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根粒菌がスゴイ!マメ科の作物と共生する微生物の働きやメリットを解説!

マメ科の作物の根に住んでいる微生物、根粒菌。この根粒菌は、作物に多くのメリットを与える窒素固定を行う重要な働きを行っています。ガーデニングを行う上で大切な働き、今回は、根粒菌と共生し、土壌を豊かにする根粒菌の働きについて解説します。
2020年8月27日
水木誠人
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根粒菌が土壌にもたらす働きを紹介!

Photo byGellinger

ガーデニングでマメ科の作物を育ててらっしゃる方やこれから育ててみようと思ってらっしゃる方、マメ科の作物と共生する微生物である根粒菌のことをご存知でしょうか。この菌はただの菌ではありません。マメ科の作物の根に住み、作物に多くのメリットをもたらす窒素固定という働きを行うことで、土壌をよくしているのです。今回は、根粒菌の働きや働きによってもたらされるメリットなどについてご紹介します。

根粒菌とはどんな微生物?

根粒菌とは、マメ科の作物の根と共生している土壌微生物のことです。マメ科の作物の根をよく観察してみると、根の上の方に小さなコブのようなものがついているのが見られます。これが根粒と呼ばれるもので、土壌微生物である根粒菌はこの中に住み着きます。根粒菌はバクテリアの一種で、根粒細菌や根粒バクテリアとも呼ばれています。

根粒菌の何がスゴイ?

マメ科の作物と共生する根粒菌がなぜスゴイのか、それは、ほとんどの生物ができない働きを行っているからです。それは、作物から炭水化物などを受け取り、空気中の窒素を固定して作物に与えているという、窒素固定という働き。この働きは、土壌に窒素の成分があるときには行われず、成分がない場合に行われるという調整も行われているのです。

根粒菌が住んでいるマメ科の作物とは?

Photo by onigiri-kun

根粒菌が根に共生しているマメ科の作物には、たとえばエダマメ、ソラマメ、エンドウ、インゲンなどがあります。マメ科の植物では、シロツメクサやレンゲソウなどの野草にも根粒菌が共生しています。マメ科の作物の中には根粒がつかない品種のものもありますが、もしもマメ科の植物の根を見る機会があったら、ぜひ根粒があるかどうかを確認してみましょう。根に小さなコブがいくつも見えることがあります。

マメ科以外にも根粒が見られる

Photo byHans

根粒菌が共生する植物は、必ずしもマメ科の作物ばかりではありません。マメ科以外の植物でも根粒菌が共生することがわかっています。たとえば、ハンノキ、アキグミやナツグミ、ヤマモモやヤチヤナギ、ドクウツギなどの植物でも根粒がつくことがわかっています。

根粒菌とマメ科の作物の共生関係とは?

Photo bymp1746

根粒菌とマメ科の作物は、共生関係にあると言われています。共生とは、字のごとく、共に生きることですが、根粒菌とマメ科の作物は、共に生きながら、お互いに利益を与える関係を築きます。つまり、根粒菌がマメ科の作物の根に入り、根粒という器官を根に作り、宿主のマメ科の作物が光合成を行い、それによる産物を根粒菌に与えます。根粒菌は、このエネルギーを利用して窒素をアンモニアに変える窒素固定という働きを行い、作物に固定した窒素を与えるわけです。


窒素は作物に重要な栄養元素だけど

Photo byNatfot

ところで、根粒菌がマメ科の作物に与える利益となるのは窒素ですが、窒素は、根から吸収する養分の中でも非常に重要な栄養です。アンモニアとして根から吸収され、作物の成長に必要な養分として使われていきます。それでは根粒菌と共生するマメ科の作物をたくさん植えればいいのではないか、というとそうでもありません。濃度の高い土壌の窒素は、根粒を作りにくくし、さらに根粒菌が行う窒素固定をも抑制することもあるため、一概にそうとは言えないのだとか。

根粒菌が行っている窒素固定という働き

では、根粒菌はいったいどんなプロセスで窒素固定という働きを行っているのでしょうか。窒素固定とは、空気中にある窒素をアンモニアなどの窒素化合物に変えるプロセスのことです。このプロセスは、一見すると非常に簡単に行うことができる働きのように見えますが、実際には膨大なエネルギーを必要とするプロセスです。つまり、窒素固定という働きを簡単に行うことのできる根粒菌は非常にすぐれた菌なのです。

窒素固定によって生まれる窒素化合物とは?

Photo byskeeze

窒素固定によって生まれた窒素化合物には、作物の生育に欠かせないアンモニアや硝酸塩などが含まれています。このアンモニアや硝酸塩は、作物や植物の根から吸収され、植物の炭水化物からアミノ酸やたんぱく質を作り出します。こうした栄養分を食べ物として取り入れるのが動物です。つまり、窒素固定によって生まれた窒素化合物は、動物が生きていく助けもしているということになります。

根粒菌の働きによる土壌へのメリット

Photo byFree-Photos

根粒菌が行う窒素固定によって、植物から動物へとそのメリットが伝わっていくことがわかりました。さらに動物は、食べ物として取り入れた窒素化合物を体内で分解し、排せつ物として排出します。また、死んだ死骸も微生物によって分解され、アンモニアに代わって土壌に含まれていきます。つまり、根粒菌による窒素固定は、様々なプロセスを経て土壌にもメリットを与えていくのです。

こうして窒素が循環される

Photo byklimkin

土壌に吸収された窒素化合物は、そのまま植物の栄養になっていくだけではありません。窒素化合物を気体の窒素に変える脱窒というプロセスを経て、空気へと戻っていきます。こうして窒素は、自然界で大きな循環を繰り返し、この一助を担っているのが根粒菌なのです。

