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苔の育て方は?植え方や増やし方など成長に合わせた栽培方法とコツを解説!

苔には多くの種類があり育て方や楽しみ方もさまざまです。肥料やそれほどのお手入れがいらず一度定着するとどんどん繁殖します。お庭で栽培するほか苔玉やテラリウムなど室内での鑑賞も素敵です。苔の種類や育て方、お手入れ方法や増やし方などをご紹介いたします。
更新: 2021年3月13日
Yukari.S
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苔ってどんな植物?

苔植物とは、陸上に生息する非維管束植物の総称であり、苔類(たいるい)、蘚類(せんるい)、ツノゴケ類をまとめて苔植物と呼びます。コケ類は、地面にくっつくように生育し、広がっていきます。ちなみに、「コケ」という名前は、「木毛」に由来するそうで、苔類が木の根元や幹に毛のように生えるところから名付けられました。

苔には20000種類もの品種がある

苔植物は、世界に約20000種類もの品種があり、色もさまざまです。苔というと美しいグリーン色を思い浮かべる方が多いかと思いますが、赤や茶褐色の種類もあります。日本のお寺などにもよく合い、風情を楽しめることから、愛好家がたくさんいます。

では、苔植物の植え方や成長に合わせたお手入れ方法、増やし方などをご紹介いたします。

苔類(たいるい)・蘚類(せんるい)・ツノゴケ類の見分け方

苔には、根っこや茎、葉っぱがきちんと分かれていない葉状体の種類と、一般の植物の茎と葉っぱにあたる場所が分かれている茎葉体の種類があり、葉状体なのは苔類(たいるい)もしくはツノゴケ類で、蘚類(せんるい)の多くが茎葉体です。

ただし、苔はとても奥深い植物であり、このルールどおりにいかないものもあります。また見分けが難しく、素人では判断できないものもあります。

苔の種類1・苔類(たいるい)の特徴

苔に属する3種類のうち、もっとも多いのが苔類(たいるい)です。苔類(たいるい)には、葉状体のものと茎葉体のものがありますが、茎葉体のものの方が多いです。苔類(たいるい)に属する茎葉体の種類は、丸みを帯びたものが多いようです。苔類(たいるい)の代表的な種類としては、ジャゴケ、ゼニゴケがあります。

苔の種類2・蘚類(せんるい)の特徴

蘚類(せんるい)に属する苔のほとんどは、茎葉体であり、よく目を近づけてみると葉っぱの真ん中には中肋(ちゅうろく)という葉脈のような模様があります。

蘚類(せんるい)は、苔類(たいるい)と同じく、種類の多い苔で、なかには草丈が30センチにもなる種類もあります。多くの蘚類(せんるい)は、群生して成長し繁殖していきます。蘚類(せんるい)の仲間としては、スギゴケやミズゴケ、ハイゴケが有名です。

苔の種類3・ツノゴケ類の特徴

ツノゴケ類に属するのは、苔のなかでもだいたい400種類ほどで、前述の苔類(たいるい)や蘚類(せんるい)と比べるとかなり少ないです。ほとんどが葉状体で、角のような形をした胞子体を持つことから、「ツノゴケ」という名前がつけられました。

同じ葉状体を持つ苔としては、苔類(たいるい)がありますが、ツノゴケ類は苔類(たいるい)と比べてかなり単純な構造をしています。ツノゴケ類の葉状体の内部は空洞で、そのなかに藍藻(らんそう)と呼ばれる細菌類が共生し、美しい青緑色を放ちます。

 

苔の基本データ

学名

Hepaticopsida(苔類)、Bryopsida(蘚類)、Anthocerotopsida(ツノゴケ類)

和名

苔(こけ)

別名

なし

英名

Bryophyte

原産国

日本など世界の国々


苔の室内での育て方例

苔は、独特の美しさから古来より人気のある植物です。苔は、お庭で栽培して楽しむほか、室内での栽培もできます。では、おすすめの栽培方法をいくつがご紹介いたします。

苔玉にして室内で鑑賞する

苔の栽培と聞くとまず苔玉を思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。粘土質の土を丸めて、その周りに苔植物をくるくると巻いて糸でとめると可愛い苔玉ができあがります。

苔玉は苔だけでもシンプルで素敵ですし、上に何か植物を植え付けても面白いです。苔に合う平らなお皿の上に苔玉を置いて室内で栽培鑑賞すると、気軽に和風モダンな雰囲気を味わえます。

苔テラリウムを楽しむ

テラリウムというのは、主にガラスの容器のなかで植物を育て、小さな生態系を作り出す植物の栽培方法です。苔を主体とした苔テラリウムは独特の雰囲気を醸し出しとても素敵です。苔には肥料を与える必要がないので、ときどき霧吹きで水をふきかえるだけでよいのも気軽なところです。

