」という意見は間違っているといえます。

しかし、チョークという物理的な機構でエンジンを始動するキャブ車より、冷間始動システムが電子制御で働くFI車は始動性が極めて高いですね。

バイクの暖機運転:キャブ車の取扱説明書

キャブ車とFI車の取扱説明書を比較し、暖機運転の必要性を検証します。比較対象はキャブレターを搭載したXR250(MD30&BA-MD30)とFIを搭載したCRF250L(JBK-MD38&2BK-MD44)。どちらもホンダのオールマイティなオフロードバイクとして人気があり、キャラクターも酷似しています。

XR250(1995~2007年式)のエンジンは空冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ。同型エンジンを搭載したもっとも古い車種はXLR250R(MD20/1986年~1994年式)です。

XR250の取扱説明書

ホンダのXR250の取扱説明書を見ると、冷間時の始動方法を①キルスイッチの確認②燃料コックをONにする③メインスイッチをONに回す④ギヤをニュートラルへ入れる⑤チョークレバーをいっぱいまで引く⑥スロットル全閉でスタータースイッチを押す⑦エンジンがスムーズに回るまで暖機運転し、チョークレバーを戻す⑧サイドスタンドを格納して発進する、と記載されています。

暖機運転の必要性を記載

XR250の冷間始動時の手順を取扱説明書で確認すると「チョークレバーを引いた状態でエンジンがスムーズに回転するまで暖機運転、その後チョークレバーを戻す」とあります。

つまり、エンジンの暖機運転は必要とのこと。しかし、無駄な空ぶかしや長時間のアイドリングによる暖機運転は、ガソリンの無駄遣いやエンジンに悪影響を及ぼすのでNGと注意喚起しています。

バイクの暖機運転:FI車の取扱説明書

現行モデルであるCRF250L(2012年式~)のエンジンは水冷4ストロークDOHC4バルブ。2017年の2月にマイナーチェンジしたものの、エンジン型式はMD38Eと同じです。

CRF250Lの取扱説明書

CRF250Lの取扱説明書を見ると、冷間時の始動方法を①キルスイッチの確認②メインスイッチをONに回す③ギヤをニュートラルへ入れる④スロットル全閉でスタータースイッチを押す、と記載されています。

そのあと、エンジンがかからない時は❶スロットルを全開にしてスタータースイッチを5秒間押す❷①~④でエンジンをかける❸エンジンの回転が安定しない時は少しスロットルを開ける❹エンジンがかからない時は10秒待って❶❷の手順を繰り返す、と付け加えられています。


暖機運転の記述がない

CRF250Lの冷間始動時の手順を取扱説明書で確認すると、暖機運転に関する記載はありませんでした。FIを搭載した最新の水冷エンジンはクリアランスが少なく、冷間始動システムが作動するためです。

エンジンがかからない時の付け加え文は、CRF250Lの点火時期を電子制御しているECU(エンジンコントロールユニット)やセンサーを整えるための動作だと考えられます。また、無用な空ぶかしや長時間のアイドリングはエンジンやマフラー、触媒装置に悪影響を及ぼす、と注意喚起されているのはXR250と同様ですね。

バイクの暖機運転:メーカーによる記述の違い

ホンダ以外の取扱説明書も確認していきましょう。比較対象にするのはヤマハのYFF-R25、スズキのVストローム250、カワサキのヴェルシス‐X250です。冷間時の始動方法はおおむね同じなのですが、注意点や暖機運転に関する記述で若干の違いがありました。

ヤマハ YZF-R25の取扱説明書

ヤマハのYZF-R25の取扱説明書には注意事項として①エンジンを長持ちさせるために無用な空ぶかしをしない②長時間のアイドリングはガソリンの無駄遣いになるだけでなく、環境に悪影響を及ぼす、と記載されています。ホンダのCRF250Lと似通った内容の注意喚起ですね。暖機運転という言葉は見当たりません。

スズキVストローム250の取扱説明書

スズキのVストローム250の取扱説明書には注意事項として①エンジンが故障する原因になるので、無用な空ぶかしをしない②長時間のアイドリングはオーバーヒートなどによる不具合の原因になる、と記載されています。

