スペアミントってどんな植物?
地中海沿岸地域を原産とするハーブで、古くより人々に愛されてきました。ミントにはさまざまな種類があり、交雑しやすいことからも現在3000種類以上あるといわれているのですが、そのなかでも「ミントの代表選手」であり、香りがきつすぎないので色々な用途に利用されます。では、スペアミントの特徴や植え方、増やし方のコツを見ていきましょう。
花の特徴
花の開花時期は初夏で、小さな白い花が集まって咲きます。ただし花を咲かせてしまうと株が弱るので、葉っぱを長期間たくさん収穫したいときは、花が咲く前に切り戻すようにしましょう。
葉の特徴
葉っぱの形は、楕円形で先がとがっています。この特徴から「スペア(ヤリという意味)」という言葉が名前につけられました。葉っぱの色は濃いグリーン色で、葉っぱのはしが細かくギザギザしています。
スペアミントの基本データ
科名属名
シソ科ハッカ属
学名
Mentha Spicata
和名
スペアミント
別名
ミドリハッカ、オランダハハッカ
英名
Spear mint
原産国
地中海沿岸地域
ほかのミントの違い
ミントには実に多くの種類がありますが、とくに有名なのがスペアミントとペパーミントではないでしょうか。どちらも人気のミントですが、両者には違いがあります。では、ふたつの違いについて少し見ていきましょう。
ペパーミントの違い1・香り
両者の最も見分けやすい違いが香りです。スペアミントはマイルドな香りで、ペパーミントは少しとがったすっきりと強い香りがします。ペパーミントとの香りの違いは、成分の違いからもたらされるものです。スペアミントの香りの主成分はカルボン。対してペパーミントの香りの主成分はメントールで、実は主要な香り成分が違うのです。カルボンはメントールと違い、やわらかで少し青臭い野性的な香りです。
ペパーミントの違い2・葉っぱの形
2つのミントをよく見比べてみると、葉っぱの形が少し違います。スペアミントのほうが先がとがっていて、ペパーミントは少し丸みを帯びています。また、葉っぱの色はペパーミントのほうががやや薄いです。ただし色については、育てている環境や土質にも左右されますので見極めが少し難しいかも知れません。
効果と効能
体調や精神を整える効果効能が期待され、なんと古代ローマ時代にはすでに消臭や防虫のために使われていたそうです。では、効果効能について詳しく見ていきたいと思います。
効果と効能1・リラックス効果
爽快な香りは、さわやかななかにもマイルドな優しさがあり、気持ちをリラックスさせてくれます。なんとなく気分が落ち込むときなどに、ミントティーで一服してみましょう。今までの鬱々とした気分が一掃されるかも知れません。
効果と効能2・精神を集中させる効果
優しくすっきりとした香りをかぐと、集中力が高まります。勉強や仕事などここ一番というとき、仕事をてきぱきと終わらせたいときなどに、スペアミントの香りをかぐとよいそうです。ハーブティーやアロマオイルを用いると手軽です。
効果と効能3・殺菌効果
ミントは、ガムや歯磨き粉の香りに利用されていることで有名です。というのもミントには、殺菌効果が期待できるからです。たとえば、風邪気味のときにミントティーでうがいをすると、風邪を引き込まずに済むのだそうです。鼻や喉がすっきりするので、それだけでも気持ちがいいものです。
効果と効能4・胃腸のはたらきをサポートする
胃腸のはたらきをサポートする効果効能が期待できます。たとえば胃腸のはたらきがなんとなくよくなくて、おなかにガスが溜まったような不快感を経験したことはありませんか。スペアミントにはこのおなかに溜まったガスを減らす効果効能があるそうです。気軽に取り入れるためには、やはりハーブティーがおすすめです。
使い方やおすすめレシピ
身体や精神を整えてくれるスペアミント。植え方や育て方が簡単な植物なので自分で育てるのもおすすめです。また、試してみたいとは思うものの使い方が分からず取り入れるのをためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。では、気軽に取り入れられる使い方をいくつかご紹介いたします。
使い方1・ハーブティー
フレッシュハーブティー
生の葉っぱを収穫できた場合は、まずフレッシュハーブティーを試してみましょう。使い方はとても簡単です。片手いっぱいくらいの生葉をティーポットに入れたら上から熱湯を注ぎます。5分くらい蒸らして効果効能を抽出したら完成。カップに注いでいただきましょう。
ドライハーブティー
ハーブティーを試してみたいけれど生の葉っぱは収穫できない、という方にはドライハーブティーがおすすめです。ドライハーブティーは、ハーブショップやインターネットなどで販売されています。フレッシュハーブティーよりも青臭さがなく、なかにはドライハーブティーの方が飲みやすいという方もいらっしゃるようです。使い方は前述のフレッシュハーブティーと同じです。一つまみか二つまみのドライハーブティーをティーポットに入れたあと熱湯で蒸らして効果効能成分を抽出します。
飲みづらい場合どうしたらいい?
