はじめに
栄養価がとても高いブロッコリー。色が鮮やかで、ボリュームもあり、家庭菜園でも人気の野菜です。ブロッコリーは育て方によっては、脇芽を収穫しながら長く楽しめる野菜です。そんなブロッコリーの栽培について、種まきから植え付けの株間、肥料、収穫と詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみて下さい。
ブロッコリーとは
アブラナ科の野菜
ブロッコリーはアブラナ科アブラナ属の野菜で、キャベツや小松菜などと同じグループです。地中海沿岸地方付近が原産地とされ、キャベツの一種が改良され、現在のような姿になりました。日本には明治時代には渡来していましたが、一般に普及しだしたのは1980年代に入ってからで、まだまだ歴史の新しい野菜の1つです。
花を食べる野菜
キャベツや小松菜は葉っぱの部分を食べる野菜ですが、ブロッコリーは花と茎を食べる野菜です。普段皆さんが食べている部分は、「花蕾」と呼ばれ、小さな蕾が集まった部分です。当然、そのまま育てれば花が咲くのですが、花が咲く前の蕾の状態で収穫され市場に出回り食されています。
カリフラワーとの違い
ブロッコリーとよく似た野菜にカリフラワーがあります。実はカリフラワーは、ブロッコリーの仲間が突然変異で白化してしまったものを元に改良された野菜なのです。そのため、色が違うだけで見た目もそっくりなのです。かつてはブロッコリーよりカリフラワーの方が人気の野菜でした。しかし、健康のために緑黄色野菜の人気が出るにつれて立場が逆転したのです。
ブロッコリーの栄養
ビタミンC
ブロッコリーには非常に多くのビタミンCが含まれ、実はレモンよりも多くのビタミンCが含まれています。ビタミンCには風邪予防や疲労回復、美容効果など様々な効果が期待できます。しかし、ビタミンCは熱に弱いため、加熱する場合は最小限にとどめておきましょう。
各種ミネラルが豊富
ブロッコリーには、カルシウム、カリウム、亜鉛、鉄分などのミネラルが豊富でバランスよく含まれています。どのミネラルも健康維持には欠かせない栄養成分です。ブロッコリーは一度にバランスよくミネラルが摂取できるので、ぜひ積極的に食べたいですね。
スルフォラファン
ブロッコリーには、様々な健康効果が期待できるスルフォラファンが多く含まれます。スルフォラファンにつは抗酸化作用や肝機能を改善する作用、抗がん作用などがあるとされています。様々な生活習慣病の予防が期待できるため、近年ではスーパーフードとしても再注目されています。
ブロッコリーの品種
ブロッコリー
一般的なブロッコリーです。茎の頂点にできる頂花蕾を主に食べますが、近年では頂花蕾を収穫後にできる脇芽、「側花蕾」の収穫の両方楽しめる種類も多くあります。家庭菜園で楽しむのであれば、側花蕾も収穫できる種類の方が長く楽しめるためおすすめです。
茎ブロッコリー
側花蕾を収穫するように改良された品種です。沢山の則枝が細長く伸び、小さな花蕾を付けます。この茎はアスパラガスのような味と食感がし、アスパラガスブロッコリーの別名でも呼ばれています。一般的なブロッコリーより耐暑性があり、夏場でも育てやすいのが特徴です。
紫ブロッコリー
名前の通り、紫色をしたブロッコリーです。アントシアニンを豊富に含むため、抗酸化作用に期待ができる品種です。火を通すと緑色に変わってしまうため、色味を活かしたい場合は、火を通すのは最小限にしましょう。
ブロッコリーの育て方①:栽培時期
年に2回の栽培時期
ブロッコリーの栽培には、冬に種まきして初夏に収穫するパターンと、夏に種まきして秋から冬に収穫する2つのパターンがあります。それぞれのパターンに適した品種が販売されているため、ご自身の栽培時期に合わせた品種の種を購入しましょう。
初心者は冬に収穫がおすすめ
家庭菜園初心者の方は、夏に種まきして、秋冬に収穫するパターンがおすすめです。冬の時期に種まきをするると、苗が育ち始める時期が、各害虫の活動が活発な時期と重なります。害虫対策をしていても、害虫の被害に悩まされることも少なくありません。反対に、夏に種まきすると、冬に向かって寒くなるため、害虫の活動が減るため、被害も少なく育てやすいのです。
ブロッコリーの育て方②:種まき
育苗して畑に移植する
ブロッコリーは畑の土に直接の種まきはせず、一度ポットで育苗してから畑に植え付けをするのが一般的です。発芽直後はデリケートなため、畑にまいてしまうとリスクが高まってしまいます。育苗することで適した環境を作りやすいですし、健康な苗だけを植え付けることで、その後の生育もスムーズにいきます。
種まき方法
