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【イネ科一覧】花粉やアレルギーなどでも気になるイネ科の種類をご紹介!

花粉アレルギーの原因として有名なのはスギやヒノキですが、春から秋の時期にかけてのイネ科植物もアレルギーを引き起こします。一方、イネ科は昔から人の生活に密接に関わり野菜などとして利用されてきた植物でもあります。この記事ではイネ科植物の種類について紹介します。
2020年8月27日
cyoki
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イネ科とは

イネ科は単子葉植物の一大グループのひとつで、約700属8000種を有するとされています。海のそばから高地、赤道から南極、湿地から砂漠まで、あらゆる環境に繁茂しています。姿かたちとしては、茎には節があり中は空洞で葉は互い違いに付き、葉脈が平行に並びます。花に花びらがない代わりに穂を形成することも特徴的です。野菜として利用される場合はこの穂の部分を収穫することが多くあります。丈は数センチから数メートルまでさまざまです。

広く繁栄していることからもわかるように、イネ科の植物は強く丈夫でよく増殖します。草原を構成する植物はイネ科がほとんどです。分類は諸説ありますが、系統ごとに大きく3つに分かれ、タケやムギを含む系統群と、ススキやトウモロコシ、ヒエなどを含む系統群、そしてその他のばらばらな種類があるとされています。

イネ科の植物と人との関わり

イネ科の仲間はわたしたち人間が古くから利用し生活の基盤にしてきた植物でもあります。例えば、イネ科という言葉から真っ先に日本人が思い浮かべるのは稲でありお米です。稲のような穀物や野菜など食料として利用されるほかにも、さまざまな日用品や住居の建築材料として使われたり、ときには観賞用として庭園などに利用されたりもします。

イネ科の種類1-1、野菜として利用される植物【穀物】

イネ(稲)

学名はOryza sativaと書き、アジアイネとも呼ばれます。諸説ありますが、日本には3000年ほど前に九州へ伝わりました。稲作は日本文化に強く影響しており、稲収穫への思いを原動力に農機具や栽培技術が向上したほか、鳥獣除けの工夫として、虫追い、鳥追い、カカシなどの多様な文化が生まれました。稲からお米を取り除いたワラからは注連縄などの細工品が生まれました。稲から収穫したお米を醸した米麹からお酒の文化も発展しました。なお、イネはもともとは多年草であることは意外な事実かもしれません。
 

コムギ(小麦)

米、トウモロコシと並ぶ世界三大穀物のひとつで、パンや麺類など幅広く加工されます。一年草で、通常は秋の時期に播種して初夏に収穫します。日本へ伝わったのは2000年前頃ですが、庶民が粉食品を普通に食べられるようになったのはひき臼が普及した江戸時代になってからでした。その時期には稲の裏作として小麦栽培が盛んになりましたが、現在では海外から安価な小麦粉が手に入るようになり栽培は減少しています。

イネ科の種類1-2、野菜として利用される植物【穀物以外】

トウモロコシ(玉蜀黍)


野菜としての人の食料や家畜のエサ、デンプン(コーンスターチ)、オイル、バイオエタノールの原料としても重要な植物です。原産はアメリカ大陸で原住民にとっては大切な主食でした。アメリカ大陸の各地の伝承に多く登場し、トウモロコシの一粒一粒には神が宿るとされています。日本へは大正時代にポルトガル人によって伝えられました。春の時期に芽を出し、初夏に花を咲かせ花粉を飛ばして、夏から秋に結実、収穫します。
 

サトウキビ(砂糖黍)

サトウキビは砂糖の原料であり、日本では沖縄県や南西諸島の基幹作物のひとつです。成長すると3mほどの高さになります。畑一面のサトウキビが、ざわわ、と風になびく様子は南の島の風物詩で、収穫時期である1~3月には家族総出で刈取りが行われます。さとうきびは光合成の過程で二酸化炭素を多く吸収するので、地球温暖化対策にも有用といわれています。また、絞りカスはバイオ燃料などとしても広く活用されます。
 

イネ科の種類2、道具や建築材に利用される植物

タケ(竹)

タケという呼称は特定の種類を指すものではなく、イネ科タケ亜科のうち見た目が樹木に似たいくつかの系統を便宜的に指すものです。日本では150~600種類ほど当てはまるといわれています。タケは強くしなやかで成長も早く3年で材として十分に利用できるため、非常によく利用されてきました。木でいう「幹」の部分は家屋の建築資材など、枝の部分は編んで竹かごやほうきなどに活用されます。また、芽であるタケノコは野菜として利用できます。観賞用として植栽される種類もあります。
 

ススキ(芒)

高さが1~2mほどになるイネ科の多年草です。チガヤやスゲなどとあわせて「茅(かや)」と呼ばれ、かやぶき屋根の材料として利用されてきました。昔は集落ごとに必ずススキ草原が設けられ「茅場」として管理されていましたが、今は多くが雑木林となってしまっています。文化的には、十五夜のお月見ではススキとハギを飾る風習があることや、尾花という表現で和歌などに登場することから、身近な植物であったことが分かります。
 

シバ(芝)

シバは公園や運動場などの芝生に利用されるイネ科の多年草の総称です。イネ科シバ属だけでなくいろいろなイネ科植物が利用されます。共通する特徴としては、ほふく茎などで株を増やすことで密生し、草丈が低く、踏まれても平気で刈るほどに成長することです。日本で芝生に多用される種類には、ノシバ、コウライシバ、ヒメコウライシバ、バミューダグラス(ギョウギシバ)などがあります。
 

イネ科の種類3、飾りや観賞用として利用される植物

シロガネヨシ(白銀葦)

