ハーブの土
ワームウッド
ハーブの苗/ワームウッド(コモン)
アブサント
はじめに
ニガヨモギの効果効能から栽培法・花言葉まで
ニガヨモギという植物をご存知でしょうか?ヨモギなら知っている人もたくさんいるでしょう。形は少し似ていますが、草餅の材料となるヨモギと違ってこちらは食べると毒性があるちょっと危ない植物です。とはいっても大量に摂らなければ問題にならない程度と認められている植物です。知っていそうで知らなかったニガヨモギ草の効果・効能から育て方、使い方を見ていきましょう。
ニガヨモギについて
ニガヨモギの基本情報
科・属:キク科ヨモギ属
原産地:北アフリカ、北アメリカやアジア
学名/英語名:Artemisia absinthium/worm wood
ヨモギと違い元々日本にはなかった植物で、江戸時代に入ってきました。毒がある植物で、特に茎や葉にはその成分が多いです。その半面、胃腸を健康にするために飲まれていたりもしました。
ニガヨモギの特徴
草丈は40cmから大きくなると100cmくらいになるものも。夏から秋にかけて黄色い小さな花をたくさん付けます。英語ではワームウッド(虫の木)。虫がいる木ではなく、防虫効果が高い木と言った意味でしょう。実際ニガヨモギの香り成分には虫を寄せ付けない効果があります。
ニガヨモギとアブサン
ニガヨモギといえばアブサンの原料と言われるくらいに切っても切れない関係があります。アブサンとはお酒の名前。植物名を検索したらたくさん出てきて驚いた方もいたのでは?なぜこのお酒は注目されるのでしょうか。
禁断の酒アブサンの原料ニガヨモギ
ニガヨモギを原料としたお酒が古くから西洋では飲まれていました。日本にはありませんでしたが、ヨーロッパやアメリカでは野草として道端によく生えていた植物だったからです。このお酒には大きな中毒性があり、飲んだ人が幻覚を見たり麻痺を起こしたりと問題になり製造中止になったことも。
芸術家が愛したニガヨモギ酒
ニガヨモギ酒が最初に流通していた当時、多くの芸術家がこの幻覚作用のある酒を愛飲したといいます。中でも著名な作家なのが、ひまわりなどで有名な画家のゴッホ。彼はカフェで飲むアブサンをとても愛しており、絵の題材としても描いていました。ゴッホのようにこのアルコールをテーマにして作品作りをしていた人も珍しくありません。
ニガヨモギの成分は
ニガヨモギの毒成分はツヨン(Thujone)。これを大量に摂取することで幻覚を見て錯乱する人もいて当時のヨーロッパでは大問題とされ、禁止されるまでに至りました。現在でも0.5μg/g以下でないと販売はおろか作ってもいけないWHOの決まりがあります。
ニガヨモギの効果効能
成分には悪いものばかりではありません。毒にもなれば薬にもなる草はたくさんありますね。ここでは、ニガヨモギの成分で良い効果とされるものを紹介します。
効果効能①
ニガヨモギから成分を抽出することは現在は禁止されていません。一般の人が抽出しても酸味や苦味の味付けとして使うくらいしか利用することはできないのですが、やろうと思えば可能です。この成分には食欲増進の効果・効能があるとアラビア医師のアウィケンナが発見しています。
効果効能②
14世紀頃のイタリアではニガヨモギの抽出液には扁桃腺や中耳炎を治す効き目があるといわれていました。こちらは古い時代の効果ですが日本でも健胃薬として使っていたとする記述もあります。生えている国によって効果・効能も違っていたようです。
効果効能③
効果・効能はそれだけでなく古いヨーロッパではペストやコレラにも効くといわれていました。その真意のほどは定かではありませんが、昔から毒草であり薬草としてもその成分が注目されていた草だったのがわかりますね。
ニガヨモギの花言葉は冗談
ニガヨモギの効果も見てきたところで、栽培法の前に花言葉も知っておきましょう。ニガヨモギを贈り物に使うという場合はまず無いでしょうが、花言葉は良いものがありません。差し上げるときは花言葉を気にする人かそうでないか、確認してからがよいでしょう。
花言葉の意味
ニガヨモギの花言葉はたくさんあって、その筆頭として書かれているのが冗談というものです。その理由は明らかではありません。花言葉にはこのほか平和という良い意味もありますが、愛の離別や恋の悲しみなどマイナス要素が強いものがほとんどです。
その他の花言葉は
ニガヨモギにはワームウッドという英語名もあって、日本での花言葉とはまた違った意味があります。敵意や上の空、苦しさや過酷などよくない言葉がそれです。洋の東西を問わず、あまりよい印象を持たれていない植物だったのがわかりますね。虫除け効果のある植物だけに、虫が好かないということかも知れません。
ニガヨモギの栽培方法
ニガヨモギは道端に生えている雑草ですので、栽培方法といっても特に難しいことや気にすることはありません。駆け足になりますが、ポイントをかいつまんで育て方をご紹介しましょう。
日当たりと置き場所
田んぼや畑の畦に生えているくらいですので、おひさまにはいくら当たっていても飽きないくらい、日当たりが良い場所が好きな植物です。しかし、絶対に日なたでなければいけないわけでははなく、置き場所も半日陰くらいであれば成長も難しくありません。
