ゴーヤについて
ゴーヤとは
学名:Momordica charantia
つる性の一年生草本で、ウリ科植物の果実の中でも未成熟のもののことをいいます。果皮は緑色から、完熟すると黄色に変化し、柔らかくなって花のように開きます。先述したように、一般的にゴーヤとして売られているのは未成熟の緑色のものですが、完熟したものも食することができます。完熟したものはメロンのように甘くなり、シャキシャキとした歯ごたえからゼリーのような食感になります。
ゴーヤの産地
ゴーヤは熱帯アジア原産の野菜で、中国から日本へと伝えられました。現在の日本では主に沖縄県と南九州で栽培されており、収穫量1位は沖縄県となっています。収穫時期が非常に長く、6月から9月の間は収穫することができ、簡単に育てられる家庭菜園の定番の野菜として人気があります。
ゴーヤの呼び方
そもそもゴーヤの和名は蔓茘枝(ツルレイシ)といいます。この名前はイボに覆われた表面と、完熟すると甘味が強くなるという点が茘枝(ライチ)に似ていることからつけられました。ゴーヤという呼び方は沖縄県の方言で、代表的な沖縄料理であるゴーヤチャンプルーと共にその呼び方が広まりました。そのほかに独特の苦味があることから苦瓜(ニガウリ)とも呼ばれます。英名も「苦い瓜」という意味のbitter melonといいます。
家庭菜園
ゴーヤはとても育てやすく大量に収穫でき、また食用以外にもグリーンカーテンという活用法があることから、家庭菜園や学校などでもよく育てられている野菜です。栽培するスペースさえ確保できれば育てることは簡単なので、家庭菜園を始めたばかりという方にもおすすめですよ。また、家庭菜園には生育の良いあばしゴーヤがおすすめです。
ゴーヤの栄養素
豊富なビタミンC
ゴーヤ1本には、レモン1個よりも多くのビタミンCが含まれています。また、ビタミンCは熱に弱いのですが、ゴーヤに含まれるビタミンCは比較的熱に強いのが特徴です。
ゴーヤの苦味成分
ゴーヤに含まれる苦味成分モモルデシンは、健胃作用のある食物繊維の一種です。食欲を増進させてくれるといわれており、食欲のないときや夏バテの解消にぜひ取り入れたいですね。
ゴーヤの調理
ゴーヤ料理
ゴーヤといえばやはり、豚肉や豆腐と炒めたゴーヤチャンプルーですよね。九州地方では和え物やおひたしにして食べられています。そのほか、薄切りにして油で揚げてチップスにしてもおいしいですよ。
ゴーヤの苦味の抑え方
ゴーヤの独特な苦味が苦手という方も多いですよね。苦味はゴーヤの特徴ですが、下ごしらえの仕方や調理法によっては抑えることもできます。
ゴーヤの苦味を抑えたい場合は
・塩少々を揉み込んで30分ほど置き、水分が出てしんなりとしてきたら水で洗う
・薄切りにして熱湯で軽く下茹でする
・苦味を和らげる成分を含むカツオ節と一緒に調理する
これらの方法をお試しください。
そのほかの利用法
料理に使われるほか、お茶として飲まれることもあります。ワタまで一緒に薄切りにしたものを乾燥、焙煎したものがゴーヤ茶です。ほうじ茶に似た味で、苦味はありません。
また、ワタと種を取り除いてミキサーにかけ、ハチミツなどで味を整え青汁のように飲むこともあります。
ゴーヤを育てる際の注意点
栽培スペースに注意!
