苔テラリウムとは?
「苔テラリウム」をご存じですか?グリーンショップやインテリアショップに飾られている、ガラス瓶に入った苔や植物のアートです。今、魅力的なインテリアとして注目されている「苔テラリウム」の作り方、楽しみ方、育て方について、ご紹介してまいります。
テラリウムとは?
ガラス容器に入ったアートのような植物、それが、テラリウムです。植物の生育目的というより、鑑賞用のインテリアとしての位置づけになります。土や石、苔を使い、ミニチュアの世界を表現したり、独自の世界観を形作り楽しむものです。初心者の方向けのスターターキットを利用すると、簡単に苔テラリウムが作れます。
苔テラリウム:略して「苔リウム」
テラリウムの中でも、容器の中に苔を主役に植え付けていくテラリウムを苔テラリウム、略して「苔リウム」といいます。苔はお手入れがほぼいらないので、一度完成した苔リウムはしばらくその状態で鑑賞でき、世話が面倒な方や、管理に時間をとれない忙しい方にもおすすめです。
苔テラリウムの材料①:苔
苔テラリウムを作るのに必要な植物や材料について、順にご紹介してまいります。こちらに挙げている材料は、ホームセンターや100均ショップなどでも販売されているものです。苔テラリウムを専門に扱うネットショップもありますので、そちらを利用するのもよいでしょう。
苔の種類
苔には、驚くほど多くの種類があります。その中でも、テラリウムに適した人気の苔は、オオカサゴケ、スギゴケ、タマゴケ、ハイゴケ、ホソバオキナゴケなどです。共通の育て方としては、直射日光の当たらない明るい日陰か、半日陰で管理すること、こまめに霧吹きで湿らし乾燥を避けること、などが挙げられます。
苔の採取について
自宅で自然発生した苔を採取するのは構いませんが、他人の庭や公共の場所での勝手な採取は違法になりますので注意してください。(※他の植物についても同様です。)採取する際は、枯れ葉や虫、虫の卵などが付着している場合もありますので、流水でよく洗い流してから使用します。
苔テラリウムの材料②:容器
テラリウムに使用する容器には、ある程度中身の見えやすい素材を選んだ方が、植物の色や様子が鮮明に観察でき、美しく仕上がります。360度、どこから見てもインテリア・アートになるような形の容器が望ましいでしょう。スターターキットの容器は、小さくてシンプルなものが多いです。
ガラス瓶、ボトル
テラリウムは鑑賞目的ですので、内部の植物が見える透明なガラスの容器を使うのが一般的です。コルク栓やガラス栓などがついた密閉容器でもかまいません。身近なものでは、それこそガラスのコップでもいいのです。気軽に始めたい方は、材料すべてを100均で揃えることもできます。
容器の種類:蓋つき、蓋なしの違いは?
生育する苔の種類によって、蓋の有無を決めると良いでしょう。例えばヒノキゴケという苔は湿気のある環境を好みますので、蓋つき瓶の方がおすすめです。また、蓋のある瓶はホコリ除けにもなり、インテリア性も高くなります。しかし一般には、蓋なし瓶の方が光が入りやすくなります。
水槽
スケールの大きな苔テラリウムを作りたい方は、ボトル容器より水槽を使うのがおすすめです。その場合は苔も数種類使い、高低差やストーリーをもたせながら風景を作っていきます。水槽テラリウムの世界をより魅力的なインテリア・アートに見せるためには、LED照明などを利用すると良いでしょう。
苔テラリウムの材料③:土、石、流木
土は苔を定着させるために、また石はミニチュアワールドの景観を作るために、そして流木はそのどちらの目的でも使用可能です。具体的にどのような種類のものがテラリウムに使いやすいか、解説してまいります。
土
土は、庭土を採取してきて使ってもいいのですが、そのままだと虫や卵が混入している恐れがありますので、テラリウムにはホームセンターや100均などで買った清潔な土を使用した方がよいです。おすすめの土の種類を、以下にご紹介していてまいります。
ケト土
ケト土
