コーヒー染めとは
染物と言えば、カラフルな色合いが特徴的な化学染料や、自然な仕上がりになる草木染めなどが有名です。
あまり知られていませんが、実はコーヒーの色素を染料として使用すると、布などさまざまなアイテムを染めることが可能なんです。使うコーヒーは豆から炒ってもインスタントでも大丈夫、残りカスでも色素が残っていればしっかり染色することができます。
コーヒーを使って染物をDIYで作ってみよう
コーヒー染めは、お金をかけることなく気軽に染物が試せます。仕上がりは、淡いブラウンが不規則な模様を描くように色付きます。その見た目は、まるで数十年前の古物を思わせるようなデザインに変貌します。
衣類はもちろん、布製の小物やバッグ、紙や木などのアイテムまで染めることもできてしまいます。そんな魅力あふれるコーヒー染めについて、手順や注意点など気になる部分を紹介していきます。
コーヒー染めに必要な道具を紹介
この記事では、衣類(Tシャツ)の染め方を例にご紹介。コーヒー染めには、基本となる3つの手順があります。染料を衣類にしみ込ませやすくする下準備、つぎに生地に染料を漬けていく染色、さいごは色落ち予防効果を与える色止め加工。それぞれのステップごとに必要な道具を紹介します。
下準備に必要な道具
大きめの桶、豆乳もしくは牛乳1リットル、水1リットル、染物にするTシャツ。この4つの道具を用意してください。染める対象物がハンカチなどの小さい物では、豆乳と水の量は半分の500mlで構いません。
染色に必要な道具
インスタントコーヒー大さじ3杯、水2リットル、大きめの鍋、箸もしくはトング、この4つの道具を用意してください。染色の過程ではインスタントコーヒーが飛び散っても大丈夫な服を着て作業するか、エプロンがあると安心でしょう。
色止めに必要な道具
ミョウバン100g、水2リットル、大きめの桶、この3つの道具を用意してください。桶は下準備で使ったもので構いません。ミョウバンは色止め効果を発揮しますが、ない場合は塩でも代用可能です。
コーヒー染めの手順1:下準備
下準備は、豆乳に衣類を漬け込み、豆乳に含まれるタンパク質を繊維の細かい部分にまで浸透させます。こうすることで、タンパク質が染料(コーヒー)の色素を効率よく吸収する効果があらわれます。
よって、Tシャツなどの布から、しっかりとした染物を作りだすことが可能なのです。木や紙など、色素がしみ込みやすいアイテムは下準備不要ですが、布製品を染色する場合はタンパク質を含ませる下準備がとても重要な役割を果たします。
下準備の具体的な方法
Tシャツが入るくらいの大きめな桶に、豆乳と水を1:1で入れてかき混ぜます。そこへ染色したい衣類を漬け込み、1時間ほど寝かせておきましょう。1時間後Tシャツを取り出したら、固く絞って日陰干しをします。
半日から1日かけて、完全に乾いたら下準備はOKです。急いで乾かしたい場合は、脱水機を使用する方法もありますが、洗濯機が豆乳くさくなってしまうので、自己責任でお願いします。
コーヒー染めの手順2:染色
続いては、コーヒーの色素をTシャツに染色していく作業に入ります。まずは鍋に水2リットルを入れて沸騰させます。次に火を弱火にして、インスタントコーヒーの粉末を大さじ3杯投入したら、良くかき混ぜていきます。
鍋に大量のコーヒーが出来上がったら、最後に下準備したTシャツを入れて1時間ほど漬けておきます。このさい、箸やトングでマメにかき混ぜておくと、コーヒーが均一にしみ込み仕上がりが綺麗になります。
コーヒー豆の残りカスを使用する場合
ドリップコーヒーの残りカスを再利用する場合は、沸騰した湯に残りカスを入れて、色素を取りだします。湯の色が茶色く変化してきたら、一度ザルなどでコーヒー豆を取り除いてください。
残りカスをそのままにして加熱を続けると、なべ底が焦げてしまったり、染物に付着することでまだら模様に仕上がったりしてしまいます。簡単に作業を進めたいなら、湯に溶けるインスタントコーヒーの粉末を使うことをおすすめします。
コーヒー染めの手順3:色止め
衣類に色が入っても、まだ完成ではありません。このままでは、洗濯するごとに染色した色が次第に落ちてしまうので、色止めという色落ちを防ぐ効果のある加工を施す必要があります。
とはいえ複雑なことはなく、ただミョウバン水に漬けておくだけなので簡単です。色止めの仕組みは、ミョウバンの中に含まれる金属イオンが布の繊維と結びつくことにより、染料と生地が離れにくくなる。洗濯後の色落ち防止効果が期待できるということになります。
色止めの具体的な方法
Tシャツがブラウンに色づいてきたら、火を止めてTシャツを取り出して、大きめの桶に仮置きします。そこへミョウバンと水2リットルを加えて、30分から1時間漬けておきます。その後は水ですすいで、風通しの良いところで乾燥させたら、色止め効果を与える作業は完了です。
ちょっとしたひと手間が、仕上がりに大きな影響を与えるので、忘れずに行いたいですね。ちなみに、ミョウバンが家に無ければ、塩を使って色止め効果を与えることも可能です。
コーヒー染めの注意点1
