アシダカグモとはどんな蜘蛛?
家の中で見た目の怖い大きなクモに遭遇したことはありませんか?それはアシダカグモというクモで、家にいるゴキブリやハエ、小さなネズミなどを食べてくれる益虫として「家の守り神」扱いされることもあるクモなのです。
しかし、それを知らずに殺虫スプレーで殺されてしまうこともよくありますので、どれくらい人間にとって嬉しい存在なのかを知っておきたいところ。今回はそんなアシダカグモの特徴や飼育方法を解説していきます。
アシダカグモとの特徴
アシダカグモとは?
アシダカグモとは、家に入ってくるクモの中でも最大の種類として知られています。国内でも最大サイズのクモで、初めて見る方は驚くはずです。色は灰褐色で、少しまだら模様になっています。
アシダカグモ科アシダカグモ属に分類されているのですが、実はアシダカグモ属は世界に180種類もいる大きな属。日本では本種を含め3種類のみが生息しており、そのうち2種は限られた場所にしか生息していない為、主に本種に会うことになります。
アシダカグモの最大サイズは?
気になる最大サイズですが、メスの体は2~3センチ、オスは1~2.5センチ程度に成長します。体だけなら最大サイズになっても大して大きくはありませんが、足まで入れると10~13センチになり、国内最大サイズのクモらしい大きさになります。
足を広げた際の大きさはCDくらいとよく例えられます。オスの方がやや体が小さめなのがポイント。とはいえ、オスメス両方を同時に見る機会は少ないので、判別は難しいかもしれません。
コアシダカグモは別種
アシダカグモにそっくりな「コアシダカグモ」というクモがいます。こちらは森林の落ち葉・枯れ葉の下によくいるクモで、アシダカグモにとても似ており、以前は同属のクモとされていました。
現在は別属のクモとされていますので区別しましょう。ただし、見た目がかなり似ているので判別が難しいところです。少し小柄で足が短め、色も少し濃いクモです。基本的には野外にいるのですが、まれに家の中で発見されることもあります。
アシダカグモの生態
アシダカグモの生態①徘徊性のクモ
気になる生態ですが、こちらは糸で巣を作るタイプのクモではなく、徘徊性のクモです。糸で巣を作って待つのではなく、歩き回って獲物を探します。画像のように、普段は見えない場所に隠れており、餌を探しにいく時に歩き回ります。
家の中では見つかってしまうような場所を徘徊することも多く、その際に人に出会って驚かれます。家の中で見かけることが多いのですが、屋外を徘徊する姿も見かけられます。
アシダカグモの生態②世界中に分布
日本でよく見かける種類ですが、実は世界中に分布しています。世界にはアシダカグモ属が180種類も存在しており、珍しい種類では無いのです。熱帯・亜熱帯・温帯に分類しており、日本には外来種として入ってきました。
初めて発見されたのは1878年だとされています。入ってきた理由は、輸入物に紛れていたという説や、ゴキブリの駆除の為に持ち込んだという説があります。それが現在は主に暖かい地域に広がった状況です。
アシダカグモの生態③夜行性のクモ
なんとなく、夜に忍び寄ってくるイメージがあるかもしれません。それは、アシダカグモが夜行性のクモだからです。夜行性・徘徊性のクモですので、夜になると家の中を徘徊して餌を探します。
普段は物陰に隠れていますので、夜に見つかることがよくあるのです。見た目が怖いので、夜に出会って驚かれる方が沢山います。臆病な生き物ですので、実は向こうも驚いている可能性が高いです。
アシダカグモの生態④寿命は3~7年
気になる寿命ですが、サイズの大きな生き物ですので寿命も少し長めとなっており、3~7年程度生きます。オスの方が体が小さい分寿命が短く、3~5年。メスは5~7年程度で寿命を迎えるとされています。
体の小さいクモの寿命は1年程度ですので、長生きなクモと言えるでしょう。ペットとして育てる方も多いので、寿命を全うさせられるように管理してあげて下さい。
アシダカグモの生態⑤しおり糸
徘徊性のクモですので、糸で巣を作るようなことはしませんが、実は糸は出しています。「しおり糸」と呼ばれる糸で、この糸は命綱として使用されます。
ただし、体が大きいのでしおり糸をつたって登るようなことは出来ず、降りる時に速度を落とす程度の役割です。また、メスが小さい卵を包む時にも糸を出します。狩りの為に糸を使うことはありません。
アシダカグモは益虫?
