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根こぶ病とは?育てるなかで気になる病害の原因、症状から対策方法まで解説!

根こぶ病という恐ろしい植物の病気をご存知でしょうか。土壌のカビ(寄生菌)による病気で、発症してしまうと根にコブが出来て正常な生育が困難になってしまうのです。アブラナ科の白菜などに多くみられる特徴があります。この記事では、根こぶ病の原因・対策・注意点をご紹介。
2020年8月27日
sakakibara-tetuji
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農家の人々を悩ます病害「根こぶ病」とは?

土壌の中にはさまざまな細菌が潜んでいます。人に害を与える破傷風菌や、病害の原因となる植物だけをターゲットにしたカビなど、対策せずに放置していると被害は大きくなる一方です。根こぶ病とは、土壌内のカビ「根こぶ病菌」がアブラナ科の植物に寄生することで発症する病害です。白菜やキャベツなどアブラナ科の作物だけに感染する病気で、湿気が多い時期になると被害が目立つようになります。

根こぶ病菌は植物に寄生して増え続ける

根こぶ病菌の生態は、白菜などのアブラナ科の植物や野菜への寄生をくり返して、内部で激しく細胞分裂することで増殖し続けます。作物が枯れるまで寄生を続けたら、今度は別に植物が近くにくるまで土の中で待機するのです。このようにして繁殖を繰り返すので、1つでも病気の症状が発覚した野菜があれば、すぐに対応しなければなりません。

菌を放置していると数十年も生き続ける

根こぶ病の厄介なところは、白菜などのアブラナ科の野菜に寄生して次々と作物を食い物にしていくだけでなく、対策しなければ長期間にわたり土壌に住み続ける点です。寄生のターゲットとなる作物がなくなったとしても、なんと土壌内で10年から20年もの月日を、じっと待ち続ける生態があります。風に舞って別の農場へ飛ぶこともあるので、早い段階で対応することが重要です。

根こぶ病の深刻な病害とは

商品価値がなくなる

根こぶ病の病害で、農家の方々を泣かせるのは、作物の状態悪化です。味の低下や大きく育たない、といった病害があるので、商品価値は大きく下がるでしょう。とくに白菜やキャベツといった葉の可食部が多い野菜は、甚大なダメージを受けます。また、根こぶ病は1つの野菜に症状があらわれると、周囲の野菜への感染拡大が深刻。そのため、同じ畝で育てていたアブラナ科の野菜は、ほぼ全滅状態に陥ってしまい、結果的に大量のロスが発生してしまうのです。

何度も繰り返し発病してしまう

根こぶ病を引き起こす主な原因は連作障害です。正しい知識を持って、土の管理したり育てる野菜を選んだりしないと、被害の連鎖は止まらず収拾がつかなくなってしまいます。せっかく育てた農作物を守るためには、根こぶ病について、詳しく知っていく必要があるでしょう。

根こぶ病の主な症状を紹介

根に複数のこぶができる

根こぶ病かどうか見分けるのは比較的簡単です。作物の根っこに、1円玉から500円玉くらいの直径をしたコブがいくつも出来ている場合は、根こぶ病の可能性が高いでしょう。そのコブの中にカビが潜んでおり、中で細胞分裂することで、どんどん数を増やしていきます。こぶの影響で根っこが水分や栄養を土から吸収できずに、やがて枯れてしまうのが基本的な症状です。

日中元気がないと思ったら根を確認してみよう

根を見て見ない限りは、根こぶ病になってしまったかどうか判断がつきません。畑の表面上から見える症状では、日差しの強い日中のみ、作物の葉が萎れていることがあります。この症状があらわれる理由は、根にできたコブが水分の吸収を阻害するため、日の光によって乾燥した葉へ水分が届けにくくなっているからです。夜になると通常の葉の状態になるので、日夜の葉の状態を見て判断すると分かりやすいでしょう。