根粒菌の働きは市販の肥料にどの程度匹敵するのか

Photo byJing

根粒菌がいかにすばらしい働きを行っているのかはわかりましたが、それがどれほどまでに意味のあることなのか、いまいちよくわかりません。そこで市販の化学肥料の作られ方と比較すると、そのすばらしさが如実に見えてきます。というのも、根粒菌が窒素固定によって作り出すアンモニアは、化学肥料の原料として使われ、将来的にも重要な燃料になりうるとされています。このアンモニアを作るために、300気圧前後の高圧と、500度前後の高温のエネルギーが必要とされ、しかも温室効果ガスの二酸化炭素を排出することにもなります。

自然の不思議が生み出すメリットは大きい


Photo byKatinkavomWolfenmond

化学肥料のアンモニアを生み出すのにこれほどのエネルギーが必要とされる一方、根粒菌はこのプロセスを自然のサイクルの中で行っているのです。これで根粒菌のすごさがさらに見えてきたと思います。ガーデニングでさまざまな植物を育ててらっしゃる方は、ぜひこのマメ科の作物による根粒菌との共生と窒素固定の働きをうまく取り入れてみてはいかがでしょうか。

根粒菌はどのように育っていくのか

Photo byHans

マメ科の作物の根に住みつき、根粒を作る根粒菌。土壌の状態を良くするために、ぜひ根粒菌を育ててみたいと思う方は多いはずです。根粒菌を増やすにはどうしたらいいのかというと、根粒菌が共生するマメ科の作物をはじめ、マメ科の植物や、マメ科の植物ではなくても根粒菌が認められる植物を選び、根粒菌が好む土を選ぶことです。根粒菌が育つためには酸素が必要であることから、排水性がよく、乾燥した土を準備するようにしましょう。マメ科の植物は一般に乾燥に強いため、頻繁に水やりを行わなくても十分に育ちます。

植物をしっかりと育てて共生しやすい環境を作る

Photo byPexels

根粒菌が窒素固定の働きを行うためには、共生している植物がしっかりと育っていく必要があります。マメ科の作物を植えるのであれば、実がしっかりと育ち、収穫できるように育てましょう。花が咲くまでは乾燥気味に育て、花が終わったら水分をしっかりと与えて実が育っていく環境を作ってあげましょう。必要に応じて肥料をあげることも大切です。

根粒菌をガーデニングで利用する方法①

Photo by JIRCAS

根粒菌のすばらしい働きは、ガーデニングを行う上で十分に利用価値があります。土壌の環境をよくするためにも、マメ科の植物をはじめ、根粒菌が共生することが確認されている植物を積極的に植えていくようにすることで、ガーデニングで根粒菌をうまく利用することにつながります。農家でも緑肥としてマメ科の植物を植え、土壌に自然の肥料を与えることを行っています。

緑肥として利用される植物とは

Photo byHans

農家の畑などで、マメ科のクローバー、ルピナス、レンゲソウなどが植えられているのを見かけたことがありませんか。あれは、緑肥としてマメ科の植物を植えて、土壌の環境を改善しようとしているのです。プロの技、こっそりと盗んで、ガーデニングに大いに利用してみましょう。根粒菌が十分に育った土を使って、さまざまな作物を育ててみれば、ちがいがわかるはずです。

根粒菌をガーデニングで利用する方法②

根粒菌は市販されています。こうした根粒菌を入手し、ガーデニングの際の土壌の改善に利用するという方法もあります。とくにマメ科の植物は、肥料などが少ない土壌でも十分に育つため、肥料を利用していくのではなく、根粒菌の働きを促し、土壌を改善していくことで、植物を育てていくという方法も考えられます。

根粒菌を農家で分けてくれることも


あって、そこから根粒菌を分けてもらうことができたらありがたいことです。知り合いに農家がいたり、親せきや親しい方が農家であったら、試しに効いてみることをおすすめします。もしかしたら、手軽に土壌の改善ができるかもしれません。

根粒菌をガーデニングで利用する方法③

根粒菌は微生物の一種ですが、似たような名称の菌根菌は菌類の一種です。根粒菌と同じように、特定の植物の根に住み着き、共生関係を築いています。菌根菌はおもにリン酸や窒素を吸収しますが、根粒菌はリン酸も必要とするため、この菌根菌が多い土壌は根粒菌にとってもメリットの多い土壌となります。根粒菌と同時に、菌根菌も育ててみることもおすすめします。

マメ科の植物の後は葉野菜を育てるとよい

Photo byMabelAmber

マメ科の作物を育てた後は、土壌の状態が非常によくなっています。このため、作物が終わったら、肥料を好む葉野菜を植えると、元気よく成長します。葉野菜には、ホウレンソウやコマツナ、キャベツなどがあります。肥料を与えなくても十分に成長するため、ぜひ挑戦してみましょう。

根粒菌で土壌の改善も!

Photo byDidgeman

今回は、ガーデニングで育ててみたい根粒菌についてご紹介しました。根粒菌は、おもにマメ科の作物の根につく根粒の中で作物と共生する微生物です。窒素固定という働きによって、土壌の環境を良くする重要な仕事もこなします。このため、土壌の状態がよくない畑にマメ科の作物を植えることで、土壌が改善されていきます。ぜひ積極的にマメ科の作物を植えてみてはいかがでしょうか。

マメ科の作物が気になる方はコチラもチェック!

根粒菌が住み着く植物はたくさんありますが、まずは実を収穫できる作物からはじめてみてはいかがでしょうか。ガーデニングでも気軽に育てることができ、収穫後はおいしくいただくこともできます。さらに、根粒菌のおかげで土壌がよくなりますので、ぜひ以下の記事をご参照ください。