検索アイコン
エックス
Facebook
LINE

軟腐病とは?原因や対策のポイントやコツ、味や見た目がどう変化するかも解説!

大きく育てた作物が、ある日当然腐ってしまったかのように変色してしまったら、軟腐病を疑うべきかもしれません。軟腐病とは、土壌の潜む病原菌が植物にできた傷口から侵入することで発症する厄介な病気です。原因や対策のコツ、味や見た目の変化など、まとめて解説します。
2020年8月27日
sakakibara-tetuji
※商品PRを含む記事です。当メディアはAmazonアソシエイト、楽天アフィリエイトを始めとした各種アフィリエイトプログラムに参加しています。当サービスの記事で紹介している商品を購入すると、売上の一部が弊社に還元されます。

この記事で紹介しているアイテム

コサイド3000

軟腐病とは

軟腐病とは、土壌に潜む細菌「Pectobacterium carotovorum(ペクトバクテリウム カロトボラム)」が、野菜など農作物に感染することで発症する病気です。白菜やレタスなど葉に包まれた野菜に感染しやすい特徴があります。それ以外の植物では、じゃがいも、ピーマン、トマト、大根、ブロッコリー、ズッキーニなど、根菜類から果菜類まで感染の対象は幅広くあります。珍しい病気ではないので、毎年梅雨入りから秋ごろにかけて流行します。

軟腐病にかかると見た目や臭いに異変が

さまざまな野菜に発症してしまう軟腐病ですが、この病気にかかってしまうと、見た目と臭いに大きな悪影響が及んでしまいます。まず見た目は、初期段階では葉の色が黄色がかり、次第にどす黒くなって最終的に枯れてしまいます。そして、触った感触はヌメヌメします。さらに臭いを嗅いでみると、腐ったような悪臭を放っていることが分かります。当然出荷することが出来ない状態なので、軟腐病は農家の人々を困らせる厄介な細菌なのです。

軟腐病についてもっと詳しく知る

家庭菜園に初めて挑戦される方の中には、大事に育てた野菜が原因不明の変色や悪臭を放ってしまった、そんな経験がある方も少ないくないでしょう。もしかするとそれは軟腐病かもしれません。この記事では軟腐病を発症する原因と対策、人間に対する害などを分かりやすく紹介していきます。

軟腐病が発症する原因について

軟腐病にかかってしまう原因は、植物の茎についてしまった傷口から、軟腐病の細菌が感染することで発症します。例えば、害虫によって傷つけられた茎や葉から、多量の細菌が侵入することで感染率が高くなります。また、草刈や芽かきの最中に、農作物に誤って傷をつけてしまった場合でも、それが感染経路になることがあります。他には、肥料(窒素)の与えすぎで起きる茎の軟弱化により、簡単に傷が出来てしまうことも原因の1つでしょう。

細菌の増殖と植物の傷口がポイント

軟腐病にかかる原因は、1つは植物に傷が入ってしまうこと、もう1つは細菌が活発になる土の環境にあります。軟腐病の細菌はどこにでいる菌なのですが、ごくわずかな量では感染しないと言われています。細菌が増殖しやすい土の環境とは、水はけの悪い環境です。軟腐病の原因をまとめると、植物に傷が入りやすい状況で尚且つ土が常に湿っている環境にあることが、発症する主な原因のポイントだと言えるでしょう。

軟腐病の治療は難しい

農作物が軟腐病を発症さえてしまうと、基本的に回復は難しい言われています。ということで、軟腐病は防ぐことがとても重要です。ここからは軟腐病を予防する対策術を、コツやポイントを抑えて紹介していきます。

軟腐病対策1:乾燥

最初に行ってほしい軟腐病対策は、土の状態を確認することです。軟腐病の根源は細菌なので、菌は水分が少ない環境では生存することができません。したがって、水はけのよい土壌を作ることが効果的な対策のコツになります。

