はじめに
シロダモの特徴!花や葉っぱの様子と育て方
シロダモは若葉の付き方に個性がある木で、公園や庭木としてもよく見かける人気の樹木です。利用価値もいろいろあり、昔から人の身近に置かれていた親しみのある植物として愛され続けています。赤い実もつやつやとした葉とよく合い観賞用として用いられるけれど、見ごろはそれだけでなく新葉の季節にも葉っぱの色や生え方が面白く1年中楽しめる木といえるでしょう。
シロダモについて
まずはこの木がどんな植物の仲間であるのか基本情報からご覧いただきます。よくシロダモをご存知ない方にもわかりやすいように、全体の見た目や見どころもご紹介しましょう。
シロダモの基本情報
科・属:クスノキ科シロダモ属
原産地:日本・朝鮮・中国・台湾
学名:Neolitsea sericea(Blume) Koidz.
別名:シロタブやタマガヤ
樹木の種類:常緑高木樹
シロダモの見た目・花や種子の様子
木全体の様子は栗の木に似ており、常緑の葉を豊かにたたえた見応えのある樹木となっています。特に新緑の季節がこの木のみどころといわれており、うっすら金色がかった新葉は枝の先に垂れ下がるうさぎの耳のように見えアクセントとなっています。よく観察すると前年に咲いた花からできた実がその葉の枝わかれしている部分に緑色のかわいい玉のような姿を見せてくれるでしょう。
シロダモの特徴
おおまかなこの木の見た目はおわかりいただけたところで、もう少し詳しく見た目や葉や花芽の付き方などについても解説します。他の木との見分け方の参考になるでしょう。
シロダモの特徴1.新葉には毛がある
シロダモは常緑樹で1年を通して緑の葉っぱが茂りますが、新葉の季節に出てくる若葉にのみ毛が生えているという特徴が見られるでしょう。この毛は若い枝にも見られるけれど葉っぱの部分成長とともに表面はつるんとした様子に変化し裏面でのみ確認できるのにとどまります。
シロダモの特徴2.葉っぱの付き方は互生
葉の付き方は植物の個性ともいえる場所で、似た樹木であってもこの様子を観察することで種類を判別できたりします。シロダモは互生という右左と交互に新葉が出てくるタイプ。花芽や実もこの葉の付け根に出てきますので、日当たり面でも互生の方が都合がよいのでしょう。
シロダモの特徴3.花芽の付き方
葉っぱの生えている根元(葉腋)に薄黄褐色の花が付きます。雄花雌花に分かれており見た目はたくさんの花の塊のよう見えますが、よく観察すると枝があり扇型に広がって咲く散形花序の形をとているのが確認できるでしょう。
シロダモの花と実の付く時期
花や実は樹木の楽しみのひとつでもありますね。若葉の季節も十分みごたえのある庭木だけれど、花や実を楽しむならば秋がおすすめ。特に美しいのは実が付く秋よりもその翌年、美しく色づいた実を楽しむのがこの樹木の見方のポイントです。
花の咲く時期-秋
硬いつぼみのような花芽が開く時期は秋。この花も栗の花に咲く様子などが似ています。栗の花は臭いというのが多くの人の意見ですが、クスノキ科の木であるシロダモは花はにおわず茎や葉っぱからかすかによい香りがするけれどそれほど芳香は強いものではありません。
実ができる時期-秋
丸い芽キャベツのような花芽がついた後に、黄色く放射状に花が広がり結実・種子を内包した実が付きます。この実は1年をかけて赤く熟すため赤いものは前年の花芽についた果実。これを採取して植えることで新しい株の実生苗を作ることもできるでしょう。
シロダモの育て方1.植え付け・植え替え
シロダモの育て方は非常に簡単です。好みの日当たりや土はありますがそれほど神経質になる必要はなく、より早く成長させたい・青々と茂らせたいという方は木の好みに添うような場所に植え付けてあげれば良いし、庭のデザインを重視したい方はよほどの悪条件でなければそれなりに育ってくれる丈夫な木です。