スペアミントの香りはやわらかなものですが、少し青臭さがあります。飲みづらいときは、はちみつやオリゴ糖など甘味を少し加えると飲みやすくなります。また、紅茶やほかのハーブとブレンドしても美味しく続けやすいです。またお湯ではなく温めた牛乳で抽出してミルク割にするのもおすすめです。
使い方2・モヒート
モヒートをご存知でしょうか。キューバで愛されているカクテルのひとつです。ホワイトラム酒とライムジュースをブレンドしたものをソーダ水で割ります。お好みで少し甘味を加えましょう。現地ではサトウキビのジュースが使われるそうです。そこにたっぷりのスペアミントを加えたら完成です。
使い方3・アイスクリームやスイーツに添える
サラダやアイスクリーム、スイーツに添えてもよいでしょう。スペアミントのすっきりとした香りとスイーツやサラダ野菜の甘味がいいバランスです。ただし、少し青臭さがあるので、あまり多量に用いるのは控えておきましょう。ほんの少し添えるだけで十分です。
使い方4・アイスキューブ
香りを楽しみつつ、保存もできる一石二鳥の方法がアイスキューブです。葉っぱを数枚ずつアイスキューブの間仕切りごとに入れて氷を作ります。アイスティーやアルコールなどさまざまな冷たい飲み物に浮かべると、見た目も鮮やかです。まるでおしゃれなカフェを訪れたような雰囲気を楽しめます。
使い方5・料理のスパイス
日本人にはあまりなじみがないのですが、原産地の地中海沿岸の国々では、ドライにしたものをスパイスとして利用します。とくに肉料理の臭みを消すために使われることが多いようです。そのほかスープの隠し味にもおすすめ。ただし、あまりたくさん使うと食べづらくなるかもしれません。お好みの量を少しずつ試してみましょう。
使い方6・ポプリ
香りは好きだけれど口にするのはあまり得意ではない、という方もいらっしゃるでしょう。そんな場合におすすめなのが、ポプリやサシェで香りを楽しむ方法です。生の葉っぱがある場合は、日陰に干しておけば完成です。香りが足りないときはスペアミントオイルを少し足してもよいでしょう。きれいなお皿などに盛ってお部屋に置くと、さわやかな香りがお部屋に広がってとても過ごしやすいです。なお、サシェというのはポプリを小さな布袋に入れたものを指します。可愛らしい布袋にポプリを入れたサシェをバッグに忍ばせておいたり、また靴の臭い消しにもおすすめです。
スペアミントの育て方1・土作り
とても強い植物なので、さほど土にこだわる必要はありません。水はけのよさをクリアできれば大丈夫です。市販のハーブ用の培養土や草花用培養土のほか、小粒の赤玉土、畑の土などを利用しましょう。
スペアミントの育て方2・肥料
とても生育旺盛で生命力あふれる植物なので、肥料は必要ありません。逆に肥料を与えると、せっかくのよい香りが弱まることがありますのでおすすめできません。
スペアミントの育て方3・水やり
水を与えすぎると根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。地植えにしている場合は、ほとんど水やりの必要はなく自然の雨だけで十分です。鉢植えにしている場合は、葉っぱが少したれてきたかな、と思ったころに水やりする程度でいいでしょう。
スペアミントの育て方4・場所
日当たりのよい風通しのよいところを好む植物ですが、真夏のジリジリと照り付ける直射日光は苦手です。また日陰すぎると育ちが悪くなることも。とは言え、とても強健な植物で、直射日光や日陰の場所だからと言って株ごと枯れてしまうことは少なく、根っこは生きていることが多いです。
スペアミントの育て方5・植え付け
植え付けに適した時期は、春から秋のあいだです。鉢植え、地植えどちらの植え方でも育てられます。苗を庭や鉢に植え付けたら、根付くまで水やりを続けましょう。また、とくに地植えの場合には繁殖力を考えた植え方が必要です。
植え方の注意点1
とても繁殖力が強いので、地植えの場合は増えすぎに注意した植え方をしましょう。ほかの植物の領域にまで入り込んで駆除するのが難しいことがあります。これ以上根っこが伸びていかないよう、地中に間仕切りをする植え方がおすすめです。
植え方の注意点2