盆栽の足元などに敷く

梅や桜、モミジなど季節の木を配して栽培する盆栽。土をむき出しにするのではなく、土の上に苔を敷き詰めて栽培すると、苔のグリーンで一気に雰囲気が明るく生き生きとします。

苔にはたくさんの種類があるので、主役の盆栽の木と合わせる苔を選ぶのも楽しい時間です。盆栽などほかの植物と苔を合わせる場合に気を付けるべきなのが肥料の施し方です。

苔には肥料が必要なく、むしろ過度な肥料成分があると枯れてしまうことがあります。とは言え植えているほかの植物には肥料を与えたいところ。そんなときは、ほかの植物にだけピンポイントで液体肥料を与えるようにしましょう。

苔の屋外での育て方例

苔というと、お寺や神社などに植えられていることもあって和風のイメージが強いかも知れませんが、実は、和洋どちらのお庭にもマッチする資材です。しかも、日陰に生息する印象のある苔ですが、日当たりのよいところでぐんぐん成長する種類もあります。

お庭のアクセントや、木を植えた足元などに苔を敷きつめて栽培すると、モフモフとしたグリーンが、お庭を明るくいろどってくれるでしょう。

苔のおすすめ品種

一口に苔植物と言っても、その雰囲気は千差万別。室内栽培に向くもの、屋外での栽培に向くものなどさまざまで、育て方や増やし方が少し違っています。ここでは、お庭や鉢植えに定着しやすくお手入れが比較的簡単な品種をいくつかご紹介したいと思います。

シノブゴケ

半日陰の環境を好む苔で、山のなかなどによく自生しています。お庭に植える場合は、大きな木の根元など少し陰のあるところに植えるのがおすすめ。また湿度の高いところを好むので、室内のテラリウムにおすすめです。万が一乾燥しても葉っぱがただちに縮れてこないので見栄えがよく、盆栽の足元にも好まれます。

スナゴケ

苔植物のなかでも、直射日光を好むタイプで、さらに土壌を選ばず定着し成長します。日当たりのよさが大切なので室内で楽しむより、屋外での栽培に向いています。強健でお手入れいらずなので、初心者にもぴったりです。

シッポゴケ

動物のシッポのような愛らしい形状の種類です。あちらこちらに少しカールをするように葉茎を伸ばす姿が可愛らしく、女性に大人気。じめじめとしたところが苦手で、風通しのよい環境に定着成長しやすいです。室内でのテラリウムや苔玉、屋外での庭植えなどさまざまに楽しめる見栄えのよい苔です。

ハイゴケ

ハイゴケを漢字で書くと「這い苔」。名前のとおり横へ広がりながら成長する苔で、定着しやすく育てやすいです。定着のよさから苔玉によく使われる品種です。

スギゴケ


直射日光が大好きな苔で、乾燥にも強いので、庭や盆栽など多彩に楽しめます。お日様の光が大好きなので、室内より屋外での栽培に向いています。とても強く定着しやすい品種で、お手入れいらずなので初心者向けと言えるでしょう。

ゼニゴケ

ゼニゴケは、名前のとおり小判のような個性的な形の苔です。じめじめとした環境が好きで強健なため、庭などに繁殖定着してやっかいものとされることもあります。鉢植えなどにうまく取り入れてむやみに繁殖しないように育てましょう。

ヒノキゴケ

ふさふさとした葉っぱが美しいヒノキゴケ。どちらかというと少し薄暗いところに定着しやすいので、室内栽培に向いています。テラリウムに取り入れるとぐふさふさのグリーンがとても素敵です。お手入れしやすい品種です。

コツボゴケ

コツボゴケは、畑や山林のやや日陰に生息する苔です。茎がまっすぐ上に伸びるものと横に這うように伸びるものがあります。明るいグリーン色をしているので、鉢植えやテラリウムで室内に飾るのもおすすめです。比較的強い品種で、お手入れはあまりいりません。

タマゴケ

タマゴケは、やわらかな葉茎の先につける小さな丸い朔(さく)が魅力的な品種です。半日陰の環境が好きなので室内栽培に向いています。一度定着すると育てやすく、お手入れいらずです。

苔の繁殖の仕方

苔は、一般的な種子植物とは少し違う成長・繁殖の過程をもっています。苔は胞子体で胞子を作り繁殖する植物です。苔はおもに胞子で増えるほか、蒴(さく)を伸ばして繁殖していくものもあります。

蒴(さく)というのは、茎の先に小さなつぼみのような部分がついたもので、春や秋の生育時期になると四方に伸び地面に定着しながら繁殖します。またそのほか、脇芽を形成する苔や、地下茎を伸ばし繁殖する苔も存在します。

育てたい苔の繁殖方法によって、適した植え方や増やし方が変わってきますので、植える前に調べておくとよいでしょう。

苔の育て方1・土作り

苔は、ある程度湿度の高い環境を好む植物ですが、水がとどまってしまうような土は苦手です。水はけのよい土を準備しましょう。庭に苔を植え付けるときは、植え付けたい土を少し掘り起こし、川砂などを混ぜ込むとよいでしょう。