アシダカグモはゴキブリを食べてくれる
家で見かける一番イヤな虫と言えばゴキブリです。普段、ゴキブリを見かけたら、スプレーを使うか叩くかして退治する方が多いのではないでしょうか。しかし、アシダカグモを放置しておけばその手間もかかりません。
上の映像のように、お腹が減っていればゴキブリを素早く捕まえて食べてくれます。ゴキブリは1匹いたら沢山いると言われますが、アシダカグモがいればしばらくで全滅するとされている程です。また、ハエや小さいネズミも食べます。
姿が苦手な人にとっては不快害虫
見た目は怖いですが、その活躍ぶりが評価され、益虫として評判になり、放置されることが多くなりました。放置しておけば不快害虫を食べてくれますので、とてもありがたい存在です。
しかし、アシダカグモの存在自体に恐怖を覚える方にとっては、アシダカグモも不快害虫でしかありません。もちろん悪質な病原菌などは持っていないのですが、もし放置が難しい場合は外に出してしまいましょう。
アシダカグモが入ってこないようするには?
いつの間にか家に入ってきてしまいますが、家に入ってくる理由は、餌があるからです。多くの家にはゴキブリが住んでいるのですが、もしそういった餌が無ければ、入ってきてもすぐに出ていってしまいます。
つまり、何度も家で見かけるということは餌があるという証拠なのです。逆に、そういった餌を無くしてしまえば入ってきませんので、ゴキブリ対策をすることがアシダカグモを入れない対策にもなります。
アシダカグモはハブを呼ぶ?
益虫として有名になり、放置されることが多くなりましたが、実は地域によります。ハブがいる奄美諸島では家の中にいるものを放置しません。
実はハブはアシダカグモを好んで食べますので、家の中にいるとハブが入ってきてしまう可能性があるとされているのです。ハブと言えば猛毒を持つヘビですので、とても危険。そういった地域に住まわれている場合は追い出した方が良いでしょう。
アシダカグモは噛む?
アシダカグモは人を噛むことがある
放置するか迷う理由は、噛むのではないかと心配しているからかもしれません。結論から言うと、アシダカグモは噛むことがあります。小さいクモではありませんので、噛むとなると怖く感じるかもしれませんが、毒グモのような人間に悪影響のある毒は持っていませんので心配いりません。
何もしなければ噛むことは無い
噛むことがあると言っても、わざわざ噛みにくる訳ではなく、自己防衛の為に噛むことがあるだけです。臆病な性格をしているので、人が近づけば逃げていきます。素手で乱暴につかんだりした際に噛む可能性があります。不用意に触らず、基本的には放置しておくのが良いでしょう。
アシダカグモはなつく?
アシダカグモがなつくことは無い
ペットとして飼育するとなつくという噂もありますが、アシダカグモが人になつくことはありません。なつくことはありませんが、人に慣れることはありますので、なついたと間違えられることがあります。
なつく訳ではありませんが、慣れればピンセットで餌をあげた際に、受け取るように餌をとったりしますので、可愛らしさを感じる方が多くいます。
なつくことは無いけど手乗りは出来る
なつく訳ではありませんが慣れはしますので、画像のように手乗りさせることも可能です。慣れていない内は怯えていますので、無理に手にのせようとすれば噛む可能性があります。危害が無いことが分かれば噛まないので、慣れるまで待ちましょう。
仮に噛まれたとしても問題はありませんので安心です。また、小さい内であれば怖さも減ります。
アシダカグモは販売されている?
