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ジョロウグモとは?名前の由来や毒について解説!食べると美味いって本当?

ジョロウグモとはどのような蜘蛛かご存知でしょうか?日本中でよく見かける大型のクモですので、見たことがある方は多いのですが、その特徴や生態、噛まれた際の危険性などはあまり知られていません。今回はそんなジョロウグモの特徴や名前の由来、毒についてなどを解説します。
更新: 2023年9月29日
T・S
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ジョロウグモとはどんな蜘蛛?

日本でよく見かける大きなクモと言えば、ジョロウグモを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?公園などでもよく見かけるちょっと見た目が怖いクモで、見るだけで驚く方も多い生き物です。

実はこのジョロウグモは食べると美味しい蜘蛛であったり、妖怪として扱われることがあったりと、知れば知るほど面白く感じる生き物なのです。今回はそんなジョロウグモの特徴や名前の由来、毒についてなどを解説します。

ジョロウグモの特徴①

ジョロウグモとは?

本種はクモ目ジョロウグモ科ジョロウグモ属に属するクモです。日本やインド、台湾、中国、朝鮮といったアジア圏に分布している種類で、日本では北海道以外の場所で見られます。

ですので、本州の方は特に馴染みの深い、多くの方が見たことがある蜘蛛となっています。大きさは最大で3センチ程度になり、足を含めるとかなりの大きさになるのがポイント。また、大きな網を作り、派手な色をしていますので目立ちます。

ジョロウグモの糸は黄色を帯びる

クモの糸は白っぽい色をしていますが、実はジョロウグモの糸は黄色を帯びています。パッと見は白っぽく見えるのですが、光が当たると黄色っぽく見えるはずです。

色を確かめてみたい方は糸を集めてみましょう。何かしらの棒で網を絡めとって見てみると、黄色い糸であることが分かります。ただし、糸は強度が高く、また取れにくいので、捨てても良い棒で取るようにしましょう。

ジョロウグモの特徴②

オスメスで違いがある

多くの方がイメージするのが黄色と黒のしま模様がある大きな蜘蛛ですが、実はそれはメス個体です。オスメスで姿・大きさがかなり違う蜘蛛で、メスは2~3センチほどの大きさですが、オスは0.6~1.3センチほどしかありません。

また、色も大きく違っており、メスは派手な模様を持っていますが、オスは画像右のように地味な色をしているのが特徴です。

その為、ジョロウグモと言えばメスのイメージとなっています。

コガネグモとの違いは?

よく間違えられるのがコガネグモです。こちらも画像のように黄色と黒のしまがありますので、見た目がかなり似ているのが特徴。この両者の見分け方ですが、コガネグモの巣は画像のようにX型の白い帯を付けるのがポイントです。

このような巣を見たことがある方も多いのではないでしょうか。こちらもジョロウグモとして扱われることが多いのですが、実は別の蜘蛛ですので覚えておきましょう。

オオジョロウグモとは?

南西諸島に生息するオオジョロウグモ

通常のジョロウグモでもかなり怖く感じる方が多いのですが、更に強烈なのが、南西諸島に生息しているオオジョロウグモです。こちらは画像の通り、驚くほど大きいのが特徴で、大きなセミやチョウ、スズメバチや小さな鳥までも食べるとされる蜘蛛となっています。

こちらもオスは小さめとなっていますが、それでも元々のサイズが大きいので迫力抜群。噛まれるとハチに刺された程度の痛みがありますので触らないようにしましょう。

オオジョロウグモはカラフル?

ジョロウグモと言えば黄色と黒のカラーリングが特徴的で、オオジョロウグモも黄色と黒が基本なのですが、時折画像のように真っ黒の個体も見つかります。

黒だけの個体もシンプルでカッコよく人気があります。また、稀に赤色が強い個体も見つかることがあり、オオジョロウグモはその色合いも楽しめる蜘蛛です。

ジョロウグモの生態①

ジョロウグモの活動時期

なんとなく一年中見かけるようなイメージを持たれることが多い蜘蛛ですが、夏頃に成熟し、秋頃に産卵をします。5月中旬頃に産まれますので、春頃はまだ小さい子グモなのです。

そこから7~8回ほど脱皮を繰り返して成熟していきます。ちなみに、生まれたての子グモは体が赤いのが特徴です。秋頃の産卵時期になると卵が入った卵嚢を作り、卵嚢の状態で冬越しをして、春に孵化するというサイクルになっています。


メスがオスを食べてしまうことがある

ジョロウグモに限らずですが、蜘蛛はメスがオスを食べてしまうことがよくあります。メスの方が体が大きいので、捕食対象になってしまうのです。

それでもオスはなんとか交尾をしなければいけませんので、体力が落ちている脱皮直後や、餌を食べている時などを狙って交尾をしにいきます。交尾の8割以上は最後の脱皮をしている間に行われていると言われており、食べられないように注意しているのが分かります。

