山岳ガイドになるには?資格のステージや難易度や試験内容などの資格概要を解説!のイメージ

山岳ガイドになるには?資格のステージや難易度や試験内容などの資格概要を解説!

登山ブームを背景に増えるのが山の事故です。そんな山の事故の発生を予防し、危険な時に正しい判断ができる山岳ガイドの存在が注目を集めています。山好きならいつかやりたい山岳ガイド。この記事では山岳ガイドになるにはどうしたら良いのか解説します。

2019年10月22日更新

m.miura
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休日のコーヒーが楽しみです。
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目次

  1. 山岳ガイドは登山客の安全をサポートするプロ!
  2. 山岳ガイドになるには
  3. 山岳ガイドの試験内容は
  4. 山岳ガイドの試験の流れ
  5. 山岳ガイドのステージと難易度は
  6. 山岳ガイド試験に必要な料金
  7. 山岳ガイドを国家資格にする動き
  8. 山岳ガイドの仕事内容
  9. 山岳ガイドに向いている人は
  10. まとめ

山岳ガイドは登山客の安全をサポートするプロ!

登山ブームと呼ばれて久しい近年、登山客は毎年30万人といわれています。登山客が増えるに従って遭難事故も増加し、2018年の警察庁の統計では2661件もの山岳遭難がありました。

山岳ガイドは登山の安全確保し、ときには登山客へ「今日は登れません」と伝える仕事です。この記事では山岳ガイドについて解説しています。(記載している受験概要・受験料均等は2019年10月現在の情報を元にしています)

山岳ガイドになるには

山岳ガイドになるには山に慣れていることが第一条件です。その職能柄、誰でも「山岳ガイド」と名乗ることができてしまいます。しかしあなたが初めて何日もかけて登るような難易度の高い山に登るとき、やはりきちんと資格を有した山岳ガイドにお願いしたいと考えるでしょう。そのための資格を認定しているのが、公益社団法人日本山岳ガイド協会です。

日本山岳ガイド協会

日本山岳ガイド協会は日本で唯一、国際山岳ガイドを認定している大きなガイド協会です。山岳ガイドの養成・認定・研修を主に活動していますが、自然保護に関する研究・調査も行っており、登山の安全と自然保護に関する教育者を育成することを目的にしています。
日本山岳ガイド協会は1971年に厚生省管轄の社団法人日本アルパイン・ガイド協会として活動を始めました。以来、ガイドの資質向上を目的に日本各地の山岳ガイド組織と統合合併を経て、現在に至ります。

初代会長は故・橋本龍太郎元総理

日本山岳ガイド協会の初代会長は、第82、83代内閣総理大臣を務めた、故橋本龍太郎氏です。1973年に当時未踏であったエベレスト南壁の遠征隊の総指揮を執っていました。登山家の野口健氏とも親しく、橋本氏が登山家として引退したときは、愛用のピッケルを野口氏へ譲ったエピソードがあります。正しい登山の普及と、自然保護活動の推進を図るため、亡くなる直前まで会長職を務めていました。

山岳ガイドの試験内容は

山岳ガイド協会では6種類の資格認定をしています。自然ガイドステージⅠ~Ⅱ、登山ガイドステージⅠ~Ⅲ、山岳ガイドステージⅠ~Ⅱ、国際山岳ガイド、フリークライミングインストラクター、スキーガイドステージⅠ~Ⅱです。

名前がよく似ているので混同しがちですが、雪のある季節のガイドができるかどうか、活動できるエリア(高原や里山、一般登山道、ザイルなど特別な装備を必要とする難易度の高い山など)で区分されています。この記事では山岳ガイドに絞って解説していきます。

山岳ガイドの試験の流れ

山岳ガイドになるには書類審査を通過し、一次試験、二次試験、実技適正審査に合格することで得られます。受験の実地は平成31年度の例で行くと4月1日の書類審査から始まり、体力・適正審査が5月、一次筆記試験が6月、二次筆記試験・実技検定試験及び受験者義務講習が9月ごろから(国際山岳ガイドは4月)始まります。試験実地場所は立山・剱岳、奥秩父などで、国際山岳ガイドはフランスやスイスでも行われます。
以下は試験の流れを主に山岳ガイドステージⅠを基準に解説をします。

山岳ガイド試験の流れ①書類審査

日本山岳ガイド協会あてに希望する試験の申請書類と審査料の銀行振り込み明細書(コピー可)を添付し送ります。書類審査に掛かる料金は試験のグレードに関わらず一律5,000円です。審査の合否は5日以内に発送され、次の試験に進むことができます。

山岳ガイド試験の流れ②体力・適正審査

山岳ガイドステージⅠの受験者を対象に日本国内で2日間行われます。受験内容は自然の岩場での登攀能力測定と20kgの荷物を背負って登山道を登下降したときの時間を審査されます。この試験に合格すると筆記試験を受験することができます。なお試験料は30,000円です。

