ダッチオーブンで調理をする前に
なぜダッチオーブンと呼ばれているの?
ダッチオーブンの「ダッチ」とは英語でオランダを意味する言葉ですが、オランダ生まれのオーブンなのでしょうか?
ダッチオーブンと呼ばれているわけ
ウィキペディアによると諸説あるようですがダッチオーブンは、一般的にオランダ商人が売り歩いていた説が有力です。
オランダ系移民が売り歩いていた鍋であったとする説、ダッチと呼ばれた人物が発明したとする説、オランダの鋳造技術を利用したためとする説
進化していったダッチオーブン
オランダの鋳造技術で改良を重ね、アメリカの開拓民がアウトドアで使いやすいようにダッチオーブンが進化していったといわれています。直火で煮炊きしやすいようにダッチオーブンに脚がついたものも登場しました。現在のダッチオーブンは、鋳鉄製のほかステンレス製・カーボン製などお手入れのしやすいものがあります。
ダッチオーブンの特徴
ダッチオーブンは鍋全体に厚みがあり、熱しやすく冷めにくい構造になっています。そのため、温度変化を一定に保つ特徴があります。ダッチオーブンの蓋にも厚みがあり重量もあるので、内部の温度や水分を閉じ込める働きとなっています。だからダッチオーブンは、真空に近い状態を保ち続けることができます。
使用目的で決めるダッチオーブン
ダッチオーブンといえばアウトドアを連想するイメージが一般的だと思います。ご自宅のガスコンロや、IHクッキングヒーターに対応したタイプのダッチオーブンもあるので用途に合わせて選ぶとよいでしょう。また、ダッチオーブンによって価格に幅があります。ご購入前のお試しを考えている人は、ニトリから低価格のダッチオーブンも発売されておりますので参考にしてみてはいかがでしょうか。
ダッチオーブンを初めて使用する前に
鋳鉄製のダッチオーブンの多くは、錆止めワックスがついた状態で販売されています。使用する前に、ダッチオーブン内部のワックスを取り除く作業(シーズニングという)が必要になります。このシーズニングが必要ないダッチオーブンもたくさん販売されております。取扱の際は、説明書などでご確認ください。
火加減を極めよう
キャンプや家庭でダッチオーブンを使用して、ローストビーフを作るには火加減が重要なポイントとなります。温度管理さえできれば、ローストビーフが失敗することはまずありません。ここではダッチオーブンの性質と一般的な炭火を利用した調理について解説していきたいと思います。
ダッチオーブン調理に適した炭の状態
黒い炭のまわりが灰におおわれ、中心部まで赤くなると完全に火が熾きた状態です。炭がしっかり熾きた状態にしてから、ダッチオーブンで調理を始めます。炭は風の影響を受けづらいので、アウトドアでの調理に適しています。
手のひらテスト方法
熾きた炭のおおまかな温度を簡単に確かめる方法があります。炭から15cm程離したあたりに手のひらをかざし、我慢できる時間を計るというやりかたです。くれぐれも無理せず火傷に注意して行ってください。
3秒 | 230℃~280℃ |
6秒 | 180℃~230℃ |
10秒 | 120℃~180℃ |
炭火の調節法
自宅でローストビーフを作る時は火力を調節できますが、キャンプやアウトドアで使用するコンロには調整する機能がほぼありません。しかし、炭の配置によってローストビーフに適した温度管理ができます。炭を重ね高さを出すと強火となり、コンロ内に平らに並べると中火になります。弱火にしたい場合は、下の炭をサイドに移動させ調理してください。炭火は、遠赤外線を放出しているので表面だけではなく中まで熱が通ります。
ダッチオーブンでローストビーフが失敗する原因
火力が強すぎる
牛肉などのタンパク質は40℃から状態が変化し、60℃以上加熱すると肉が硬くなります。さらに熱は均一になろうとする性質もあるので、大きな塊肉だからといって火力を強くする必要はありません。おいしいローストビーフを作るには、じっくり低温でローストさせることが大切なのです。
牛肉が冷たい
ローストビーフに使用する牛肉をラップで包み、常温まで戻してください。温度の目安は牛肉の表面が16℃~20℃、中心部が10℃前後です。実際に触った感覚で確認してください。牛肉がいたんでしまうので、室温での放置時間には十分注意してください。厚みのある牛肉は温度差をなくすことが重要です。
ローストビーフを成功させるコツ
温度計を活用する