庭木や公園の植栽としてよく知られている多年草のひとつです。道路の分離帯などに植えられることもあります。パンパスグラスとも呼ばれ、アルゼンチンの大草原(パンパス)に生える草(グラス)の意をあらわしています。高さは2~3mほどで、ススキをもっと派手にしたような風貌から「お化けススキ」といわれることもあります。秋の時期に大きな白銀の花穂が目立ちます。
 

ササ(笹)


イネ科タケ亜科のうち、丈が低くて茎も細い複数の種類がタケと区別してササと呼ばれます。年中青々とした見た目が観賞用として好ましいほか、土が流れるのを抑える効果もあります。葉に防腐効果があることから、魚料理やちまき、お菓子などに添えられることも多くあり、「笹かまぼこ」「笹だんご」も馴染みのある食品です。また、七夕の笹飾りとしても多くの人から親しまれています。
 

イネ科の種類4、家畜の飼料や牧草

ネズミムギ(鼠麦)とホソムギ(細麦)

ネズミムギはイタリアンライグラス、ホソムギはペレニアルライグラスとも呼ばれ、ヨーロッパから輸入された植物です。ネズミムギは一年草または越年草、ホソムギは多年草です。非常に交雑しやすく、両方の特徴をあわせもつ個体が多くみられます。双方とも草丈が30~100cmとなり、見た目は全体的にすらりとした印象です。牧草として栽培されるほか、道路の法面に利用されることも多くあり、雑草化して道端や公園などにも多く発生しています。麦畑に混入すると姿が似ていることもありとても厄介な雑草になります。
 

カモガヤ(鴨茅)

オーチャードグラスとも呼ばれる多年草です。牧草として家畜の食いつきも良い一方で、花粉アレルギーの原因としても影響力の強い種類です。ヨーロッパから輸入された植物で、道路の法面緑化にも広く使われます。雑草化して人里に大群落を作り、大きいものは1mにも育ちます。耐寒性が強く、夏にカモの足のようなもこもことした花序をつけます。葉はやや青っぽい色をしています。
 

オオアワガエリ(大粟返り)

チモシーとも呼ばれ、ウサギのエサとしてもよく知られる多年草です。丈は0.5~1mほどで、初夏にまっすぐ上に直立した円柱状の花穂をつけます。ヨーロッパから牧草として日本へ持ち込まれましたが、現在は道端などにも広く分散し雑草化しています。観賞用として、水盤にオオアワガエリの種を蒔き、細く鮮やかな緑の芽がまっすぐ上に伸びるのを楽しむこともあり、その様子から「絹糸草」と呼ばれることもあります。
 

イネ科の種類5、雑草

オニウシノケグサ(鬼牛の毛草)

0.5~2mの高さになるイネ科の雑草です。ヨーロッパから日本へ牧草や法面緑化のために持ちこまれました。しかし、日本にもともとある貴重な植物を駆逐しながら繁茂してしまうことから、現在は外来生物法で要注意外来生物として指定され、日本生態学会には日本の侵略的外来生物ワースト100に選ばれています。
 

ハルガヤ(春茅)

草丈は30~40cmほどの多年草です。ヨーロッパから牧草の用途で日本へ持ち込まれましたが、現在は道端などへ広く雑草化しています。バニラのような甘い香りがあるのが特徴で、乾燥させると香りはさらに強くなります。香りのもとはクマリンという成分でありこれは桜も持つものなので、ハルガヤの香りはしばしば桜餅の匂いにも例えられます。
 


スズメノテッポウ(雀の鉄砲)

草丈は30cm前後で水田に多くみられる雑草です。春の時期につける5cmほどの棒状の花穂が特徴的でよく目立ちます。「雀の鉄砲」という和名は、この花穂をスズメの抱える鉄砲に見立てて名づけられたとされています。また、草笛としてもよく知られ、花穂の部分を引き抜いて口にくわえて息を吹き込むと、ピーという音を奏でることができます。

イネ科植物の花粉とアレルギー

そもそも植物は花粉がめしべに付くことで受粉します。ハチなどによって花粉が運ばれる虫媒(ちゅうばい)に対して、風によって花粉が運ばれるのは風媒花(ふうばいか)と呼ばれ、イネ科植物は風媒花です。風媒花のほとんどは虫媒花に比べて虫を誘引する必要がないため、花は芳香も蜜もなく、一見咲いているとは分からないほど地味なのが特徴です。風に飛びやすく小さく軽い花粉を大量に生産します。
 

風媒花の植物は花粉アレルギーの要因となります。イネ科は、スギやヒノキの次に花粉アレルギーを引き起こす植物です。イネ科の花粉アレルギーは古くから記録があり、春から秋の時期にかけて発生することから夏かぜと間違えられることも多かったようです。カモガヤやオオアワガエリのほか、ほとんどのイネ科植物の花粉がアレルギーを引き起こすため、マスクなどで花粉を吸入しないようにすることが重要です。なお、イネ科とは別にキク科の植物も花粉アレルギーの原因となります。
 

まとめ

いかがだったでしょうか。イネ科の植物について詳しく紹介してきました。イネ科の植物は、花粉を大量に風に飛ばして花粉アレルギーを引き起こす原因として知られています。一方で、イネ科は種子植物のなかでも非常に大きいグループであり、どんな場所でも成育し、たくさん広がる丈夫な植物であり、古くから穀物や野菜などの食料や建築材などとして人類の暮らしと密接に関わり、食や文化にも大きな影響を与えてきました。人の生活を支えてきてくれたイネ科植物と今後も上手に付き合っていけたらよいですね。
 

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