シャンツァイは別名?料理で名前が違う香草
シャンツァイとパクチーは、とても姿が似ている野菜です。中華料理で食べるか、カフェ飯のトッピングに使われているなど、料理で区別している方もいるでしょう。このふたつの野菜、コリアンダーと同じ種類のものがあるそうです。それはどちらだと思いますか?今回はシャンツァイと同種の作物との違いについてと、その育て方にも触れていきます。
シャンツァイについて
シャンツァイの基本情報
科・属:セリ科コエンドロ属
原産地:地中海沿岸
学名/英語名:Coriandrum sativum/Coriander
日本語の別名として中国パセリ、コエンドロ、コスイがあります。
シャンツァイの特徴
大きさは25センチほど、まっすぐ長く伸びた茎の先に、切込みのある3枚の葉がついているのが特徴です。野草摘みをされる方なら、セリと似たその姿に日本の野菜だと思っていたという方もいるのではないでしょうか。スーパーでしか野菜を見ない都会育ちの方々の中では、三つ葉に似ていると感じる方もいるでしょう。そのくらい日本人には馴染みがある形をしています。シャンツァイとは中華料理の中でも四川料理の薬味として常用される野菜で、香菜と書きます。
シャンツァイの種類①別名
日本での古くからの呼び名だけでも、先程いくつかあげましたが、この他にもシャンツァイには有名な別名があります。近年よく耳にするポピュラーな物から、名前の種類を3つご紹介しましょう。少し早めではありますが、最初のクイズの答えでもあります。
名前の種類①パクチー
まずは、パクチー。これは、タイ語での呼び名が日本で一般的になったものです。不思議なもので、シャンツァイといわれるとラーメンやラー油にたっぷりとトッピングされた緑色の香草を思い出すのに、パクチーと言われるとエスニック料理を思い出すのではないでしょうか。代表的料理として、生春巻きやトムヤムクンなどがあります。
名前の種類②コリアンダー
別名ふたつめは、コリアンダー。こちらもたびたび耳にすることがある単語です。パクチーと違いすぐにシャンツァイとイメージが一致しないのは、その使われ方の違いにあるでしょう。葉で使うこともありますが、多くはこの名前を使うときはその実(種)、または、それをグラインダーで粉砕したスパイスとして目にするからです。
コリアンダーはシラントロとも
コリアンダーは英語で、シャンツァイの英語名として先程すでに登場していました。ただし、アメリカではあまりこの名前では呼ばずに、その代わりにシラントロというスペイン語の読みで呼ばれます。スペインからの移住の方々がよく使ったということもありますし、メキシコ料理で食べられることが多かったというのにも関係しているのでしょう。
名前の種類③コエンドロ
パクチーなどよりも前から日本で呼ばれていたシャンツァイの別名にコエンドロがあります。これはポルトガル語での香草という意味です。鎖国前から日本で呼ばれていた古い呼び名です。最近のしゃれた呼び方のように思えて、実はレトロな呼び名であったのです。
シャンツァイの種類②同品種
別名を知ったところで、ここからは同じ種類の野菜の品種を紹介します。形は違いますが、どれも主にタイ料理で使われる香草です。
品種①パクチー・ラー
日本でシャンツァイと呼ばれる香草は、タイではパクチー・ラーといわれています。同品種というよりも同じものですが、使い方が全く違います。使用するのは葉ではなく根。もちろん、中国四川料理でのシャンツァイの使い方と同じく、彩りや香り付けとして葉を使用することもありますが、むしろ根を使って葉は捨ててしまうこともあるそうです。
品種②パクチーファラン
日本では有名で、たくさん消費されているパクチー・ラーよりもタイではポピュラーなのがパクチーファランです。味はパクチーを更に濃厚に、香りを強くした品種です。形はまったく似ていませんが、同じ味や香りがするので少し不思議な感じがします。その味と香りを最大限に活かす和え物の材料として、いろいろな食材と合わせて使われます。
品種③パクチーラオ
読者のみなさまの中にも「ディルに似ているな」と思われた方もいたでしょう。調べてみると、このパクチーラオはディルと同じもので、タイでの別名のことでした。魚や肉料理の臭み取り、風味づけに使われるディル、いやパクチーラオ。タイ料理でも西洋料理で使われるのと同じ方法で、肉や魚に対して使われています。
シャンツァイとその他の名前の違い
同じ作物で別な呼び方をされる野菜は、珍しくありません。同じ物と知った上で、料理によって呼び名を変えてみると、この人野菜通だなと思われるかも知れませんね。
シャンツァイと呼ばれる料理
この名前で呼ばれる食材を使うのは、中華料理(その中でも四川料理が多い)です。ラー油など唐辛子や山椒を使ったピリ辛な料理が多い四川の料理。その辛い料理の清涼剤としてさわやかな香りをつける野菜(香草)としてシャンツァイがトッピングされます。
パクチーと呼ばれる料理