山岳ガイド試験の流れ③一次筆記試験

一次筆記試験では共通科目と専門科目があります。ほかの資格で一次試験に合格していると、共通科目が免除されます。受験に掛かる料金は15,000円です。共通科目ではスポーツ科学や理科の基礎知識、ガイド業務の法律やマナーなどが、専門科目では山岳の一般知識、登山客の安全を確保するためのレスキューや病気に関する内容を問われます。そしてガイドの資質を問う、小論文が課せられます。

山岳ガイド試験の流れ④講習・検定(二次試験)

 

筆記試験に合格すると各種講習と検定の受講ができます。この検定に合格し、受験者義務講習会を受講して、山岳ガイドの資格を得ることができます。

検定の内容はステージによって様々ですが、ステージⅠでは無積雪期、積雪期、残雪期、雪崩対策といった雪に関する講習と検定がそれぞれ設けられています。各々4~5日ほど講習・検定に掛かり、料金も個別に発生します。たとえば無積雪期講習1では75,000円、日数は5日間掛かります。

山岳ガイド試験の流れ⑤受験者義務講習

山岳ガイドになるには必ず受けなければならない必修の講習があります。その一つがガイドの安全管理に必要不可欠な科目にファーストエイド講習があります。ファーストエイドとは応急処置のことで、人工呼吸や心臓マッサージ、、止血方法などを言います。ファーストエイドは山岳ガイドを目指すのであればもはや登山技術の一つです。講習には45,000円の料金、日数は4日間掛かります。

山岳ガイド試験の流れ⑥ガイド資格認定

全科目の合格とファーストエイド講習の修了をもってガイド資格の認定が受けられます。認定を受けるには日本山岳ガイド協会の正会員団体へ入会する必要があります。入会して終わりではなく、資格を取得した後も引き続き、資格更新研修を複数単位修めなければなりません。

山岳ガイドのステージと難易度は

ここでは山岳ガイド認定資格のステージと難易度について解説します。受験の流れは上記でお伝えした通りですが、ステージによって認定に必要な講習・検定の内容に違いがあります。

山岳ガイドステージⅠ

山岳ガイドのステージⅠで行えることは、日本山岳ガイド協会で次のように定義されています。

通年の国内山岳と縦走路のある岩稜コース。国内にて一年を通して登山ルートのガイド行為を行うことができる。但し、岩壁登攀、雪稜バリエーション、残雪期の岩稜バリエーション、フリークライミング講習は不可。

ステージⅠでは一般的な山岳ガイドと登山ルートでのガイド行為が行えます。ただし岩壁を登ることや一般のルートとは異なる困難な登山でのガイド行為はできません。
山岳ガイドステージⅠでは登山に適した体力と適性があるがどうかの試験と、筆記試験があります。くわしくは前項の山岳ガイド試験の流れをご覧ください。

山岳ガイドステージⅡ

山岳ガイドのステージⅡで行えることは、日本山岳ガイド協会で次のように定義されています。

日本国内で季節を問わず全ての山岳ガイドおよびインストラクター行為を行うことができる。但し、スキーガイド分野は別に資格を取得する。

ステージⅡを取得すると、スキーガイドを除けば日本国内の全ての山でガイド業務に就くことができます。受験するには山岳ガイドステージⅠを取得していること、山岳ガイド協会の正会員として6ヶ月以上のガイド経験が必要です。
山岳ガイドステージⅡにはいわゆる筆記試験はありません。代わりにクライミング講習・検定が新たに追加され、この検定にパスしなければなりません。

国際山岳ガイド

国際山岳ガイドで行えることは日本山岳ガイド協会で次のように定義されています。

国際山岳ガイド連盟加盟国の山岳全エリア。活動エリアの制限は、各国の法律による。

最も難易度が高いのが国際山岳ガイドです。この認定資格を取得するとエベレストやモンブランといった世界の名峰でのガイド行為が行えるようになります。
国際山岳ガイドになるには海外での講習があり、氷河地帯でのルートガイディング、スキーガイディング講習があります。講習・検定にパスした後も海外でアスピラントガイドとして10日以上の実績が必要です。
最後にガイド技術・マニュアルと世界の地理・地形などを問う筆記試験があり、これに合格すると晴れて、国際山岳ガイドとして認められます。

山岳ガイド試験に必要な料金

さてここまで試験の流れについて解説してきました。おそらく気になったのは「山岳ガイドになるには結局、どれくらいお金がかかるのか」ということだと思います。
山岳ガイド試験は実技試験を伴うこともあり、受験地が多岐にわたります。そのため受験料の他に現地へ向かう交通費や宿泊代、当然ですが登山のための装備代も掛かります。そのためトータルでの費用はかなりの金額になり、気軽に受験できる資格ではないということが言えます。

山岳ガイドステージⅠ受験で掛かる料金

書類審査から合格まで、およそ400,000円です。認定にはファーストエイド講習の受講が含まれているのでそちらも費用に算入しました。これとは別に筆記試験で必要なテキストや問題集などが掛かります。