畝(うね)の高さに余裕を持たせる


畑で大量の野菜を生産している方は、畝の高さに注目してください。コツは畝を高くすることで、地際部に湿気が溜まりにくくなり、作物が細菌に触れる機会を減らすことが出来ます。畝が低すぎてしまうと、作物と土壌の距離が近すぎて水はけの悪い状態になってしまうので、感染率も高まります。したがって畝の高さは、地表から15cm以上離して作るようにしましょう。

穴を掘って砂利を敷き詰める

もともと水はけの悪い土地では、畑を耕す段階で、穴を掘って砂利を敷き詰める方法が効果的です。広い敷地での穴掘りは、コツを掴んだ玄人でさえ厳しい重労働になりますので、あらかじめ穴掘り機などの道具をそろえておくのもコツです。小規模な家庭菜園やプランター栽培では、定番の水はけ改善方法になります。

軟腐病対策2:防虫

土壌の水はけを良くして、細菌の増殖を抑えたら、今度は細菌の侵入口となる作物への傷対策に入ります。雑草狩りや芽かきなど、人間の手によってついてしまう傷は、よく注意すれば防ぐことが可能です。問題となるのは、害虫による噛み傷です。

農薬で害虫駆除

虫食い痕は、病気を引き起こす原因になるだけでなく、見た目が悪いといった理由で出荷できないこともあるので、しっかり対策したいポイントです。害虫駆除の基本となる農薬を使って、虫の発生を抑えましょう。栽培している作物の種類と、農薬の効果をよく確かめ、必要な薬品を厳選して散布してください。

シルバーマルチで虫除け対策

畝の表面いびっしりと敷かれたシルバーマルチは、雑草の発生を抑制するために使われますが、ギラギラに輝くシルバー色の素材が虫に除けに効果的だと言われています。光が反射するように、シワを少なく張ることがコツです。シルバーマルチは、軟腐病だけじゃなく、さまざまな病気やトラブルを予防することが出来るのでおすすめの対策です。

家庭菜園ではシルバーテープも効果大

シルバーテープとは、キラキラ光るビニールテープのことで、作物の周辺に張り巡らせておくだけで害虫を寄せ付けない効果が期待できます。シルバーマルチを施す規模の畑ではない場合、シルバーテープの活用を候補に入れてみてください。薬品による防虫や、テープなどの物理的な防虫など、虫除け対策はいろいろな方法があるので、状況に合わせて適当な対策を行うことがポイントになります。

軟腐病対策3:土壌の管理

もう一つ、軟腐病を予防する対策として知っておきたいことは、土の状態です。水はけが悪いと細菌が活発化するとお伝えしましたが、まだ他にも、発症の可能性を抑える土の管理方法があります。

土壌のphを計測する

軟腐病の土壌菌が活発に動き始めるのは、土の水分が多いことと、もう一つは土のphが6~7の数値であることです。ph6前後(中性の土)というのは、野菜にとっても菌にとっても生きやすい環境です。しかし作物によっては、ph5以下が最適な環境である場合もあります。栽培中の作物に適したph値を知って、6以下に下げることが可能であれば、軟腐病の菌が生きづらい土性に設定してみましょう。

肥料(窒素)を与えすぎない


肥料(窒素)を与えすぎてしまった作物は、窒素過多になってしまい、茎の皮が薄くなり、なかの水分量が増えることで破れやすくなってしまいます。また肥料が細菌の成長を助けてしまうこともあるので、堆肥のしすぎは注意が必要です。このような小さなケアを意識してあげることがポイントで、軟腐病をはじめ様々な病原菌から作物を守ることが出来るでしょう。

軟腐病対策4:再発防止

一度でも軟腐病にかかった野菜を発見した場合、正しい対処をしなければ、かなりの確率で再発することが予想されます。厄介な軟腐病を繰り返さないためには、再発防止について知識を深めることがポイントです。

感染した野菜は燃えるゴミで処分する

軟腐病だと気付かずに、腐ってしまった野菜を畑に捨ててしまうと、そこから細菌が畑の広範囲に広がってしまいます。発病した野菜が大量の場合は、ゴミとして処分することが面倒に感じてしまいますが、畑に放置することなく、完全に燃やしきって病原菌を消滅させてください。

