はじめに
最近はテレビでも取り上げられることの多い多肉植物の仲間ハオルシア。ぷっくらした可愛い姿と、光に透ける美しい葉っぱが特徴的であり、魅力ある理由でもあります。育て方は比較的簡単ですが、もちろん間違った育て方をすると、枯れてしまったり病気になってしまうこともあります。今回は、ハオルシアの水やりや、植え替え、株分け、増やし方など詳しい育て方をご紹介します。人気のハオルシアも紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ハオルシアとは
多肉植物の仲間
ハオルシアは数千種類以上ある多肉植物の仲間です。身近な植物の中ではアロエに近縁で、小型の多肉植物です。茎がほとんどなく、大きなものでも直径10cm前後、高さも10cm前後にしかなりません。体の半分ほどを地中に埋め、葉先に窓と呼ばれる透明な部分があるのが特徴で、そこから取り入れた太陽の光で光合成をしています。
原産地は南アフリカ
ハオルシアの原産地は南アフリカで、特にケープ州、東ケープ州にほとんどの種類が自生しています。現地は雨が少なく半乾燥地帯ですが、空中湿度が高く、霧や露による水分を利用しています。岩の多い斜面に多く自生し、藪や岩の隙間に生えています。さらに半分埋もれていることから発見されにくく、今後も新種が発見される可能性が高いでしょう。
2つのグループ
ハオルシアの仲間は現在500種類ほど確認されています。その中で葉が柔らかい「軟葉系」と呼ばれるグループと、「硬葉系」と呼ばれるグループの2つに分けられます。少し雰囲気が違いどちらかと言えば、軟葉系の方が人気がありますが、どちらも違った魅力があります。
人気のハオルシア:軟葉系
オブツーサ
ハオルシアの代表的な種類です。ぷっくりした姿が特徴で、窓の美しさから女性にも人気のある種類です。葉先がとがるものや、紫がかるもの、葉が大きくなるものなどオブツーサの中でもたくさんの種類があります。弱い光でも育てやすく、室内でも徒長しづらく育てやすいです。
ベヌスタ
葉の全体に柔らかい繊毛が生えているのが特徴の種類です。その繊毛により、全体的に白っぽく見えます。この繊毛を生かすために様々な種類と交配され、たくさんの品種が作出されています。比較的丈夫で育てやすい種類です。
玉扇
平たい葉が重なったような姿が特徴的なハオルシアです。葉の先端が平らな窓になっていて、この窓に様々な模様が入り個体差があります。そのため、この玉扇だけを集めている収集家もいるほどです。さらに日本だけでなく、台湾や中国などでも非常に人気があります。成長はやや遅いですが育てやすく、じっくりと向き合いたい種類です。
万象
筒状の葉で、平らな窓が特徴で古くからの人気種です。玉扇と同じく、窓の部分の模様がそれぞれ違い、それぞれの個体に特徴があるため、コレクション性が高いです。自生地では体のほとんどを地中に埋め、窓の部分だけを地上にだしています。ハオルシアの中でも一番成長が言われています。
人気のハオルシア:硬葉系
十二の巻
硬葉系のなかで特に人気の品種です。放射状に広がる尖った葉に白いバンド模様が入るのが特徴です。このバンドの入り方によってさらに細かな品種に分かれています。耐寒性もあり、非常に丈夫なため、初心者の方にもおすすめの品種です。
冬の星座
十二の巻に似ていますが、バンド模様ではなく、白い斑点があるのが特徴です。こちらも斑点の入り方で様々な品種に分かれています。強い日差しに弱いため、やや日陰で栽培すると健康に育てることができます。
竜鱗
名前の取り、竜の鱗のように見える葉をしているのが特徴です。ゴツゴツとした姿で人気のある種類です。成長すると、上に向かって塔のように葉が重なっていきます。子株も多くとれるため、ハオルシアを増やしてみたい方におすすめの品種です。
ハオルシアの育て方:土作り
市販の培養土
初めてハオルシアを育てる人や、初心者の方には市販の多肉植物用の培養土がおすすめです。排水性が大切な多肉植物に合わせて配合されているため、買ってきてそのまま使えるので簡単です。メーカーによって少しずつ特徴があるため、ご自身にあった商品を購入しましょう。
こだわり派は自分で配合
市販の培養土は、状況によって市販の培養土では排水性がよすぎたり、悪すぎることもあります。そのため、こだわって育てたい方はご自身で配合してみましょう。基本は赤玉土:鹿沼土:腐葉土が1:1:1の配合です。排水性を高めるためには軽石を、保水性を高めるにはバーミキュライトを混ぜましょう。自分で微調整しながら育てるのも楽しみ方の一つです。
ハオルシアの育て方:植え付け・植え替え
プラ鉢がおすすめ