山岳ガイドステージⅡ受験で掛かる料金

書類審査から合格まで、およそ295,000円です。山岳ガイドステージⅠよりも料金が抑えられているのは、体力適性審査や筆記試験などの科目がないからでしょう。クライミングの講習・検定があるので持っていない方は新たに購入するお金も掛かります。

国際山岳ガイド受験で掛かる料金

書類審査から合格まで、およそ756,000円です。この中には2回の海外での講習・検定料と、必須であるスキーガイド試験の料金が含まれています。しかし通算して海外で過ごす日数は40日以上になりますので、そこへ行くまでの交通費や宿泊費を考慮すると100万は優に超えます。

山岳ガイド資格を取得した後もお金が掛かる

山岳ガイド資格を取得した後は、日本山岳ガイド協会とその加盟団体への入会が義務づけられます。なぜならこの団体に所属していないと、後々上位資格を受験するための条件を満たすことが困難になるためです。
入会には山岳ガイド協会と加盟団体、それぞれで掛かり、引き続き年会費も支払わなければなりません。また認定資格を維持するための講習にもお金がかかります。資格を取ったから終わりではないことも、山岳ガイドがいかに難易度の高い資格であるかを表しています。

山岳ガイドを国家資格にする動き

山岳ガイド国家資格に向けて

フランスでは山岳ガイドは国家資格として確立されている、責任ある職業のひとつです。残念ながら日本には国家資格はありません。しかし国際山岳ガイド連盟は山岳ガイドの国家間の結びつきを強化することを目的の一つに挙げており、そのための第一歩として、2020年に国家資格化を目指し関係省庁省と協議行っています。

無資格のガイド行為が禁止になる可能性も

国家資格化は山岳ガイドの基準を統一化することです。日本も日本山岳ガイド協会によって国際的な基準が確立されてはいますが、アメリカやヨーロッパのように無資格者のガイド行為を罰する法律はありません。そのため国家資格になることで無資格者のガイド行為が今後禁止になる法令が作られる可能性があります。

山岳ガイドの仕事内容

山岳ガイドは旅行会社でも活躍している

山岳ガイドというと、テレビで見るような、エベレストに挑戦する著名人を支えるような仕事を思い浮かべますが、それは一部です。実際の山岳ガイドの仕事内容は例えば、旅行会社と契約を結び登山ツアーなどで山岳ガイドをしたり、山小屋で働きながらやってくる登山客の依頼に応じてガイド業をしたりする人もいます。

山岳ガイドの仕事はキツい・汚い・危険

山岳ガイドという職業は一般的に敬遠されるよ、キツい・汚い・危険な仕事で、収入も安定しているとは言い難い職業です。天候不良でガイドができなかったり、自身の怪我や病気で業務が遂行できなかったりすれば収入はゼロになります。もちろん山岳ガイドとして実力と人気がでれば年収は1,000万を超えることも可能です。しかし経験が浅いうちは無収入も覚悟しなければならないでしょう。

山岳ガイドに向いている人は

 

山岳ガイドの仕事は一般的なサラリーマンに比べると、収入のリスク、怪我のリスクが非常に高いものです。どちらかといえばアスリートのような仕事に近いです。そんな山岳ガイドのお仕事に向いているタイプを紹介します。

コミュニケーション力がある

山岳ガイドはサービス業です。接客や営業などと同じように、人と関わることが多い仕事です。「山男は無口で無愛想」なイメージもありますが、ガイドとして働くなら、一定の対人コミュニケーションスキルは必要です。どれだけお客さんを楽しませることができるかがリピーター獲得にも繋がりますし、収入にも直結します。山岳ガイドとして長く働きたいのでしたら必須のスキルです。また昨今は海外からの登山客も多いため、英語でコミュニケーションがとれるのは大きな強みになります。

無理なことはしない

危険と隣り合わせの仕事だからこそ絶対に持っておきたい資質が「無理をしない」という謙虚さと臆病さです。2019年8月には長野県で立て続けに山岳遭難事故が起きています。体調不良や疲労、滑落など原因はさまざまですが山岳ガイドとして山のプロを目指す以上、考えられる事故の原因は取り除かなければなりません。一番は自分の体調のこと。体力に自信があるから、では何の根拠にもなりません。このくらいの天気なら大丈夫、も危険です。少し心配しすぎなくらいが、自分やお客さんを守ることに繋がります。

まとめ

山岳ガイドは莫大なお金と時間が掛る難易度の高い資格です。今後の国家資格化やライセンスの基準の統一化などで無資格の山岳ガイドに対する法規制も始まるかもしれません。
そういった背景と裏腹に、山岳ガイドを副業として安易に推進しているところがあります。山岳ガイドは危険な仕事でありお客さんの命を預かる仕事です。実際に2009年7月に北海道で起きた山岳事故ではガイドに対し業務上過失致死傷の疑いで書類送検されています。そのため山岳ガイドを目指すのであれば客観的な技術評価(認定資格)を得る事が望ましいといえます。

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