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花が長持ちする・させるコツとは?切り花や生け花に効果的な方法をご紹介!

お部屋に花のある風景は、周囲を明るく爽やかにする効果があります。風情のある一輪挿しの花やアレンジメント、また、日本古来から伝わる生け花など、出来るだけ鮮度を保ち長持ちさせて楽しみたいですね。そこでそんな花々を効果的に長持ちさせる工夫や方法をご紹介します。
2020年8月27日
Meigen Oka
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この記事で紹介しているアイテム

華道具 霧吹き(水揚げポンプ)

花の文化とは?

人が花を生活の中に取り入れ始めたのは、花卉(かき)についての研究によると約6万年ほど前からとされています。この年代のものとされるネアンデルタール人の発掘された骨格の周辺から大量の花粉が見つかったからです。要は死者へ手向ける花々であったと推測されるのです。現代においても喜びにつけ悲しみにつけ花は感情を託す特別な存在であることが理解できます。

日本人と花

日本では花を眺めることを「花を愛でる(めでる)」と表現します。”めでる”に漢字の愛を当てる意味は、美しいものを見て、賞賛する、愛する、ほめるという意味の連用形である「愛づ(めづ)」からきています。日本人特有の情緒深さが表現に出ています。日本人ほど花が好きなのは世界で一番であろうと言われています。日本には四季があり、春の桜に始まり、それぞれの季節に様々な花々を眺められることができるのもその要因と思われます。日本独特の茶道の席には茶花として一輪挿しが飾られます。

花の歴史

花の装飾品は、古代ギリシャの時代には既に用いられていました。バラなどは古代ギリシャから古代ローマ時代にすでに野生種から交配種が生まれ装飾花として定着していました。以来、花は美しく魅力的なために現在では世界中であらゆる場面で利用されています。栽培品種も大変多く、栽培や販売、デザイン装飾など一大産業を築いています。ちなみに、日本でも花の生産品種は約4万種に昇り世界一の生産量となっています。現代では切り花の用途は広がり、長持ちをさせる手法も生まれ、花束、結婚式のブーケ、アレンジメント、生け花など生活のなかに浸透しています。

日本独特の花の歴史

新元号「令和」については、730年に大宰府で催された「梅見の宴」で詠まれた梅花の歌32首の序文から引用されたものでした。この様に日本では古来では主に貴族が中心でしたが、徐々に武家社会や上流階級の人々にも数少ない娯楽として、花が咲くと花見の宴などが催されてきました。現代でも桜の花見から、ツツジ、あじさい、藤、花菖蒲など四季を通じて開花の様子を多くの方達が鑑賞する風景が見られます。ちなみに、現在では花の女王と例えられるバラについては、日本では野生種のノイバラは自生していましたが、本格的なバラの品種が輸入されたのは明治に入ってからです。

生け花の歴史

寺院では仏前に切り花を供える、いわゆる供花が通例となっていましたが、ここから日本独特の「生け花」が生まれました。当初は四季折々に花を咲かせる花木類が中心であり、これに野に咲く草花をあしらい、その本来の姿を自然のままの形に活けられたものでした。それに伴い切り花の栽培は源氏物語にも記述があり、平安時代頃から行われ始めたとされています。こうした事から華道(生け花)というものが僧侶(後に流派のひとつとなった池坊)によって確立され武家の間にも生活のたしなみとなり、江戸時代中期頃から切り花の生産も増えたので、それに伴い生け花も庶民の間にも広まっていきました。

花の大切な水揚げ

切花は、鮮度の保持と長持ちさせるために花屋さんで一度水揚げがされていますが、頂いた花束や買い求めた切り花は再度水揚げをする必要があります。植物は、水を吸い上げて葉から蒸発させる「蒸散作用」によって光合成を行い養分を蓄える働きをしています。ですから、水分を補給できない植物は枯れてしまうのです。そんな切り花をもう一度元気にして長持ちさせるには「水揚げ」をしなければいけません。水揚げをしない切り花は当然萎れ方が早まります。生け花の教授は、まず最初に枝物や切り花の水揚げの仕方を基本として生徒に教えることから始めます。花を長持ちさせる大切な基本はきちんと水揚げをすることです。

花の鮮度保持の処理

切り花の鮮度を保つための流通過程では、まず生産者が品質保持の為の溶液(前処理剤)によって前処理を行い出荷します。花市場や生花店が行う保持剤を使った水揚げは中処理と言い保持剤は中処理剤と呼びます。買い求めた皆さんが行う水揚げは後処理であって、保持剤を使う場合は後処理剤と呼び、主に糖質と抗菌剤を組み合わせたものです。生花店ではサービスとして提供されていたりします。鮮度を長持ちさせるための後処理剤の名称については、メーカーによって、切り花延命剤、栄養剤、花持ち剤など色々の商品名がありますが、成分などについては概ね同様のものです。