オスがメスを取り合うことがある

どのオスもメスとの交尾を狙っていますので、オス同士で取り合いが起こることがあります。ですので、画像のように沢山のオスが群がることも珍しくありません。

先に来たオスが後から来たオスを追い出す行動も見られ、噛みついて相手の足が取れてしまうこともあります。また、負けたオスが網に引っかかってしまい、メスが食べてしまうこともあります。勝ったオスは、交尾後も他のオスを寄せ付けまいと網に残るのも特徴です。

ジョロウグモの生態②

網を部分的に直している

蜘蛛の糸はとても強力なことで知られていますが、何か大型のものがぶつかると網が壊れてしまいます。その場合、網全体を張り直しするのではなく、壊れたところを直してまた使うのが面白いポイントです。

修理しながら使っているので、見つけた際は故意に壊さないようにしましょう。蜘蛛は人間にとって嫌な虫を食べてくれる益虫として知られていますので、なるべく多く食べてくれるように放置しておきたいところです。

ジョロウグモは視覚があまり良くない

なんとなく目が良さそうなイメージがあるかもしれませんが、実は視覚があまり良くない生き物です。

蜘蛛によって視覚の良し悪しは違いがあるのですが、ジョロウグモは視覚にあまり頼っておらず、巣の振動でどこにどのような物がかかっているかを察知しているのです。

かなり大きな生き物であれば巣にかかる前に分かっているようですが、基本的には振動で判断しています。

ジョロウグモの生態③

ジョロウグモの餌は?

どのような物を食べているかも気になるところですが、かなり雑食で色々なものを食べます。食べられる大きさであれば大抵の虫は食べられます。

家の近くに巣を張ってくれれば、周囲の害虫を駆除してくれるので、とても有難い存在となります。虫だけじゃなく、与えればお肉や魚の欠片なども食べます。

ジョロウグモの巣にいる居候

メスが大きな巣を作り、そこにオスがやってきるのですが、時折まったく関係の無いクモが居候していることがあります。これはシロカネイソウロウグモ、もしくはアカイソウロウグモと呼ばれるクモで、ジョロウグモが食べないような小さな虫を食べているのです。

食べないものを食べているだけですので、ジョロウグモの邪魔にはなっておらず、上手く生きていると言えます。

ジョロウグモの名前の由来

名前の由来①女郎

気になる名前の由来ですが、名前の由来は2つの説があります。1つ目は、昔の遊郭の女性を指す「女郎」という言葉が由来とする説です。遊郭の女性は派手でしたので、その姿と派手なジョロウグモのメスが重なったと考えられます。

名前の由来②上臈

もう一つの由来も似ているのですが、大奥の高級女官「上臈(じょうろう)」が由来となっている説があります。こちらも遊郭の女性と同じく華やかであるのが共通していますが、上臈は位が高いのがポイント。どちらにしても、華やかな女性のイメージがある由来となっています。

ジョロウグモを英語で言うと?

ジョロウグモの英語名はJoro Spider


英語ではどんな風に呼ばれているかも気になるところですが、英語圏では「Joro Spider」と呼ばれています。日本語の読み方を直接的に変換したような英語となっているのがポイント。

英語圏に行ったからと言って別名を覚える必要は無いのは嬉しいところです。ジョロウグモはアジア圏の蜘蛛ですので、英語にしてもあまり変わらない名前となっています。

オオジョロウグモの英語名はGolden Web Spider

オオジョロウグモは英語になると少し名前が変わり、「Golden Web Spider」となります。Webは英語で「クモの巣」という意味があり、インターネットで良く使われている英語です。英語で呼ぶ機会はあまり多くないかもしれませんが、外国の方に説明する時に使いましょう。

ジョロウグモは妖怪?

日本各地に伝わる妖怪の一種「絡新婦」

妖怪の伝説を聞いたことがあるかもしれません。妖怪として扱われる時は「女郎蜘蛛」、もしくは「絡新婦」と書きます。絡新婦は「ジョロウグモ」と呼びます。この妖怪は美しい女性に化けられる蜘蛛とされており、昔から語られてきた妖怪となっています。

女郎蜘蛛の妖怪話①宿直草

妖怪として扱われた昔話の一つに「宿直草」があります。こちらは青年武士の前に若い女性が現れるのですが、武士は妖怪と見抜いて刀で切ってしまいます。妖怪はすぐ逃げるのですが、傷によって天井裏で死んでしまい、その天井裏には女郎蜘蛛によって殺された沢山の死体があったという話になっています。

女郎蜘蛛の妖怪話②太平百物語

もう一つの話が、「太平百物語」です。この話は、とある男性の前に50歳ほどの女性が現れ、若い娘を男性に紹介するのですが、男性は結婚していたので断ります。

すると、一昨日殺されかけた上に求婚を断られたと言いだし、一昨日にクモを追い払ったことを思い出すというストーリーです。こうして、女郎蜘蛛は女性の姿で現れる妖怪として扱われてきました。

ジョロウグモは毒がある?