根こぶ病にかかってしまう原因を紹介

連作による感染

1番被害事例の多い原因が連作障害です。アブラナ科の作物を同じ畑で連続的に育てると、カビが増えて植物が感染しやすい環境になってしまいます。アブラナ科の野菜と言えば、白菜にキャベツ、ブロッコリーにカリフラワーなど人気に野菜ばかりなので、つい連作になってしまいがちです。連作を見落としている場合は、作物の育て方を一度見直してみましょう。

ハサミの使いまわしによる感染

根こぶ病のカビ菌だけに関わらず、さまざまな土壌菌の感染を予防するためには、剪定バサミや根切りバサミなどの道具を消毒することが大事です。植物に触れていなくても、土に触れたハサミは既に根こぶ病菌が付着している可能性があるので、作物に刃を入れるさい専用の消毒液で洗うよう心がけましょう。

畑に侵入した動物による感染

他に挙げられる原因は、ネズミなどの動物に畑を荒らされたさい、苗が傷つけられてしまい負傷した部分から感染してしまうことがあるでしょう。多くの畑を行き来する害獣は、その分多くの菌を持ち歩いているので、根こぶ病菌も対象の1つになります。

根こぶ病の発症を予防する対策・育て方1

根こぶ病対策は、種や苗をうえる前の段階から始めてください。予防することが最大の対策になります。ここから、根こぶ病を予防する対策・育て方を紹介します。

輪作を意識する

文中で連作障害が主な原因と述べた通り、必要となる対策は、連作をせずに輪作を心がけることです。輪作とは同じ畝に続けて同じ作物を育てる連作の逆の発想で、収穫後は別の科名の植物を育てていく方法です。白菜(アブラナ科)を育てて収穫まで終えた畝には、ピーマン(ナス科)の種や苗を植えて育てると、病気の発症率を大きく下げることが可能です。

大根だけは例外

根こぶ病はアブラナ科の植物であれば、花や雑草にまで寄生します。よってアブラナ科の野菜を連作することは控えるべきなのですが、なぜか大根だけはアブラナ科の野菜であるにも関わらず、若い苗であっても病気にかからない性質があるんです。輪作に適した野菜が見つからない時は、大根の種や苗を植えて育てることで十分な対策に繋がるでしょう。

根こぶ病の発症を予防する対策・育て方2

土壌に潜む根こぶ病菌を死滅させる

種や苗を植える前に行って欲しい対策は、土壌菌を死滅させることです。薬剤を使用しない方法では、天然の熱エネルギーによって土の中に潜む菌を死滅させていきます。用意するものは冬に使用する畝の防寒シートです。通常は寒い冬でも作物を生育させるために使用するアイテムですが、今回はまっさらな土に直接かぶせて使用します。

防寒シートで土壌菌を死滅させる方法


やり方は簡単です。まず種や苗を植える範囲に、水をたっぷり撒いてください。土が十分な水分を吸収したら、その上から防寒シートをかぶせるだけで完了。これで土の表面の温度は60度以上に上がりますので、1週間程度放置すれば、ほとんどの菌は死滅します。根こぶ病菌は土の10cmから15cmに潜んでいるので、時間をかけて熱エネルギーを与えれば、内部まで熱が届きやがて菌は消滅するでしょう。
 

根こぶ病の発症を予防する対策・育て方3

石灰を土に含めてphを調製する

根こぶ病菌は土の性質が酸性状態だと発生しやすくなります。phが4~6.5の間が最も活発化しやすく、phが7以上のアルカリ性になると、カビ菌の生命力が弱まるのです。よって土に石灰を混ぜてphを調製しておくと、長期的にカビの発生を抑えることができるでしょう。

育てる作物によっては注意が必要

栽培したい野菜によっては、石灰を使用して土壌をアルカリ性に調整すると、生育にとってデメリットになってしまいます。例えば白菜なら、適切なph値は7前後なのでアルカリ性の土が好ましいと言えますが、キャベツは6前後の中性なので、石灰を使い過ぎないようにすべきです。カビ菌の発生を抑え込むだけでなく、野菜が元気に育つ土管理にも注意する必要がありますね。

