はじめに
野生に生息するクジラと遭遇することのできるホエールウォッチング。海や動物好きの方にとっては一度はやってみたアクティビティではないでしょうか。今回は、日本を含む世界各地でホエールウォッチングできる場所をご紹介するとともに、それぞれのスポットでのシーズンや遭遇率、遭遇することのできるクジラの種類などを解説します。
ホエールウォッチングとは
クジラやイルカに出会えるアクティビティ
ホエールウォッチングは、野生のクジラやイルカを観察するアクティビティです。ボートに乗って海へと繰り出し、海を泳ぐクジラを探し、見つけることができたら近づいて観察します。時には目の前でジャンプをするなど迫力満点の姿を楽しむことができます。最近では過去のデータをもとに高確率で遭遇することができますが、もちろん、野生に動物ですので時には遭遇できないこともあるので注意しましょう。
世界各地にホエールウォッチングスポットがある
野生のクジラと聞くと、外洋真っただ中を泳ぐ姿を想像する方も多いかもしれません。しかし、種類によっては沿岸近くに住み着いたり、回遊してくるため、ボートに乗って観察することが可能になっています。沿岸にクジラが寄ってくる場所は世界各地にあるため、ホエールウォッチングができる場所も色々なところにあります。
ホエールウォッチングで見ることのできる主なクジラ
ザトウクジラ
最大で14mになる中型のクジラです。季節によって高緯度の場所と低緯度の場所を回遊し、冬場には日本近海にもやってきます。そのため、沖縄や奄美諸島、小笠原諸島などでホエールウォッチングの対象となっています。ジャンプだも派手なパフォーマンスも見ることができます。
ニタリクジラ
最大15mほどになる中型のクジラです。暖かい海に生息し、外洋を回遊する個体と、同じ海域に定着している個体も多くいます。イワシクジラというほかの種類のクジラに似ていることから「似たり鯨」と名付けられました。国内では高知県でよく見られます。
マッコウクジラ
最大で18mほどになり、歯のあるクジラの中では最大の種類です。北極から南極まで、幅広い場所に生息し、複数の個体群があるとされています。生涯の大半を深海で過ごすと考えられ、最大で3,000mほどにまで潜ることができます。日本では小笠原諸島や、高知県などで見られます。
シャチ
最大で8mほどになるクジラの仲間で、世界中の海に生息しています。肉食で小魚などから、アシカやトドなども食べてしまう、海の生態系の頂点に立つ生き物です。また、時には自分より大きなクジラまでを襲って食べることから「キラーホエール」と呼ばれています。比較的冷たい海域でよく見られ、北海道やノルウェー、カナダなどで見ることができます。
オキゴンドウ
全長6mほどで、小型のクジラです。シャチのようにイルカやクジラ、魚類などを襲って食べるため、「シャチモドキ」とも呼ばれています。世界中の海に生息し、沿岸域から沖合まで様々な環境で観察されます。ホエールウォッチングでは、専門に狙うことは少ないですが、各地で見ることができます。
世界でホエールウォッチングできる場所①
ハワイ
ハワイには、毎年12月~4月頃になると、アラスカ地方からザトウクジラがやってきて、出産、育児をします。人気のリゾート地でもあるハワイでは、各ツアー会社がホエールウォッチングツアーを開催し、人気のアクティビティとなっています。
ホエールウォッチングのシーズン
ハワイでのホエールウォッチングのシーズンは、ザトウクジラがハワイ近海に滞在する12月~4月の間となります。子育て中のため、かわいい子供のクジラを見ることもできます。それ以外の季節ではホエールウォッチングはできませんが、ハワイの周りにはイルカが多く、イルカウォッチングは年中することができます。
見られる種類と遭遇率
ハワイでのホエールウォッチングで見られるクジラの種類は、ザトウクジラがメインとなります。シーズン中はハワイ近海に多数の個体が回遊し、遭遇率は90%を超えるといわれています。また、沖合にはマッコウクジラも生息しているため、運がいいと、時折遭遇することもできます。
世界でホエールウォッチングできる場所②
オーストラリア ゴールドコースト
南半球のオーストラリアの都市、シドニーでは、ホエールウォッチングでザトウクジラを見ることができます。シドニーでのホエールウォッチングの特徴は、陸からの近さ。船で少し沖合に出ただけでクジラに出会うことができます。シドニー観光のついでにホエールウォッチングをすることができます。
ホエールウォッチングのシーズン
シドニーでのホエールウォッチングのシーズンは5月~11月頃となります。夏になると南極海で過ごしていたザトウクジラが、オーストラリア東海岸に回遊してきます。この季節は子育ての時期ですので、親子連れのザトウクジラを見ることができます。
見られる種類と遭遇率
シドニーで見ることのできるクジラの種類はザトウクジラです。そして、遭遇率は何と、95%とかなりの確率です。個体数が多いシドニーではさらに、1度のクルーズで20頭以上見られることも少なくありません。
世界でホエールウォッチングできる場所③
アメリカ サンディエゴ
