ツユクサ(露草)ってどんな花?
ツユクサは、ツユクサ科ツユクサ属に分類される植物で、一年以内に花を咲かせ萎れる一年生植物としても知られています。なんといってもその特徴は「身近で見かけることが出来る」植物なこと、見に行こう!と意識しなくてもふと目をやった先に開花していると、意識しないと見逃してしまいそうなほど小さく可憐な植物です。
ツユクサ(露草)の名の由来
ツユクサは花の命の短さも知られており、朝に開花させた花を昼にはしぼませてしまいます。その儚さが朝露を連想させることから「ツユクサ」と呼ばれるようになったと言われています。英名の「Dayflower」も、その日のうちにしぼむ花を意味しており、いざ開花したツユクサを見に行こう!と思っても、しおれてしまっていて見れないと言うのが殆どです。
ツユクサ(露草)の別名、古くは万葉集より
ツユクサは「露草」のほかにも「鴨跖草」の字が当てられることもあり、古くは「ツキクサ(月草)」と呼ばれていたと言われています。その儚さと花の美しさはなんと「万葉集」の時代より親しまれてきており、他にも花の色や形状から「青花」や「帽子花」や「蛍草」と呼ばれることもあります。別名の多さに、ツユクサの愛されっぷりが伺えます。
ツユクサ(露草)の花言葉
ツユクサの花言葉はその可憐さに負けず劣らず、どこか儚さを感じさせるものが多く「尊敬」や「変わらぬ思い」の他に「なつかしい関係」や「僅かの楽しみ」など、余りポジティブとは言えない花言葉が多いのが特徴です。古くは「ツキクサ(月草)」と呼ばれていたことになぞらええてか「小夜曲(セレナーデ)」と言う花言葉も持っています。
他にも、ツユクサの花言葉には「恋の心変わり」や「ひそかな恋」や「敬われぬ愛」等があり、人に渡すにはちょっとネガティブな花言葉が多い花です。何よりツユクサの花はとても短命な為、開花した者を摘んでも、渡す頃にはしぼんでしまうことも少なくありません。どれもひっそりと咲くツユクサと同様に、胸の内に留めておきたい花言葉ばかりです。
ツユクサ(露草)の特徴と、開花の季節
ツユクサは花の儚さは勿論、他にもさまざまな特徴があり、高さは小さいものは15㎝、大きいものは50㎝程で、直立することはなく、茎は地面を這っており、開花した花はうつむくような姿をしています。花はかなり小さく、1.5~2㎝ほどの青色の花をつけ、花弁は3枚あり、上部の二枚は青色ですが、下部の一枚は白色と言う、二色の花びらを持っています。
開花季節は梅雨から夏の終わりまで
ツユクサが開花する季節は6~9月、ちょうど梅雨に入り夏が終わるまでの季節とされ、花の色や形も夏の照り付けるような日差しによく似合うものとなっています。同じ花でも季節によって見せる顔は微妙に異なり、梅雨の季節に観れば二色の花びらが雨に映え、七月や八月に見れば清涼感を覚え…さらに残暑の季節に目にすれば、その開化の短さに夏の終わりを感じることが出来ます。
ツユクサ(露草)の仲間と見分け方
ツユクサと一言にいっても、その種類は豊富で、ツユクサだと思ったら全然違う種類だったなんてこともよくあります。特に間違えやすいのが「ムラサキツユクサ」と間違えてしまう事、ムラサキツユクサは「ムラサキツユクサ属」と付く、ツユクサの仲間ではあるもの別の種類の植物と言ってもよい植物なので、なおさら注意が必要です。
ツユクサの仲間は大きく分けて4種類存在し、どれも一見すると見分けがつかないものばかりですが、特徴を把握しておけばどれも見分けるのは簡単です。種類や特徴を把握してから鑑賞すれば、もっとツユクサを愛でることが出来ますよ。
ムラサキツユクサ(紫露草)
数あるツユクサの種類の中で最も名が知られているのが、このムラサキツユクサでしょう。その名の通り美しい紫色の花を咲かせるツユクサの種類で、早朝に開き午後にはしぼむ儚さでも知られています。一本の茎に沢山のつぼみを付け、次々と花を咲かせるため、花そのものは短い命ながら、開花の時間を知っていればいつでもその紫色を楽しむことが出来ます。開花季節はツユクサと同じく6~9月頃まで、咲く季節が同じなのも、間違えやすい理由の一つです。
ハツユキツユクサ(初雪露草)
ハツユキツユクサは初雪が積もった様に、茎の先端近くの葉に白あるいは赤紫色のまだら模様を持ったツユクサの種類です。この特徴の他にも「初雪」の名が付けられたのは、寒くなるとまだら模様が現れると言う特徴もあり、ハツカンセツやコチョウノマイとも呼ばれる、優雅なツユクサの仲間です。開花季節は5~6月、二か月しか花を咲かせない、ツユクサの種類の中でも特に短命の植物です。
マルバツユクサ(丸葉露草)
マルバツユクサは名の通り「丸い葉っぱ」を持ったツユクサの仲間、通常のツユクサの葉が尖っているのに対し、マルバツユクサのものは丸く広く波打っており、ハスの葉のような葉っぱを持っています。その花は非常に小さく、花弁も少ないため、ハスのような大きな葉っぱをもち、花がとても小さいツユクサがあったら、マルバツユクサと思ってよいでしょう。開花季節は7~10月と、ツユクサよりちょっと遅めです。
トキワツユクサ(常盤露草)
トキワツユクサは南アフリカ原産の白い花弁を持つツユクサの仲間で、まだら入りの「シロフハカタカラクサ」が野生化したものと言われています。シロフハカタカラクサとの見分け方はまだら模様がなく純白の花を持つこと。トキワツユクサの他にも、ノハカタカラクサと呼ばれることもあります。開花の季節は5~8月とツユクサよりやや早め、春の植物と言った方が近い種類です。