アシダカグモはネットで販売されている
育ててみたいけど家に出没しなくて困っている方は、ネット販売をチェックしてみましょう。一般的に販売されていることは少ないのですが、実はオークションなどを通してよく販売されています。
価格は1000円前後で販売されていることが多く、手に入れやすいのがポイント。寿命もそれなりにありますので、幼体を購入出来ると長く楽しめます。
アシダカグモの販売者になることも出来る
オークションで販売されているということは、逆にオークションに出品する販売者になることも出来ます。飼育して幼体を増やすのは大変ですが、不可能ではありませんので、興味がある方は考えてみましょう。
ただし、どれだけ販売出来るかはその時々ですので、幼体を大量に育てているだけの状態にならないよう注意が必要です。
アシダカグモの飼育方法は?
飼育方法①ケースで育てる
アシダカグモが手に入ったらケースに入れて育てていきましょう。一般的なプラケースが適しています。小さいプラケースでも育てられますので、丁度良いものを育てましょう。
幼体はすぐに大きくなりますので、成体に合ったサイズを最初から購入します。プラケースの中には土を3㎝ほど敷いておきます。また、水も飲みますので、浅くて小さいお皿を入れて、少し水を入れておいて下さい。
飼育方法②餌はコオロギが便利
アシダカグモ、コオロギ捕食 pic.twitter.com/1VvAfrDOqr
— レイ (@rsp646243) December 11, 2015
餌は虫ですので、虫を用意しましょう。餌の頻度は週一回程度、コオロギやゴキブリなどを与えます。コオロギやゴキブリはペットショップ等で餌用のものが販売されていますので、そちらを購入するか、捕まえたものを与えて下さい。
すぐには食べないかもしれませんが、お腹がすくと食べます。ケースに入れておくだけで良いですが、慣れるとピンセットで直接与えることも可能です。
飼育方法③餌を食べない時は脱皮前
部屋に戻ったらアシダカグモが脱皮してたので激写した pic.twitter.com/F9KToA2PHH
— エクリュ (@mushitolishonen) July 18, 2014
餌を与えても全然食べてくれない様子であれば、脱皮前の可能性があります。脱皮前は餌を食べなくなりますので、放置しておきましょう。焦って構ってしまうとストレスになってしまう場合がありますので、放置しておくのが良いです。
アシダカグモの卵は?
アシダカグモは年に二回産卵する
気になるアシダカグモの繫殖ですが、年に2回産卵を行います。画像のように、卵を糸に包んだものを口に加えて持ち運ぶのが特徴で、幼体が出てくるまでの1ヶ月間、餌も食べずに持ち運びます。
幼体が出てきそうな頃になると卵嚢を壁などに貼り付け、近くで見守ります。この卵嚢は約300個ほどの卵がありますので、かなりの数の幼体が出てきます。
卵から幼体が孵ると飛散する
今まで見た中で一番小さいアシダカグモ出た!!!!!!指先サイズ!これ近所で産まれたんじゃないの!? pic.twitter.com/DjivpL1ZFQ
— どんぷく (@donpuku) July 23, 2018
卵から幼体が孵ると、最初は卵嚢の周りにたむろします。この時、何か刺激が加わると散り散りに散っていくのですが、この様子が「蜘蛛の子を散らす」という言葉の由来です。
何もしなければ、風に乗って悲惨していきます。その後、オスは8回、メスは10回の脱皮を経て、約1年で最大サイズまで成長していきます。
まとめ
今回の「アシダカグモとは?アシダカ軍曹の異名を持つ益虫の活躍ぶりを紹介!」はいかがでしたでしょうか?最大サイズやどのような餌を食べるのかなど、気になる部分をご紹介させて頂きましたが、元々苦手だった方も少し魅力を感じて頂けたかもしれません。
なつくことはありませんが、人間と共存出来る生き物ですので、見つけた際は殺さずに観察してみて下さい。
アシダカグモが気になる方はこちらもチェック!
今回はアシダカグモについてご紹介させて頂きましたが、他にも虫に関する記事が沢山あります。気になる方は是非見てみて下さい。
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