ここまでは他メーカーと似た記述ですが、スズキは「暖機運転は適切に」という見出しで、長期缶運転していない車両や極低温期の寒冷地(マイナス10度を目安)では暖機運転を推奨しています。しかし、それ以外ではエンジンを始動後はすみやかに走行するよう促しています。

カワサキベルシス250Xの取扱説明書

カワサキのヴェルシス‐X250の取扱説明書には①無用な空ぶかしはガソリンの無駄遣いになり、エンジンに悪影響を及ぼす②長時間のアイドリングは充電不良を起こし、バッテリーに悪影響を及ぼす、と記載されています。

また、冷間時の始動にはファーストアイドル機構が自動的に働き、エンジン回転数が高くなるが、無理なスロットル操作が原因でエンジン警告インジケーターが点灯する場合がある、とのことです。

バイクを暖機運転する方法:キャブ車

ここまで検証した内容を踏まえ、キャブ車で暖機運転する方法を模索します。キャブ車は冷間時の始動性が悪いため、XR250の取扱説明書では停車した状態で暖機運転するように記載されています。

しかし、うるさい騒音を放たないためには、走りながら暖機運転するよう心がけることが必要です。「キャブ車だから」という理由で停車したままの暖機運転が許されるか?答えはノーです。バイクの音が嫌いな人にとって、そんな言い訳は関係ないといえます。

キャブ車で走りながら暖機運転するには?

キャブ車で走りながら暖機運転するには、チョークを引いてエンジンを始動し、チョークを戻してもエンストしなければ、走りながら暖機運転すべきです。

エンジンが暖まるまではエンストしやすくなりますが、アクセルを少し開け続けると、走りながら暖機運転してもエンストしません。空ぶかしするとエンジン回転が下がりきるところでエンストするので注意が必要です。

キャブ車はエンストが心配

暖機していないキャブ車はエンストしやすいのが難点です。冷間時のエンストを防止するために、エンジンのコンディションは常に最良な状態で保ちましょう。

エアクリーナーの汚れ、キャブレター内部の汚れの堆積、点火プラグの消耗は始動性を悪くします。幸いにも、キャブレターは自分でメンテナンスしやすいので、コンディションは保ちやすいといえます。


バイクを暖機運転する方法:FI車

FI車は始動時に冷間始動システムが働きますので、キャブ車のようにエンストに悩まされたり工夫を強いられたりすることがありません。しかし、冷間始動システムはエンストしないようにエンジン回転数をコントロールしているだけ。

エンジンオイルが各部に行きわたるまでの時間はキャブ車と同じですので、エンジンに負荷をかけないように走り出すのが正解です。始動直後は緩やかなアクセル操作を心がけ、急激なエンジンブレーキは避けましょう。

FI車は走りながら暖機運転するのが基本

FI車は走りながら暖機運転するのが基本です。ですので、エンジンよりも駆動系や足回りに注意して暖機運転をしましょう。始動直後はエンジンオイルが暖まっていないので、ギヤチェンジは確実かつ慎重に行うべきですね。

サスペンションの伸縮性やタイヤの接地感も走りながら確認。高負荷のトラクションをかけないよう、少しずつ可動部分を馴染ませましょう。

FI車は操作ミスで不具合を起こしやすい

FI車は操作ミスで不具合を起こしやすいのが特徴です。メインスイッチをONに回し、「ウィーン」や「ジー」というチェック音が消えてからスタートボタンを押しましょう。

また、カワサキのヴェルシス‐X250の取扱説明書にもあったように、冷間始動システム作動時の空ぶかしはNGです。ECUのトラブルはDIYで解決するのが難しいので、始動時の習慣として身に付けておく必要があります。

バイクの暖機運転は必要?まとめ

バイクの暖機運転の必要性や方法をまとめました。キャブ車であってもFI車であっても暖機運転は必要です。しかし、バイクが社会となかよくなるためには、バイク乗りの意識が大切ですし、適切に扱えるよう、構造について熟知しておく必要があります。

あなたの行動はすべてのバイク乗りに反映させますので「バイク乗りは紳士的でかっこいいよね!」といわれるよう、暖機運転についても気をつけたいですね。ワイルドと無法者は同義ではありません。

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