紫式部と言う花
紫式部という花があると言っても、紫式部は急には花とイメージが結びにくいワードと言えるでしょう。紫式部は名の通り「紫色」が美しく、古くより観賞用として親しまれてきたシソ科の落葉低木。同じくシソ科の植物として、ヤモメカズラやキツネノマゴ等もシソ科に分類されます。
和を感じさせる花
紫式部の名の由来は名前からわかる通り、同名の偉人「紫式部」とひときわ目をを引く「紫」の美しさをかけたもの。といっても当初は紫式部ではなく「ムラサキシキミ」と言われていたとされ、シキミは「たくさん実が実る」と言う意味の言葉、すなわち「たくさん実をつける紫の植物」程度の意味でしたが、スウェーデンの植物学者がその見事な紫色に感銘を受け、新しく名付けたものが定着したと言われています。
紫式部ってどんな人
紫式部の由来でもある「紫式部」はどんな人かと言うと、平安時代を代表する女流作家のひとりで『源氏物語』の著者としても知られています。源氏物語は世界的文学の一つとして挙げられるほど有名な小説のひとつで「日本の現存する中でも、特に古い歴史を持った文学小説」と言われ、また世界最古の長編小説ともいわれています。
紫式部の特徴
紫式部の花
紫式部は花より実が有名な植物で「紫式部の花」はよく観察しないと見分けられないほど小ぶりな姿をしています。紫式部の花が目立たないのは実のほうが特徴的のみでなく、開花時期がわかりにくいのと、さらに花自体が淡い色合いかつ、花全体が小さいので視認しにくく、さらに多くの紫式部は林に自生していると言うのもあります。紫式部に淡い紫色の「粒」のようなものが咲いていたら、それが花と思いましょう。どんなに小さく目立たない花でも、しっかり花言葉はあります。
花より実が有名な植物
紫式部を何と言っても有名にしているのは「実」に大きな特徴があることです、紫式部は自然界でも珍しい「紫の実」をつける植物であり、秋ごろになると実の紫がさらに濃くなり、観賞用として親しまれているのも納得な美しい姿となります。紫式部が珍重されるのは「紫の花」を咲かせる植物は合っても「紫の実をつけ、さらに複数個実らせる植物」は非常に限られているため、植物として見てもレアと言っていい植物です。
紫式部の変異種
多種多様な変異種を持つ花
紫式部は実が特徴的な他にも、非常に変異幅が多く、また育て方も容易な為、園芸用に育て方や手入れの仕方、水やりの仕方を改良した園芸用品種や、果実が白い品種もあり、特に白い果実をつける品種は「シロシキブ」と区別されます。また「オオムラサキシキブ」という、花のみでなく実全体が大型化した品種もあると、亜種もたどっていくとキリがない植物です。
コムラサキとの見分け方
豊富な変異種と「紫の実」という特徴から、ついつい混同しがちですが「コムラサキ」と紫式部は花としては別種です。コムラサキは紫式部より全体的に小作りで、小作りな分多くの実をつける為、こちらも愛好家の多い植物です。全体のフォルムのみでなく、開花時期等も似ているため、ついつい混同しがちですが2つは別種。コムラサキと紫式部を見分ける方法は大きさの他「葉っぱ」を見ると言うのがあり、コムラサキは葉っぱの先だけギザギザしているのに対し、紫式部が葉っぱ全体がギザギザしています。
紫式部の花言葉
知的な花言葉が揃った植物
紫式部の花言葉花の由来でもある、偉人「紫式部」になぞらえ「愛され上手」「聡明」等、どこか知的なものを感じさせる花言葉が揃っています。紫式部の花言葉は「聡明」は源氏物語の著者である紫式部本人を、あいされ上手は源氏物語の主人公「光源氏」を指すとされており、どちらも小説に由来する花言葉の為、インスピレーションを得たい時などにいいかもしれません。
贈るのは少々不向き
紫式部の花言葉は「小説」に因んだものとなっており、とくに文学趣味のある方におすすめの花ですが「贈り物」には向いていません、それは紫式部の開花時期が把握しにくい他、開花時期を迎えても咲いた花自体が小ぶりで視認しにくく「渡しても気づかれない」場合があるからです。さらに紫式部は花より実を鑑賞するのがメインの為、なおさら気づかれない場合があります。紫式部の花言葉はひっそり咲く花の様に、胸の奥へしまっておきましょう。
紫式部の開花時期
開花時期は六月
紫式部の開花時期は六月、ちょうど梅雨時に開花するため、やや視認しづらい植物と言えるでしょう。紫式部は開花時期を迎えると、淡紫色の小さな花をドーム状に作り、葉と葉の間から対になって咲きます。紫式部の花は遠くからだと目視確認も一苦労と言った植物の為、開花時期になる前に紫式部の場所を覚え、そこで改めてじっくり観察してみましょう。
実を見るなら秋以降
紫式部の花は特徴も把握していても目視で見つけるのは一苦労。花ではなく実を鑑賞したいと言う場合なら、秋以降であればいつでも紫の実を観る事が出来ます。紫式部の実は9~11月ごろが最も見ごろとされており、9~11月の間であれば、紫式部の自生する場所を覚えておいたり、園芸用として育てたりしていれば、いつでも鑑賞できます。ただし紫式部の実はあくまで観賞用。食べる事も出来ますが「ほんのり甘い」位で、すごくおいしいと言う訳ではないことに気をつけましょう。
紫式部の育て方