ゴーヤはとても丈夫な植物で、病気や害虫の心配がほとんどなく、家庭菜園でとても人気のある野菜です。ですが、グリーンカーテンとして利用されることが多いように、つるの伸びがとても良く、長さは5メートルにも育ちます。ゴーヤを植える際は、日当たりがよく広い場所にしましょう。
ゴーヤの連作について
同じ土を使って近い種類の植物や同じ科の植物を育て続けることによって、病害虫が発生したり、土に含まれる特定の栄養分が不足したりすることを連作障害といいます。
ゴーヤは2〜3年であれば問題なく連続して育てることができます。しかし4年、5年となると連作障害が起き始めるので、ゴーヤを連続で育てるのは3年までとしておけば安心でしょう。ちなみに、ゴーヤと同じウリ科に属する野菜としてキュウリ、ズッキーニ、カボチャなどがあります。
ゴーヤの植え方その1〜種まきと育苗
種まきのコツ
ゴーヤの種まきは、気温が25℃くらいまで上昇する4月頃に行います。種まきをする前に、種の表面に軽く傷をつけましょう。ゴーヤの種は表面が固く、発芽しにくいという特徴があるのですが、こうすることで種の吸水が促され、発芽しやすくなります。ペンチを使うと簡単にできますよ。
種まきの仕方〜直播きの場合
1:40センチ以上の間隔を空けて、まき穴として深さ1センチ程度の穴を空けます。
2:1つのまき穴に種を入れて土をかぶせます。
3:水をたっぷりあげます。
種まきの仕方〜ポットを使用する場合
直接畑に種まきをすることもできますが、一度ビニールポットで苗を育ててから植え替えた方が育てやすいですよ。ビニールポットは9センチのものを用意しましょう。
1:用意したビニールポットに、やや多めに土を入れます。
2:深さ1センチ程度の穴を空け、種をまいて土をかぶせます。
3:本葉が5枚から6枚ほどになるまで、水を多めにあげながらビニールポットで育てます。
ゴーヤの植え方その2〜定植
ゴーヤの苗を植え付ける際のコツと植え方をご紹介します。畑で育てる場合とプランターで育てる場合、それぞれをの植え方を見ていきましょう。
ゴーヤの植え付けのコツ
十分に暖かくなる5月から6月頃に行います。根はほぐさず、あまり触れないようにして根を傷つけないよう気をつけてください。
植え付けの下準備
まず、事前に土に肥料を混ぜることで馴染ませておきます。植え付けする予定日の4週間ほど前あたりに、土に石灰を混ぜ込みます。それから2週間ほどしたらゴーヤの苗がすっぽり入る程度の大きさの穴を掘り、底に堆肥を入れて、掘り出した土に化成肥料を混ぜ込んで戻しておきます。
次に、プランターで育てる場合の準備内容をご紹介していきます。まずは、プランターを用意しましょう。ゴーヤの根は横へと広がっていく特徴があるので、横幅が広い大きめのものを用意しておきましょう。プランターの底に排水性を良くするために鉢底石を敷き、その上に野菜用の培養土を入れておきます。
植え方の手順
それでは、ゴーヤの植え方をご紹介します。隣の苗との間隔はやや広めに空けるようにします。畑に植える場合は0.9メートルほどの間隔を空け、プランターで育てる場合はプランター1つに苗2つ程度を目安に植えましょう。
まずは苗がすっぽりと入る大きさの穴を掘り、そこに根を傷つけないよう気をつけながらゴーヤの苗を植え付けます。土をかけたら水をあげ、その後も土を乾燥させないようにします。寒冷地にお住まいの場合は、植え付けたあとにホットキャップを設置してあげると安心ですよ。
植え付け後は支柱の準備を!
支柱は株が倒れる心配がなくなるだけでなく、風通しがよくなることによって病気や害虫を予防することもできます。つるが絡まってしまうのを予防することもできるので、しっかりと支柱を立ててあげましょう。
仮支柱について
このときはまだ本格的な支柱は必要ではないので、だいたい30センチほどの短い支柱を使用します。支柱を苗に沿わせるようにやや斜めに挿したら紐で固定します。このとき、あまり強く結びつけないように気をつけてください。
本支柱〜直立式
仮支柱で支えきれなくなってきたら、本支柱を立てます。
1:支柱を株元に抜けないように深くまっすぐ挿します。
2:両端部に支柱を2本ずつ斜めに足して交差させることで、実の重みに耐えられるように補強します。さらに横にした支柱を交差している部分に足して、紐やバンドでしっかりと固定します。
3:ネットを張り、つるが上に伸びるよう誘引します。このとき、つるをネットに誘引してあげておけば、自らネットをよじ登って育っていってくれますよ。
本支柱〜合掌式
