はじめに
過酷な環境に強いシャリンバイを生垣に
シャリンバイとは漢字で書くと車輪梅。枝が車輪のように輪になって付くところと花が梅に似ていることから付けられた名前です。排気ガスや潮風などにも耐えてしっかりと育ってくれることから日本の本州以南ではよく交通量の多い道路沿いの街路樹としても植えられています。もちろん、花や実がきれいなことから庭木としても人気がある花木のひとつ。今回はこのシャリンバイについて解説します。
シャリンバイについて
シャリンバイはどこ生まれの木なのか、どんな特徴がある花木なのか?道路わきで見かけるだけでなく伝統的な織物染料として使われていたりと、重要な役割を果たしている植物でもあります。まずは基本的な情報を知るところからはじめましょう。
シャリンバイの基本情報
科・属:バラ科
原産地:日本
学名/英語名:Rhaphiolepis indica var. umbellata/Rhaphiolepis umbellata
栽培難易度:常緑樹で1年を通して美しい姿を保て、初心者でも簡単に栽培可能。
シャリンバイの特徴
木の高さは1-4メートルほどと高木になることもありますが、剪定にも強いので今まで木を切ったことがなかった人でも高くせず育てることも容易です。刈り込みの自由度も高いので生垣としても優秀。特に花が小さな姫シャリンバイは人気があります。花の時期は春で日本に多くある品種は花色が薄いピンクがかった白なのが特徴。
シャリンバイと染め物
日本ではこの木の皮を煮込んで染料にされてきました。奄美大島や沖縄ではこの染料を使った織物が作られ伝統的な文化財の保護的な意味でも一役かっているのは有名。大島紬といえば泥染めとして知られていますが、この木の皮を似たトーチ木染料も使われていたり、沖縄の芭蕉布・芭蕉織の赤茶色の部分の染料にされます。
シャリンバイの育て方
とても育てやすく初心者向けの木ですが、植え替えと剪定時期には少し注意が必要となります。逆にいえば、それ以外は初心者が自由に切ったり管理したりしても、元気に大きくなってくれる木ということなのであまり心配しすぎたりせずのびのびとした気持ちでお世話をしてあげてください。
シャリンバイ用の土
シャリンバイを植えるなら土はやや多肥なものを好みますが、水はけさえよければどのような土質でも成長してくれます。用意するのであれば、赤玉土に腐葉土を混ぜたものに砂を少し混ぜて水はけ対策をするとよいでしょう。
シャリンバイの植え付け・植え替え
植え付け・植え替えに適した時期は3月中旬から4月末ころ。根が少ししかない花木なので傷つけたり折ってしまったりしないように注意しないといけません。植え替えはできないわけではありませんが根があまり丈夫でないのであまり頻繁に移植するのはおすすめできず、一度植えたら2年は水やりに気をつけて育てる必要があるでしょう。
シャリンバイの日常管理
しっかりと根付くまで植え付けてから2年は地植えであっても乾いていたら水やりをしてください。その後は植え替えをしない限り水やりの必要はありません。肥料は元肥として緩効性肥料を与えたならば、翌年の2月に寒肥として有機肥料を株元にまいてください。
シャリンバイの増やし方
増やし方は挿し木と秋に熟した実を取り翌春3月頃に種まきから実生(みしょう:種から育てる木)苗を育てることもできます。種の収穫から春までの間の管理が大変なのと(種を乾かしてしまうと発芽しない)成長まで時間がかかるため、挿し木での増やし化がおすすめ。
シャリンバイの剪定
この木を剪定するなら6月いっぱいまでにおこなうようにしましょう。というのも、翌年に咲く花の芽が作られるのが7月ころからだからです。強い剪定をしてもあまり影響のない育てやすい木ですが、花が咲かないのはせっかくのシャリンバイの良さが半減してしまいます。その時期だけ注意すれば切り方など自由に木姿重視でかまいません。
シャリンバイの種類・品種
この木のことをタチシャリンバイということもあります。これは他の種類と差別化するためともいわれています。一般的にこの名前をいわれたとき丸葉の種類を差していう方も少なくありません。日本や中国で栽培されている種類の他にもヨーロッパでも品種改良がされているものも紹介しましょう。
種類1.マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅)
日本の広域(本州より南の地域)に多く分布するシャリンバイで特徴はその名のとおり丸みを帯びた葉。木の高さも他の同じ種類の仲間よりも低めで1メートルほどなので庭木向きの品種。流通量も多いので一般的に代表種とされていることが多く混合されがちですが、こちらはあくまでもマルバという種類。
種類2.ホソバシャリンバイ(細葉車輪梅)
丸い葉に続いてこちらも葉が特徴があり名前がついた種類。日本では沖縄など亜熱帯の気候の地域に分布するシャリンバイの仲間で、木の高さは5メートル以上と非常に大きな種類であるのも特徴的。花も色が黄色っぽかったり、花びらの先がとがっていたりと同じ仲間とはいえ少し様子が変わっているのがこの細い葉です。
種類3.ヒメシャリンバイ(姫車輪梅)
植物で姫(ヒメ)〇〇と付けられるのは"小型の"という意味があります。このシャリンバイは小さな花が咲くという意味で姫と付けられたもの。花が小さいと地味めなイメージをされる方が多いかも知れませんが、その分花数がとても多く付くので他の同種のものと見劣りするどころか逆に花の咲く姿が美しいと感じる方も多いでしょう。
シャリンバイと近い品種1.インディカ
中国で見られるシャリンバイと同じ仲間で、花色のピンクが強めなのが特徴。日本名ではベニバナともいわれていますが、この名前はインディカだけでなく次にご紹介するデラクリーも含むことが多く、海外から来た種類前半を差す名前であるようです。特徴としては大きくなるのが早いので庭木で、そのために植える人が多い品種です。
シャリンバイと近い品種2.デラクリー
デラクリーはインディカを品種改良して作られた木です。シャリンバイは日本や韓国・中国などアジアが原産地ですがこちらはフランスで作られた品種。
シャリンバイの花言葉「愛の告白」
この木の大きな特徴は素朴な形ながらたくさんかたまって咲くかわいらしいその花の姿です。花言葉はそんな姿や花色を反映して付けられたものが多くなっており、恋愛や純真さなどをあらわしています。
シャリンバイの花言葉の意味・由来
シャリンバイには愛の告白という花言葉がついておりこれは花色が真っ白ではなくほのかに桃色に色づいていることから、恋愛をイメージさせるために付けられたものでしょう。しかしその花びらを見るとあからさまに色づいているわけでなく、ほんのりと薄いピンク色であるため控えめな印象も受けますね。
その他のシャリンバイの花言葉
この他には純真やそよ風のここちよさという意味もあります。純真はやはり梅に似たその花から。そよ風はこの植物がよく街路樹としても植えられていることから、風にそよいでいるところを見かけることから来たのではないでしょうか。空気や環境が少しくらい悪くても気持ち良さそうに風にそよぎながら春には良い香りの花を付けてくれる花です。
まとめ
簡単に生垣が作れるシャリンバイを育てよう
シャリンバイという花はつやつやとした葉と小さな一重の花がたくさんかたまって付くその姿が特徴的な日本原産の花木です。根が短いという難点はありますが、一度しっかり根付いてしまえばその後の管理はとても簡単で初心者向けの庭木としておすすめ。とても良い香りがする花でもありますので、何を植えようか迷ったならばこの木も候補として考えてみてはいかがでしょうか。
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