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お盆の風習「送り火」の意味は?地域別の違いや燃やすものなどのやり方を解説!

日本の夏のお盆は、迎え火から始まり送り火で終わります。詳細な方法・風習などは地域によって異なりますが、おおまかな意味あいとしては全国等しいと言えるでしょう。この記事では、何日から始めるのかや燃やすものについてなど、基本的なお盆の送り火のやり方を解説しています。
2020年8月27日
sakakibara-tetuji
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お盆の送り火とは

お盆期間中に家に迎え入れた代々先祖様の霊魂を、あの世に送ってあげることを送り火と言い、逆に迎え入れる行いを迎え火と言います。地方や家庭によって多少異なることもありますが、当日の8月16日に行ってあげることがごく常識的です。この盆の送り火は絶対的なイメージを持つ人も多くいますが、必ず盆に送り出しをしなければいけないといった決まりはなく、何らかの事情でできない方はきちんとご冥福を祈ることで霊を慰めます。

お盆の送り火は日本の風習

この広い日本では地区ごとに盆の送り火の方法が異なり、ところによっては一種の伝統や風習になっている地区もあります。例えば全国的に有名な灯篭流しはもともと送り火とは関係なかったと言われていますが、盆の送り火と意味合いが似ているため、地区によっては灯篭流しもお盆の文化として認識されていることもあります。

反意語の迎え火とは

死者の魂をこの世に迎え入れる行いの迎えの火がなければ、盆は成立せず送り出しもできません。迎えの火は、ご先祖様のお墓から魂を提灯などの炎に封じ込んで家まで連れて帰るといった、日本の昔ながらの文化の1つです。家に帰ったら数日間は先祖様の霊と一緒に家で過ごします。そして16日の夕刻ころに再び送り火をすることで、霊をあの世へと送り出します。これが盆の迎え火と送り火の一連の流れだと言われています。

お盆の送り火の意味

お盆の送り火は一般家庭でされる小規模な行事から、地域一体となってする大規模なものまで、目的には広い意味があります。また送り火は、海の送り火と山の送り火が存在します。山の送り火では夏空に霊魂を送り出すことで有名な、知る人ぞ知る京都の五山送り火(大文字送り火)、海の送り火では川や海の流れに魂を流す灯篭流しが有名です。このように地区によってはさまざまな意味の送り火が存在します。

五山送り火の意味

京都ににある左大文字・大文字・松ヶ崎妙法・舟形万灯籠・鳥居形松明などの合計5カ所の山々で、大、妙、法、舟、鳥居のマーク、などの文字や形に似せた炎を点火します。この盛大な火と煙によって盆入りでお迎えした死者の魂を送る意味が込められているのですが、正確な起源や成り立ちはいまだに解明されていないようです。

灯篭流しの意味


お盆の海川で行う送り火灯篭流しの意味も、山の送り火の意味と同じく盆入りでお迎えした霊魂を送り出すことだと言われています。灯篭流しの文化は、日本各地や仏教発祥の地インドでも見られる光景です。近年では川の汚染や火事の問題が懸念されだしたことにより、規模が縮小化している地区も増えてきました。

お盆の送り火はいつからいつまで?

新盆(初盆)の場合は7月16日、旧盆のでは8月16日に送り出しをする文化があります。この通りの日にちに合わせて行事が行えない際は、予定を少しずらして迎えの火を12日にして送り火を15日にすることもあります。何日も変更することは好ましくなく、大幅に日程が崩れるようなら盆の送り火は行わないという人も少なくありません。

霊をお迎えする火から始まる

盆の送り火とは、霊をお迎えする火から始まり、送り火に終わります。迎え火は7月13日もしくは8月13日に行われ、3日後に送り火がなされます。必ず例をお迎えする迎え火を霊を送り出す送り火の2つがセットになってお盆が終わります。また何日でも良いわけではなく、4日間という期間の中で終決させることでひと夏の盆が終わります。

お盆の送り火のやり方

お盆で霊をお迎えするときに使用する道具は火です。火をご先祖様の魂にみせて供養するといった意味があります。燃やすものは、おがらという麻の茎の皮を剥いだ繊維質を乾燥させた物を使います。そのためお盆の季節になると、どこの地方でもホームセンター行けばおがらを見かけることが多いでしょう。現代では麻の流通は減ってきましたが、昔の日本では麻は日常的に使われていました。

地域や家庭で違うやり方と方法

焙烙(ほうろく)という焼き物の皿へ火をつけたおがらをのせます。最近では焙烙を使う文化も継承されにくくなってきており、普通の平たいお皿で代用することも。また、おがらの代わりに提灯や松明の炎で代用する人も増えてきており、お盆の送り火には絶対的なルールがないことを物語っています。送り出しは家の玄関先で行うケースが普通ですが、川辺やお墓が歩いていける距離の家庭は、そこまで歩いたりと方法には地域差があります。

お盆の送り火で燃やすもの

Photo bypixel2013

ろうそくに提灯、おがらなどお盆の送り火で燃やすものはいくつか紹介しましたが、この他にもお盆では燃やすものがあるのです。おがら以外に燃やすもので有名なのは精霊馬です。キュウリやナスなどの野菜に、割りばしを差し込んで四つ足の馬の様な形を表現した置物を見たことはないでしょうか。それを精霊馬と呼ぶのですが、お盆ではこの精霊馬も燃やすものとして扱われます。