1:まず支柱を2本使用します。苗を挟むように斜めに深く挿し、支柱同士が胸のあたりの高さで交差するようにします。
2:横にした支柱を1本、交差部分に追加します。
3:交差している箇所を固定します。端の部分から結んでいくと崩れにくいですよ。
4:ネットを張って、つるを誘引します。
ゴーヤの育て方
ゴーヤはそのままでも育ちやすいですが、剪定や追肥などを行うことによってより大きく立派に育ってくれますよ。
育て方〜環境
ゴーヤは25℃から30℃程度の温度と、強い日光を好む植物なので、日の当たり具合に気を配るようにします。湿度にはやや弱いので、こまめな剪定を心がけましょう。特に梅雨などどうしても湿度が高くなってしまう時期は、湿気で病気なども増えるので注意しましょう。
育て方〜水やり
ゴーヤには多めの水やりが必要となりますが、湿気は好みません。土の表面が乾燥してきたら、たっぷりの水をあげるようにします。また、水やりの際に水が花にかかってしまうと実がつきづらくなってしまうので、水やりのときには根元だけに水をあげるよう気をつけましょう。
育て方〜剪定
ネットから大きく飛び出しているつるは株が弱る原因となってしまうので、ネットから飛び出さない長さに剪定しておきます。あまり葉が茂りすぎていると日光不足になったり、湿気が篭ってしまうので、適度に葉を取り除いてあげましょう。また、株がある程度大きく成長するまでは、少々もったいないですがなった果実は摘み取っておきましょう。
育て方〜摘心
ゴーヤの場合、親づるよりも子づるのほうが実がなりやすいので、子づるが成長しやすいように摘心してあげましょう。本葉を5枚ほど残して、親づるの先端部分を清潔なハサミで切り落とします。摘心は、ゴーヤが1メートル以上の丈に育ってから行うと、より成長がよくなりますよ。
育て方〜追肥
ゴーヤを育てる上でとても大切な手入れの一つとして、追肥があります。追肥とは、植物を栽培する際に追加していく肥料のことをいいます。定植した後、2〜3週間に1回の頻度で追肥をしていきます。追肥として腐葉土や化成肥料などがおすすめです。野菜用の培養土を使用しているには追肥は必要ありません。
肥料について
肥料の量を株の様子に合わせて調節する必要があります。少なすぎる場合は、葉が黄色に変色します。この場合は変色してしまった葉は取り除き、液体肥料を追肥として与えます。逆に肥料の量が多すぎると、葉だけが増えてしまい実がつきづらくなってしまいます。株の様子を見ながら、量も記載されている量を守るようにしましょう。
ゴーヤを育てる上で注意すべき病害虫
うどんこ病
葉が粉をまぶされたようになる病気で、植物の光合成を妨害します。放っておくと葉だけでなく、株全体に広がってしまいます。日当たりと風通しを良くすることで予防することができるので、剪定をこまめに行いましょう。
炭疽病
植物全体に灰色、または黒色の病斑ができる病気で、高温多湿な時期に起こります。発症部分から枯れたり、腐ったりしてしまいます。剪定で風通しを良くして予防し、もし発症してしまった場合には発症部分を取り除き、炭疽病に対応している薬剤を使用しましょう。
ワタアブラムシ
葉や新芽から汁を吸い取ってしまうほか、すす病などを引き起こします。薬剤での予防が可能なので、植え付けのときにあらかじめ散布しておくと安心です。
オオタバコガ
蛾の一種で、幼虫による食害が起こります。幼虫は1月頃から発生し始めるので、見つけたら取り除くか、薬剤を散布しておきましょう。
ゴーヤの収穫
ゴーヤの収穫時期と収穫方法
ゴーヤの収穫時期は6月から9月までと非常に長いのが特徴で、たくさん収穫することができますよ!収穫の仕方はとても簡単で、つるの果実から1センチくらいのところをハサミで切り取ります。この時、清潔なハサミを使用することでつるが傷んだり、株が病気に感染してしまうことを防ぐことができますよ。
見極め方
開花してから15日から20日ほどが経ったものを収穫します。収穫時期の目安として、色は濃い緑色で、表皮がゴツゴツとしているものを収穫すると良いでしょう。
ゴーヤの果実は収穫時期からたった1日で熟しきってしまうこともあります。この状態の果実を残しておいてしまうと栄養を取られ、株自体が衰弱してしまうので、早めに取り除きましょう。
まとめ
夏バテ解消にも効果的なゴーヤを、植え方からご紹介しました。とても育てやすく、家庭菜園初心者という方にもおすすめできる野菜です。栄養たっぷりなゴーヤを、ぜひ家庭菜園に仲間入りさせてみてくださいね。
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