ニガヨモギ用の土
ハーブの土
日当たりが良い場所であれば土は選ばない植物です。これからベランダ園芸で土から用意するという場合には、ハーブ用の土がおすすめ。この培養土であれば、水はけも考慮されていて栄養も入っているのですくすくと大きくなります。庭に植えるなら、軽く耕してあげるだけでも植え付けることは可能です。葉を収穫したいのであれば窒素の多い肥料は避けましょう。防虫効果のある香りが弱くなってしまいます。
種まきの時期
種まきの時期は春と秋の年に2回。とても小さな種なので流してしまわないよう注意が必要です。発芽するまで乾かさないように管理します。自分で採取した種をまくことも可能です。秋に種を収穫して、翌年春にまきます。
定植
種まきからの苗や買ってきたものを植え付ける時に特に注意することはありません。株の大きさは葉っぱ5~6枚程度で適した時期となります。
ニガヨモギの収穫
お酒の原料だけがニガヨモギの活用法ではありません。もちろん葉が美しい植物として愛でることもその方法の一つです。他にはどんな使い方ができるのか?その利用方法から収穫に向いている時期、収穫方法までを見ていきましょう。
ニガヨモギは何に使う
ニガヨモギの葉はシルバーリーフです。花壇や寄せ植えのアクセントにするのに向いています。この他収穫して使う方法に、衣服を虫から守る防虫剤のハーブがあります。虫が嫌うのはこの植物の香りです。
防虫のハーブとしての葉の収穫と活用
防虫効果は香りが高い時期に収穫するのが良いといわれています。この活用法で使用するのはニガヨモギの葉と茎。サシェのように小袋に入れてクローゼット内に吊るして使用します。
香りの強い開花前の時期が収穫時
開花前が一番香りが強いので、花が咲く前に刈り取ってドライハーブにします。つぼみがついていても、花が開くまでは収穫が可能です。刈り取って風通しが良い場所に逆さに吊るして作ります。乾いたらそのまま布にくるんたり、小さくカットして可愛い小型の巾着袋につめて使いましょう。
ニガヨモギの販売はあるのか?
家でニガヨモギを育てるなら種か苗を手に入れる必要があります。種はなかなか手に入りにくいのですが、海外通販や個人輸入などで手に入れることも可能です。苗は比較的手に入りやすいので、欲しい方はこちらがおすすめです。
種の販売
ワームウッド
ニガヨモギには毒性があるといわれていますが、ワームウッドとして種を買うこともできます。ワームウッドはニガヨモギの英語名です。直播きまたはポットに撒いて、苗を育ててから定植します。
苗の販売
ハーブの苗/ワームウッド(コモン)
簡単に育てるには苗を買ってしまうのがおすすめです。虫が寄ってこないとされるワームウッドは花壇に植えておくだけでも他の植物の虫除けの効果があります。葉色もきれいですので買い求める人も多く、ホームセンターや通販でも意外と簡単に苗が手にはいります。
ニガヨモギの毒性注意
ニガヨモギといえばやはりコレ!もう一度お酒の話とその毒性について触れて締めといたしましょう。苗も市販されているくらいですので、量を多く摂らなければ大丈夫なのかも知れませんが注意するに越したことはありません。
毒成分ツヨン
お酒の原料となる植物なら収穫して何とか梅酒みたいな形で成分を抽出したニガヨモギ酒を作れないか?と思ってしまう人もいるかも知れません。ここで注意して欲しいのはこの植物に含まれる中毒性成分。毒草たる所以のツヨン成分の存在です。
禁止はされてないけど毒草である
この植物の成分抽出は何も禁止されている事ではないのです。酸味や苦味のエッセンスとして使用も可能。しかし普通の判断であればいくら不可能ではいないとしても、毒草を抽出して飲もうという気持ちは起こりませんね。
ツヨンの毒は中枢神経毒
昔は世界的に禁止されていたアブサン(ニガヨモギ酒)がまた販売されるようになったのは、濃度によって毒性も承認できるレベルであると判断されたからです。規定量以上の成分を摂取するとどうなるのかというと、脳の働きそのものを停止させるというとても危ないもの。具体的には麻痺、昏睡などの症状が起こります。
飲んでみたい人は販売されているアブサンを
アブサント
ニガヨモギを使ったお酒を飲んでみたいという、お酒好きな方は自分で抽出しようとせずに販売されているアブサンを買いましょう。たくさんの種類が出ています。アブサンが好きだったといわれる画家のひとりゴッホの自画像がプリントされたパッケージも印象的なこちらなどいかがでしょうか。重なった自画像がニガヨモギ成分の危険性を教えているようですね。
まとめ
ニガヨモギの毒性注意!防虫ハーブに使おう
銀色の葉が美しいニガヨモギ。昔は幻覚を呼ぶ魔性のお酒の材料として、芸術家に愛されていた時代もありました。その成分には毒性も含みますが、大量に摂らなければ摂取しても大丈夫とWHOも認めています。野の草として育つくらいですので、栽培は初心者でも簡単。庭の虫除けや防虫剤として使うこともできるハーブです。興味のある方は苗や種から育ててみてくださいね。
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