クエン酸が洗濯洗剤に?汚れ落としの仕組みとは
スポーツドリンクやサプリメントに含まれるクエン酸。この成分はレモンやグレープフルーツなどの柑橘系の果物に多く含まれており、疲労回復や夏バテ防止に効果的です。
最近では、シンクの水垢落としにも使用され、環境に配慮した自然由来の成分として注目されています。さまざまな面で活躍するクエン酸ですが、なんと洗濯洗剤としても効果を発揮するのです。
アルカリ性の汚れにアプローチ
クエン酸は「酸性」の性質をもっていますので、アルカリ性の物質(汚れ)を分解する働きをします。アルカリ性の汚れと言えば、キッチンやバスルームなどに付着した水垢や石鹸カスが代表的です。
クエン酸は、すでに水回りの洗剤アイテムとして有名ですが、クエン酸を洗濯機に投入することで、衣類についたアルカリ性の汚れを中和してくれる効果が期待できるのです。
衣類につくアルカリ性の汚れとは
「衣類につくアルカリ性の汚れとは?」少し疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。アルカリ性の汚れといえば、水回りのステンレスにつくようなもの、というイメージが普通でしょう。しかし、あまり気にする機会はありませんが、衣類にもたくさんのアルカリ性汚れついているのです。
衣類のアルカリ性汚れは臭いが多い
魚肉卵の生臭いニオイ、尿、タバコのヤニ、洗濯洗剤の残りカス、などはアルカリ性の汚れかつ、衣類にしみ込みやすいものです。
調理中に衣類へしみ込む食品の臭いや、たばこの臭い、小さい子供がいる家庭ではトイレに慣れていない子の尿の飛び散り。これらの臭いは全て、酸性で中和しなければ綺麗に落とすことは出来ません。
クエン酸と普通の洗剤の違いとは
一般的な洗濯用洗剤とは、アルカリ性の性質を持っています。ということは、反対の性質の酸性汚れしか落とすことが出来ません。ただし、衣類の汚れのほとんどは汗によるものです。汗は酸性なので、市販で売られている洗濯洗剤の多くがアルカリ性というのは理にかなっていると言えるでしょう。
大きな違いは分解できる汚れの種類
クエン酸と普通の洗濯洗剤の大きな違いは、ターゲットとなる汚れの種類にあります。通常の洗濯洗剤(アルカリ性)のみを使い続けていると、次第に酸性以外の汚れが蓄積されてしまい、洗っても洗ってもアルカリ性独特の臭いが残ってしまいます。
そこで、時々クエン酸(酸性)を使って洗濯することで、溜まったアルカリ性汚れを分解します。
クエン酸洗濯のメリット&デメリットを紹介
クエン酸洗濯のメリット
クエン酸のよる洗濯のメリットは、自然由来の洗浄成分が環境に優しいという点があります。もともとは果実に含まれる成分ということもあり、触れたり万が一口にいれても、化学薬品と比較すれば断然安全です。
子供やペットがいる家庭では重宝するでしょう。またクエン酸には殺菌効果があると認められており、食肉の冷凍加工のさいに使用されることもあります。環境に優しく、殺菌効果も期待できる点がクエン酸で洗濯するメリットです。
クエン酸洗濯のデメリット
クエン酸で洗濯するデメリットは、あまりありません。強いて挙げるなら、通常の洗濯洗剤と混ぜて使うことができないので、洗濯に時間をかける必要があるということでしょう。また、薬局などで販売されているクエン酸は基本的に無臭ですが、嗅覚が敏感な方は若干臭いが気になるかもしれません。
クエン酸で洗濯する方法を紹介
クエン酸を洗濯洗剤に使用する理由と仕組みが理解できましたか。ここからは実際に、クエン酸を使って洗濯を行う方法・注意点ついて紹介していきます。クエン酸の正しい使い方を知って、日々のお洗濯を楽しい時間に変えていきましょう。
クエン酸の使い方は3種類
クエン酸で洗濯すると言っても、クエン酸の使い方は1つではありません。普通の洗剤を使用せず、1からクエン酸で衣類を洗っていく使い方。衣類のごわつきを抑える、柔軟剤としての使い方。
洗濯槽クリーナーとしての使い方。などなど、洗濯時におけるクエン酸の使い方は豊富にあります。この記事では、洗濯でのクエン酸の使い方を3つご紹介します。
クエン酸で洗濯する方法1:洗剤として使う
まずはじめに紹介するのは、洗濯洗剤を使わない、クエン酸だけを使用した方法です。普段取り除くことが出来ないアルカリ汚れを、クエン酸の力で取り除いていきます。何回洗っても臭いが落ちないタオルなど、雑菌が蓄積した洗濯物に効果的です。
手順を解説
クエン酸で洗濯するといっても、難しいことはありません。いつも通りの手順で洗濯に洗いものを入れて、スイッチを入れてください。水が流れ出したら、このタイミングで、通常の洗剤の代わりにクエン酸を投入していきます。
クエン酸の量は、水30リットルに対して30gの粉末クエン酸を使います。粉洗剤を使うときのように、洗剤投入口へクエン酸を入れて溶かし入れてください。すべて入れ終わったら、あとは自動でおまかせ。脱水して干したら完了です。
効果を解説