苔玉づくりや盆栽にも使われるケト土。ねばり気のある粘土質の土で、保水力の高さと型くずれしにくいのが特徴です。ホームセンターでも取り扱いがあり、2L入りの袋でわずか300円ほどで販売されています。適度な湿潤環境を生み出すため、苔の土壌としては最適です。
ハイドロボール
ハイドロボールは軽くて扱いやすく、清潔で保水性に優れているのが特徴です。高温で熱処理されているためカビが生えにくく、コロコロした球状の土なのでインテリア性が高く、観葉植物にも使われます。入れ口の小さなボトルにも、詰めやすいのでおすすめです。ハイドロボールは、ダイソーなどの100均でも売られています。
コケリウム専用ソイル
高熱で殺菌処理された「コケリウム専用ソイル」という名の黒土です。粒子が細かいので、テラリウムボトルに隙間なく敷き詰めることができます。黒土はモダンな印象を与えますので、石や岩と組み合わせてアートな雰囲気に仕上げたい方に、最適です。
石
和風庭園の石庭のように、石を山に見立てて瓶の中に設置します。石は、種類によって様々な表情が生み出せるので便利!粗削りな表情の石は岩山に見えますし、小粒の石を砂利のように敷き詰めて川岸を表現するのも素敵です。また、パワーストーンや天然石などの美しい石を加えるとアートな雰囲気が出て、インテリアとしての鑑賞性も高まります。
流木
流木は、その荒々しい素材感が、苔や石となじみやすいアイテムです。小さなテラリウムボトルの中では、流木は山や樹木を表します。また、それ自体が苔を育てる土台にもなるので、森の朽ちた木に、年月を経て苔がむしたようなアートな表現も可能です。
苔テラリウムの材料④:メンテナンス用品
苔テラリウム内部の管理に、あると便利なメンテナンス用品を、ご紹介いたします。テラリウムの形には、入れ口が小さいものもありますので、こうしたグッズを揃えておくと、世話が容易になるでしょう。
スポイト
苔リウムは、瓶やボトルの形状によっては、水やりが難しい場合があります。ロングタイプのスポイトだと、奥まで届きやすくて便利です。また、普通のスポイトでも上から少量ずつ垂らすことができるので、水の与えすぎを防ぐことができます。100均では、書道用品や画材用品の売り場で売られていることが多いです。
ハサミ
密生しすぎると元気がなくなってくる種類の苔もありますので、定期的にハサミでカットします。通常のハサミよりは、細長いタイプのハサミの方が瓶やボトルの中でも扱いやすいのでおすすめです。セリアなどの100均でも、閉じると細長くなるスティックタイプのハサミが売られています。
ピンセット
苔テラリウム作成時やメンテナンス時に、ピンセットは大活躍します。瓶やボトルの中は、いわばミニチュアアートの世界。景観を形作るのに、ミリ単位の微調整や、繊細な動きが必要になってきます。なるべく先のとがったピンセットの方が、作業がしやすいのでおすすめです。
苔テラリウムの材料⑤:その他の演出用品
LEDライト
苔テラリウムに取り付けるLEDライトには、二つの目的があります。ひとつは、鑑賞目的。光で照らしだすことで陰影を生み、テラリウム内をアートとして演出するのです。もうひとつは、植物の育成目的。苔リウムを置きたい場所にじゅうぶんな日光が射さない場合、LEDで補助的に光合成を促します。また、ライトの効果でより美しい写真が撮れるのも魅力です。
LED照明付きテラリウム「モスライト」
モスライトとは、内野敦明氏が考案された、LED照明を取り付けたテラリウムのことです。LEDの明かりにより、日光の当たらない環境でも植物の光合成を助け、苔の生長を促します。また、LED光は熱で植物を傷めないため、苔の茶変や縮れいといった現象を防げるのです。
ミニチュアオブジェ
ガラス瓶やボトルのテラリウムの中は、基本的には土・石・苔でじゅうぶんなのですが、そこに小さなフィギュアを加えるだけで、メルヘンの世界のような物語性を帯びたインテリアに早変わり。自分の思い描くイメージに近いオブジェを探すのも、苔リウム作りの楽しい作業のひとつです。
苔テラリウムの基本の作り方①
瓶やボトルなどの容器を用意する