アメリカ西海岸のサンディエゴは、ホエールウォッチング発祥の地です。北極からバハカリフォルニアへと回遊するコククジラを、船でのツアーはもちろん、陸上からもクジラを見ることがができるスポットです。ほとんどのスポットが船によるホエールウォッチングのため、船が苦手な方にはうれしいですね。
ホエールウォッチングのシーズン
サンディエゴでのホエールウォッチングのシーズンは、コククジラが回遊してくる12月~3月がメインとなっています。また6月~9月には、湾内に発生するオキアミを求めて近づいてくるシロナガスクジラを見るチャンスもあります。
見られる種類と遭遇率
サンディエゴでのホエールウォッチングではコククジラやシロナガスクジラをメインに、時にはシャチなども見ることができます。特にコククジラは、25,000頭もの個体が回遊するといわれ、遭遇率も99%と言われています。万が一見られなかった場合は、翌日以降のツアーに無料で参加できることがほとんどです。それだけ遭遇率が高いということですね。
世界でホエールウォッチングできる場所④
ニュージーランド カイコウラ
ニュージーランドの東海岸にあるカイコウラでは、古くからホエールウォッチングが行われている、世界有数のスポットです。カイコウラの沖合は非常に栄養豊富な海域となっており、クジラはもちろん、様々な海洋生物が集まる自然豊かな場所となっています。
ホエールウォッチングのシーズン
カイコウウラには、マッコウクジラが居ついているため、季節を問わずホエールウォッチングをすることができます。また、12月から3月頃にはシャチとの遭遇が多くなります。6月~7月頃にはザトウクジラも見ることができます。そのほかにもイルカ類は通年見るチャンスがあります。
見られる種類と遭遇率
カイコウラでのホエールウォッチングでは、マッコウクジラをメインにザトウクジラやシロナガスクジラ、南セミクジラ、そして時にはシャチが姿を現すこともあります。ソナーを使ってクジラを探すため遭遇率は高く、マッコウクジラは90%以上の確率で見ることができます。
世界でホエールウォッチングできる場所⑤
メキシコ バハカリフォルニア
世界遺産でもあるメキシコのバハカリフォルニアには、豊かな自然があふれ、多くの海洋生物が集まってきます。この自然を体感する様々なアクティビティが用意されていますが、もちろんホエールウォッチングも盛んです。そして、バハカリフォルニアのホエールウォッチングでは、世界でも珍しいクジラにタッチできるツアーもあります。
ホエールウォッチングのシーズン
バハカリフォルニアでのホエールウォッチングのシーズンは、通年行われています。特に人気のシロナガスクジラが回遊してくるのは1月~4月頃で、ベストシーズンとされています。タッチすることができるコククジラが回遊してくるのも同様の季節です。そのほかの季節ではナガスクジラを見ることができます。
見られる種類と遭遇率
バハカリフォルニアでのホエールウォッチングでは、シロナガスクジラとコククジラがメインとなります。シーズン中では90%以上の確率で遭遇できるとされています。そのほかではナガスクジラやザトウクジラ、ミンククジラ、マッコウクジラとたくさんの種類のクジラと出会える可能性のあるスポットです。
日本でホエールウォッチングできる場所①
知床
壮大な自然と、様々な野生動物が生息する北海道知床。知床の海には季節ごとにクジラもやってきて、ホエールウォッチングのスポットとなっています。クジラ以外にもトドやアザラシ、オオワシなど様々な海洋生物を見ることができるのも、知床の特徴の一つです。
ホエールウォッチングのシーズン
知床では、ほぼ1年中ホエールウォッチングをすることができます。季節によってみられる種類が変わってきますが、冬から初夏にはシャチ、春から秋にかけてはマッコウクジラやミンククジラとの遭遇が多くなります。
見られる種類と遭遇率
知床でのホエールウォッチングでよく見られるクジラの種類は、マッコウクジラ、ミンククジラ、ツチクジラ、シャチなどです。夏場のマッコウクジラでは80%以上、初夏のミンククジラでは50%以上の遭遇率があります。また、人気のシャチは春から初夏にかけて30~40%ほどの遭遇率となっています。
日本でホエールウォッチングできる場所②
小笠原諸島
東洋のガラパゴスともいわれる自然豊かな小笠原諸島。日本で一番最初にホエールウォッチングが始まったスポットでもあります。小笠原諸島ではクジラが岸の近くまで寄ってくるため、ボートではもちろん、陸上からもホエールウォッチングをすることができます。さらに、ダイビング中に出会うことができたり、イルカと一緒に泳ぐこともできる島でもあります。
ホエールウォッチングのシーズン
小笠原諸島でのホエールウォッチングは1年中することができます。ただし、マッコウクジラは沖合にいるため、海が荒れやすい冬場は出航できないことも多くあります。ザトウクジラの場合はが島の近くまで寄ってくるので、冬場でも観察することができます。
見られる種類と遭遇率
小笠原諸島でのホエールウォッチングで見られる主なクジラは、ザトウクジラ、マッコウクジラをメインに、コビレゴンドウや、ハンドウイルカ、ハシナガイルカなどが見られます。ザトウクジラは岸からも観察できるということもあり、90%以上の遭遇率があります。マッコウクジラは出航ができれば80%近い遭遇率です。