紫式部は実から種を採取し育てるのが主となります。紫式部の種は乾燥に弱いので採取した種は早めに植えるようにし、実のなる時期に種を採取したらすぐ植えるようにしましょう。実から種を採取するときのコツは、取り出した後にしっかり水洗いし余分な果肉を落としておくこと。果肉を落とす事で乾燥を防げ、確実に芽吹かせることが出来ます。
まずは育苗用の土に
種の果肉を落としたら、いきなり花壇には植えず、まずは育苗用の土に植え込みます。このときに使用する土は赤玉土と種まき用の土をブレンドしたものがおすすめ。種は乾燥に弱いので芽が出るまでは毎日しっかり水やりし、こまめな手入れを行いましょう。芽吹いたら毎日水やりすると逆効果になることがあるので、土が乾燥してきたら水やりする、に手入れ方法を切り替えましょう。
変異種も育て方は同じ
紫式部の基本的な育て方は変異種も同じ、シロシキブやコムラサキを育てる場合も「紫式部とほぼ同じ要領」で手入れする事で確実な発芽が期待できます。またシロシキブやコムラサキは水やりの頻度や手入れ方法の他「増やし方」もほぼ同じため、増やし方で迷ったら、とりあえず紫式部と同じ増やし方をすると確実です。
紫式部の手入れ方法
紫式部に適した土壌
紫式部は水はけと水もちのバランスのいい土を好む為、水はけが良過ぎても水を含み過ぎても逆効果。鉢植えに移動する際は赤玉土:腐葉土を6:4の割合で混ぜた土をおすすめします。ほぼ均等に混ぜ合わせ、ほんのすこし赤玉土を多めにする位が適量です。割合で困った場合は市販の野菜用の土をそのまま使用すると失敗しません。紫式部はシソ科のため、基本的に野菜用の土や肥料で十分育ってくれます。
水やりのタイミング
紫式部の水やりは「やり過ぎない」のがコツ。毎日水やりはせず、鉢植えの土を見て表面が乾いていたら水やりする程度に留め、一日に何度も水やりしすぎないようにしましょう。湿り気のある環境を好む為、つねに土の表面が湿った状態を保ち、表面が乾いた時はたっぷり水やりをしましょう。
肥料を与える頻度
紫式部はそれ自体が生命力の強い植物の為、肥料を与えなくても元気に育ってくれます。肥料を与えると言う場合は、花が咲き終わり紫式部がちょっと栄養不足になるくらいの頃、秋のはじめ位につけると実をつけるさいの栄養源となってくれます。与える肥料は、油かすや魚粉などの有機肥料がおすすめです。
紫式部の増やし方
基本的に挿し木で増やす
紫式部の増やし方は挿し木がもっとも有名かつ、失敗しにくいと言われています。種まきを主とする増やし方でも増やせますが、今の紫式部はそのままに増やしたい場合は挿し木が確実。挿し木の適任時期は3~4月ごろ、前年の中で、特によく伸びた枝を10~15センチほどの長さに切り取り、土に挿すことで増やしていきます。この増やし方で切り分けた枝は、赤玉土にピートモス等を少し合わせた土に挿すのがおすすめです。
紫式部のかかりやすい病気
ガーデニングで忘れてはならないのが「植物の病気」に関する知識を持っておくこと。どれも知識があれば対処できるものばかりなので、紫式部の手入れの一つとして把握しておきましょう。
うどんこ病
「植物の風邪」といっていい「うどんこ病」に紫式部もかかる場合があります。「うどんこ病」は庭で育てる植物なら避けては通れない課題の様なもので、日当たりのの悪い場所や風通しの悪い場所に植えると、どの植物でも発生する事がある「植物全体に白い粉がかかったようになる」特に有名な病気です。
うどんこ病の対策
うどんこ病で植物に出来る白い粉は「光合成」が満足にできない状態、人間で言うなら呼吸困難になっている状態です。うどんこ病にかかってしまったら、白い粉の発生した箇所を切り取り薬剤をかける対策を行う必要があります。他にも、植物自体の位置を変え「可能なかぎり日当たりが良く、風通しのいい場所」に移す事が予防に繋がります。
カイガラムシの寄生
虫の中には植物に寄生し「養分」を吸い取ってしまう害虫も存在します。そんな害虫の代表種と言っていいのがカイガラムシで、名前の通り貝のような模様を持つ虫で、植物の株を弱らせてしまう困った虫です。さらにカイガラムシは「薬剤による駆除」が難しい虫なので、直接つかみ取って捨てていきましょう。葉の裏に卵があったら葉っぱごとちぎって捨て、虫自体が寄り付かないようにするのが重要です。
紫式部で花の思い出を
紫式部は植物全体として見ても珍しい「紫の実」が目を引く植物です。秋に自生した紫式部を眺めるのも良いですが、自分で育て方を覚え、水やりし、手入れしながら観賞する紫式部は魅力もひとしお。紫式部を育てる際は「園芸でお馴染みのトラブル」全般に気をつけ、焦らずゆったり観賞しましょう。
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紫式部以外でも、ガーデニングを行っていればかなりの確率で遭遇するのが「すす病」や「うどんこ病」等の植物自体の病気や、カイガラムシを代表とする寄生虫が寄生し、植物を弱らせてしまうと言うトラブルです。ガーデニングの際は「いろんな手入れの仕方」を事前に把握し、この手入れがダメならほかの手入れをと、柔軟に対応できるようにしておきましょう。

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