【ツツジ】花や葉の特徴で見分けよう【種類】
庭木として愛され続けているツツジ
ツツジは日本に自生している植物で、低木で花姿もきれいなことから、何百年も昔から品種改良されて愛されたきた植物。種類もとても多いのですが、元をたどればいくつかの種類になります。今日は、ツツジの中でも現存する有名な品種の特徴とそれらの花や葉の違い・見分け方を紹介します。この他、庭木としてお世話するときのツツジの木の剪定方法、挿し木での増やし方も解説します。
ツツジについて
ツツジの基本情報
科・属:ツツジ科 / ツツジ属
原産地:アジア
学名/英語名/:Rhododendron/Azalea
日本ではツツジ、サツキ、シャクナゲをすべて別の花として分類して認識していますが、海外では分類の違いこそあれ、一般的に庭木として育てるときにはあまり違う種類とは分けていない傾向にあります。品種改良は昔から盛んで、花や葉が小さいものや一重や八重、花色の違いなどいろいろな品種があります。
ツツジの特徴
原種に近いほど花や葉も小さいですし、花色は赤やピンク、白くらいしかありません。花色によってツツジの種類が分けられるほどです。日本には古いツツジの木が多数存在し、中でも群馬県館林市のつつじが岡公園にあるヤマツツジは樹齢800年以上といわれており、老木の中でもトップクラスの樹齢を誇ります。花は花びらが5枚あるように見えますが、実は根元がくっついている釣鐘型。アジアのツツジを海外にもっていって品種改良された八重咲きの品種も日本に逆輸入され園芸種として人気があります。
ツツジの種類①
品種改良の元となるツツジ
名前:ヤマツツジ
基本の花色:赤(朱色)だが花色の種類は多い
花の形:根元がくっついたロウト型をしていますが、先は5枚に分かれており、1枚の形は丸っこい形をしています。花の大きさは4センチから5センチほど。
葉の大きさ:3センチから5センチ。先がとがった縦に長い形をしています。
見分け方
ヤマツツジというと原種に近い野生種で、地味な姿かと思われがちですが、花や葉が小さいわけではなく、シンプルながらとても綺麗な花姿をしている木です。木の高さ1mから3mほど。花びらが他のツツジと比べて丸い形をしているのが見分けるポイントです。
有名なツツジの名所
江戸時代からツツジの名所として名高いのが群馬県の館林市でした。館林市でツツジを見ようとおもったら「つつじが岡公園」です。ここには、樹齢800年越えという古いヤマツツジの木があります。それだけでなく、群馬県出身の宇宙飛行士である向井千秋さんが、スペースシャトルに持ち込み、持ち帰った種から育てた「宇宙ツツジ」が見られます。ヤマツツジの他、江戸霧島と呼ばれる、江戸に渡って品種改良されたキリシマツツジの種類がまとまって植えられている、大変見応えがあるつつじ園です。
ツツジの種類②
歴史が長いツツジの種類
名前:霧島ツツジ
基本の花色:赤、濃いピンク
花の形:花の大きさは3~4センチ。花びらは5枚に分かれています。花の形はシンプルですが花数が多いので見栄えがする種類です。
葉の大きさ:2センチから5センチくらい。品種により大きさの差があります。
その他特徴:キリシマツツジの名前となったキリシマとは霧島のことで、鹿児島と宮崎県にまたがる山。鹿児島県にあった野生種が元となり品種改良されました。福岡県久留米市でこのキリシマツツジの品種改良が盛んにおこなわれたため、クルメツツジともいわれています。
見分け方
花びらの先がとがっておらず、丸くなっているのが特徴です。その他、葉が小さいというのもキリシマツツジの特徴といえますが、品種改良により同じキリシマツツジの種類でも大きな葉のものもあります。
有名なツツジの名所
古いキリシマツツジがある名所といえば、京都にある長岡天満宮です。天満宮といえば、学問の神様といわれる菅原道真公を祀った由緒ある神社です。上野や大宰府にあるものが有名ですが、長岡の天満宮も歴史の古い神社です。こちらにあるキリシマツツジは樹齢百年以上。そんな古い株のツツジが100株以上植えられています。ツツジの季節(4月~5月)にはこのキリシマツツジ目当てで訪れる観光客もあとをたちません。名所について詳しいことは下記ホームページで確認してください。
ツツジの種類③
リュウキュウツツジの特徴
名前:琉球ツツジ
基本の花色:白
花の形:根元がくっついているロートの形をしていて、先が5枚に分かれているだけでなく、少しウェーブがかかっているのが特徴です。
葉の大きさ:3~5センチくらい
その他特徴:江戸時代に広く流通していたツツジの種類の中でも有名な品種です。品種改良の元となった原始的なツツジですが、リュウキュウツツジ自体もキシツツジとモチツツジが交雑して偶然できた品種ともいわれています。紫色のリュウキュウムラサキや2色の色がまじったリュウキュウシボリ、八重咲きの品種もあります。
見分け方
白いツツジといえば、リュウキュウツツジです。白だったらリュウキュウツツジかその品種改良種と考えてみてよいでしょう。
有名なツツジの名所