ジョロウグモは毒で敵を動けなくする

毒々しい見た目をしていますので、毒があるイメージがある方も多いかもしれません。確かにジョロウグモには毒があり、獲物を捕らえる時に使われます。ですが、実はほとんどの蜘蛛は毒を持っているので、ジョロウグモだけが特別な毒蜘蛛という訳ではありません。

ジョロウグモの毒は危険?

本種が持っている毒は「JSTX-3」という毒で、神経の伝達物質であるグルタミンさんの働きを鈍らせます。しかし、もし人間が噛まれたとしても、その毒は少量しか入りませんのでほとんど悪化することはありません。

噛まれた際の痛みと、少し痒くなる程度で終わってしまうのです。ちなみに、JSTX-3は製薬メーカーなどが人間に使う薬に出来ないか研究されています。

ジョロウグモの天敵は?

天敵はスズメやカラス

サイズの大きな生き物ですが、天敵は沢山います。例えばスズメやカラスといった虫をよく食べている生き物はまさに天敵です。また、サイズ次第では捕食することもあるのですが、スズメバチなども天敵となります。

他にも、爬虫類なども天敵となります。強そうなイメージはありますが、実は天敵にとっては弱い生き物なのです。

地上の天敵はアリやカマキリなど

天敵がいたとしても、巣まで来なければ問題ありません。ですので、巣にいる間はかなり安全です。しかし、地上に落ちてしまうととても危険で、アリやカマキリといった虫が天敵となって襲ってきます。

また、地上にいる爬虫類も天敵として襲ってきますので、ジョロウグモは巣から落ちないことが大切です。


ジョロウグモの寿命は?

ジョロウグモの寿命は短い

気になる寿命ですが、ジョロウグモは体が大きい割に寿命が短いのが特徴です。春に孵化し、冬時期に入って寒くなる頃に寿命を迎えて死んでしまいます。産卵が秋頃に行われ、その後の12月頃が寿命となる時期です。孵化してから寿命を迎えるまで1年もありませんので、かなり短命な蜘蛛と言えます。

快適環境で飼育した場合は寿命が伸びる可能性あり

寿命の短い生き物ですが、野外環境の寒さも寿命を縮める原因となっていますので、飼育環境下で快適に過ごさせると寿命が伸びます。本来であれば12月頃が寿命となるのですが、暖かい場所で過ごさせれば春頃まで生きる場合もあるのです。

オオジョロウグモも同様に12月頃が寿命となりますが、環境次第では寿命が伸びます。

ジョロウグモを食べるには?

ジョロウグモを食べる方法

あまり知られてはいませんが、こちらは食べることが出来る生き物です。見た目が強烈ですので食べる気にはならないという方は多いのですが、実は好んで食べる方も沢山います。

特に現在は昆虫食が話題となっているタイミングでもありますので、食べたことは無いけど気になってはいる方も多いです。食べ方はシンプルに、巣揚げして塩をかけて食べるか、茹でて食べるかになります。オオジョロウグモも同様の食べ方で食べられます。

食べると美味しいジョロウグモ

食べることは出来ても、美味しくないと食べる気にはなりません。しかし、見た目は美味しそうに見えないかもしれませんが、本種もオオジョロウグモも味が良いことで評判なのです。

しっかり揚げれば足ごと食べられ、特にお腹が美味しく、プチプチとした食感、香ばしい香りと旨味が特徴。人によって感想は違いますが、後味の悪さもなく、昆虫食初心者にもオススメされる味わいです。

特に産卵期の卵を持ったメス個体が美味しいとされています。

まとめ

今回の「ジョロウグモとは?名前の由来や毒について解説!食べると美味いって本当?」はいかがでしたでしょうか?特徴や天敵、大きなオオジョロウグモなどまでご紹介させて頂きましたが、改めて知ると興味深い点も沢山あったのではないでしょうか。

また、実は食べると美味しい生き物であり、捕獲も簡単ですので、産卵シーズンになったら捕まえて揚げてみるのも良いでしょう。

ジョロウグモが気になる方はこちらもチェック!

今回はジョロウグモについて解説させて頂きましたが、他にも虫・生き物に関する記事が沢山あります。気になる方は是非見てみて下さい。