花を長持ちさせる方法①


水切り

「水切り」とは、容器に張った水の中で花茎の根元をハサミやナイフを使用して切り取ることです。切った瞬間のショック作用でを水を吸い上げます。水の中で茎をカットするのは、水中以外で切ると切り口から導管(水を吸い上げる管)に空気が入って気泡になり導管を塞ぐ格好となってしまうからです。水に浸かっている茎の部分は時間とともにヌメリなどを生じ腐れてきます。そのため、より長持ちさせるには、ほぼ毎日水切りをして切り戻しをしてあげることをお勧めします。

水切りの道具

水切りを行うには良く切れるハサミやナイフを使用しますが、できればナイフがベストです。ハサミは導管を潰(つぶ)す恐れがあります。切れ味の鈍いハサミは余計論外です。ナイフは花茎の元を斜めに切り取ることによって切り幅も広く、導管を潰しませんので水を吸い上げる面積を広げる利点があります。注意したいのはきれいな水を用意することです。台所用洗剤を1~2滴水に加えると水揚げが良くなります。ちなみに菊やリンドウの様な茎の硬いものは道具を使わず、水の中で手で折り取る方法もあります(手折り法)。

花を長持ちさせる方法②

その他の水揚げ方法

一度水が下がった切り花に再び水を揚げるには水切りだけでなく他にも方法があるのです。切り花を長持ちさせるには、その種類の花の性質にあった幾つかの水揚げの仕方があります。

湯揚げの方法

水切りだけでは水が上がらない花や、茎の細いもの、萎れやすい花などに有効なのが「湯揚げ」です。切った茎の根元を熱湯に浸けて刺激を与え瞬時に導管を開かせて水を揚げる方法です。新聞紙などで湯気が上がらない様にきつく包み湯に15~20秒ほど浸けたらすぐに用意した水に浸けます。バラ、カスミ草、ストック、マーガレットなどが適します。

焼く方法

湯揚げと原理はほぼ同じですが、植物には茎を切ると乳液などの有機物質を出すものがあります。この有機物質が固まると導管を詰まらせてしまい水の吸い上げができなくなります。花を新聞紙できつく包み根元が炭化するまで火であぶり、直ぐに水に浸けます。いわゆるショック方法で、ブルースター、ポインセチア、ユーフォルビアなどが適します。

割る・砕く

主に枝物などがこの方法で水上げをします。茎の根元に、縦にハサミで割れを入れます。また、茎の内がスポンジ状の柔らかい繊維になっているアジサイなどは茎の根元を金づちなどで砕く方法もあります。正月の縁起物の千両もこの方法で水揚げをします。

水揚げポンプ

華道具 霧吹き(水揚げポンプ)

水揚げポンプは、霧吹きとしても使用できますが、主に睡蓮などの花材を活ける際の水揚げに使用します。花茎の根元にポンプを当てて水を注入する方法です。華道の世界では「水物」と呼び、花菖蒲、かきつばた、睡蓮、蓮、河骨(こうほね)、太藺(フトイ)などを指します。この内睡蓮や蓮、河骨の水揚げに使用します。

花を長持ちさせる方法③

水の交換は大切


切り花をさらに長持ちさせるためには、花瓶の水は常に清潔に保っておく必要があります。基本的に、花瓶の水は毎日交換します。特に一輪挿しは水の量が少ないので気にかけてあげる必要があります。植物の切り口からは有機質の分泌物が輩出されてバクテリアの発生を促し、そのままにしておくと水自体が腐り花も早く萎れてしまうからです。水の交換と同時に水についていた茎部分のぬめりも良く洗い流しておきます。

花瓶の水の量

切り花の種類によって、一輪挿しを含め花瓶に入れる水の量を加減します。水の交換を毎日行うことを前提に、なるべく茎が水につかる部分を少なくするのが基本です。特にひまわりやガーベラなどの腺毛のある植物や、ダリヤ、コスモスなど茎が柔らかい植物は少なくするのがベストです。また、花瓶に挿す前に水につきそうな葉は必ず摘み取っておきましょう。特に菊や百合、バラの葉と刺(トゲ)、見落としやすいカーネーションの葉などが挙げられます。出来れば多くの花を花瓶に挿すよりは一輪挿しをお勧めしたいですね。

花を長持ちさせる方法④

花を置く場所

切り花の鮮度を保ち長持ちさせるには、なるべく温度が高くなる場所に置いてはいけません。温度が高いと花の開花期間も短くなり、雑菌の発生を促します。当然、冬季の暖房や直射日光の射す所もNGです。花は乾燥に弱いのでエアコンの風が直接当ると水分が余計に奪われてしまい萎れてしまいますので注意が必要です。植物の蒸散作用は日中が盛んであり、暗くなると葉の裏の気孔を閉じて水分の保持に努めますので、常に明るい場所に置いたりすると蒸散作用のバランスが崩れてしまい花は萎れてしまいます。また、日中と夜間の温度の差が大きいのも障害となります。