新潟県の長岡市大積というところには、何と幹の周りが20mにもなるという大きなリュウキュウツツジの木が存在します。リュウキュウツツジといえば、真っ白な花が特徴的です。花の季節には、大きなツツジの木全体に咲く白い花が、まるで夢のような美しさです。多くの観光客も訪れる、ツツジの名所です。
ツツジの種類④
姿が小さい・咲く時期が違う
名前:サツキ、サツキツツジ
基本の花色:赤、ピンクなど
花の形:ロウト型で先が5枚に分かれています。
葉の大きさ:葉の大きさは2~3センチ。厚くてツヤツヤしています。
その他特徴:ツツジの種類の花は4月から5月上旬に花をつけますが、サツキはそれらの花が終わった頃、少しずつ花を増やしながら咲きます。
見分け方
咲く時期が違う。花が小さい。葉が小さい。葉がツルツルしている。見分け方はたくさんあります。人によってはツツジとサツキは別の品種と考えているくらいです。
有名なサツキの名所
サツキといえば、ツツジと一緒に植えられており、公園などでも同じような庭木として扱われることが多い植物です。しかし、サツキとツツジは咲く時期がズレるのでどちらかの見頃の時期に合わせるしかなく、サツキにとっては時期外れなことも多いです。しかし、こちらの「詩仙堂」はお寺の庭には綺麗に丸く剪定されたサツキしかなく、花の時期、葉の時期が楽しめるようになっています。白砂の庭ごしにたくさんのサツキを堪能したいという方におすすめします。
ツツジの種類⑤
西洋のツツジ
名前:アザレア
基本の花色:ピンクなど
花の形:八重、フリル咲き。
葉の大きさ:葉の大きさはツツジのような大きいものからサツキのような小さいものまで、個体差が激しいのが特徴です。
その他の特徴:アジアのツツジを西洋で品種改良したものが逆に日本に渡ってきました。日本でも新しい品種が作られています。
見分け方
八重咲きやフリルなど豪華な花姿に見える品種改良がされています。株あたりの花の数も多めです。木はツツジですが、花だけ見るとバラに似た姿をしています。
有名なアザレアの名所
鉢植えで小さく育てられることが多いアザレアですが、東京都練馬区「平成つつじ公園」では地植えのアザレアが何種類も植えられています。もちろん、他のつつじの種類もたくさん植わっていますので、アザレアも他のツツジも楽しむことができます。
ツツジの育て方①剪定
本職の方は電動工具で一気に刈り込む
サツキやツツジの剪定は、木姿を整える剪定になります。つつじを植えている公園では、花の盛り時期が終わったと判断すると、まだ咲いている花があってもそのまま剪定してしまうそうです。植木職人さんなど本職の方は、電動のハサミやバリカンで一気に丸く剪定していきます。
春に剪定するなら形を整えるように
花芽ができるのが早いのが、ツツジの仲間の特徴です。翌年に花を咲かせるためには、花後すぐの剪定をおこないます。時期だけ注意すれば、剪定のやり方などの注意はありません。乱れた姿を整える。出ている部分をカットする…そんなことに気をつけて剪定していきましょう。庭木として、美しい姿になるよう整えます。
秋冬は花芽を剪定してしまうのでやらない
基本的に秋冬は花芽を剪定してしまうことになるので、一般家庭ではおすすめできない剪定方法です。本職の植木屋さんにお願いすれば剪定してもらえますが、ひとつひとつ花芽を確認しながらの剪定になります。自分でやる場合は、手を付けないほうが良いでしょうが、剪定しながら挿し木の挿し穂を作るやり方もあります。次の章でご紹介しましょう。
ツツジの育て方②挿し木
挿し木のやり方①挿し穂作り
1.この挿し木の仕立て方は秋に花芽がついている状態でおこないます。サツキ(ツツジ)の木姿を整えながら、余計な若枝をカットします。
2.下の方の葉は取り除き、若枝の下は斜めにカット。大きな葉は1/3くらいになるようにカット。上の2、3枚の小さな葉はそのまま残します。
3.2を水にを張った容器に放ち、1時間ほど水を吸わせます。
挿し木のやり方②土に挿していく
4.種苗箱に火山レキの大粒を数ミリ敷き詰め、その上に火山レキ小粒の新品を敷き、菜箸などの棒状のもので挿し木する穴を開けます。
5.1本ずつ挿し木の挿し穂を挿していき、水をたっぷり与えます。
挿し木のやり方③植え付ける
6.そのまま翌年4月まで水やりをしつつ日陰で管理。つぼみがついたものを1本ずつ植木鉢に植え替えて花を1本だけつけた、新しいサツキの挿し木の完成です。
まとめ
ツツジは種類が豊富な庭木だった
観賞用の樹木としての歴史も長く、品種改良も盛んに行われた木だけに、ツツジの種類は多く、紹介したものは、そのごくごく一部だけです。同じ種類の仲間であっても、品種改良によって姿形がかけ合わせたものと混じって変わってきています。見分け方はとてもむずかしいですが、サツキやアザレアなどは、ツツジの仲間でありながらまったく違う特徴がありますので、見分けるのもたやすいでしょう。葉や花の形、色、大きさなどを目安にたくさんのツツジの違いを観察、自分の好きな品種を見つけましょう。
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