ダイコンソウの種類
ダイコンソウは大根ではない
先に答えから言ってしまうと、ダイコンソウは大根の仲間ではありません。ダイコンソウは「バラ科ダイコンソウ属」の多年草であり、ダイコンソウ属に分類される植物は、このダイコンソウの他にも、チングルマやミヤマダイコンソウ、コキンバイなどが分類され、花の色も赤、青と豊富なレパートリーを持ち「大根ではない」だけでは片付けられない魅力を持った植物です。
ダイコンソウの由来
大根とは似ても似つかぬ姿をしたダイコンソウですが、ある部分が大根と酷似していることがダイコンソウの由来になったと言われています。ダイコンソウの由来は「ロゼット」とも呼ばれる「根生葉」の形状や、大小根生葉が交互に生えている姿が、大根の根生葉とよく似ていることから「大根の様な根生葉を持つ草」が縮み、ダイコンソウの由来となったと言われています。漢字もそのまま「大根草」なので、大根の根生葉を観察してみるのもよいでしょう。
学名「Geum japonicum」
ダイコンソウの学名は「Geum japonicum」と書きます。「Geum」自体がダイコンソウを指しており「japonicum」は「日本で発見された種類である」という意味を持ち、様々な生物の学名に見られる共通の言葉です。生物の学名を見る際「japonicum」表記があるものは日本由来、japonicum表記がない場合は日本以外の国を由来とするものと覚えれば、簡単に覚えやすくなります。
ダイコンソウの特徴
ダイコンソウの特徴は何と言っても、由来にもある大根とよく似た根生葉ですが、ほかにも様々な特徴を持っており、よく観察すると可憐な植物です。バラ科だけあってダイコンソウの花は中々美しく、開花時期を把握しておくと花としてのダイコンソウも楽しめます。
ダイコンソウの特徴
ダイコンソウ全体の特徴として、植物全体にゴワゴワした毛が生えているという特徴があります。茎部分はまっすぐで、高さは25~60センチほど、花のつき具合はまばらで、由来にもある根生葉は羽状複葉で、長さは10~20センチほど、また大きい葉っぱと小さい葉っぱが交互に生えているという特徴もあります。
ダイコンソウの開花時期
ダイコンソウの花はまばらに咲き、開花時期は7~8月の夏頃。花は黄色く、小さい毛が生えており、花弁は5枚。大根の花とはだいぶ異なる形状をしており、約15ミリほどの小さな花の為、よく観察しないと見逃してしまう場合があります。また、ダイコンソウの仲間の中には黄色以外の花を咲かせる種類もあるので「小さな黄色い花を咲かせる種類」がダイコンソウと覚えておきましょう。
ダイコンソウの花言葉
ダイコンソウは9月4日の誕生花、その花言葉は「前途洋々」「希望にあふれる」「将来有望」など、ダイコンソウの強い生命力を象ったようなポジティブな花言葉が揃っています。花言葉の由来は野草としての強い生命力の他、力強く葉を伸ばす姿、大きく広がる根生葉などに由来し、頑張っている人にエールを送る際などにおすすめの植物です。
ダイコンソウの仲間
ダイコンソウの仲間は種により葉の形などが異なり、同じダイコンソウの仲間でも全く別物の姿をしていたりする為、初見では判別しにくい野草の仲間でもあります。おもにダイコンソウの仲間を見分けるポイントは葉っぱの形、花の色や大きさなどがありますが、種類によってはダイコンソウ全体に生えた毛の長さで見分ける場合もあります。
オオダイコンソウ
ダイコンソウの中でも特に間違えやすいのが「オオダイコンソウ」です。オオダイコンソウは名の通り「大きいダイコンソウ」という意味で、通常のダイコンソウより全体的に大振りで、高さは60~100センチほど、葉っぱも茎の長さも、全体的に「ダイコンソウをひとまわり大きくした」ような姿をしています。
山に咲いていたらオオダイコンソウ
他にもオオダイコンソウは通常のダイコンソウより大きい以外に、山地の草原など「高原に生える」という特徴もあります。山に生えるダイコンソウのほとんどは、このオオダイコンソウです。オオダイコンソウは日本国内のみでなく世界各国の高原で見ることが出来る、非常にメジャーな高山植物で、東ヨーロッパやシベリアでも姿を見ることが出来ます。
ベニバナダイコンソウ
「赤い花」を咲かせるダイコンソウがあったら、ベニバナダイコンソウと思いましょう。ベニバナダイコンソウは高さ10~45センチ程の多年草で、群生する特徴があり、なんといっても「赤い花」を咲かせるという特徴があります。ベニバナダイコンソウ最大の特徴である「赤い花」は3~4センチほどの五枚の花弁を持ち、大きくてもミリ単位のダイコンソウの花には珍しい、大輪の花を咲かせます。また開花時期の長さも特徴で、花の時期は5~8月。春から夏にかけて花を見ることが出来ます。
栽培するならベニバナダイコンソウ
ベニバナダイコンソウはダイコンソウの中でも種が入手しやすく、園芸種としては「ゲウム」と呼ばれ、栽培する事も出来ます。もとが野草の為、秋に種をまいても翌年には花を咲かせます。とくに植えるのにおすすめの時期は春で、鉢植えに種を植え、10ミリほど土をかぶせれば10日で発芽します。日向、または半日陰を好む為、日当たりのいい場所に植えるようにしましょう。水やりのタイミングは土が乾いたころ、あんまり水を与えすぎないのがポイントです。
ダイコンソウを食べる
ダイコンソウという名前を聞いて気になるのが、大根同様に「食用」に適しているかと言う話。小さな花や力強く育つ葉っぱなど、植物としてのダイコンソウに注目した後は「食用」という目線でもダイコンソウを見てみましょう。
じつは美味しい野草
ダイコンソウは食用にもなり、食用野草の中でも癖が少なく、初めて野草を食べる方でも食べやすい、入門向け野草と言われています。「食用野草」という目線で見たダイコンソウは漢方薬としての効果も期待でき、利尿作用が期待できます。ほかにもダイコンソウの学名である「Geum」という意味自体がギリシャ語の「美味」という言葉に由来し、昔から「食用出来る、美味しい野草」として知られていたことが伺えます。
おすすめは天ぷら
ダイコンソウの食べ方でおすすめなのは、おひたしや天ぷら。ダイコンソウ自体のクセが少なく、そのまま食べると味気ないので、ちょっと濃い目の味付けをするのがポイントです。ダイコンソウを「食べる」場合におすすめな時期は葉っぱが柔らかく、もっともクセが少ない春。春は他にも様々な野草が「食べごろ」となるため「食べられる野草」を調べるアプリ等も駆使し、ダイコンソウ以外の植物も食べてみましょう。
ダイコンソウをもっと知ろう
ダイコンソウは「大根のような葉っぱを持った野草」で、雑多な言い方をしてしまえば「大根の様な雑草」の仲間です。雑草と言ってもダイコンソウの花は可憐で、さらに食べると美味しいと「雑草」だけでは片付けられない植物です。道端で「大根っぽい葉っぱの草」を見かけたら、ダイコンソウかもしれませんよ。
他野草情報が気になる方はこちらもチェック
暮らし~のではダイコンソウの他にも野草をピックアップした記事をいくつか掲載しており、またダイコンソウ同様に「食べる」ことが出来る野草を特集した記事も取り揃えています。食べられる野草は意外と多く、ダイコンソウ同様、割と身近で見かけるツユクサやスイバも「美味しい野草」の1つ。もっと「美味しい野草」を知りたい場合は、季節ごとに存在する「おすすめ野草」を調べてみるのも良いでしょう。

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