はじめに
高級フルーツのイメージが強いメロン。購入すると高いからこそ家庭菜園で栽培してみたいと思う方も多いのではないでしょうか。メロンの栽培にはややコツがいります。しかし、ポイントを押さえて栽培すれば、家庭菜園初心者の方でも美味しいメロンに育てることができます。今回は、メロンの育て方について、種まきから苗の植え方、肥料の与え方など、収穫までの栽培のポイントや注意点をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
メロンとは
ウリ科の果物
メロンはウリ科キュウリ属に属する果物です。キュウリやゴーヤ、スイカなどと同じグループです。もともとはアフリカや中東地方が原産とされていいますが詳しくはわかっていません。古代エジプトや古代ギリシャ時代から栽培されているとされ、日本でも弥生時代の遺跡からメロンの仲間のタネが発見されています。現在のようなメロンが広まったのは1960年代とされています。
2つのタイプに分かれる
メロンは大きく分けると2つのタイプに分けられ、果実の表面に網目のあるネットメロンと、網目のないノーネットメロンに分けられます。ネットメロンにはアンデスメロンやマスクメロンが代表種で、ノーネットメロンはプリンスメロンやマクワウリの仲間があります。家庭菜園ではノーネットメロンが栽培しやすいとされていますが、最近ではより栽培しやすいように両者を掛け合わせた品種も存在します。
メロンの栄養素
メロンにはカリウムが非常に多く含まれています。カリウムは体内の余分な塩分を排出し、高血圧予防や、むくみの防止に役立ちます。カリウムが多い果物としてスイカが有名ですが、実はメロンはスイカの3倍ものカリウムが含まれています。また、ククミシンと呼ばれる、タンパク質分解酵素も含まれています。お肉料理の後のデザートとして食べると、消化が助けられるため効果的です。
メロンの育て方①:おすすめの品種
プリンスメロン
古くから知られるメロンで、育てやすく、家庭菜園では栽培が難しいとされていたメロンのイメージを一新した品種です。500~600gに成長し、非常に甘くなります。定番の品種なので、品種選びに迷っている方にはおすすめします。
かわい~ナ
大きくなっても250~300gのミニサイズのメロンです。大きくならない分、沢山の実をつけるため初心者の方にもおすすめできます。球を半分に切ってスプーンですくいながら食べると美味しいです。
ころたん
栽培の難しいネットメロンを、家庭菜園でも栽培できるように開発された品種です。300~500gとやや小ぶりで食べきりやすい大きさの果実がなります。手軽に栽培できますが、味は他のネットメロンに負けていません。
サンライズ
ころたんと同様、家庭菜園でも育てやすいネットメロンです。1kg前後までに成長し、淡燈色の果肉が非常に暑くなります。収穫適期になると変色するため、若採りしてしまう恐れがないのも嬉しいですね。
ニューメロン
厳密にいうと、マクワウリの仲間ですが、育て方はメロンとほぼ一緒です。大きさ300gくらいとやや小型ながら、沢山の実をつけ、多収が可能な品種です。メロンよりややサクサクとした食感がしますが、甘くて香りもよく、育てやすい品種です。
メロンの育て方②:苗づくり
種まきの時期
メロンは暖かい環境が好きな果物です。そのため、あまり早い時期に種まきをしてしまうと、発芽しなかったり、発芽しても寒さで弱ってしまうことがあります。そのため、十分に暖かくなってきてから種まきをする必要があります。地域や品種によって多少前後しますが、平均的には4月半ばから5月半ばが種のまき時です。種の購入時にその地域の適期を確認すると確実です。
種の植え方
まず、市販の3号のポリポットを用意しましょう。土は専用の種まき用の土が手軽でおすすめです。ポリポットに土を8割程度入れたら、種を3~5粒ほどまきます。その後、軽く土をかけた後に鎮圧し、水をたっぷりとかけましょう。乾燥防止に、濡れた新聞紙をかけて暖かい場所で発芽を待ちまます。毎朝水やりをして、順調にいくと1週間ほどで発芽します。
発芽後の管理方法
順調に発芽が始まったら新聞紙を外しましょう。日中はしっかりと日が当たる場所に置き、夜間は暖かい場所に取り込むと効果的です。苗が幼いときは水切れに弱いため毎日しっかりと水やりをしましょう。しかし、夜間に水やりをするとヒョロヒョロに徒長した苗になってしまうため、水やりはなるべく朝か、午前中の早い時間に行います。
メロンの育て方③:畑の土づくり
植え付け2週間前
畑の土づくりの第一歩として、苦土石灰をまいて、土の酸度を中和しましょう。1㎡あたり100~15gの苦土石灰と、溶リン30~50gをまいて、深くまでよく耕します。特に溶リンの効果が出るまで時間が掛かるため、植え付けの2週間前までに終わらせましょう。
植え付け1週間前
畑の酸度調整が終わったら、次に元肥として肥料を投入しましょう。1㎡あたり3~5kgの完熟たい肥と、100gの化成肥料をまいて耕します。未熟なたい肥は、メロンの成長を阻害するため、投入する堆肥は、必ず完熟したものを使用するようにしましょう。その後、幅2m、高さ15cmほどの畝を立てて、表面を平らにし、黒色のマルチを張ります。
植え付け前日
マルチに、苗の植え付け用の穴を開けます。小さな種類は75cm、大きな種類では90cmの株間で植え付けをしますので、栽培する種類に合わせてマルチに穴を開けましょう。カッターナイフで切り抜いてもいいですが、専用の穴開け器を使うと簡単で便利です。穴を開けた後は、鉢の大きさに合わせた植え穴を掘り、水をたっぷりとしみ込ませておきます。