まずは、好みのテラリウム容器を用意します。お試しなら、100均などで売られているガラスのボトルや瓶でじゅうぶんです。インテリアとして飾ることを想定し、360度どこから眺めても美しい形の容器がよいでしょう。円形・球形などは角がないぶん、屈折が少なくアートな仕上がりになります。
こんな容器は要注意
瓶やボトルであまり口の狭いものは、初心者の方には製作しづらいのでおすすめしません。口の大きく開いた容器の方が、苔の植え付けや土・石の配置などの作業が簡単です。また、器が半透明・または不透明の場合、側面よりも開口部からの鑑賞を楽しむことになります。
苔テラリウムの基本の作り方②
ベースとなる土を敷く
土は、苔をの育成に必要です。ケト土やハイドロボールのような、できるだけ清潔な土を用意します。てら全体に敷き詰めてもよいですし、苔を生やしたい場所に部分的に敷いてもよいです。苔の成長を見越して、分量を決めるようにします。
石を配置する
石があると、テラリウム内が一つの風景のように演出できます。海や山で採取した、お気に入りの石をいくつか配置しましょう。ロックガーデンのように、あるいは石庭のように、イメージを思い浮かべながら並べます。
苔テラリウムの基本の作り方③
苔を植えこむ
いよいよ、主役となる苔を植えこみます。一か所だけにかたまるように植えこむのではなく、石や流木のすき間に、バランスを見ながら植えこむときれいです。川のように流れをつくったり、高低差をつけて変化にとんだ風景を作りましょう。
苔の植え方
「植える」といっても、苔の場合はそれほど難しくありません。こちらの動画にありますように、ベースとなる土(ソイル)を湿らせておいて、その上に撒くようにのせていくだけです。巻き終わったら、少し指や手のひらで圧着させるとなおよいでしょう。苔はゆっくりと成長しますので、ふさふさとした苔に覆われるようになるまで数か月要する場合もあります。
苔テラリウムの基本の作り方④
仕上げ
仕上げは、最も楽しい作業です。用意しておいたオブジェやライトを使ってミニチュアの世界を完成させます。玄関やリビングなど、鑑賞に効果的で日当たりも考慮した置き場所を選ぶことも大切です。
ミ二チュアオブジェを加える
100均や手芸用品店などで、ミニチュアのオブジェが売られています。動物や人などの生き物でもよいですし、家具や貝殻でもよいでしょう。テーマに沿ったオブジェを用意し、やみくもに配置するのではなく、頭の中でストーリーを作りながら製作するとうまくいきます。
ライトで演出
夜間の演出としてライトアップするだけで、ぐっと高級感がでます。また、置きたい場所がどうしても日光が当たりにくい場合でも、光を与えることで苔の成長を助ける効果もあるので一石二鳥です。
苔テラリウムの作り方:100均材料を使用
100均の店でも販売されている、「観葉植物の土」や「赤玉土」、「ハイドロボール」なども苔リウムに使えます。また、100均のお店にはさまざまな形のガラス器があり、創作意欲をかりたてるデザインのものも揃っているのが魅力です。
吊るすタイプのガラス容器
初心者の方は、まずはこんな小さな苔テラリウムから挑戦してみてはいかがでしょうか。材料がすべて100均で揃いますので、気軽に始められます。キットを使わなくても、シンプルな苔玉のようなテラリウムが完成しますよ。
枯山水風苔リウム
苔といえば、京都のお寺や苔庭を思い浮かべる方も多いことでしょう。情緒ある石庭をイメージした、こんな苔テラリウムはいかがですか?開口部が広いので、初心者の方でも制作しやすいテラリウムです。
100均の植物を生かして
苔だけでなく、観葉植物も加えたテラリウムです。青く透き通った器が涼しげで、夏を想わせる作品に仕上がっています。器、石、土、苔、植物をすべて100均で揃えても、数百円でこんなに素敵な苔リウムができてしまうのが魅力ですね。
苔テラリウムの作り方:キットを使用
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初めて苔テラリウムを作るという方は、まずは必要なアイテムがすべて揃った、便利なスターターキットから始めてみてはいかがでしょうか。キットの価格は、安いもので税込¥2,000ぐらいです。ガラス容器、専用ソイル(土)、苔などがセットになっており、高価なものだと石やオブジェまでセットになっていて、かなり芸術的な作品が完成します。