鉢植えにする場合は、小粒の赤玉土や観葉植物用の培養土に、川砂やハイドロコーン、竹炭などを混ぜ込んで、水はけのよさを工夫しましょう。

苔の育て方2・肥料

苔は、光と空気、そして水があれば成長する植物です。苔にはほとんど肥料の必要はありません。逆に肥料を与えすぎると苔が枯れてしまいます。盆栽や寄せ植えなど、ほかの植物と一緒に苔を植えている場合は、ほかの植物にだけ液体肥料をほどこして、苔には肥料成分が行かないように工夫しましょう。

苔の育て方3・水やり

苔は、水を好む植物です。ただし、苔には一般的な植物のような水や肥料を吸収する根っこはありません。根っこに近い部分はありますが、これは土や石にくっつくための役割を持つ「仮根」なのです。苔は、地上にある葉っぱや茎から水分を補います。

地植えの苔には、それほど水やりの必要はなく自然の雨だけで十分ですが、乾燥が気になる季節には、ホースのシャワーを一番小さい霧のようにして水やりをするとよいでしょう。鉢植えの苔には、霧吹きを使って水やりするのが一番です。

苔の育て方4・場所

苔は、じめじめした多湿の環境にあると思われがちですが、実はあまりに多湿の環境は苦手です。あまり湿度の高いところですと、カビが生えるなどしてうまく育ちません。とくに苔玉などは腐りやすいので注意しましょう。また、苔は種類によって、日のあたるところが好きなタイプや日陰が好きなタイプがあります。

苔の育て方5・植え方と増やし方1<張り苔法>

張り苔法は、シート状になった苔を使った植え方・増やし方です。苔の植え方・増やし方のなかでも、一番簡単で、ある程度広い場所に苔を植え付けたい場合にもおすすめです。

シートになった苔を張り付けるだけなので、植え付け直後から美しい苔の姿を楽しめるのも魅力です。貼り苔法に向いている苔の種類としては、スナゴケ、ハイゴケ、シノブゴケなどがあり、これらの苔シートはインターネットや専門のお店で購入できます。


貼り苔法のポイント

張り苔法をうまくおこなうポイントは、なんといってもシートを地面にしっかり密着させることです。シートと地面にふわふわと隙間がある状態で植え付けを終えてしまうと、あとからシートがはがれてくるなどの不具合が生じます。

あまり強く力をかけすぎるのもいけませんが、結構な力でしっかりと地面にシートをくっつけるようにしましょう。手ではなく足で踏みつけるようにするとよいでしょう。苔はとても強い植物なので、多少力がかかってもびくともしません。

苔の育て方6・植え方と増やし方2<移植法>

移植法というのは、一本ずつ土に挿すように植え付けていく植え方・増やし方です。手間ひまがかかりますが、成功率が高い植え方と言えるでしょう。ただし、植え付け直後から成長して繁殖してくるまでは、どうしても少し寂しい雰囲気になるのは否めません。

移植法に向いている種類は、スギゴケ、ヒノキゴケなどがあります。小さすぎる苔や地面を這うように繁殖する苔は、移植法の植え方には向いていません。

苔の育て方7・植え方と増やし方3<まき苔法>

まき苔法は、もととなる苔を手などでもみほぐしてばらばらにしたものを、地面にまく植え方・増やし方です。少ない量で広い土地に植え付けられるのが最大のメリットですが、苔が定着して成長するまでにはこまめなお手入れが必要となり、少し難易度の高い植え方となります。

苔の育て方8・剪定

苔は種類にもよるのですが、なかには自然のままに放っておくと葉っぱや茎が混みあいすぎることがあります。苔は基本的に丈夫な植物ですが、あまりに混みあって蒸れると、腐ったり枯れることがあります。

育てている苔を観察しながら、あまりに混みあっている葉っぱや茎、茶色く変色したところなどは、手や剪定ばさみで切り取りましょう。

苔の育て方9・その他のお手入れ

庭に苔を植えていると、苔のあいだから雑草が生えてくることがあります。一般的に雑草と苔では、雑草の方がパワーの強いことが多いです。見栄えもよくありませんので、こまめに雑草を引き抜いてお手入れしましょう。

苔の育て方10・病害虫

苔には、ほとんど病害虫の心配はありません。

苔は奥の深い植物

さまざまな種類があり、まだまだ解明されきっていない面も持っている苔植物。気に入った場所に定着すると、どんどんと成長と繁殖を続け、モフモフとした苔のカーペットになります。

苔の植え方には、貼り苔法・移植法・まき苔法という3つの植え方があり、それぞれにメリットデメリットがあります。肥料いらず剪定などのお手入れいらずで、屋外室内どちらでも栽培できる苔植物。一度その扉を開いたら、苔植物の奥深さに心奪われてしまうかも知れません。

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