徒長の原因と防止対策が知りたい!
「徒長は良くない」ということを、多くのガーデナーさん、農家のみなさんが口にします。なぜ良くないのか、どうしてそうなるのか、そもそもどんな状態のことをいうの?とも。
まず見分けることができないというSOSも耳にします。今回は、植物を育てることに慣れていない初心者の方々でも、徒長のことがよくわかる解説をしていきます。
徒長とはどんな状態なのか
①植物に元気がない
人も元気がなくなると、顔色が悪くなったり、うつむきがちで猫背になったりと外から見てもわかるようなサインがでます。植物ならその元気がないサインが徒長となってあらわれている状態。原因はいろいろありますが、その結果として植物が正しく成長できずに、見た目として現れることをいいます。
②葉色が薄い
まず、徒長のサインとして葉色が悪くなります。悪いといっても、色が薄くなる程度ですが、人間でいうなら「顔色が悪い」といったところ。しかし、この葉色が薄くなった程度では新しい芽や葉と気づくことができず、スルーしてしまっている人が多いというのが実情です。
③葉と葉の間隔が長い
第二に、植物の背が高くなります。これは一見とても大きくなって良いことと勘違いしてしまうところもあるのですが、よく観察すると正常な大きくなり方とはちがいます。その見分け方として、葉と葉の間隔(茎や枝の部分)が長くヒョロヒョロとしてきます。その結果、葉が茂らずスカスカな姿になっています。
④自力で立てず倒れてしまう
葉色が薄いというのは、正常な光合成ができていない状態。植物もパワー不足になります。栄養が偏っているので、背が高くなった自分の体も支えられなくなります。初期の徒長なら自立していますが、ひどくなると自分が支えきれなくて倒れてきます。
徒長は放置するとどうなるの?
徒長で枯れることは無いが
明らかに、人間なら「病気一歩手前」の状態にも見える徒長。でも、徒長で枯れるということはめったにありません。元気がなくなってきたら、水やりを変えてみたり、日当たりのよいところに置いてみたりと、なんとか元気になるよう対策するでしょう。
そのやり方があっていれば、それから後は大きな元気な葉が出てきて、植物は盛り返します。
見た目が悪い
ただし、一度伸びてしまった茎や幹は元に戻ることはありません。ひょろひょろと伸びた茎の先に、元気な葉がもっさりと付くような、とてもおかしな姿になってしまいます。最悪、徒長していた茎は倒れたまま、途中から茎も元気になってそこから上に向かうというグニャリとした植物ができあがってしまいます。これは、とても見た目が悪いですね。
原因を放置すれば枯れることもある
さらに、徒長で枯れることは無いと申し上げましたが、それは原因に対処でき、改善された場合です。原因がわからず、そのまま放置していれば、元気のない植物は病気や害虫に負けて、倒れた茎が地面につけば、そこから腐ることもあります。
徒長したまま放置された植物は、いずれ花や実の付き方も悪い状態で満足に子孫も残せず枯れていってしまいます。
徒長は大げさに心配することはないけれど
以上のように、徒長とは植物が何らかの原因によって正常に育つことができずに、弱くなってしまっている状態です。美しい姿に戻ってほしいと思えば、人間でいう「手術」のような方法もあります。
あなたが育てている花や木が、徒長の疑いがあるなら、その環境を見直してみてください。植物からのSOSに気づいて、できるだけ早く対策していきましょう。
徒長の原因と対策・防止策①水やり
水やりはすぎると徒長になります!
植物を育てるときには水やりは欠かせませんね。でも、この水やりも、ただたっぷりとあげればそれで万事解決というわけにはいきません。美味しいものもたくさん食べれば、肥満の原因となり、体を壊してしまいます。
水やりもあげすぎると、植物の中で水分過多の状態がおこり、水ばかりでパンパンになってしまいます。
水やり過多の対策と防止
まず、その植物がどれだけ水を必要とする性質を持っているのか知りましょう。明らかにあげ過ぎだと感じたら、まず地面が乾くまで水やりは控えます。そうしているうちに、植物は水で膨れた状態から健康な状態に戻ってきます。
それから後、また水やり過多にならないように、植物に適した水やりをするようにすれば、その後の徒長を防止することができます。
徒長の原因と対策・防止策②肥料
窒素過多の肥料で徒長に?