花を長持ちさせる方法⑤

花を長持ちさせる鮮度保持剤

切り花が萎れてしまう原因として、切り口にバクテリアが発生し水を上げる導管を詰まらせてしまうというのが挙げられます。気温が高くなると余計にバクテリアが増殖します。それを防ぐ材料として鮮度保持剤を使用します。生花店では小袋の鮮度保持剤がサービスとして付いてきたりします。鮮度保持剤は切花延命剤などとも呼ばれますがほとんどが糖分と殺菌剤とで製品化されています。糖分については花に栄養を与える役目があり、殺菌剤は文字通りバクテリアなどの発生を抑制します。

鮮度保持剤の効果的な使い方

糖分では砂糖などを入れれば良いのではとお考えでしょうが、糖分だけでは却って雑菌の繁殖源となってしまうので抗菌剤と組み合わせるのです。鮮度保持剤は原液を希釈して使用しますが、説明書を良く読み用法、容量(希釈倍率)を必ず守ることが必要です。希釈した保持剤が入った水は花瓶の水が少なくなったら足すだけで大丈夫ですが、水が濁ってきたら花瓶を良く洗い、水に浸かっていた茎の部分を良く洗って切り戻しをして、新しく保持剤を希釈した水に変えて下さい。

花を長持ちさせる方法⑥

知っておくと便利な方法

花の鮮度を保ち長持ちさせるには、洗剤を加えるなど手段として様々な方法が言い伝えられています。生活の中での身の周りにある品物などを使って花瓶の水をきれいに保ち、花を楽しむ時間を長くします。但し、一概に全部が正しいという訳ではありませんので、参考のためにご紹介してみます。

10円玉を花瓶に入れる

花瓶に10円玉を入れておくと水が腐らないので良い方法だと言います。10円玉は銅イオンの発生による殺菌効果がありますので、バクテリアの発生をある程度防いでくれるからです。銅製品であれば何でも良いのですが、身近の10円玉が手っ取り早かったからでしょう。但し、一輪挿しに入れるのは無理ですね。また、10円玉1枚は約200ccの水にしか効果がありません。何枚も入れるのは、一応お金ですから抵抗がありますよね。花を長持ちさせるには、こまめに水を替えてあげるのが一番大切なことです。

酢・アルコール


酢やアルコールは花瓶の水に入れて使用するものではありません。水切りをした花の根元を酢やアルコールに浸けて真水に入れます。酢やアルコールは雑菌を抑える効力がありますのでバクテリアなどの繁殖を妨げるため花の長持ちに繋がります。特に花木類に有効で、酢には20秒~30秒ほど浸けて水に戻します。アルコールは消毒用エタノールを使用し5秒~10秒ほどの時間でOKです。

洗剤を入れる

多くの洗剤には「界面活性剤」という物質が含まれていて汚れを落す作用をします。この洗剤に使われている界面活性剤には湿潤作用によって花の水揚げを助ける働きもあります。台所用洗剤には界面活性剤が主成分となっています。但し、量を間違えると却って花を枯らす原因となりますので注意が必要です。洗剤は、水約1Lに対して3~5滴程度で十分です。

炭酸を入れる

炭酸飲料には粒子が細かい果糖ブドウ糖液糖などが含まれていて吸収の促進と抗菌作用の効果があります。また含まれている二酸化炭素は養分となります。炭酸は通常では強すぎますので気の抜けたものを使います。水1に対して3割程度が入れる目安と考えて下さい。この方法は大きな花瓶よりは一輪挿し向きでしょうね。

花が萎れてしまったら

花を飾る場所によって、温度の差がありすぎたり、水を取り替えるのを忘れて水切れをおこしていたりすると花は首を垂れて葉も元気なく全体にクタッとなってしまいます。切り花の種類にもよりますが、萎れてしまった花をもう一度前述した水切りや湯揚げを再度行い新聞紙で硬く包んで一昼夜深水に浸けておくと復活する場合があります。バラやガーベラなどに有効です。それでも直らない場合は花首だけ切り取って吸水性スポンジ(オアシス)に挿してアレンジメントにして楽しむ方法もあります。また、バラ、ひまわり、チースなどは足元を縛って風通しの良い所に吊るしてドライフラワーにしても良いでしょう。

まとめ

花を長持ちさせるにはコツを習得することが重要!

一輪挿しやアレンジメントなどで花を楽しむことは心身にゆとりをもたらします。そんな切り花を長い時間長持ちさせるには、洗剤の利用法など色々ご紹介しましたが、最初に水切りをしっかり行うことと、花を置く場所にも気を配り、何よりも花瓶の水の管理が長持ちをさせる一番大切なことです。この三つのコツを掴めば切り花を長い間眺めることができ、なお一層潤いのある暮らしが楽しめます。

切り花長持ちが気になる方はこちらもチェック!

切り花について基本となる長持ちさせる方法をご紹介しましたが、「暮らし~の」では他にも花についての詳しい記事をご紹介していますので、気になる方はこちらもチェックされてはいかがでしょうか。