はじめに
枝や山を整える剪定・伐採の違いと意味を紹介
剪定と刈り込み・伐採についてその違いがよくわからないという意見を目にします。どれも植木などの植物を切る作業で混乱しがちな単語ですね。これら3種類の木を切る・整えるやり方の基本とコツをご説明しながらそれらの言葉の違いとなぜおこなうのかという手法の意味を解説していきましょう。
剪定と刈込・伐採の違いとは1.剪定について
木を切るのに使う3つの似ているようで違う言葉について、まずは剪定のご紹介から。この言葉は植物がお好きな方であれば見たり聞いたりすることも多い単語であり、自分でもおこなう必要がでてくる作業です。それだけにしっかりその意味ややり方のコツなどを知るのは大切になってくるでしょう。
剪定は枝を切る方法
剪定という言葉は、今回ご紹介するやり方の中でも特によく耳にする言葉ではないでしょうか。小さな植物から大きな植木まで、大小関わらずいろいろなものにこの剪定という作業をおこなう身近な言葉です。
剪定という漢字に込められた意味
剪という漢字にはカットする・つまむという意味があり、定にはさだめるやさだかという意味がある他に結果として確かであって思ったとおりになるという漢字です。まさに植木の枝を切ることでガーデナーの狙った結果を出すためにする切り方です。
剪定と刈込・伐採の違いとは2.剪定の基本
それでは、具体的に剪定とはどうするのか?もちろん植物によって剪定のやり方は変わってくるのでそこには注意が必要。ここでは簡単にそのやり方例や気をつける点などを見ていきましょう。
基本の剪定のやり方例
剪定のやり方のコツは、花や芽が出るのを阻害しないようにおこなうところにあるといえるでしょう。植物には翌年の新しい芽が出てくる時期があり、それより後に切ると極端に次の年の花数が少なくなることがおこり、果樹の場合は花が少ないとみのりも少なくなってしまうのでその木の新芽の付く時期前に必ずおこなってください。
翌年の花や葉の付き方を調整する剪定
このように剪定は翌年の花や枝(葉)の付き方を調整する意味もあるのはおわかりいただけたでしょうが、これにはもうひとつ特徴があって逆に切ることで枝が増えてボリュームを出すことも可能です。
風通しのために不要な枝を切る
植物の育て方を見ていると、よく風通しのよいところで育ててくださいというような注意書きを見かけることでしょう。植物の成長ホルモンは風によって刺激されるといわれているだけでなく、害虫や病気の対策としてもジメジメ防止に風通しをよくするのは良いことです。剪定で枝を切れば隙間ができるので風通し対策活用してください。
剪定と刈込・伐採の違いとは3.剪定の意味
剪定の意味やだいたいのやり方はわかったけれど、いったい剪定は何のために必要なのか?しないといけないことかどうかという判断にはまだ至らない方も多いのではないでしょうか。剪定をするとどんなことになるのか、何が良くて何か不都合があるのかという気になるポイントについてご説明します。
植物のサイズ調整のための剪定
とても背が高くなる木を庭木として使う場合は、剪定してこれ以上上に伸びないようにするのはよくあること。これを上手に利用しているのが日本の素晴らしい剪定のたまものが盆栽。小さな鉢植えの中に素晴らしい枝ぶりの大樹のミニチュアを作ることが可能となるため、海外からも注目されている技術です。
庭木や果樹に剪定は必要
盆栽だけでなく単純に大きくなったら日当たりや枯れ葉の処理、お隣の敷地に枝が伸びたらこまるなどの目的のためにも剪定をしてください。ある意味これは植物のためというよりも人の気持ちが重要になってくるので、剪定とはいうけれど刈り込みに近い意味合いとなってくるのは否めません。
剪定と刈込・伐採の違いとは4.刈り込みについて
剪定とよく似たことをする刈り込みという作業。この2つの言葉については、違いがわからないという声を耳にすることも。刈り込みとはどういった作業で剪定とはどう違うのでしょうか。
刈り込みは植木の形を整える切り方
剪定は主に植物の成長をうながしたり、抑制するためにおこなう切り方。それに対してそういった成長を無視してする枝を整える作業が刈り込みになります。
枝を切る・整えるのが目的
刈り込みをするには、すでにある程度大きく成長した植物を使うのが一般的。枝を切って形を整えることのみが重要なため、翌年の花や枝などは無視しているのです。思ったようなデザインにできなかったので来年またやろうとすると、切ったことが原因で必要な部分に枝や葉が足りないということも起こります。
剪定と刈込・伐採の違いとは5.刈り込みの基本
実際に職人さんがやっているところを見たことがない方でも、テレビや映画で時々登場する植木屋さん。大きなハサミで庭の木を形よく整えて行く姿は見ていても楽しいですね。難しそうに感じますが、一度きれいにしてもらえばプロでなくても植木の刈り込みはできるものです。
基本の刈り込みのやり方例
刈り込みのやり方はこちらの動画がとても参考になるでしょう。刈り込みとは何なのか、どういったコツがあるのかがよくわかるでしょう。和風なお庭に形よく整えられた松や楓などが植えられていますね。枝先ごとに葉が丸く形づけられていたり、木全体がこんもりとした山型になったものなどその形はさまざまですが自然界にはない人工的にきれいにされた感があり、この形を整える作業が刈り込みです。
樹姿を整える植木や盆栽が刈り込みの基本
一度植木屋さんにきれいな形に刈り込みしてもらっていれば、翌年からは新芽の部分を少し強めに切ることで、同じような形に整えることができます。同じ形に整え続けることが刈り込みの基本となります。
植木の形を整えるトピアリー
