タカネビランジとはどんな植物?
山野草・高山植物が気になる方であれば知っておきたいのが「タカネビランジ」です。高山植物は南アルプスなどの高山帯に自生している植物であり、人が沢山住んでいるような平地には自生していませんので、登山などをされていなければ見たことがないのが普通です。しかし、タカネビランジは高山植物の中でも比較的育てやすい部類の植物であり、平地でも育てられます。今回はそんなタカネビランジの特徴や漢字での書き方、育て方などの基本情報を詳しく解説していきます。
タカネビランジの特徴
タカネビランジとは?
タカネビランジとは、ナデシコ科マンテマ属に分類される、画像のような小型の高山植物です。南アルプスに自生している種類ですので、登山などをされている方であれば見たことがある方もいるかもしれません。草丈は5~15㎝ほどと小柄で可愛らしい植物です。これは本種ではなく、本種はオオビランジと言い、本種の高山型の変種として知られています。実は高山植物保護条例植物の一つでもありますので、自生しているものは採取しないようにしましょう。
タカネビランジは初心者でも育てやすい?
気になるのが育てやすさですが、南アルプスなどに咲くような植物は平地とは環境が違いますので、育てやすいとは言えません。標高1500~2000mの環境に合った植物です。しかし、タカネビランジは中でも平地で育てやすい種類として知られていますので、南アルプスで見かける花を普段から楽しむことが出来ます。耐寒性・耐暑性ともに少しありますので、高嶺の花を育ててみたい方はぜひチャレンジしてみて下さい。
タカネビランジの開花時期
開花時期は7~8月頃の夏時期になります。春か秋に種をまくと夏に花を見せてくれるという流れです。自生しているものは春に芽を出し、小さな葉を茂らせながら育ち、夏になるとピンク・赤・紫・白などの色の花を咲かせます。秋になると翌年の準備をしながら落葉して、休眠状態に入っていきます。休眠状態で冬越しをして、また翌年の春に芽を出す多年生植物です。
ビランジの他の種類
ビランジの他の種類①ビランジ
タカネビランジはビランジの変種とされています。外見はよく似ていますが、本種はやや小さめの2㎝ほどの花を咲かせます。本州の山地の岩場でよく見かける多年草で、草丈は10~30㎝程度。茎部分が斜上している点なども見分けるポイントとなります。
ビランジの他の種類②オオビランジ
こちらは名前の通り、大きく育つ種類です。草丈は20~60㎝ほどありますので、他の種類の倍ほどあるイメージとなります。自生地は関東や中部の岩場で、花色が濃いのが特徴。花の大きさは3㎝ほどです。開花時期はタカネと同様に夏時期となります。
ビランジの他の種類③ツルビランジ
こちらは花茎が長く伸びる種類で、画像のように垂らして育てられるので人気があります。関東地方の一部の岩場に自生している珍しい種類で、花色はピンク、赤紫色をしています。他の種類よりも比較的育てやすいタイプですので、気になる方はチェックしてみて下さい。
ビランジの他の種類④カムイビランジ
こちらは名前の通り、北海道に自生している種類です。カムイエクウチカウシ山などの高山帯に自生しており、平地でも育てられます。ただし、北海道の植物ですので、暖地での栽培は難しいでしょう。寒冷地にお住いの方におすすめです。草丈は4~10㎝ほどと小さく、花色は淡い紅紫色となります。
タカネビランジの花言葉と名前の由来
タカネビランジの花言葉
花を咲かせる植物であれば花言葉も気になるところです。しかし、実はタカネビランジ自体には花言葉はありません。オオビランジには花言葉が付けられており、「青春の息吹」となっていますので、タカネもこちらの花言葉を使用すると良いでしょう。良い意味の花言葉となっていますので、どなたかに贈られる際には花言葉を添えて贈られると喜ばれるかもしれません。
タカネビランジの名前の由来
花言葉と共に気になるのが名前の由来です。漢字で書くと「高嶺ビランジ」となります。高嶺はまさに高山植物に相応しい漢字です。漢字で書くことはあまりありませんが、漢字も覚えておきましょう。ビランジは実はどういう経緯で付けられどういった意味があるのかは分かっていません。また、マンテマ属という属名も由来が分かっておらず、謎めいた部分があります。学名は「Silene keiskei」ですが、これは伊藤圭介という理学博士にちなみます。
タカネビランジの販売価格は?