様々な材質の鉢がありますが、ハオルシアにはプラスチック製のプラ鉢がおすすめです。園芸でよく使用される素焼きの鉢は土がすぐに乾燥しているためおすすめできません。プラ鉢であれば、お値段が手ごろで、適度な排水性があるためハオルシアの栽培に向いています。
植え替え準備
購入してきたハオルシアはまずは植え替えをしましょう。また長く栽培して鉢が手狭になった場合も植え替えをします。まず、鉢からそっと抜き出し、古い土を丁寧に取り除きましょう。枯れた下葉や古い根っこは取り除き、根っこは1/3程度に切り詰めます。株分けをする場合はここで子株を取り外します。
植え付け方法
最初に軽石や鉢底石を1cm程度敷きましょう。その上に少し土を入れ、緩効性の肥料を数粒入れます。そこに土をかぶせ、ハオルシアの高さを決めて残りの土を入れていきましょう。肥料が直接根っこに触れるとよくないため、必ず土をかぶせるよう注意してください。
植え替えは生育期の時期に
植え替えをすると、程度の差はあれど、どうしてもダメージが出てしまいます。休眠期に植え替えをするとダメージを抱えたまま立ち直ることができず、そのまま枯れてしまうこともあります。そのため、植え替えは生育期の時期に行います。特に春、秋の早めに時期がベストです。
ハオルシアの育て方:置き場所
風通しと日当たりの良い場所へ
ハオルシアの置き場所の基本は風通しと日当たりの良い場所です。風通しが悪い場所に置くと様々な病気にかかったり、調子を崩す原因となってしまいます。また、日当たりの悪い場所に置くと徒長の原因となってしまいます。暖かい時期はなるべく屋外の日の当たる場所、寒い時期は南向きの部屋の窓際がベストです。
植え替え後の置き場所
植え替え後しばらくは、風通しのいい日陰で管理しましょう。根っこがしっかりと張っていない状況で、元と同じ環境に置いてしまうとダメージが大きくなってしまうため注意が必要です。2週間程度日陰で管理したら、徐々に明るい場所へと移し、水やりなど通常の管理に戻していきます。
ハオルシアの育て方:水やり
生育期は乾いたらたっぷりと
生育期である春から秋の時期は、土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。目安としては1週間に1回程度ですが、他の多肉植物よりも少し多めに水やりをしましょう。鉢底から水があふれるほど水やりをすることで、鉢内の老廃物を排出することができます。しかし、常に土が湿った状態では病気の原因となりますので、あくまで土が乾いてから水やりをするようにしましょう。
休眠期でも断水をしない
気温が10℃を下回る時期になると、徐々に休眠をし始めます。他の多肉植物では断水をする種類も多いですが、ハオルチアの場合は断水せずに、適度に水やりをします。やはり土が乾いたら水やりをするようにします。しかし、冬の場合は水の吸い上げもゆっくりなため、乾くのの時間がかかります。そのため、2~3週間に1回程度が目安となります。朝の冷え込みが激しい時期は、土に水分があると凍ってしまうため、天気予報をみて暖かい日が続くときに水やりをしましょう。
ハオルシアの育て方:肥料
生育期に緩効性肥料を
ハオルチアは栄養分の少ない場所に自生し、ゆっくりと成長していきます。暖かくなって生育する時期に入ったら、緩効性の肥料を追肥しましょう。鉢の隅か、土を少しだけ掘って埋め込みましょう。あまり株元や根っこに近づけすぎないように注意ましょう。また、即効性の高い肥料の場合、肥料が利きすぎて徒長の原因となるため使用しないようにしましょう。
薄めた液肥で追肥
緩効性の粒状の肥料は効果が非常にゆっくりです。それを補うために、市販の液肥をさらに薄めて追肥するのもう効果的です。目安としては1か月に1回。水やりの時に同時に液肥を与えましょう。既定の量ではやはり徒長の原因となりやすいですので、必ず薄めてから使用するようにしましょう。
ハオルシアの育て方:病気
加湿に注意
ハオルシアの病気の多くは加湿によるものが多いです。水のやりすぎ、水やり後の蒸れなどに注意が必要です。対策として、水はけの良い土に植える、風通しのいい場所に置く、休眠期の水やりを減らすなどが挙げられます。特に梅雨や真夏の湿度の高い時期には注意深く観察をしましょう。
道具は消毒する
株分けや根っこの整理、葉挿し用の葉をもぎるのなどに使用したハサミやカッターなどは1株に使用するたびにライターであぶったり、アルコールで消毒しましょう。万が一細菌性、ウイルス性の病気にかかっていた場合に他の株に移してしまう恐れがあります。手間がかかるかもしれませんが、大切な植物を守るために必要なことです。
ハオルシアの育て方:害虫
植え替え時に粒状殺虫剤を混ぜる
ヨトウムシや植物の汁を吸うタイプの害虫は、植え替え時の土に粒状の殺虫剤をまいて防ぎます。殺虫剤が直接根っこに触れると成長を阻害する可能性があるため、殺虫剤を入れてその上に少し用土を足し、その上からハオルシアを植えると安全です。