石灰の種類について

石灰とはカルシムやマグネシウムのことで、植物を元気に育てるためには必要な成分になります。ただ、畑や家庭菜園に使う石灰には色々な種類があるので、要点を抑えておくと良いでしょう。石灰を選ぶうえで知っておきたい点は、アルカリ性の強さです。生石灰は石灰岩を粉末にしたもので、最も強力なアルカリ成分です。有機石灰は甲殻類の殻を砕いたもので、アルカリ性は低くなります。畑の状態に合わせて適切な石灰を選んでください。

根こぶ病の発症を予防する対策・育て方4

病気に強いCRの種を使用する

CRゆきばな

根こぶ病が地域レベルで大流行してしまった場合は、これまでの対策や育て方では解決しないケースがあるでしょう。広範囲にわたり病原菌が萬栄してしまったら、CR種子という、根こぶ病菌の抗体をもつ種を使用します。土の表面を熱エネルギーで消毒して、輪作に加えてCR種子を起用すれば、根こぶ病の発症率はかなり低下するでしょう。

CR種子を扱う注意点

CR種子を取り扱う上で注意したい点は2つあります。1つめはコスパの問題。人工的に品種改良して作られる種は、手間と時間がかかっているため当然ながら通常の種よりも高額になります。たくさん栽培される場合は、予算と相談して決めてください。もう1つは味の微妙な違いです。抗体がついた植物は味が落ちると感じる方もいますので、CR種に頼るのは最終手段として考えるのがベターでしょう。

根こぶ病の発症を予防する対策・育て方5

畝を高く作り水はけを良くする

水はけを良くすることは、根こぶ病はもちろん、さまざまな病害を予防する基本的な対策になります。畝を高くすることのメリットは、泥ハネによる菌の飛来を防止することと、土の表面が乾きやすくなることです。菌は乾いた土の中では活動力鈍くなるので、畑の水はけは良いに越したことはありません。

垂れ下がった葉はカットしておこう


土に当たりそうになくらい伸びて垂れ下がった葉は、カットしておくことをおすすめします。そうすることで、泥ハネによる菌の飛来から作物を守ることが可能です。根こぶ病の場合は、植物の根から感染しますが、軟腐病など他の土壌菌は葉や茎から感染することがあります。さまざまな病害リスクを避けるためには、垂れ下がった葉は切断して菌に触れないようにしましょう。

根こぶ病の発症後の注意点を紹介

株は残さずに取り除く

根こぶ病の症状を出してしまった野菜を見つけたら、すぐに畑から取り除き、根の切れ端や株の残骸を残さないようにしてください。そのままにしておくと、根の中に寄生していたカビ菌は土に戻り、次に寄生する植物を狙います。できるだけ沢山の菌量を減らすために、病気を発症してしまった野菜は、畑から綺麗に除去しておきましょう。

除去に使用した道具は消毒する

病気にかかってしまった野菜に触れた道具は全て消毒するか、グローブなどの消耗品であれば新しく交換しましょう。道具の使いまわしは、連作や泥ハネに次ぐ感染拡大の原因です。根こぶ病以外の病気を招くことにも繋がりかねないので、十分注意してください。

まとめ

根こぶ病は、野菜に感染してしまうと商品が売れなくなってしまうだけでなく、正しく対策しなければ何度も再発する厄介なカビ菌です。この病気を避けるには土の管理が大切になります。種や苗を植える前に、土の状態をチェックしておくことがポイントで、スタート段階で土が良好であれば比較的発病しにくいでしょう。

植物の病気が気になる方はこちらもチェック

注意しなければならないのは根こぶ病だけではありません。モザイク病、黒点病、軟腐病など、野菜や植物にとって厄介な病気はたくさん存在します。関連記事では、各病気の原因や対策を紹介していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。