ミントは交雑しやすい植物なので、ほかの種類を近くで植えるといつの間にか交雑して、香りなどが変わってしまうこともありますので気を付けましょう。たとえば、違う種類を植えたいときは、あいだに大きな木や植物を植えるといった植え方や、鉢植えの場合は同じ種類だけをひとつの鉢に植える植え方がよいでしょう。
スペアミントの育て方6・植え替え
植え替えに適した時期は、春から秋にかけてです。地植えの場合は植え替え不要ですが、鉢植えの場合は根の回りが早く、一年に一度くらいは植え替えをして根づまりを防ぐ必要があります。これまでより少し大きめの鉢に植え替えて、根付くまで水やりをこまめにおこないましょう。
スペアミントの育て方7・剪定
定期的に切り戻しをすることで、どんどんと枝分かれをしてフレッシュな葉っぱをたくさん収穫できるようになります。また、じめじめとした梅雨時期など多湿の環境が少し苦手なので、梅雨前にさっぱりと思い切って切り戻しておくと、病害虫の発生を防げます。
スペアミントの育て方8・病気
それほど心配な病気はありません。
スペアミントの育て方9・害虫
ハダニ
香りの強い植物ですが、意外にもハダニがつきやすいです。ハダニは葉っぱの裏に群れになって寄生します。スペアミントは強い植物なので、少しくらいハダニが発生したからとただちに枯れてしまうことは少ないのですが、幼い植えたばかりの苗などが成長点をやられると枯れることもあります。また、ハーブティーなど食用の使い方目的に植えている場合、虫がついているのは使えません。植えている株をこまめにチェックして、大量発生する前に駆除するように心がけましょう。なお食用の使い方を目的にしているときは、唐辛子エキスやお酢など自然由来成分でできた殺虫剤を使うようにしましょう。
アブラムシ
アブラムシも、香りに負けずに発生する害虫です。春のあたたかくなってきたころに、ふと育てている株を見ると、茎や葉っぱにアブラムシがびっしりついていることも。びっくりしますが落ち着いて駆除しましょう。ハーブティーなど食用の使い方を考えている場合は、自然由来の殺虫剤を使うか、抵抗がないなら手袋をした手で取り除いてもよいでしょう。
スペアミントの育て方10・収穫
収穫に適した時期は春から秋です。育てている株がしっかり育っていればいつでも収穫できます。茎ごと摘み取って収穫してもよいですし、葉っぱだけをピンポイントに収穫してもよいでしょう。育てている株の大きさと収穫後の使い方を考えながら、よい方法で収穫しましょう。収穫したあとはティーにするほか、日陰で乾燥させてドライにしておくと長期間保存できます。
スペアミントの増やし方1・種まき
一つ目の増やし方は種まきです。種まきによる増やし方の適期は、4~6月ごろ。育苗ポットや鉢に種をまき、日当たりのよい風通しのよいところで管理します。芽が出るまで乾燥させないよう水やりをしますが、種が小さく流れてしまうことがあるので、霧吹きでおこなうのがよいでしょう。芽が出て本葉が数枚出てきたら種まきによる増やし方成功です。好きなところに植え替えましょう。
スペアミントの増やし方2・挿し木
二つ目の増やし方は挿し木です。挿し木は最も簡単な増やし方です。というのもミント類は、茎を切って水に挿して飾っているだけでも根が出てくるくらい繁殖能力が強いからです。挿し木による増やし方は春から秋のいつでもできます。育てている株から茎を10センチくらい切り取って挿し木しましょう。挿し木の前に数時間発根材を入れた水につけておくとさらに成功率がアップします。根が出て苗が安定するまで、水やりをこまめに続けましょう。
スペアミントは育て方も増やし方も簡単なハーブ
スペアミントは古くより人々に愛されてきたハーブで、爽やかな香りが特徴です。とても強い植物なので植え方や増やし方も簡単。地植えのほかプランターなど鉢植えでも気軽に栽培できるので、ぜひキッチンの横などで育ててみましょう。朝、一杯の水にちょっと葉っぱを浮かべるだけでも、爽快な香りでやる気がみなぎります。ペパーミントとは少し違うやわらかな香りで飲みやすいですよ。
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