刈り込みして植物を楽しむのは何も日本だけとは限らず海外ではトピアリーという名前で楽しまれています。テディベアの形になっていたり、下の方の枝葉はすべて刈り取られ上部にまんまるなボール型がついたような形に刈り込まれたグリーンオブジェを見たことがあるでしょう。これがトピアリーです。
剪定と刈込・伐採の違いとは6.刈り込みの意味
刈り込みはなぜプロでない私達でもできるのかというと、植物の成長を無視してカットしても大丈夫なその目的です。もちろん、木を枯らしてしまうような切り方はNGですが昨年から伸びた分を切りそろえるくらいであれば難しいことはありません。意味を理解して挑戦するのもたやすいことでしょう。
植木を美しくする
やり方を見ていると刈り込みにはあまりしてはいけない時期があるのがおわかりのことと思います。樹木をこれ以上大きくしない、花や実よりも葉や木全体の形を重視して美しさを保つのが刈り込みの目的であり意味です。
芸術的な植木作品は価値が高い
木を削ったり切ったりして作る彫刻がありますね。これを木全体・葉まで使っておこなうのが刈り込みの技術。さすがに彫刻ほど繊細で細かい表現は難しいですが、とても芸術的な作品を作ることができるのが刈り込みの魅力です。そのため刈り込み技術が高い職人さんの作品は芸術的な価値がつき高値でやりとりされることもあります。
生垣を整えるのも刈り込み
そんな芸術的な植物を使った作品だけでなく、もう少し身近にある刈り込み技術を使った植木に生垣があります。生垣を切るのにあまり細かな枝や新芽など気にしている方はいないと思います。道路に長い枝が飛び出さないように。全体を同じ長さに整えて切る。それだけでも立派な刈り込み作業です。
剪定と刈込・伐採の違いとは7.伐採について
伐採とは林業などでおこなう切り方
最後に伐採ですが、これは前者2つとは大きく意味がことなる切り方です。言葉の意味をよく理解せずに使ってしまうと大変なことにもなりかねません。庭木に対しても使いますが、主に林業で使う言葉だと思っておいた方がよいでしょう。業者さんに庭をきれいにしてもらうときに、安易に伐採という言葉を使わないように注意してください。
枝ではなく木をすべて切るのが伐採
なぜ伐採という言葉を使わないように注意するかというと、伐採は木を根本から切ってしまう作業だからです。きれいに整えてという意味と間違えて「この木を伐採してください」とお願いしてしまうと、大切な木を失うことになります。伐採は枝ではなく幹を切るやり方とおぼえておきましょう。
剪定と刈込・伐採の違いとは8.伐採の基本
基本の伐採のやり方
大型の木の伐採はなかなか一般人がおこなうことはありませんのでプロのお仕事を見ていただきましょう。こちらは住宅地の中のお宅で伸びすぎた木を東電に無料で伐採してもらっているときの映像です。人家の庭の大木は家や庭、近くの電線などに注意が必要ですが、プロの伐採はまず枝を払ってから上部から少しずつ切っていくことで木をなぎ倒さずに大木の伐採をしています。
林業における伐採の基本
一方林業での伐採はというと切った木を木材として利用する目的がありますので細切れにすることはできません。非常に危険な作業となりますので、これもプロの方の作業風景を見ながら伐採のやり方を知りましょう。倒れる方向を決めて、チェーンソーで切り進めていく様子は見ていて飽きませんね。
剪定と刈込・伐採の違いとは9.伐採の意味
林業でおこなう伐採は山を整える
庭の木の大きさを揃え美しくしたり成長を促すためにおこなう剪定や刈り込みに対して伐採は木1本に対して切るという作業をおこないます。もっと全体的な視野で見ると林業では山を1つの植物のまとまりとして、木の数を減らすことで風通しを良くしたり日当たりが良好になるため、その山が美しい緑の木で覆われます。
林業には必要な伐採
林業とは木を切るだけでなく植林もおこないます。日本は国土が狭い国ですので少しの土地でも無駄にすることができません。効率よく林業において木を収穫する(伐採する)ためにどこに植えてどの木を切るかという計画は必要不可欠。整えるだけの目的ではなく、作物として木を見た時に必要な作業が計画的な伐採です。
まとめ
剪定や伐採で植物を計画的に育てよう
剪定・刈り込み・伐採のそれぞれの意味ややり方動画、その目的や利点をご紹介して違いを見てきましたがいかがでしたか?似たような切るという意味の言葉でも意味を知ることで間違えて使うと取り返しがつかない大切な呼び分けであることがおわかりいただけたと思います。特に伐採についてはできるだけ使わないで表現するのがおすすめ。造園業者の方に庭の手入れをお願いするときなどには十分に注意してくださいね。
剪定が気になる方はこちらもチェック
植物の成長をコントロールするガーデニングの基本ともいえる剪定。わたしたちがおこなう機会も多い切る作業といえばこの剪定ですね。木によっておこなう時期ややり方に違いがあります。もっと剪定について知りたい方にはこちらの記事がおすすめ!是非ご覧くださいね。
梅の木の手入れは何が必要?剪定での切り方のコツなどをご紹介!
梅の木は、花の観賞や梅干しなどの実の加工品として、古くから日本人に親しまれ愛されてきた樹木です。さまざまな品種があり、枯れにくいことからガー...
桜盆栽の育て方ガイド!水やりや剪定、植え替えなど手入れの6つのコツを解説!
桜は日本を代表とする花で盆栽にしても花の頃だけでなく葉の緑もとても美しい木です。桜の盆栽を手に入れたらきちんと手入れをして大事にしたいですね...
庭木の剪定はどうする?時期や切り方などの押さえておくべき剪定のコツを解説!
庭木が伸び放題では見苦しい! でも庭師さんでない限り、切る時期や剪定の方法などは皆目解らない。庭木といっても、種類は色々で時期や手入れの仕方...