ローストビーフ内部の温度を確かめるのに、プロの料理人のようなスキルは必要ありません。温度計を使用して正確な温度を測定することで失敗しません。簡単でおいしいローストビーフを作りましょう。
接触タイプの温度計
シンワ測定 ホームサーモデジタルT
料理用の温度計として一般的な差しこみタイプです。250℃まで測定できるので、色々な調理で活用できます。低価格のため故障や破損などのトラブルがあった際に、買い替えしやすいアイテムです。アウトドアで使用する際は、衛生面にご注意ください。
非接触タイプの温度計
A&D 赤外線放射温度計 非接触型
非接触型の温度計は、直に食品に触れずに温度を測定できるので衛生面で安心です。また、非常にコンパクトなので持ち運びが簡単です。接触型と比較すると、機能性が高いため価格も高くなっています。
目標とするローストビーフの内部温度
ローストビーフをどのような状態に仕上げるかは好みで加減しましょう。牛肉の中心温度で簡単にわかります。60℃以上加熱しないことに気をつけながら調理しましょう。
レアは54℃、ミディアムレアは57℃、ミディアム60℃が目安です。
ローストビーフに使用する食材
牛肉
牛肉は桜色で脂が白く、表面が乾燥していない状態の肉が美味しい条件とされていますので参考にしてください。なるべく牛肉の下に赤い汁(ドリップ)が溜まっていないものを選びましょう。部位はモモ肉をおすすめします。脂が多い部位は、牛肉が冷めた状態で食べることの多いローストビーフには適していないからです。
塩
ローストビーフにしっかりと塩味をきかせたい場合は荒目を、程よい塩味にしたい場合は細かい粒の塩をつかうとよいでしょう。塩は代表的なもので岩塩・湖塩・海水塩と三種類あり、それぞれに特徴があります。岩塩は、肉の臭みをけすといわれています。湖塩は、時間をかけて調理する料理に適しています。海水塩は、色々な料理に合う一般的な塩といわれています。おいしいローストビーフを作るために、自分好みの塩をみつけ、楽しみながら料理をすることが大切です。
ブラックペッパー
ローストビーフのスパイスは、ブラックペッパーのみで十分です。家庭でも簡単に用意しやすい塩とブラックペッパーのみで味付けしたレシピをご紹介します。味付けをシンプルにすることで、アレンジもしやすくおいしい牛肉の旨味を感じることができます。
にんにく
こちらもローストビーフにはかかせない材料です。重く、ふっくら均等に丸いものがベストです。芽が出ていたり、乾燥していないものを選びましょう。
油
ご自宅にあるオリーブオイルや植物性の油を使用しましょう。牛肉の表面を焼き付ける時に必要なのでなるべくシンプルな風味の油を選ぶとよいです。
いざ実践!簡単にできるローストビーフの作り方
ダッチオーブンで作るローストビーフ
それでは、ローストビーフを作っていきます。ダッチオーブンをコンロにかけ、予熱しておきましょう。用意する調理器具はトング・フォーク(串類)・アルミホイル・底網・料理用温度計です。
牛肉の下ごしらえ
常温に戻した状態の牛肉に、フォークや串などを使い均等に熱が通るように穴をあけていきます。すりおろしたにんにく、塩を揉みこみブラックペッパーを全体にかけます。10分程放置して、調味料が馴染むのを待ちましょう。
ダッチオーブンで焼き目をつける
ダッチオーブンに油をひき、スライスしたにんにくを入れガーリックオイルをつくります。にんにくを焦がさないように注意しながら香りをつけていきましょう。にんにくの色が変わってきたら取り出します。厚めにスライスすると取り出しやすいです。ダッチオーブンで牛肉に焼き目をつけていきます。表面に肉の壁を作り、牛肉のおいしい肉汁を中に閉じ込めます。肉を何度も動かさずに一面ずつ焼き付けていくイメージで焼いてください。焼き目がついた牛肉をダッチオーブンから取り出します。トングや箸を使いペーパー類で油を拭き取りダッチオーブン用底網を入れます。ダッチオーブン用の底網の代わりに野菜類で底上げしてもいいです。
ローストする
底網の上に牛肉を戻し入れ、ローストしていきます。空いているスペースに野菜を入れると、副菜も簡単に同時調理できます。ダッチオーブンに蓋をし、炭をのせましょう。火力は弱火~中火の状態に調節し、30分程ローストさせます。肉の中心温度がレア(54℃)になったら牛肉を取り出し、アルミホイルで包みます。肉汁が全体にいきわるようにするため、ローストビーフを20分程休ませましょう。取り出した直後にスライスすると、肉汁が流れ出てしまいます。
家庭での作り方は?