ツユクサ(露草)は栽培できる、その育て方
ツユクサは道端に咲いているものを愛でるのみでなく、自分で育てることもできる植物です。あんまり栽培のイメージと結びつかないツユクサですが、育て方のポイントを把握し育てれば、その儚い花を見逃すことなく独り占めできてしまいます。ツユクサの他にもムラサキツユクサも育てることが出来ますが、ここでは主にツユクサを前提として解説していきます。
ツユクサ(露草)を植える季節と方法
ツユクサを植え付ける時期は4~6月が適期とされ、鉢植えは通気性の良いものを選び、ツユクサより一回り大きい、大きめの鉢植えに植え付けていきましょう。ツユクサが好む土壌の配合は「小粒の赤玉土7:腐葉土3」の割合で混ぜたもの、或いはツユクサが咲いていた場所の土をそのまま持ってくるのがおすすめです。根の間に隙間が出来ず、土の栄養をしっかり取り込めるよう、隙間なく詰めてあげるのがポイントです。
地植えは、日当たりのいい場所かつ湿った場所を選ぶこと。水はけが気になる場合は腐葉土や堆肥を3~4割ほど混ぜて調整しましょう。ここで気を付けるべきなのが、ツユクサは元々野草のため、大変生命力が強い事、除草しても土の中で生き残る場合があるため、ツユクサが生えても問題ないか確認してから植えていきましょう。
水やりはし過ぎず、肥料も少なめに
ツユクサは降雨だけでも十分なほどすくすく育ってくれるので、水やりはし過ぎず、土の表面が白く乾いたときにたっぷり水やりする程度で問題ありません。毎日の水やりはかえって逆効果で、ツユクサを弱らせてしまう場合があるため気を付けましょう。
肥料もあまり必要とせず、やせた土地でも育ってくれるため、開花期にちょっと液肥を与える程度で問題ありません。開花前に肥料を与えることでツユクサに栄養が行き渡り、花の色が鮮やかになり、より目を楽しませてくれるようになります。
ツユクサ(露草)の剪定時期と増やし方
ツユクサはかなり成長が早く、放っておいてもあっという間に大きくなります。あまり大きくなる場合は剪定を行い、株本から2センチほど残して切り落としてしまいましょう。元々生命力が強い植物なので、思い切って短く切り落としても問題ありません。
挿し木も種まきも春がおすすめ
ツユクサの増やし方には挿し木と種まきの2種類があり、挿し木は4月上旬から6月まで行うことが出来ます。茎を4節分切り取り、下の節を水に浸け、水挿しを行う事で根が生えそろい、新しくツユクサを増やすことが出来ます。種まきで増やす場合は、ツユクサの種は冬の発芽することが多いため、種を採取し冷蔵庫で冷やしたら、春に種をまくようんしましょう。増やしたツユクサは料理のレシピに使用したり、染料の材料にするのもおすすめです。
ツユクサ(露草)染めとその歴史
ツユクサの青い花は古来より愛でられるのみでなく、染料としても用いられてきました。染料としてのツユクサはその花をの色をそのまま写し取ったかのような美しい青に衣を染め上げますが、同時にちょっと扱いにくい染料としても知られていました。なぜかと言うと、ツユクサから採れる染料は光に弱く、水に溶けてしまうため、せっかく染料で染めた青が色あせてしまうなんてことも少なくなかったからです。
花の命と同様に、染料としても儚げなツユクサ染めですが、その「水に溶けやすい」性質が役立つ場面もありました。ツユクサの染料は友禅染めなどの描き染めの下絵用の染料として大いに珍重され、今でいうところの「水彩絵の具」のような扱われ方をされていたと言われています。そのあっという間に色あせてしまう「青」に美しさや儚さを見出した人も多いのか、万葉集にもツユクサ染めに関する記述が見受けられます。
ツユクサ(露草)は食べられる?そのレシピを紹介
意外な所でツユクサは「食べられる野草」としても知られており、そのレシピはダイエットに効果的と知られています。アクが少なく食べやすいのに加え、むくみを解消する効果があると言われ、レシピを知っておくと色々と美味しい植物です。ツユクサ自体にそういった効果があるため、花がしぼんでしまっていてもレシピは適用されます。また、ツユクサは野草の中でもかなり食べやすい植物に入るため、これを期に野草レシピに手を出すと言うのもよいでしょう。
おすすめレシピは煮びたし、ツユクサの色んな食べ方
何といってもおすすめするレシピは野草の食べ方の定番と言ってもいい煮びたし、他にもさっと火を通し野菜炒めにしたり、衣をつけ天ぷらにして食べるのもおすすめで、あなた好みのレシピで料理してかまいません。新鮮なツユクサを摘んできたら、サラダにして食べてみるなんてのもおすすめですね。食感が残るレシピにすると「ツユクサを食べている」としっかり感じ取れるのでおすすめです。
ツユクサの煮びたしの作り方 1・摘んできたツユクサを流水できれいに洗う ↓ 2・昆布だし、黒糖、日本酒、醤油などを混ぜた出汁を作る ↓ 3・出汁にツユクサをくわえ、さっと煮たら火を止め味をしみこませる ↓ 4・食感を残し、味のしみ込んだツユクサをいただく
ツユクサ(露草)を愛で楽しもう
「朝になると道端に咲いている小さな青い花」として有名なツユクサですが、食べると美味しかったり、染料として用いられたり、仲間が沢山いたりと身近ながら知らない事ばかりの植物と言えるでしょう。栽培も簡単なので、園芸の趣味がある方は栽培し、花を楽しんだり、ツユクサを食べてみると言うのはいかがでしょう?