スプレータイプも併用する
ハダニやアブラムシにはスプレータイプの殺虫剤が効果的です。特にあると秋は両種が発生しやすいためあらかじめ散布して予防をしましょう。万が一発生したら殺虫剤の散布とともに指で捕殺するのが確実です。アブラムシは病気を媒介することもあるため早めに対処しましょう。
ハオルシアの季節ごとの育て方
春
春になって暖かくなると、ハオルシアは徐々に生育期へと入ります。屋外へ出し、水やりの回数を増やし成長を促しましょう。この時期はまだまだ寒い日もあるため、明け方が冷え込む場合は室内に取り込んであげましょう。株分けや植え替えなど成長期の早目の時期に済ませるとその後の生育が良くなります。
夏
基本的には生育期ですが、真夏の一番暑い時期はやや半休眠状態いなります。水のやりすぎは加湿、蒸れの原因となるため注意しましょう。あまり暑い日が続くようであれば半日陰に移動してあげると安心できます。半休眠期の前後は春と同じように管理をします。
秋
春と同じく成長が著しい時期です。水やりと追肥をしっかりとしましょう。しかし、この時期に株分けや植え替えをしてしまうと、十分に再生しない段階で冬を迎えてしまうため、あまりおすすめできません。晩秋になり朝晩冷え込む日は屋内に取り込みましょう。
冬
冬は休眠期に入ります。しかし適度な湿度を好むハオルシアのために、完全な断水はしません。暖かい日が続くときに少なめに水やりをしましょう。株分けや植え替えは絶対にしてはいけません。休眠している状態で無理に手を入れてしまうとそのまま枯れてしまうこともあるため注意しましょう。
ハオルシアの増やし方:株分け
株分けは一番基本的な増やし方
株分けは、ハオルシアの増やし方で一番基本的な方法です。親株の下部から出た子株を分離させて育てる増やし方です。株分けをするためには、ハオルシアを一度鉢から抜かないといけないため、植え替えと同時にするのがダメージも最小限でおすすめです。
株分けの方法
まず、植え替えの時と同じように鉢から抜き、根を整理します。そして傷つけないように注意しながら、子株をそっと親株から外しましょう。親株は植え替えと同じ要領で新しい土に植え替えます。株分けした子株は湿らせた鹿沼土に根本が隠れる程度植えます。数週間程度で新しい根っこが生えてきますので、親株と同じように植え付けます。
株分け後の管理
株分けして新たな鉢に植え替えた子株は、まだ小さいため乾燥のし過ぎに注意します。親株よりもこまめに水やりをするのが良いでしょう。また、強すぎる光は苦手ですので、日陰や室内など、やや遮光された場所に置くと安心できます。
ハオルシアの育て方:葉挿し
時間がかかる増やし方
非常に不思議ですが、多肉植物の仲間は1枚の葉っぱから新たな子株を形成し、増やすことができます。ハオルシアも例にもれず葉挿しで増やすことができます。大きな親株からはたくさんの葉が得られるため一度にたくさんの子株を増やすことのできる増やし方ですが、親株と同じ大きさになるまでには数年かかってしまいます。
葉挿しの方法
まず、健康な親株を用意します。根本近くのしっかりと厚みのある葉っぱを千切れないようにもぎりましょう。トレーなどの入れ物に薄く土を敷き、その上にもぎ取った葉っぱ置きます。数週間して根っこが出てきたら根っこを土に埋めてあげましょう。1週間に1度程度、根っこの部分に霧吹きで水を与えます。やがて新たな葉っぱが出現し、徐々にハオルシアらしくなっていきます。
葉挿しは成功率が低め
葉挿しでの増やし方を紹介しましたが、葉挿しは必ず成功するとは限りません。うまく成功すれば一気に数を増やせることもできますが、根っこが出てこなかったり、途中でしおれてしまうことも多くあります。反対に株分けは、子株が形成されているため、しっかりと管理すれば順調に大きくなってくれます。2つの増やし方を合わせて楽しむと良いのではないでしょうか。
まとめ
以上、ハオルシアの育て方について紹介しました。基本的な育て方から株分けなどの増やし方まで紹介しましたが、初心者の方でも育てやすい植物ですので、ぜひ栽培にチャレンジしてみて下さい。また、それぞれ特徴のある様々な品種があり、コレクション性もあるので、お気に入りのハオルシアを並べるのも楽しいですね。
ハオルシアが気になる方はこちらもチェック!
今回はハオルシアの育て方や増やし方をご紹介しましたが、その他にも多肉植物やサボテンに関する記事が沢山ありますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
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