家庭でも同じようにダッチオーブンを使えます。炭火を利用した作り方との違いは蓋に炭をのせないことと、熱源が家庭用コンロであることです。ご自宅のコンロで、火加減を調整し同じ要領で簡単にローストビーフを作りましょう。
ダッチオーブンで作る簡単極旨ソースレシピ
いくらおいしいローストビーフでも、同じ味付けで食べ続けているといずれ飽きてしまいます。しかし、多くのソースレシピを知っていることで食べる楽しみも広がります。ここでは、ダッチオーブンで調理しながらできる簡単ソースレシピの作り方を紹介します。
①黒いガーリックバターソース
すりおろしにんにく・すりおろし玉ねぎ・バター・醤油
ローストビーフを作った後のダッチオーブンに、にんにく・玉ねぎを入れ煮詰めます。
醤油で味を整え、仕上げにバターを入れ完成です。
②わさびおろしポン酢ソース
チューブわさび・大根おろし・ポン酢
ローストビーフを作った後粗熱のとれたダッチオーブンにわさびを溶かし入れポン酢で味を整えます。スライスしたローストビーフに大根おろしをのせソースをかけて完成です。
③かけるチーズフォンデュソース
ピザ用チーズ・白ワイン(または牛乳)・小麦粉(または片栗粉)
ポリ袋にチーズと小麦粉を入れまぶします。ダッチオーブンに白ワインを入れ沸いたらチーズを投入します。とろみが付いたら完成です。温かいうちにローストビーフにかけて召し上がってください。
ローストビーフの保存方法について
キャンプでの保存
余ったローストビーフは、切らずにかたまりの状態で保存してください。ラップでしっかり空気を抜くように包みましょう。ファスナー付きのプラスチックバッグのようなものに入れできるだけ空気に触れないようにしてクーラーボックスで保存し、3日以内にご賞味ください。
自宅での保存
ご家庭で残ったローストビーフは、冷凍保存をおすすめします。おいしいローストビーフの味を保つため一度に食べ切れる分ずつ小分けにしたブロックの状態で冷凍しましょう。クーラーボックスに入れる前までの工程は同じです。解凍は、冷蔵庫で一晩ほどおいてください。できる限り早めに食べきりましょう。
ローストビーフ簡単アレンジレシピ3選
大きな牛肉のかたまりをいっきに完食できる人は少ないです。食べ飽きたローストビーフをアレンジして、違う料理に生まれ変わらせるレシピをご紹介します。キャンプやご自宅での食べる人数にもよりますが、これなら簡単においしく食べ切れます。
ローストビーフホットサンドの作り方
キャンプや家庭で余った食材で簡単に作れます。ローストビーフをパンにはさんで焼くことで、かぶりついた瞬間に肉汁が食材にからみます。ローストビーフを作ったら、一度は食べてみてほしい一品です。
食パン2枚 ローストビーフ1枚 スライスチーズ1枚 万能ネギ(小口切り)大さじ半分 ディジョンマスタード大さじ半分
詳しいレシピはこちら
ローストビーフ炒飯の作り方
そろそろ中華が食べたくなった頃に挑戦してみましょう。ローストビーフ炒飯は、チャーシューにはない味わいがあり癖になります。ローストされた牛肉がいい仕事をしています。
にんにく 1かけ 残りのローストビーフ適量 塩コショウ少々 万能ねぎ(小口切り) 適量 牛脂(スーパーで無料)2個 残りのご飯1杯
詳しいレシピはこちら
ローストビーフカレーの作り方
冷凍保存後や、加熱しないと不安になってしまったローストビーフはカレーでリメイクしましょう。ローストされた牛肉からでる旨味が、カレーに溶け込みます。煮込むことでローストビーフが舌でほぐれます。
ローストビーフの残り200g タマネギ1個 マッシュルーム6個 ニンニク(潰したもの)小さじ1/2 生姜(すりおろし)小さじ1/2 グレープシードオイル大さじ1 カレールー3皿分 水600ml 月桂樹の葉1枚
詳しいレシピはこちら
使用後のお手入れ方法
料理上手は片付け上手
使用済みのコンロを水で洗っていませんか?大切な道具を長持ちさせるためにも、最後のケアはしっかりしましょう。
グリルの掃除
グリル周辺についた油はペーパー類に染み込ませて拭き取ってください。その後灰をかけ、ササラでさらさらとこすり汚れを落としましょう。水洗いは禁物です。
網の掃除
軍手を着用し、熱いうちにワイヤーブラシなど擦り落とします。ご自宅にワイヤーブラシがない場合は、金たわしなどを代用するのもよいでしょう。次に水洗いし、網の表面に油を塗っておきます。
ダッチオーブンの掃除
ペーパー類で汚れを拭き取りお湯を注ぎます。お湯が沸いたらヘラなどで汚れを落とし、お湯を捨てます。その後お湯で洗い流しますが、錆びてしまいますので洗剤は使わないでください。水分を拭き取り再度加熱します。仕上げにダッチオーブン全体(蓋も含む)に油を塗り煙が出るまで加熱しましょう。
キャンプで活躍する名脇役達
ササラ
キャンプやアウトドアで使用した道具の汚れ落としとして活躍します。大切な道具の汚れを優しくかきおとします。
【ささら】 青ササラ 小 竹製 《37-331-3》
火吹き棒
炭を熾すのに必要な空気を効率よく送れる便利な道具です。アウトドアでの火起こしに使用すると手放せないアイテムとなるでしょう。
火吹き棒 炭などの火起こしに バーベキュー アウトドア キャンプ用
備長炭
備長炭は、一定の温度を長時間保てる炭です。家庭のコンロのように火力を調節しやすくなります。灰も少ないため食材に灰がつく心配も軽減されるでしょう。
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まとめ
ダッチオーブンを使ったローストビーフの作り方を紹介しました。炭火の調節法などを覚えておくと、キャンプなどでのバーベキューや暖を取る際に役立ちます。フィールドにとらわれることのない、アウトドアならではの楽しみ方をたくさん発掘していってください。
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