タカネビランジの販売価格
高嶺ビランジは南アルプスに自生しているような、普段は見かけない高嶺の花ではありますが、実は一般的に販売されていることも珍しくありません。ポット苗であれば500~700円ほどで販売されていますので、手を出しやすく、実は気軽に育てられる植物です。ただし、冬時期は休眠期となる植物ですので、シーズンにならないと流通していません。流通する際は漢字が使われる可能性もあります。
タカネビランジの選び方
お店で販売されている苗を購入する際は、なるべく良い苗を選びたいところです。特別な選び方はありませんので、外見を見て、生き生きとしたものを選んで下さい。病害虫被害を受けることもありますので、害虫が付いていないか、何かおかしな部分は無いかもよく見ておきます。ネットショップで注文する際は購入する苗を選べないことが多いので、信頼出来るお店で購入しましょう。
タカネビランジの育て方①環境
タカネビランジは地植え?鉢植え?
植物を育てる際は地植えと鉢植えの二つの形が基本となりますが、どちらでも育てられますので、お好みの形を選びましょう。暖地にお住まいの方は地植えにせずに、鉢植えにして移動出来るようにしておいた方が無難です。また、株が小さめですので、他の植物と混植すると負けてしまうかもしれません。タカネビランジだけを育てられる場所があると良いでしょう。鉢植えにする場合、鉢は通気性と水はけが良く、少し深めのものを使うことをおすすめします。
タカネビランジに適した生育環境
育てる際の環境としては、日当たりと風通しが重要です。日当たりが悪いと生育が悪くなりますので、日がしっかり当たる場所で育てましょう。また、風通しが悪いと病気の原因にもなりますので、ジメジメとしない風通しの良い場所で育てていきます。鉢植えにした場合、冬の休眠期の間は場所を変えて、芽が出始めた頃からまた日当たりの良い場所に移す形で構いません。
タカネビランジの夏冬の管理
夏が開花時期となりますが、夏の強い直射日光は葉焼けする可能性もあります。梅雨明け時期からは50%程度遮光するか、午前中だけ日が当たる場所で管理した方が良いでしょう。秋時期は春と同様に日を当てて大丈夫です。冬時期は休眠期に入ります。地植えの場合はそのまま冬越しをしますが、鉢植えであれば凍結によって芽が傷むのを防ぐため、風が当たらないような場所に移動させると安心です。
タカネビランジの育て方②用土・植え付け
タカネビランジの用土
高山植物ですので、画像のような山野草の土を使用すると良いでしょう。ホームセンターや園芸店などで販売されていますので気軽に購入出来ます。市販の培養土ではなく、ご自身で土を混ぜて使いたい場合は、鹿沼土の小粒を中心にして、軽石小粒を2割ほど混ぜます。特にこだわりが無ければ市販の山野草の土を使用しましょう。
タカネビランジの植え付け
植え付けの適期は3月下旬~5月上旬の春時期です。もしくは秋時期である9月下旬~10月初旬でも構いません。地植えであれば大きめの植穴を掘り、掘り上げた土に腐葉土を混ぜて少し土を戻してから植え付けると良いでしょう。鉢植えであれば、底に軽石などを敷いてから植え付けます。また、用土に元肥として緩効性肥料を入れておくと育ちが良くなります。
タカネビランジの育て方③水やり・肥料
タカネビランジへの水やり
水やりに関しては普通の観葉植物と同様に、鉢植えであれば土の表面が乾いたタイミングで水を与えます。夏は乾きやすいので、毎日夕方に水やりをしましょう。昼間に水を与えると蒸れてしまいますので注意して下さい。乾燥させるのは危険ですが、水のやりすぎは病気の原因になりますので、乾いては水を与えるメリハリが大切です。
タカネビランジへの肥料
元肥として緩効性肥料を混ぜるほか、春と秋時期にも追肥しましょう。4~6月、9~10月に、2週間に1回液体肥料を与えます。夏と冬は肥料を与える必要はありません。春は画像のような緩効性肥料でも構いませんが、夏まで肥料分が続かないようにして下さい。
