縁結びの木 梛(ナギ)
はじめに
梛(なぎ)という木をご存知でしょうか。熊野神社では御神木として多く植えられている樹木です。この木には古くから人々に言われてきた縁結びや災難除け、神様の化身としての意味があります。
高木針葉樹ですが小さな若木は観葉植物としても人気がありよく売られています。梛(なぎ)の特徴や人々から愛されている由縁、その元になった歴史的なお話などと共に、育て方もご紹介していきます。
梛(なぎ)について
梛(なぎ)の樹木の基本情報
科・属:マキ科マキ属
原産地:日本、台湾
学名/英語名:Nageia nagi/Asian bayberry
学名からもわかるように日本に古くからある樹木で神社の御神木としても祀られています。大きさは20mになる巨木。コンパクトの仕立てた観葉植物としても流通している歴史ある美しい木です。
歴史ある梛(なぎ)
日本の中世期は熊野詣が盛んだった時期。熊野神社といえば梛(なぎ)の木をご神木とするところ。参拝した人々は帰路の無事を祈って梛(なぎ)の木の葉を身に着けることが流行りました。金剛童子の化身とも言われている樹木です。
梛(なぎ)のアロマテラピー効果
この木は特別な成分が分泌するので、アロマテラピーにも利用することが可能です。ナギラクトンと呼ばれているこの物質には、抗菌と抗炎症作用があります。
梛(なぎ)は縁起の良い樹木
なぜ縁起が良いとされているのか
梛(なぎ)の葉脈はすべて縦方向に入っています。そのため手でちぎろうとしても来れないのが特徴。誰からも傷つけられず、割けないことから葉の持ち主を守護してくれる縁起が良い植物とされています。
縁結びの木と呼ばれる意味
歴史上名高い尼将軍北条政子と源氏の代表的な人物である源頼朝のロマンスはご存知でしょうか。二人の恋物語は激動の時代に翻弄されつつも強い縁(えにし)で結ばれた男女の愛情として、数々の小説の題材ともされていますね。
多くのエピソードの中のひとつに、頼朝を追って伊豆を訪れた北条政子が梛(なぎ)の木の下で再会した話があります。二人が愛を語る場所として選ばれたのも、梛(なぎ)が縁結びの木と呼ばれる由縁です。
災難除けの木と呼ばれる意味
名前のなぎが"凪"という風が静かでおだやかな海の様子と音が同じことから、古くから漁師や船乗りの家ではこの木の葉がご利益があるものと大切にされていました。そこから海に直接関係のない家庭でも、災難除けの神が宿る樹木として、お守りの中に葉を入れるなどして使われています。
梛(なぎ)の特徴
樹木の特徴①樹
梛(なぎ)と同種族のマキ属の植物は世界に100種類以上あります。その中でも最も美しいとされるのがこの梛(なぎ)の木です。樹皮がウロコのように剥がれるのも特徴的でそのあとは丸いまだら模様となります。水に強い性質を持っていますので、インテリア用の木材にも使われます。
樹木の特徴②葉
見た目はツバキのような厚みのある丸い形をしている葉。こう見えても常緑の針葉樹の仲間。パッと見ただけではまるでそんな感じはしないでしょう。1年中紅葉せず、かわいらしい緑の葉を携えています。
樹木の特徴③花
梛(なぎ)も花を咲かせるということを知らない方も多いと聞きます。目立ちませんが緑色の花を咲かせます。この木は雌雄異株となっていますので、2種類の梛(なぎ)がないと実が結実しません。
雄株が近くになくても、雌株を育てている人で運が良ければ、昆虫などに運ばれた花粉によって10月ころに小さな実がなっているのを見ることができるでしょう。
梛(なぎ)の花言葉はない?