肥料は植物の栄養ドリンク。特に窒素は与えることで大きく成長します。でも、この窒素もあげすぎると上にばかりひょろひょろのびた徒長になります。窒素の少ない肥料をあげても、この徒長は起こります。それは肥料量が多すぎるからです。
成長期の肥料は適量を
肥料をあげる時期は、ほとんどの植物が「成長期の前」を推奨しています。成長期にそれまでよりも多くの栄養を与えることで、植物が大きくなるからです。でも、気をつけたい時期は、その成長期にこそあります。成長期とは、いつもより大きくなりやすい気温、日照時間の時期。
ただでさえ、伸びよう伸びようとしているものに、背が伸びる栄養をたくさん与えたら必要以上に伸びてしまいます。成長期の肥料は適量を。その前に堆肥などの有機肥料を与えることで、土の中の微生物が栄養を分解して徒長を防いでくれます。
徒長の原因と対策・防止策③風通し
風通しも徒長の原因に
よく、植物の病気予防として風通しをよくしましょうといわれますね。でも、この風通し、なにもジメジメ解消のためだけにいわれているのではありません。風通しが悪くなることで、植物は成長ホルモンが分泌されます。
その中には「エチレン」もあります。このエチレンは植物の徒長を抑えるだけでなく、カビや菌の繁殖を抑えるという効果もあります。植物にとって風を受けるのはとても大切なことです。
風通し対策と防止策
風通しが悪くて徒長してしまった苗の中には、だいたい2パターンがあるでしょう。ひとつは不在がちな方の部屋に置かれている植物。もうひとつは混み合った状態で育てられた植物です。
前者は時々外に出して、外の大気にあててあげることでこれ以上徒長することを防げます。後者なら、間引きや植え替えをして風が通る隙間を空けてあげることです。部屋の中におきっぱなしにしない、植え付けは広々と、さらに建物の影など風通しが悪い場所に植物を置かないことです。
徒長の原因と対策・防止策④日当たり
太陽を求めて伸びる日当たりによる徒長
これは、多くの人が徒長の原因として思い浮かべやすいことです。日当たりが悪いために、色白でひょろひょろと上にばかり伸びる、いわゆる「もやしっ子」状態になります。どうして、日当たりが悪いと伸びるのか。それは植物に大切な光合成をするために、太陽の光を求めるからです。
日当たりを良くする・日陰に置かない
日当たりが悪いから徒長するなら、太陽にあててあげればいいんだ。待ってください。それは徒長よりも危険なことです。もちろん、日当たりを良くするのは大切ですが、少しずつ明るい方へと段階を踏んで移動させます。
室内での観葉植物によくある徒長ですが、防止策としてカーテン越しの窓際に置くのが効果的です。また、同じ方向からだけでなく、時々鉢を回して180度まんべんなく明るくしてあげることで、一方向だけ伸びる徒長も防ぐことができます。
徒長の原因と対策・防止策⑤冬
冬に徒長する植物は多い
季節によっても徒長しやすい季節というものがあります。それが冬です。冬の植物の管理のコツは「休ませる」ことを意識しましょう。水やり、日当たり、風通し。そのいくつもの徒長の原因が重なるのが冬です。
多年草・観葉植物の冬の管理は要注意
観葉植物や多年草植物の中には、日本の気候に向いていないものもあります。自然界においては、日本では冬には存在できない植物を、何とかして春まで活かそうとして部屋の中に置く人も多いでしょう。
それは良いとしても、冬は今までとのお世話のやり方を変えることが徒長を防ぎます。まずは、水はほとんど与えないこと。植物が成長しないよう「休眠状態」にするのです。日中だけ外に置くのも良い冬の徒長対策、防止策です。
伸びすぎた観葉植物には剪定を
冬に伸びすぎ徒長した観葉植物は、縮まることはありませんので、剪定して仕立て直し、挿し木して新しい株として育てるなどでも対処します。
徒長の原因と対策・防止策⑥密生
植物はみっしり生えていると徒長する
たとえ、日当たりがよくて、風も吹くような場所。水もきちんとあげている。それでも、徒長することがあります。それは植物がみっしりと混み合って生えている場所。他よりも自分を良い状態に置きたくて、上へ上へと成長をはじめてしまうのです。
密生徒長はいつなる?①寄せ植え
密生していることにより、徒長が起こるのが寄せ植えです。1年草なら花が枯れたらそれで終了でも良いのですが、多肉植物は枯れるほどではないけれど、だんだん寄せ植えが美しくなくなるということになってしまいます。
多肉植物も剪定や挿し穂で株を作り直す
観葉植物の対策と同じで、株を作り直すのが対策となります。その後は寄せ植えでなく、適した鉢に植えることで、防止策となります。
密生徒長はいつなる?②苗作り
密生によってひょろひょろとしてしまうのは、種まきから苗作りをするときにも起こります。間引きのタイミングが遅かったり、もったいないとあまり間引きしないことで、寄せ植えと同様なことが起こります。丈夫な苗を作るなら、プランターに種まきせずに種苗ポットの方が向いています。
徒長したものから間引く
苗作りで成長が悪く徒長するような株は、苗として育てても仕方ありませんね。対策法はひょろひょろとした苗から間引きをしていくことです。防止策は、もったいないと思わず、しかるべき時期に、しっかり成長できるような間隔を開けて間引きすることです。
先程申し上げたように、プランター撒きをやめて、種苗ポットでの苗作りに切り替えるのも防止策になります。
まとめ
植物の成長期を見極めて徒長対策を
植物の育て方には、種まきの時期、植え替えの時期、剪定の時期と、よく"時期"が重要な情報として登場します。これは、言い換えれば時期≒成長期ともいえます。この時期からズレていたり、過保護なお世話をしてしまうとこにより、徒長は起こります。だから、育て方には時期がよくいわれるのです。
成長期を見極めて、過度すぎない適切なお世話をすることで、徒長は対策・防止することができます。大切な植物を健康で美しい姿に保つために、実をたくさん収穫するために、徒長には気をつけましょう。
徒長が気になる方はこちらもチェック
徒長が起こりやすい冬の時期のお世話や、部屋の中でずっと管理することが多い観葉植物・多肉植物の育て方を解説しています。これらの季節・植物の管理のやり方は、こちらもごらんください。
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