タカネビランジの育て方④植え替え・増やし方
タカネビランジの植え替え
鉢植えで育てる場合、放っておくといずれ根詰まりしてしまいます。根の成長が早いタイプの植物ですので、1~2年に1度のペースで植え替えをしてあげましょう。特に特別な方法は無く、一回り大きな鉢と用土を用意して植え替えます。根がかなり多い様子であれば、少し根を剪定してから植え変えると良いでしょう。
タカネビランジの増やし方①株分け
高嶺ビランジの増やし方は、株分け・種まき・挿し木の3通りがあります。株分けは植え替えと合わせて行うと良いでしょう。大きく育った株を分けて育てるだけですので簡単です。小さく分けると弱ってしまいますので、小さく分けないようにします。
タカネビランジの増やし方②種まき
種まきをする場合は、花後に種を採取します。採種した直後に植えても構いませんが、冷蔵保存して翌春に植えても構いません。種を植えて1年後には開花します。
タカネビランジの増やし方③挿し木
挿し木でも増やせますので試してみましょう。伸びた茎を切り、1~2対葉ある状態にします。切り口を30分ほど水に浸けて吸水させてから用土に挿して下さい。こちらも簡単な方法ではありますが、植え替えの際に株分けをするのが最もおすすめです。
タカネビランジの育て方⑤手入れ
特別な手入れは必要ありませんので、花がら摘みだけしてあげましょう。花後には種を付けますが、種を付けるのには多くの栄養を使います。花がらを摘むことで種に行くはずだった栄養を残せますので、種を採取する予定が無ければ花がらを摘んで下さい。
タカネビランジの育て方⑥病気・害虫
タカネビランジの病気
植物を育てる際に心配なのが病気です。病気は、多湿による軟腐病に注意しましょう。軟腐病にかかると軟化腐敗していきます。また、炭疽病という病気にかかる可能性もあります。こちらは糸状菌が原因で発生する病気で、灰白色の斑点が出てきます。風通しの良い環境で育て、水やりのしすぎに注意し、もし症状が出たら早めに対策して下さい。
タカネビランジに付く害虫①アブラムシ
アブラムシは画像のように、とても小さな害虫です。色々な種類がいて、1年を通して発生しますので気を付けましょう。吸汁して植物を弱らせてしまいます。大量発生する前に対策することが大切です。詳しい対策方法は下記記事で解説しています。
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タカネビランジに付く害虫②ハダニ
ハダニもアブラムシ同じく、定番の小さな害虫として知られています。画像のようにクモのような見た目をしており、大きさは0.3~0.8㎜ととても小さいのがポイント。オスがいなくても増える特性があり、大量発生する可能性があります。葉の裏に付くのですが、水を嫌いますので、葉の裏に水を軽くかけることで予防出来ます。その他、詳しい対策方法は下記記事で解説しています。
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まとめ
今回の「タカネビランジとは?南アルプス高山帯に咲く高嶺の花の基本情報を解説!」はいかがでしたでしょうか?普段は見かけない植物ではありますが、実は平地でも育てられる植物ですので、気になる方はぜひ育ててみて下さい。環境に気をつけてあげれば、多年草として何年も楽しめます。増やし方も株分けであれば簡単ですので試してみましょう。
タカネビランジが気になる方はこちらもチェック!
今回はタカネビランジについて解説させて頂きましたが、他にも植物に関する記事が沢山あります。気になる方はぜひ見てみて下さい。
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