火を扱うときは要注意
コーヒー染めをする上で、もっとも気をつけていきたいのは、火を扱うシーンです。染色するときは、弱火でふつふつ時間をかけて染色していきます。
1時間ほどかかりますので、途中で鍋をかき混ぜながら付きっきりでいると、つい集中力がなくなってしまうこともあるでしょう。弱火とはいえ火を扱っていることには変わりありませんので、染色中は絶対に火の傍から離れないように注意してください。
鍋のサイズは余裕ある大きめを用意
使用するお鍋が小さいと、水が鍋の淵ギリギリまで上がってしまうため、吹きこぼれる危険があります。水2リットルと衣類が入っても、余裕のあるサイズの鍋を使用してください。また、水をがこぼれるのを防ぐために、水の量を少なくすると、今度は鍋の底が焦げてしまいますので、水はたっぷり使ってください。
コーヒー染めの注意点2
化学繊維の衣類は不向き
汗をかいてもサラサラを持続することが出来るスポーツウェアなどは、ポリエステルなどの化学繊維で作られています。この化学繊維(化繊)は、熱に弱かったり、染色しづらかったりと、染物には向いていません。
ポリエステルでは、繊維が染料を吸収するために、100度以上の熱湯で長時間漬け込む必要があります。ナイロンやポリウレタンは、そもそも熱に弱いので熱湯に入れること自体がNGなのです。
天然繊維を使おう
コーヒー染めに限らず、染物をする際は、綿や麻などの天然の布を使用するようにしましょう。綿や麻は、他の布と比較して、熱にも水にも強いので染物との相性は良好です。
天然繊維にはウールやシルクなどの布もありますが、これらは水につけることが出来ないのでNGです。コーヒー染めを行う前は、染めたい布の素材を確認して、失敗がないように注意してください。
コーヒー染めでデザインTシャツを作る方法
コーヒー染めによる、オリジナルTシャツ作りの基本形は、シンプルに衣類全体を染める方法になります。それだけでは面白くないという方には、デザイン性に富んだTシャツ作りに、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
縛って模様を生み出す
ストールやハンカチなどの染物に、斑点模様をつけるときの定番の方法で、紐で生地を縛るやり方があります。これはTシャツにも応用できます。手順1で紹介した下準備を終えたTシャツを、染色するまえに、布の所々を麻の紐できつく結んでいきます。
そのまま染料(コーヒー)に入れることで、結んだ部分が染められず、白地と染められた部分が隔てられ、オリジナリティーあふれるデザインが誕生します。
衣類の上下で色を変える
2回に分けて衣類を染色することで、色の深みが異なるグラデーションを作り出すことが可能です。1回目の染色では、通常通りTシャツに色を付けていきます。乾かした後、さらにもう1回の染色しますが、このときTシャツの上半分もしくは下半分のみ、染料に浸します。
そうすることで、2回目の染色で浸した部分だけ、コーヒーの色素が2回分染みつくき色が濃くなります。時間がかかりますが、同じコーヒーから2色のブラウンを作り出して、おしゃれなTシャツを作ることが可能です。
コーヒーで色々なアイテムを染めてみよう
インスタントコーヒーがあれば、Tシャツなどの衣類を、さまざまなアイテムも染物に仕立てることが可能です。身近なアイテムをオリジナルの染物に変身させて、友人を驚かせてみましょう。
トートバッグ
原色のカラフルなトートバッグも素敵ですが、風合い感のある少しくたびれた感じのトートバッグもまた、雰囲気があってオシャレです。
綿や麻で出来た無地のトートバッグなら、コーヒー染めで簡単に簡単に貫禄のあるバッグに変身させることが可能です。ヴィンテージ風の独特な存在感が生まれるので、普通のデザインが飽きてしまった方にはおすすめです。
靴ひも
白い靴紐を購入して、コーヒー染めで古風な雰囲気に染め上げれば、スニーカーに結び付けたとき程よい渋さを楽しめるでしょう。
キャンパススニーカーなど、染色可能な生地の靴なら、本体ごと染めてしまうのも良いでしょう。ただし、失敗するとコーヒーのシミように見えてしまうこともあるので、簡単に染めることが出来る靴ひもがおすすめアイテムです。
紙や木材
新しい紙や木片でも、コーヒーで染めることによって、歴史を感じさせる古紙や古木のような見た目にすることが出来ます。お店を経営されている方なら、店内のインテリアに。部屋をアンティーク調でまとめている方なら、装飾の一部に最適。なお、紙や木は洗濯しませんので、色止めの作業は飛ばしてしまってOKです。
まとめ
インスタントコーヒーとミョウバンがあれば、簡単に出来てしまうコーヒー染め。火を使うさいの注意点や、完成までに時間がかかってしまう点を除けば、お気軽さは他の染め方と比べてピカイチ。
Tシャツやハンカチなどの布製品をはじめ、たくさんのアイテムを染色することが可能なので、身の回りの気になったものから積極的に試してみてください。
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