畑に植えるブロッコリーの数が少ない場合はポリポットを、数が多い場合はセルトレーを使用して種まき、育苗をしましょう。育苗用の土は市販の種まき用土が手軽で失敗も少ないでしょう。土の上に5~6粒の種をまいて、薄く土をかけてしっかりと鎮圧をします。鎮圧が緩いと発芽に失敗しやすくなるため、手のひらや薄い板などを使ってしっかりと鎮圧しましょう。最後に水やりをして、濡れた新聞紙をかけて乾燥を防ぎます。
発芽後の管理
順調に育てば、1週間もしないうちに発芽が始まります。2~3割の種子が発芽したら日当たりの良い場所に置き、新聞紙を取って光合成を促します。苗が小さいうちは乾燥に弱いため、必ず毎朝水やりをしましょう。しかし、夜間に水やりをしてしまうと、太陽の光がないため、徒長の原因となってしまうため注意してください。
間引きのタイミング
それぞれのポットで発芽が揃ってきたら、成長の良い3本残して間引きをします。次に、本葉が2~3枚に育ったタイミングで生え方が悪いものを間引き、一番元気のいい苗を残しましょう。間引く苗の根本を指でつまんで引き抜くと簡単に抜くことができます。間引きによってできた穴は軽く押さえて穴をふさいでおきましょう。最終的に本葉が4~5枚になるまで育苗します。
ブロッコリーの育て方③:土づくり
連作は避ける
ブロッコリーは畑の中の同じ場所で連作を続けると、連作障害が起こり上手く育たなくなってしまいます。ブロッコリーだけではなく、同じアブラナ科であるキャベツや白菜、大根、小松菜などでも連作障害がおこるため、これらの野菜を作った場所では2年ほど間隔を空けて栽培するようにしましょう。
酸度調整をする
日本国内の畑の土壌は、pHが酸性に傾いていることがほとんどです。ブロッコリーはあまり酸性に傾きすぎているとうまく栽培することができません。そのため、畑の土づくりとして、酸度調整が必要となってきます。植え付けの2週間前までに1㎡あたり100gの石灰をまいて、深さ30cmほどまでよく耕しましょう。
元肥として肥料を施す
土壌の酸度調整ができたら、次は元肥を施しましょう。1㎡あたり1kgのたい肥と100gの化成肥料をまいてよく混ぜ合わせます。たい肥は未熟なものを使用すると、ブロッコリーの生育に影響が出るため、必ず「完熟」タイプのたい肥を使用するようにしましょう。また、苗の植え付け直前は避け、植え付け1週間前までに作業を終わらせるようにします。
畝を立てる
ブロッコリーは大きく成長するため、株間を広くとる必要があります。そのため、畝の幅も広くしなくてはなりません。畝を立てることでブロッコリーの根の張りが良くなり生育が促進されます。また、水はけを良くし病気の予防にもつながります。幅70~80cm、高さ10cmの畝を立て、最後に表面を綺麗にならして完成です。
マルチを張る
マルチは必ずしも必要ではありませんが、マルチを張ることで地温の確保や病害虫予防、加湿や乾燥防止になるため、手間はかかりますがぜひとマルチを張ることをおすすめします。マルチを張る場合は、苗の植え付け作業の前に、株間に合わせてカッターで切れ込みを入れておくと作業がしやすいです。
ブロッコリーの育て方④:植え付け
植え付けの株間
ブロッコリーは可食部である頂花蕾はそれほど大きくありませんが、外葉が横に広がるため、しっかりと株間を開けなくてはいけません。45~50cmは株間を開けるようにしましょう。茎ブロッコリーを育てる場合も、同じく45~50cmほどの株間を開けます。
本葉4~5枚で植え付け
苗が順調に育ち、本葉が4~5枚になったら畑に植え付けをします。植え付けの前に、水を張った入れ物にポット事沈めて、苗に吸水させましょう。株間に合わせてポットと同じ大きさの穴を開けて、ポットから出した苗を置き、土を被せます。最後に手のひらで鎮圧し、畑の土と、ポットの土を密着させることで、活着を促しましょう。
防虫ネットを張る
ブロッコリーはアオムシなどの害虫の被害を受けやすい野菜です。特に生育初期に害虫の被害を受けると、その後の成長に影響がでてしまいます。そのため、畑に植え付けをしたら防虫ネットを設置し、害虫対策を行いましょう。小さな隙間からも侵入されるので、隅々まで隙間がないか確認しながら設置をしましょう。
ブロッコリーの育て方⑤:病気対策
ブロッコリーがかかりやすい病気
ブロッコリーは病気になりにくい強い野菜です。しかし環境が悪かったり、様々な原因で病気にかかってしまうことは当然ながらあります。その中でも特に、軟腐病には注意しましょう。軟腐病は多湿な環境で発症しやすい病気です。ブロッコリーの体内に細菌が入り込むことで発症し、名前の通り腐って柔らかくなってしまい、最終的にはドロドロになってしまいます。
多湿な環境にしない
ブロッコリーがかかりやすい軟腐病は、多湿な環境で発症しやすい病気です。冬の間は空気が乾燥していますが、特に春から夏の時期は高温多湿になりやすいため注意が必要です。畝を立てて水はけを良くする。マルチを張って加湿や泥跳ねを防ぐ、むやみに水やりをしないことで対策が行えます。また、株間が狭いと通気が悪くなってしまいます。ついつい狭い株間で育ててしまいがちですが、しっかりと株間を開けて通気性を確保しましょう。