タイ料理やエスニック料理と呼ばれる料理に使われるとき、シャンツァイはパクチーという名前で呼ばれます。先程あげた生春巻きなどの他には、蒸し鶏と合わせてメイン食材として食べるサラダやこちらもグリーンカレーなどピリ辛な料理の付け合せとして、コリアンダー(スパイス)ではなくパクチー(葉)として使われます。
コリアンダーと呼ばれる料理
この名前で呼ばれるときは香草ではなく、シードやスパイスとして使われていますので、カレーのガラムマサラの材料として、また市販のカレールゥにアレンジを加えたいときなどにも使われます。コリアンダーパウダーは、肉や魚を焼く時に使います。葉を使う料理の爽やかな香りとは全く違い、甘い香りが立ち、子供でも食べやすい使いやすいスパイスです。
シャンツァイの育て方①種まき
最後は育て方についても説明していきます。初心者の方は苗を買って植え付けからはじめても良いですが、種から育ててみる楽しさも味わってみませんか。種まきのコツが少し必要ですが、難しいことはしません。ちょっと手がかかるだけ。コスパよくたくさんのシャンツァイを収穫することができます。
発芽率があがる種の前処理
まず、種まきをするには、種を1晩水につけておくことがポイントとなってきます。これは、種が固いから。そのままでは、発芽しようとしても芽が出てこられずに、その前に腐ってしまうこともあります。水でふやかして柔らかくして、さらに、少し種を傷つけてから種まきをすることでさらに芽が出やすくなります。種の傷つけ方は、コンクリートにゴリゴリとこすりつける方法か、サンドペーパーがあればそれでこすってもOKです。
種まきのやり方
土はハーブ用の土や野菜用の土と書かれた培養土を使うと簡単です。香草は虫よけ効果もあるくらいなので、あまり害虫は気にしなくて良いですが、鉢やプランターに鉢底網を敷いて、水はけをよくする石を置いた上に培養土を敷くと安心です。撒き方は点まきという一箇所に3~5個ずつ撒いていく方法で撒き、ふたばが出たら一回目の間引きで半分に、本葉が3~4枚になったら2本まで厳選します。
シャンツァイの育て方②日当たり
葉を収穫するか種を取るかで日当たりについて少し変わってきます。葉を食用としてたくさん採りたいなら、明るい半日陰の方がやわらかく、美味しい葉になります。種を採るだけであれば、日なたでもかまいません。鉢植えなら、その日の日差しによって場所を移動させてあげればよいでしょう。
シャンツァイの育て方③水やり
水やりは一般的な植物の水やりと同じく、土が乾燥していたらたっぷりあげると気をつけていれば良いでしょう。地植えのときは、土の表面が乾いていたときにあげる。プランターや鉢植えの場合は、1日1度たっぷりあたえます。
シャンツァイの育て方④剪定
剪定というと、少し難しそうと構えてしまう方もいるかも知れませんが、することはとっても簡単です。花がついてきたらそれを摘むだけです。これも、葉を食べるか種を食べるかによって変わってきます。種が目的であれば、花は摘んでしまってはいけません。葉の収穫目的の方だけ、こちらを参考にしてください。
花芽の摘み方
種まきから2ヶ月後くらいするとつぼみが付くものがでてきます。花を咲かせてしまうと、葉の成長がとたんに止まります。花芽が見えたら、その根元から摘んでしまいましょう。根元とは、枝分かれしている部分です。
シャンツァイの育て方⑤収穫
葉の収穫の仕方は、背の高さが25センチ~30センチくらいになってから。外側の大きめの葉からです。大きめの葉は、早めに採ってしまわないと硬くて食べられなくなってしまいます。一度に全部刈り取ってしまうと株が終わってしまいますので、内側の小さなものは残しておくようにすると何回か採取することができるでしょう。
種採り
シャンツァイの種はコリアンダーシードとしてスパイスとして食べることができます。葉の香りとはまったく違って、種になるととても甘い香りになるのを確かめるためにも種採りにも挑戦してみましょう。やり方は簡単です。つぼみが出てきたら、そのまま摘まずにお世話を続けます。白い細かい綺麗な花が咲きますので、花を楽しみながら種になるまで待ちます。種が大きくなってくるとだんだんと株が弱ってきて、枯れ始めます。そうなったら収穫時です。
種は株の根元から収穫
種は株で完熟させずに、株ごと切り取ってドライフラワーの要領で、紐で根元をくくり風通しのよい場所で逆さに吊るします。熟すると落ちる種もあるので、薄紙で袋を作ってかぶせておくのもよいですね。気にならない方は、そのままでもOKです。しっかり乾いたら種と枝を分けて種だけガラス瓶などに入れて保存します。来年の春3月ころから種まきに使うこともできますし、もちろん食べることもできます。
まとめ
シャンツァイとの違いは呼び名と使い方
シャンツァイは世界各国で古くから使われている香草です。そのため、各国の言葉で日本にも伝わってきて料理によってその呼び名も代わり、混乱を招いていました。それぞれの違いは呼び名や、使われる料理、葉かシードかにありました。これで疑問が解決して、シャンツァイの香りを嗅いだときのように、頭の中がスッキリされたのではないでしょうか。
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