洗濯洗剤を使わないで、1からクエン酸のみで衣類を洗濯する効果とは。除菌が主な効果になります。Tシャツ、下着、タオルなど洗濯物にもいくつかの種類がありますが、タオルに関しては時間の経過と共に嫌な臭いが発生しがちです。
その理由は、タオルに限っては使用後に濡れたまま干しているからです。その間に雑菌が増殖して、臭いの原因を作ります。アルカリ洗剤だけでは落としきれなかった雑菌を、クエン酸で除菌することが出来るのです。
クエン酸で洗濯する方法2:柔軟剤として使う
次に紹介する方法は、クエン酸を柔軟剤として使用する方法です。除菌効果も期待できるクエン酸ですが、なんと洗濯物を柔らかく仕上げる効果もあるので、柔軟剤としての使い方もしっかり知っておきたいですね。
手順を解説
まずはじめの手順は、洗濯機に衣類を入れて、通常の洗濯用洗剤を投入して運転開始してください。ここまでは普段のお洗濯どおりです。次の手順は、すすぎ段階に入り水が透明になってきたら、一度洗濯機を止めてください。
このタイミングでクエン酸を投入します。クエン酸の量は、水30リットルに対して粉末クエン酸を3g入れます。あとは通常取り脱水まで行い干したら完了です。この方法ではクエン酸を入れるタイミングが重要です。
効果を解説
クエン酸を柔軟剤として使う効果とは。アルカリ性の洗濯洗剤を使用した衣類は、アルカリ洗剤のカスが付着してしまいます。目には見えませんが、この洗剤残りが衣類のごわつきの原因だと言われています。
冒頭で解説したように、アルカリ性は酸性で中和することが可能です。よって、すすぎのタイミングでクエン酸を入れて、衣類についたアルカリ洗剤を落とすことで、柔軟剤を使ったような柔らかな仕上がりになります。
クエン酸で洗濯する方法3:洗濯槽を洗う
まだまだクエン酸の活躍する場面は残っています。なんとクエン酸は、衣類の他に洗濯機本体を洗うことも可能なんです。洗濯機の掃除頻度が低い方は必見、簡単に試せる方法なので是非チェックしてみてください。
手順を解説
最初の手順は、まずゴミ取りネットを外して、洗濯機の淵の限界まで水をはってください。このタイミングで粉末クエン酸を投入してください。クエン酸の量は、水50リットルに対して粉末クエン酸を20g~30g入れていきます。
あとは通常の洗いコースで最後まで空回しましょう。手順は以上になります。クエン酸の量は特に決まりがないので、汚れ度合いに応じて調節してください。
効果を解説
洗濯層の中は、常にアルカリ洗剤の水溶液にさらされています。ということは、洗濯層の中に酸性の汚れはほとんど蓄積していないことが理解できます。
逆にアルカリ性の物質は溜まる一方ですので、酸性のクエン酸を入れて空回しすることで、洗濯層の中の洗剤カスなどの汚れを落とすことが出来るのです。
塩素系漂白剤の洗浄力に抵抗がある方は、まずは優しい洗浄成分のクエン酸から試してみることをおすすめします。
クエン酸で洗濯するときの注意点について
クエン酸は色々な用途に使える便利なアイテムですが、使い方を誤ると大変危険な状態になってしまうことがあります。最後にクエン酸で洗濯する際の注意点をご紹介します。
クエン酸の使用頻度はたまにでOK
クエン酸で洗濯できるとお伝えしましたが、日常的に使用することは控えるべきでしょう。クエン酸は、タオルに染みついた臭いなど、通常洗剤で落とせない汚れ・臭いを落とす、あくまで補助的な役割をこなします。
洗濯物の汚れは汗や泥がメインなので、この違いを理解して、普段使いの洗濯洗剤もこれまで通り使っていきましょう。衣類(特にタオル)の臭いがとれなくなってきたな、と感じたタイミングでクエン酸を使うと程よいでしょう。
普通の洗濯洗剤と混ぜて使用しない
クエン酸と洗剤との違いや、クエン酸を入れるタイミングが分からなかった場合。面倒だからといって、洗剤とクエン酸を混ぜて使ってしまうと、中和することによって双方の洗浄効果が減ってしまいます。
せっかく洗濯しても、ぜんぜん汚れが落ちないという結果になりかねないので、洗剤とクエン酸の効果の違いを知ることが大切です。
クエン酸に絶対混ぜてはいけない物
天然由来の成分として人体に害のないクエン酸ですが、塩素系漂白剤と混ぜてしまうと、体に有毒がガスが発生してしまう危険があります。洗濯する過程の中で、塩素系漂白剤を使用するタイミングはまずありませんが、念のため頭に入れておくと良いでしょう。
まとめ
クエン酸は、毎日の洗濯で落とすことができない、アルカリ性の汚れや臭いを落とすことが出来ます。使い方は3通りあり、クエン酸で洗濯物を丸々洗い、タオルにしみ込んだ臭いをとる方法や、柔軟剤として繊維についたアルカリ物質を中和する方法。
そして、洗濯槽も洗うことが可能です。クエン酸は、他の薬品と混ぜることなく、単品で使いましょう。また、クエン酸に頼りすぎることなく、洗濯洗剤とバランスよく使っていくと、洗濯物は、より綺麗な状態へ仕上がるでしょう。
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