日本でホエールウォッチングできる場所③
沖縄本島
人気の観光地、沖縄本島周辺には、冬の間、子育てのためにザトウクジラがやってきます。沖縄本島各地の港や、慶良間諸島からホエールウォッチングのツアーが開催されています。出航から10~15分程度の場所が多く、ツアー自体も3時間程度と、沖縄旅行の中の一つのアクティビティとして、気軽にホエールウォッチングに参加することができます。
ホエールウォッチングのシーズン
沖縄本島でのホエールウォッチングは、ザトウクジラが回遊してくる12月下旬~4月上旬ころまでがシーズンとなります。そのほかの季節では基本的にはホエールウォッチングができませんが、ダイビングの行き返りに、クジラに出会えることが稀にあります。
見られる種類と遭遇率
沖縄本島でのホエールウォッチングで見られる種類は、基本的にはザトウクジラのみで、時折オキゴンドウが表れる程度です。ザトウクジラとの遭遇率は95%以上とかなり高い確率と言われています。しかし、海が荒れやすい季節でもありますので、出航自体ができないこともあるため注意しましょう。
日本でホエールウォッチングできる場所④
高知県土佐湾
高知県の土佐湾では、数あるホエールウォッチングのスポットの中でも珍しく、ニタリクジラが高確率で見られる海です。通常は回遊して生活しているニタリクジラですが、なぜか土佐湾には数十頭のニタリクジラが定住しています。そのため、かなりの高確率でクジラと出会うこともできる場所でもあります。
ホエールウォッチングのシーズン
土佐湾では1年間をとしてホエールウォッチングをすることができます。しかし、12月~2月の北風が強くなる季節は、海が荒れやすく欠航も多くなります。東西に広い土佐湾では、各地でホエールウォッチングが行われていますが、地域によっては開催される時期が決まっている場合もありますので、注意してください。
見られる種類と遭遇率
土佐湾でのホエールウォッチングでは定番のニタリクジラを中心に、ハナゴンドウやオキゴンドウなどゴンドウクジラの仲間を見ることができます。ニタリクジラがよく見られるのは4月~10月頃で、遭遇率は90%以上とも言われています。また、1月~5月頃まではマッコウクジラとの遭遇率も高くこちらもシーズン中は80%以上の高い確率です。
日本でホエールウォッチングできる場所⑤
千葉県銚子沖
千葉県の銚子沖では、首都圏では唯一ホエールウォッチングできる場所となっています。銚子沖では、黒潮と親潮がぶつかり合うため、非常に栄養分が豊富な海となっています。そのため、魚はもちろん、イルカ、クジラ、オットセイなどの生き物が集まり、ウォッチングスポットとなっています。都内からも日帰りで参加できる貴重な場所です。
ホエールウォッチングのシーズン
銚子沖でホエールウォッチングができるシーズンは、マッコウクジラが回遊してくる11月~1月頃となっています。クジラが見られるのは冬の寒い時期となりますが、その他の季節では、真冬にはキタオットセイ、春にはカマイルカやスジイルカ、夏場にはスナメリのウォッチングをすることができます。
見られる種類と遭遇率
銚子沖でのホエールウォッチグで見られるクジラは、マッコウクジラをメインに、カズハゴンドウ、コビレゴンドウ、オキゴンドウなどのゴンドウクジラや、時にはザトウクジラやシャチが見られることもあります。マッコウクジラとの遭遇率は90%以上を誇ります。
ホエールウォッチングでの注意点
クジラを見られないこともある
各地のホエールウォッチングでは、ツアー会社の経験や過去のデータをもとに、クジラとの遭遇率がアップしています。しかし、相手は野生の動物です。必ずしも見ることができるわけではないことを理解しておきましょう。万が一見られなかった場合も、クレームなどはご法度です。
体調管理は万全に
ほとんどのホエールウォッチングは、ボートに乗って沖合に出ていきます。船酔いをしやすい人は酔い止めを飲むなど対策をしておきましょう。また、体調が悪くなったからと言って、港に引き返すことはできません。体調管理はしっかりとしておきましょう。
動きやすい、濡れてもいい服装で
船の上は、当然ながら波しぶきがかかることがあります。また揺れる船上では想像以上に歩きにくいものです。そのため、濡れてもよく、動きやすい恰好をしていきましょう。また、夏場は海面からの照り返しも強いため、日焼け止めなどの対策も忘れずにしておきましょう。
まとめ
以上、日本を含めた世界各地でホエールウォッチングできるスポットをご紹介しました。各スポットによってみられるクジラの種類やシーズンが少しずつ違ってきます。季節ごとに各地のクジラを追いかけるのも楽しいのではないでしょうか。目の前で大きなクジラを見れば感動すること間違いなしです。ぜひ、ホエールウォッチングに参加してみてください。
ホエールウォッチングが気になる方はこちらもチェック!
今回はホエールウォッチングできるスポットについてご紹介しましたが、その他にも、様々なアクティビティや動物などについて詳しく紹介した記事が沢山ありますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
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