軟腐病が出た部分では連作を控える

軟腐病があらわれてしまったポイントには、既に大量の菌が潜んでいます。同じ場所に同じ作物を続けて栽培した場合、高確率で再発してしまうでしょう。次の栽培を行う場合は、翌年まで苗植えを控えるか、土壌消毒をして、土に潜む病原菌を消滅させる対応を取りましょう。

ハサミなどの道具も消毒が必要

軟腐病の症状が軽度だった場合は、傷んだ部分をハサミで切断して回復を待つことがあります。ただし注意しなければいけないのが、使用したハサミを洗わずに他の作物に使用することです。感染力の高い軟腐病は、切り口から簡単に侵入・感染することができてしまうので、作業で使用した器具の消毒も忘れずに行ってください。人間の不注意で感染してしまうことがないように、しっかり心がけていきたいですね。

軟腐病に効果的な農薬(予防)を紹介

上記で紹介した対策を行っても、不安が生じる場合は、軟腐病の予防を助ける農薬の使用をおすすめします。予防に効果的な農薬は住友化学園芸の「ヤシマストマイシン液剤20」が効果を発揮するでしょう。

ヤシマストマイシン液剤20

ヤシマストマイシン液剤20は水で薄めて散布します。白菜に使用する場合、1000倍から2000倍になるまで薄めて、収穫の2週間前までに散布してください。すでに軟腐病が発生してしまった所を中心に散布することで、次に育てる野菜への再発防止になります。再発が不安な方はヤシマストマイシン液剤20を使ってみてください。ただし使用回数は3回という制限付きなので、やりすぎないように注意が必要です。

軟腐病に効果的な農薬(治療)を紹介

農薬は基本的に、害虫や感染症から作物を守る予防薬です。治療目的で使用されることはあまりないのですが、治療効果のある農薬として挙げられるのが「コサイド3000」です。100%完治する保証はありませんが、症状が回復する例もあります。

コサイド3000


コサイド3000

コサイド3000は、水で500倍から2000倍に薄めて散布します。軟腐病では予防に加えて治療効果もあると言われていますが、必ずしも治療がうまくいくわけではないので注意してください。またさつまいもなどの萌芽種の芋に使用すると、薬害が生じるため散布を控えてください。治療がうまくいったとしても、収穫後にゆっくりと時間をかけて再発する可能性があるので、出荷時する前に状態を再度チェックしましょう。

軟腐病にかかった野菜は食べれるの?

軟腐病の野菜はどんな味がするのか、人間が食べても平気なのかという疑問について、お答えしたいと思います。結論としては、見た目が腐った悪臭のする葉部分を食べても、人間に直接的な害はありません。食べることは可能ですが、味は保証できません。まずヌメヌメした葉や果実の見た目と、鼻をつまみたくなるような臭いが、食べる気にさせないでしょう。

味は美味しくない

病気が進行した野菜では、まず口に入れる前から拒絶反応が起こるはずです。味に旨みはなく、腐った野菜を食べているのと同じです。病気の進行が浅く軽症だった場合でも、味はかなり落ちます。見た目は普通でも、一度軟腐病にかかった白菜やレタスの味は極端に低下しますので、人間に害はなくても食べるのは現実的ではないでしょう。

まとめ

軟腐病は、人間の手によって予防することが1番の対処方法になります。細菌が増殖しやすい環境を知って、土づくりに工夫をこなしていきましょう。また植物の茎に傷が出来ないように、害虫対策に注力することも忘れずに。植物に感染する病原菌は、人間には悪さをしません。よって治療して収穫することも不可能ではありませんが、再発防止が最も重要な対応なので、感染してしまった作物は焼却処理することが賢いでしょう。

作物の病気が気になる方はこちらもチェック

野菜や果物を栽培するうえで、気にしなければならないことは、軟腐病対策の他にもたくさんあります。関連記事では、ガーデニングなど身近なシーンで起こりえる、作物の生育トラブルについて解説しています。気になる方はぜひチェックしてみましょう。