お盆で燃やすもの精霊馬とは


ご先祖様はお盆になると精霊馬に乗って迎え入れられ、また送り出されるときもこの精霊馬を使うと言われています。お盆の終わりに精霊馬を焼くことによって、霊は安らかに成仏することができるとして昔から送り火のときに一緒に焼かれていました。しかしここでも地域差は大きく、焼かずに川に流す地区や塩で清めてから燃えるゴミとして捨てる地域があったり、日本全国で統一されたしきたりなどはないでしょう。

お盆の送り火をベランダでする方法

お盆の送り火をするさい、家からお墓までの距離が遠かったり集合住宅で玄関先で火が焚けなかったりした場合は、ベランダで行う家庭もあります。ベランダと言っても上下左右にはご近所さんが暮らしているので、大胆に炎と煙を上げることは避けるべきでしょう。微量のおがらで炎を小さくしたり、ロウソクに代用したりして、煙を最小限にしましょう。最近では電池式の提灯風送り火を使う人も増えてきています。

お盆の送り火は正式な方法より心が大事

お盆の送り火は、おがらを焚くといった一般的に幅広く知られた方法がありますが、近年では生活環境の変化が著しく容易に煙を上げることができなくなってきています。何日から何日までに実行するといった時間的な決まりを守っていれば、送り出しの詳細な方法ややり方は多少変わっていても構わないでしょう。大事なのは死者を敬う純粋な心の持ち方です。電気ロウソクであっても、しっかりご先祖様の魂を送る気持ちがあれば問題ありません。

お盆の送り火は夕方に行う

一般的なお盆のスケジュールでは、8月13日朝から昼にかけてはお盆の準備期間に入り、夕方ころに迎え火(お迎え)をします。このとき出来る限り家族全員そろって墓参りをして迎えることが大事です。14日から15日の間は、線香やろうそくなど灯は消さないことが好ましく、お供え物は自分たちの食事と同一のものを提供します。最終日の16日は午前中まで先祖様の魂は置かれていますので、夕方ころに送り火を焚いて供養することでお盆が終わります。

時間が合わないとき

昔からの伝えを完璧に再現できている家庭は少ないでしょう、お盆なのに何日も仕事が続いたり16日の夕方は子供や家族の用事で時間がとれなかったり、このような忙しさは現代では当たり前になりつつあります。夕方に送りが焚けない方は午前中でも昼でも構いません、何度もお伝えしているように大事なことは供養する気持ちです。何日から何日までといった最低限の決まりを守っていれば、送り出しのやり方や時間帯は厳守せずとも大丈夫です。

お盆の送り火の期間が雨だったら

お盆は雨の少ない夏の季節に重なりますが、ときに何日も続く台風や土用雨など夏独特の悪天候に見舞われることがあります。そんなお盆では無理に外に出て火を灯す必要はありません、お仏壇の前で明かりの灯った提灯を置き、心の中で霊の成仏を願うことでお盆は静かに終わります。五山送り火など地方で開催される送り火では雨天決行のケースもありますが、一般家庭ではそこまでして行う人も少ないでしょう。

雨だからと言って延期はしない

雨が続くからといって、送り火を焚くのを翌日の17日に変更することはあまり一般的ではありません。雨であっても定められたお盆の期間に迎え火と送り火を実施することで、霊魂もこの世とあの世の行き来が行いやすくなると言われています。お盆を12日から15日にするなど1日早まらせることはあっても、遅らせてお盆を終わりにすることは滅多にないので、方法ややり方も大事ですがお盆の期間の方に注目するようにしましょう。


お盆の送り火の地域で違う風習

風習は地方ごとに違った特色があります。ある地区では、おがらや松明などの炎から燃え盛る煙の上を何回もまたぐ習わしがあります、これにより恐ろしい病を予防できるという考えがありました。またある地方では、昔ながらの歌みんなで歌ったり、お経を吟じたりする風習もあります。日本にはまだまだ世間では知られていない未知の文化があるかもしれません。

日本各地のお盆の送り火

石川県金沢市では、切子という自分の名前を書いた灯篭を持ちより、お墓の前につるしていくという独自の文化があります。岩手県盛岡市では送り火に舟を用いり、船上にはお供え物をのせて川に流すという舟っ子流しという風習があります。長崎県ではお盆に豪快な花火を使った送り出しの方法「精霊流し」が知られています。上記のように、お盆の送り火には同じ国内でも多種多様なやり方と方法が存在するのです。

まとめ

お盆とは決められた期間中に、お迎えの火と送り出しの火によって死者の魂をこの世とあの世の行き来をさせることで、供養と成仏を願ってひとつの夏が終わります。細かいやり方は地方によってさまざまな文化が見られますが、考え方はほとんどの県で同じか似ていることが多いでしょう。人々が多忙な今日の日本では受け継がれた習わしを完璧にこなすことは難しいかもしれませんが、死者を敬う気持ちさえ忘れなければ、お盆は無事に終わるでしょう。

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