植え付け・植え替え時期
この木の植え付けや植え替えに適した時期は春と秋の年2回。春ならば3-6月が良いころあいでしょう。秋に植えるのであれば10-12月におこなうのが一般的な時期。植え付けや植え替え時期を選ぶのはいろいろと理由があって1.そのあと成長期になって新しい根が出やすくて付きやすい。2.植えたあと花などが咲かずに栄養を浪費せず根付きやすい。このふたつが代表的なものでしょう。
好む土壌
明るいところが好きな木ですが、それほど神経質になる必要がなくどちらかというとどんな土の場所に植えるかの方が大切になってきます。シロダモの好きな土は湿気があって養分がたっぷりある土壌。庭に落葉樹がある場合は落ち葉を腐らせて土に混ぜ込んでもよいですが、市販の有機肥料を混ぜ込むのも簡単でおすすめです。
好む日当たり
先ほども述べたように日当たりを好む木です。また風通しの良いところを選ぶのも重要。常緑で成長も早く枝がしげるのでいくら丈夫な木とはいえあまり風通しのないところでは十分な成長は望めないばかりか、害虫や病気が蔓延する原因となるでしょう。
シロダモの元肥
植え付けるときは植え穴の中に鶏糞や堆肥を元肥としてすきこんでください。化成肥料は元肥として不向きですので、追肥として秋に株元に与える用とお考えいただけば良いでしょう。
シロダモの育て方2.日常管理
とても背が高くなる木ですので、庭に植える場合は定期的に剪定も必要となるでしょう。シロダモの剪定は特に気をつけることもなく適当に切ってもそのために枯れてしまうことはありません。
シロダモの剪定
剪定は春や秋におこなうのがおすすめ。強剪定にも耐えるので気にせずどんどん剪定してしまってかまいません。特に垣根などに使う場合は頻繁に樹形を整え背が高くならないよう気をつけましょう。
シロダモの病気・害虫
丈夫で成長の早い木で特に気にかける病気・害虫の存在はありません。もし虫や病気がついたとしてもこまめに剪定を行いすぐに枝を処理してしまうことで株が更新されきれいな姿を保つことができるでしょう。
シロダモの利用
1.種子の精油はロウソクの材料
最後になりましたがシロダモの活用法もご紹介しておきましょう。種子から採れる精油は古来からロウソクの原料として用いられています。クスノキ科特有の芳香をもっていることがシロダモの実が選ばれる理由となっています。
2.防風林としてのシロダモ植樹
精油をとる原料としても有名ですが、一番の目的は防風林としての役割りです。本州から九州地方まで広い分布がある樹木であり手に入りやすいということ。丈夫で成長が早いというのがその大きな理由でしょう。自然災害もそれほど驚異ではない現代では目隠しとして垣根などとして多く使われています。
3.シロダモ木材の利用
高木で大きくなる木ということで木材用の木としても重宝されているのがこの木の特徴です。タモといえばフローリングの材料としても優秀です。タモの語源は「たわむ」からきていますので、少しくらい力が加わっても簡単には折れず柔軟な木材といわれています。葉・実・木材ともに芳香がありますが加工されてしまうと香りが抜けてしまうのでにおいの好みは関係なく使用することができるでしょう。
まとめ
赤い実や若葉がきれいなシロダモ
比較的安価で苗が手に入り、成長も早く強剪定にも耐えるため初心者が育ててもまず失敗することがない優秀な庭木・シロダモ。秋には真っ赤な実が常緑の豊かな葉の中にチラチラと見えてとても美しいものです。種子を植えることで増やせるため、生垣などにも活用することが可能でしょう。シンボルツリーとして短く刈り込んで秋冬の観賞用にとシロダモを庭木として植え付けてみてはいかがでしょうか。
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