花言葉のない樹木
梛(なぎ)は花が咲きますがその花言葉は現在のところまだ付けられていません。その代わりに縁結びの観葉植物、愛の木と呼ばれて売られています。
また神の化身の縁起の良い木としても有名ですので、今後花言葉が付けられるとしたら愛や縁起にちなんだ意味が付くかも知れませんね。現在言われている縁結びの木の呼び名も花言葉のようなものです。
花言葉は誰が付けているのか
梛(なぎ)に花言葉がない、今後付く可能性はあるのか?ということから少し花言葉の付けられ方についてもお話しましょう。花言葉は西洋のものと日本独自に昔から付けられているもの、花木メーカーやフラワーショップが独自に付けているものの3種類から有名なものが広まっています。
観葉植物として人気がさらに高まれば、メーカーが独自に付ける可能性もあります。
梛(なぎ)の木で有名な縁結びの神社①春日神社
樹齢1000年以上の梛(なぎ)の木
春日神社(春日大社)の境内に植えられている梛(なぎ)は天然記念物にも指定されている、古く大きくて立派な樹木です。その樹齢は定かではありませんが、1000年はたっているといわれています。
梛(なぎ)は暖かいところに生息する木。この春日神社が北限といわれています。鹿で有名な春日大社ですが、なぜかその鹿もこの葉は食べません。
神社情報
住所:奈良市春日野町160
電話番号:0742-22-7788 FAX:0742-27-2114
休日・開門時間:休日は特に無し。開門時間は3月~10月は6:30~17:30、11月~2月は7:00~17:00
アクセス:車の場合/名神高速道京都南ICから京奈和自動車道で約60分。電車バスの場合/JR大和路線近鉄奈良線奈良駅下車、奈良交通バス春日大社本殿行で約10分。または市内循環外回りに乗り約9分春日大社表参道停留所で下車後、徒歩で約10分。
梛(なぎ)の木で有名な縁結びの神社②熊野神社
熊野神社那智大社の梛(なぎ)の木
熊野三社と呼ばれる中のひとつに、熊野神社那智大社があります。ここには平重盛が自ら植樹したという樹齢1000年の木が存在します。本殿内に植えられており、塀の外からでもその大きくて立派な姿を確認することができるでしょう。
神社情報
住所:和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
電話番号:0735-55-0321 / FAX 0735-55-0643
利用時間:6:00-16:30
アクセス:JR紀勢本線 紀伊勝浦駅・紀伊勝浦駅から熊野交通バス那智山バス停留所下車
梛(なぎ)の木で有名な縁結びの神社③椰野原稲荷神社
小さいが古く厳かな熊野神社末社
熊野神社の名前は付いていませんか、こちらは末社と呼ばれる神社です。名前からもわかるようにお稲荷様(きつね)を祀っている神社。
入り口には両脇に狛犬ではなく狐が置かれていて、その先には木製の赤い連なった鳥居があり周りには自然があふれ地域の人から親しまれています。鳥居も神社も木造で少し古い感じがするものですが、その分とても厳かな雰囲気が漂っていると感じられるでしょう。
なぎのはし
こちらは今は梛(なぎ)の木は切られてしまっているのですが、昔に植林されていた跡があります。男女の縁結びにも通じる「なぎのはし」が近くには現存します。お近くの方は二人の仲の橋渡しの願掛けを込めて、その橋を思い人と一緒に訪れてみてはいかがでしょうか。
神社情報
住所:埼玉県入間市上小谷田1-1-5
電話番号:04-2964-4889(入間観光協会)
アクセス:国道299号線小谷田3丁目交差点を西へ1分。ホームページはありませんが入間市の観光協会内に、神社までのアクセス等についての問い合わせフォームが用意されています。
梛(なぎ)を自宅で育てよう【観葉植物】
縁結びの梛(なぎ)は人気の観葉植物
縁結びの木 梛(ナギ)
天然記念物の梛(なぎ)の巨木も良いけれど自分の手で育ててみるのもよいでしょう。ここでは観葉植物としての梛(なぎ)の育て方をご紹介します。
観葉植物の育て方①日当たり・置き場所
自生する梛(なぎ)は北限が奈良というくらい寒さが苦手。観葉植物として育てる場合もあたたかさに注意してあげてください。日当たりは好きなので春~秋は屋外で、冬には室内に入れてあげましょう。
観葉植物の育て方②土・肥料
土は水はけのよいものを好みます。それ以外には特にこだわりはありません。市販の培養土なら観葉植物用の土を選べば間違いないでしょう。肥料も特に必要ありませんが、暖かい生育期に元気がないようでしたら時々液体肥料を水代わりにあげます。
観葉植物の育て方③植え替え・植え付け
梛(なぎ)の植え付けや植え替えをする時期は5、6月頃が適期。このころに行いますがひとつ注意があります。この木はよく根を張り移植を嫌います。鉢植えで育てている場合は大きな鉢に植え替えてあげるのは良いですが、地植えにした場合は移植は避けましょう。
観葉植物の育て方④注意すること
病気や害虫の心配はほとんどない植物です。ただ大きくなって幹が太くなるとテッポウムシが入り込むことがあります。外からは見えませんが虫がかじった幹の木くずが散らばりますので、水やりの前にそのような物が散らばっていないか注意しましょう。もし見つけたら薬剤で駆除します。
庭木にするときの注意
梛(なぎ)はナギラクトンという物質を分泌します。これには自分が大きくなるためにまわりの他の植物の成長を阻害する働きがあるのです。そのため、庭木にすると周りの木が絶えてしまうということにもなりかねません。
鉢植えで育てるのであれば近くに他の木を置かないこと。庭木として植える場合は周りの木は最初から諦めるつもりで場所を決めてあげましょう。
梛(なぎ)の増やし方
梛(なぎ)は種まきで増やす
移植を嫌う梛(なぎ)は挿し木などでは増やさずもっぱら種まきをして増やされています。自宅で増やしたいときも種を撒きましょう。
梛(なぎ)の種まきと発芽
種まき用の土は清潔な赤玉土が良いでしょう。浅めにまいて土を掛けて管理します。水やりは週1程度。乾燥させないよう気をつけて育てます。樹木ですので、草花のように簡単に発芽するわけではなく、非常に長い時間がかかります。早ければ翌年の春。遅い場合はその翌年になる場合もあります。
まとめ
縁起が良い梛(なぎ)の木を育てよう!
熊野神社では榊の代わりにも使われる梛(なぎ)。神様の化身という意味も持っている木です。災害避けの意味や人と人、特に男女の縁結びの縁起が良い植物としてじわじわと人気が出てきています。神社の古い巨木にパワーをもらいに行くもよし、自宅で大切に育ててみるのも良いですね。
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