パプリカとピーマンの違いとは?
パプリカとピーマンは、同じナス科トウガラシ属に属する野菜で、両者とも英語で「bell pepper」と呼ばれます。パプリカとピーマンは、どちらもトウガラシ属ですが、辛みはありません。ピーマンはトウガラシのなかでも辛みのない甘い種類のものを改良した野菜です。そしてパプリカは、ピーマンをさらに改良したもので、実は、ピーマンのひとつの品種なのです。
パプリカはハンガリー原産の新しい野菜
ピーマンの日本での歴史は古く明治時代には人々に食べられていたそうで、とても馴染み深い野菜です。逆にパプリカは、1990年代に日本で出回りはじめた比較的新しい野菜です。ピーマンはアメリカを原産とする野菜です。一方、パプリカの原産地はハンガリーで、品種改良により生み出された野菜だと言われています。では、パプリカとピーマンのそのほかの違いについて見ていきましょう。
パプリカとピーマンの違い1【見た目】
パプリカとピーマンの見た目は似ているので、意識して観察しないと同じようにも見えるのですが、2つの野菜を見比べてみると、違いがあります。
パプリカの見た目
パプリカは、ピーマンと比べるとやや大きめでふっくらとしています。またピーマンと比べて肉厚です。さらにパプリカは黄色、オレンジ、赤いものが一般的です。
ピーマンの見た目
ピーマンはパプリカより一回り小さく、形がやや細長いのが特徴です。またピーマンはパプリカと比べて肉薄です。出回っているピーマンの色は、一般的に緑色です。ただしこれはピーマンを早めに収穫していることによるもので、実は、ピーマンは熟すと赤色になります。
パプリカとピーマンの違い2【味】
パプリカとピーマンはどちらも辛みがなく「スイートペッパー」と呼ばれることがあります。よく似ているパプリカとピーマンですが、味に関しては違いが大きいと感じる方も多いのでは。パプリカは食べられるけれどピーマンは苦手、という方もいらっしゃるようです。
パプリカの味
パプリカには、甘みがあります。ピーマンより食べやすいという印象があるのはこのためでしょう。また肉厚でやわらかいため食べやすく、生食にも向くので、サラダのトッピングなどにも利用されます。
ピーマンの味
ピーマンには独特の青臭さと苦みがあります。苦みがあるため苦手な方も多く、子供が苦手な野菜の代表とも言われています。ただしピーマンをパプリカと同じように完熟させてオレンジや赤い状態で収穫すると、苦みはほとんどありません。
パプリカとピーマンの違い3【栄養価】
パプリカとピーマンは、どちらも食物繊維やカロテン、ビタミンCを多く含む野菜です。ただし栄養素の含有量には違いがあります。これは両者の収穫時期の違いによるものです。ピーマンは栄養素がしっかり作られる前に早摂りし、パプリカはしっかり熟してから収穫します。そのため、ピーマンよりパプリカの方が栄養価に優れています。
パプリカの栄養価
パプリカには、カロテンが豊富に含まれています。パプリカに含まれるカロテンは、パプリカの色によっても多少変わります。赤いパプリカにはカプサンチンが、黄色やオレンジのパプリカにはゼアキサンチンが豊富に含まれます。カロテンは抗酸化作用に優れているので、生活習慣病やガンの予防にも効果があると言われています。
ピーマンの栄養価
ピーマンは、パプリカに比べるとカロテンやビタミンCが少し少ないのですが、パプリカにはないピラジンという栄養素を含んでいます。ピラジンは、ピーマンの青臭さを形成する栄養素。血液をさらさらにして脳血栓や心筋梗塞を予防してくれる効果があると言われています。最近では青臭さが嫌われる傾向から、品種改良によりあまり青臭くないピーマンも出回っています。品種改良されたピーマンは、昔の青臭いピーマンと比べると栄養価が減っているそうです。とは言え、食べやすければピーマンが苦手な方も口にできるというメリットもあります。
パプリカとピーマンの違い6【収穫時期】
パプリカとピーマンの大きな違いは収穫時期です。パプリカは株で完熟させてから収穫しますが、ピーマンは未熟のうちに収穫します。
パプリカの収穫時期
パプリカは、株になっている状態で、黄色やオレンジ、赤色に熟すまで完熟させてから収穫します。品種にもよるのですが、開花してから60日くらいしてやっと収穫できます。パプリカは、完熟に近づくと甘みが増し、害虫の被害にあいやすいので、防虫ネットなどで対策する必要があります。
ピーマンの収穫時期
ピーマンは、品種にもよりますが、花が開花したあと30日くらいしてから収穫します。この時期のピーマンは青くてまだ十分肥大していない未熟なものです。そのまま置いておくとピーマンも、実はオレンジ色や赤色に完熟します。完熟したピーマンは、独特の青臭さが減り、最近では一部のスーパーで完熟ピーマンが売られていることもあります。
パプリカとピーマンのおすすめ品種
パプリカとピーマンの違いを知ったところで、家庭菜園に向くおすすめ品種をご紹介いたします。ピーマンなのに完熟で収穫するもの、などもあり、両者の違いがややこしくなってしまいそう。いずれにしても美味しくいただける品種をよりすぐりました。
鈴なりパプリカ
パプリカのなかでも早生の豊産種。小さめのミニパプリカがたくさんなるので初心者にもおすすめの品種です。
ピー太郎
ピー太郎は、「こどもピーマン」とも呼ばれ、ピーマンの苦みや青臭さを減らし、子供も食べられる品種です。
バナナピーマン
バナナのようなピーマン。ピーマンには珍しく肉厚で完熟させてから収穫します。
パプリカとピーマンのそれぞれの良さを楽しもう
パプリカとピーマンは、違いはあれど同じナス科トウガラシ属の野菜。両者の違いがなんとなく曖昧という意見もうなずけます。どちらもトウガラシから辛みのない美味しい野菜を目指して作られました。ピーマンの苦みが癖になるという方、逆にパプリカの甘みが好き、という方もいらっしゃるでしょう。違いはあれど、パプリカにもピーマンにもビタミンCなどの栄養素がたっぷり含まれていますので、お好みのレシピで楽しみましょう。
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