キットを利用した苔リウムの作り方①
キットを使用し、蓋つきガラス瓶に苔テラリウムを作っていく動画です。霧吹きやスポイトで土を湿らせる様子や、ピンセットを用いて土に苔を植えこむ様子が、わかりやすく撮影されています。材料が揃っていれば、このように作成にそれほど時間はかかりません。
キットを利用した苔リウムの作り方②
「苔盆」と呼ばれる苔庭園手作りキットです。美しいつやのある黒石や、ミニ灯篭、化粧砂、底砂、苔、スポンジ、木の器がセットになっています。京都のお寺などで見られるような風雅な石庭風の仕上がりです。小さなアートとしてお部屋に飾ってみてはいかがでしょうか。
苔テラリウムの管理
苔の育て方
苔は基本的には手のかからない、栽培の容易な植物ですが、いつまでもほったらかしという分けにはいきません。どのように管理すれば美しい状態の苔テラリウムが保てるか、そのポイントをご紹介いたします。
苔の水やり
苔が湿った土壌を好むことは、よく知られています。テラリウム内部を霧吹きで湿らせたり、スポイトを使用して苔の部分にだけ水やりをして、適度な湿度を保つようにしましょう。日当たりの良い窓辺にテラリウムを置いている場合は特に、乾燥に気をつけます。
苔の日光浴
苔も植物ですから、光合成するために日光が必要です。直射日光を避け、レースのカーテン越しなどの明るい日陰でじゅうぶうんに日光浴させてあげましょう。苔が元気になり、色合いがよくなります。
苔の剪定
種類によっては、上へ上へと伸びる苔もあります。テラリウム内のバランスを見て、適宜ハサミなどで剪定しましょう。カットした苔は、再び土壌に定着させて育てることもできます。捨てずにとっておいて、新しい苔テラリウムを作りましょう。
苔テラリウムはインテリア
ガラスの容器の中は、まさにスモール・ワールド。アートとして楽しむためには、テーマを設けて独自の世界を創り上げた方が魅力的です。夏の思い出、登山で見た風景、映画の世界など、身近なあこがれの世界をテラリウムの中に再現してみましょう。
小さな世界を表現
カエルの住み家
苔テラリウムの中に、主人公となる生き物を入れると、空間がいきいきしたものになります。カエルやカッパ、クマやシカなど、野生の動物や架空の生物を配置して、独自のアートを創り上げましょう。どんな世界を創りたいか、お子さまと話し合いながら決めても楽しいですね。
山の風景をイメージ
苔を山のように盛り、石を岩肌に見立てて、山の景色を小さなテラリウムの中に再現します。鳥やキノコ、てんとう虫がメルヘンチックな春の雰囲気。絵本の一ページのような、素敵な苔リウムの完成です。
川の風景をイメージ
水色の化粧砂を川の流れに見立てて、流線型に配置した苔テラリウム。よく見ると、野生のシカが水を飲みに来ています。そんな細かな表現が、作り手の感性を表していて魅力的です。川の水の表現としてジェルボールを使う方法もありますが、管理の点からは変質の少ない化粧砂の方がよいでしょう。
人物を加えてストーリー性をプラス
テラリウムに人物のミニチュアやフィギュアを加えるだけで、苔が大きな木に見えたり、茂みに見えたりするから不思議です。白い砂は雪の代わりに、青い土は海の代わりに用いられていて、見るほどにさまざまなアイデアがわいてきます。スターターキットを利用する場合も、こうしたグッズを用いて独自の世界に拡げていくと楽しいですよ。
人気の苔テラリウムの楽しみ方!まとめ
苔テラリウムは、苔以外はホームセンターや100均などで手に入る、身近な材料で作ることができます。初めての方は、苔リウムキットを利用すると簡単です。その構造と作り方をマスターすれば、器の種類に合わせたアートのような美しい苔リウムができます。トイレや洗面所といったちいさな空間や窓辺に飾れる、インテリアにもなる小さな植物の世界、ぜひ挑戦してみてください。
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