メロンの育て方④:苗の植え付け
苗の植え方
本葉が4~5枚の時が植え付けの適期です。植え方はまず、水を張ったバケツなどに鉢ごと苗を沈めて吸水させましょう。その後、ポットの土を崩さないように苗を抜き取り、そのままの形で植え穴へ移動させます。その後、土をかけてしっかりと鎮圧し、ポットの土と畑の土を密着させるのが、植え方のポイントです。最後に軽く水やりをして植え付けの完了です。
植え付け後の管理
メロンを植え付ける時期は、まだまだ朝晩の冷え込みの可能性があります。寒いのが苦手なメロンのために、保温をしてあげましょう。保温するためには、市販のホットキャップと言われるカバーをするか、肥料などの空袋と支柱を使ってあんどんを作って保温しましょう。ホットキャップの場合は、気温が暖かくなってきたら上部を切り取り、換気をするようにしましょう。ホットキャップやあんどん内いっぱに葉が茂ってきたら外します。
メロンの育て方⑤:摘芯・摘果
摘芯の方法
畑に植え付けたメロンの苗は順調に育つと、ツルが伸び始めてきます。メロンは孫ヅルに沢山の実をつける習性があります。そのため、ツルの先端をカットする「摘芯」をして孫ヅルを増やすのが沢山収穫するポイントです。まず、本葉が5~6枚の時に親ヅルを摘芯します。すると、子ヅルが伸びてきますので、次に子ヅルを15~20節で摘芯しましょう。そうすることで、実のなる孫ヅルをたくさん増やすことができます。
人工授粉の方法
メロンは受粉することで果実が育ちます。本来はミツバチなどの訪花昆虫が受粉を手伝ってくれますが、確実に収穫するためには、人工授粉するのがポイントです。人工授粉をする際は、朝の9時くらいまでに雄花を摘み取り、花びらをとって雌花の先に擦り付けて受粉させましょう。受粉に成功すれば、果実が徐々に大きくなっていきますが、失敗した場合は、黄色くなってやがて落ちてしまいます。
摘果の方法
受粉に成功すると、徐々に果実が成り始めます。しかし、欲張ってすべての果実を育てようとすると、養分の供給が上手くいかず育たなかったり、育っても美味しくないメロンになってしまうため注意してください。そのため、大型になる品種で4~5玉、小型のもので10玉程度に摘果しましょう。しかし、品種改良によって、摘果しなくてもうまく栽培できる品種もあるため、事前に確認をしておきましょう。
メロンの育て方⑥:日ごろの管理
追肥する
メロンの果実を大きく育てるために、追肥は欠かせません。メロンが受粉に成功し、実が大きくなり始めたころに追肥を行いましょう。化成肥料を用意し、株の周りをぐるっと1周するように肥料をまきましょう。この際、株に直接肥料が触れてしまうと、肥料焼けの原因となってしまうため、注意してまくようにしましょう。
玉直しの方法
交配から半月程度経過し、メロンの玉が拳より大きくなったら、メロンの向きを変える玉直しを行います。メロンの玉の向きを変えることで、全体に太陽が当たって色づくだけでなく、きれいな玉のメロンを作ることができます。そして、玉直しの際には、市販のメロンシートを座布団のように玉の下に敷いて、直接土に触れないようにしてあげるのがポイントです。
害虫対策
メロンが被害にあいやすい害虫として、ウリハムシやアブラムシが挙げられます。ウリハムシは葉っぱを食べて成長を阻害し、アブラムシは病気の媒介をします。そのためどちらもなるべく早くに対策をすることが必要です。どちらもキラキラしたものが苦手なため、市販の反射板や反射テープを設置すると良いでしょう。万が一被害にあってしまった場合は、捕殺をするか、市販の殺虫剤をまいて対処しましょう。
病気対策
メロンがかかりやすい病気として、ウドンコ病やつる枯病があります。ウドンコ病は、乾燥のし過ぎ、つる枯病は多湿な環境で発症しやすい病気です。乾燥や多湿など極端な環境を作らないように注意しましょう。余分なツルは整理し、風通しと日当たりをよくすることで防ぐことができます。また、市販の予防薬を散布することでも予防できますので、心配な方は使用してみましょう。万が一発症した場合は、薬剤を散布するか、発症した部分を切り取って対処します。
メロンの育て方⑦:収穫
収穫時期は品種によって違う
メロンの収穫時期は、平均すると受粉から40~50日程度ですが、それぞれの品種によって異なります。収穫時期が近づいてくると、ヘタの付け根に「離層」と呼ばれるひび割れが出てきます。この離層が発達し、果実から甘い香りがしてきたら収穫適期です。収穫せずに待つと、ヘタから自然に落ちます。この状態が完熟ですが、見逃すと反対に腐ってしまうため注意しましょう。
鳥やネズミに注意
甘い果実のメロンは、鳥やネズミなどに狙われやすいので注意が必要です。鳥の被害は市販の鳥よけネットを被せるのが効果的です。ネズミは日中は畑の隅などにある巣穴で過ごし、夜間に活動して畑のメロンを食べてしまいます。もし、ネズミに食べられた跡があるようであれば、少し早めに収穫するのも一つの手です。また、あまり摘果せずに、沢山の果実を敢えてつけて、被害を分散させる方法もあります。
まとめ
以上、メロンの育て方について紹介しました。メロンの栽培のポイントは摘芯と摘果です。放任してもメロンは育ちますが、しっかりと管理をして栽培することで、より美味しいメロンを作ることができます。せっかく家庭菜園でメロンを育てるのであれば美味しいメロンの方が嬉しいですよね。少し手間はかかりますが、手間暇かけて育てたメロンの味は格別ですので、ぜひ家庭菜園でメロンを育ててみて下さいね。
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