ブロッコリーの育て方⑥:害虫対策
アオムシ
アブラナ科であるブロッコリーにはアオムシがよく寄生します。モンシロチョウの活動期である暖かい時期には注意が必要です。アオムシは防虫ネットを張ることで卵を産めなくなるため、非常に高い効果が望めます。しかし、小さな隙間があると侵入され卵を産み付けられてしまいます。万が一見つけた場合は速やかに捕殺しましょう。特に苗が若い時期は食害によって成長が阻害されてしまいます。
ヨトウムシ
夜間にブロッコリーの葉を食べてしまうヨトウムシも注意したい害虫の1つです。アオムシと同じく、防虫ネットを張ることで、親であるヨトウガの産卵を防ぐことができます。ヨトウムシは夜間に活動するため、見つけるためには夜間に観察する必要があります。しっかりと防虫ネットを張って予防をしましょう。万が一見つけた場合は捕殺します。
ブロッコリーの育て方⑦:追肥
2回の追肥をする
苗を植え付けて約3週間で1回目の追肥をします。そして、花蕾ができ始めたタイミングで2回目の追肥をします。どちらも1株当たり1つまみの化成肥料を株本にまきましょう。この際、ブロッコリーに肥料が触れないように注意してください。
追肥と同時に土寄せをする
ブロッコリーは思いのほか背丈が高くなる野菜です。そのため、株を安定させるために土寄せをしましょう。追肥の肥料をまいたら、肥料の上に土を被せるようにして土寄せをしましょう。土寄せによって株が安定すると、ストレスが減って生育もよくなります。
ブロッコリーの育て方⑧:日々の管理
支柱を立てる方法もあり
ブロッコリーは背が高く、重心が高いため強風が吹くとグラつきやすいです。グラつきを防ぐために土寄せを行いますが、支柱を立てることでより安定させることができます。1株に対して1本の支柱を用意し、園芸用の紐を使って固定しましょう。土寄せとの2つの対策をすることで、生育を手助けすることができます。特に冬の時期は風が強い日が多いため、支柱を立てるのがおすすめです。
水やりについて
ブロッコリーは、基本的に水やりをしなくても雨の水だけで十分に生育してくれます。一見乾燥しているように見えても、畑の土の深く水がしみ込んでいるため、その水を吸っています。反対に、ブロッコリーは過湿に弱いため、むやみに水やりをすると、ブロッコリーを弱らせてしまう事にもなります。
ブロッコリーの育て方⑨:収穫
頂花蕾の収穫
頂花蕾が成長し、蕾の形がはっきりとわかるようになってきたら収穫の時期です。側花蕾も収穫したい場合は15cm程度のやや小さいサイズで収穫をしましょう。側花蕾を収穫しない場合や品種は20cm以上に成長してから収穫をします。包丁で茎の部分を切ると簡単に収穫することができます。
側花蕾の収穫
頂花蕾の収穫後、しばらくすると脇芽が伸びてきます。その脇芽を育てると、次第に蕾となり、側花蕾となります。側花蕾は頂花蕾ほど大きくはならず、ピンポン玉程度の大きさとなります。収穫が遅れると、蕾から開花してしまうため注意しましょう。うまく脇芽を育てると、次から次へと側花蕾を収穫することができます。
ブロッコリーの育て方⑩:脇芽の育て方
蕾を多くするコツ
側花蕾は、頂花蕾の収穫後にできるため、早目に収穫しましょう。また、頂花蕾を切って収穫するときに、なるべく茎を短めに収穫することで、脇芽が生える場所が多く残るため、最終的に側花蕾が沢山収穫できるようになります。
肥料を追加する
側花蕾を沢山収穫するために、頂花蕾を収穫した後に追肥を行いましょう。通常の追肥と同じように、1株に対して1つかみの化成肥料を株元にまきます。冬の時期は比較的長く収穫が続くため、様子を見てさらにもう1回肥料をまいても良いでしょう。くれぐれも、一度に大量の肥料を与えすぎないようにしましょう。
まとめ
以上、家庭菜園でのブロッコリーの育て方について紹介しました。ブロッコリーの栽培のコツは株間と害虫対策です。余裕をもって育てることで、ストレスなく栽培することができますし、病気対策にもなります。上手く栽培すると、長い間収穫し続けることができます。育てられる野菜が少なくなる冬の間に重宝するのではないでしょうか。ぜひブロッコリーの栽培を楽しんでみて下さい。
ブロッコリーの育て方が気になる方はこちらもチェック!
今回はブロッコリーの栽培についてご紹介しましたが、その他にも様々な野菜の栽培に関して、詳しく紹介した記事が沢山ありますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
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