花のきれいなモッコクの育て方
モッコクは、美しい光沢のある葉っぱと新緑の赤みを帯びた葉のコントラストが美しい樹木です。和風のお庭ではよく目にするモッコクには、花も実も楽しめるという利点があるんです。さらに、縁起を担いでいたり、縁結びの樹木ともいわれているんですよ。そんなモッコクの気になる花言葉やその由来、そして育て方や剪定方法といったお手入れ方法についてもまとめていきたいと思います。
モッコクの樹木とは
モッコクは、日本で古くから庭木の中心として使用されてきた樹木です。江戸五木の1つにも数えられるその美しさは、新緑の赤みを帯びた葉色と深緑色の皮質の織り成すグラデーションの美しさにあるようです。近年でも、モッコクの樹木としての価値は高く、「モチノキ」・「キンモクセイ」・「モッコク」が庭木の王と称されているほどです。
モッコクは、耐寒性はあまりありませんが降雪地域を除いて広く植栽されていて、耐陰性もある樹木として人気があります。樹勢は、剪定を加えなくても自然と放射線状に枝分かれしていて、枝先に数枚集まってつくようになっているんです。そして、大気汚染にも強く手間がかからないことが人気となっているようです。6月ごろの初夏に花芽ができて、芳香のない花を咲かせます。花は小さく約1.5cm程の白花・赤花を咲かせます。大木になるとびっしりと咲いた花が美しく、秋には真っ赤な実をつけるので通年観賞価値の高い樹木のようです。
モッコクの花言葉
花が満開になると、葉を覆う勢いでびっしりと小さな花が咲き乱れます。品種にもよりますが赤・白・クリーム色などの花を咲かせてくれますよ。それでは、モッコクの花言葉についてみていきましょう。
人情家
モッコクの花言葉は、「人情家」でした。花の色別で個々に分かれている花言葉はありませんでした。人情家ということで、モッコクを親睦としている神社では「夫婦愛の木」としてモッコクを定めているところもあります。縁結びの木としても、広く知られるようになりました。気になる方は、埼玉県の久伊豆神社などへ出かけてみてもよいかもしれません。2つの巨木なモッコクが根元で一つになっている「夫婦モッコク」で縁結びが期待できますよ。
モッコク花の誕生花
モッコクの花を誕生花にするのは、10月8日でした。実がつくころの季節が誕生花になっていますね。
モッコクの花言葉由来
モッコクの花言葉は、「人情家」でした。この花言葉の由来は、「(モツ)を持つ」・「(コク)を濃く」といわれていることから来ています。このことから博愛のある花言葉があらわれて、「人情家」という縁起や良縁に恵まれるとの意味があるようです。
モッコクの縁起
そんなモッコクの縁起には、「千両、万両、もってくる(モッコク)」というものもあります。これは、モッコクのそばに一緒に千両と万両を混色しておくと、金運が上がるといった縁起かつぎのことですね。モッコクと一緒に、千両と万両の育て方もあわせてチェックしてみたいですね。
モッコクの実
モッコクは、葉と花だけが鑑賞できるわけではありません。開花後に結実したたくさんの花たちは、秋ごろにかけて真っ赤な実をつけるんですよ。この実は、そのままにしておくとメジロなどの渡り鳥などたくさんの鳥を庭に招いてくれるんです。そして、冬前には赤い実からたくさんの種が取れますよ。
モッコク種の育て方
モッコクの花は、雄雌良性なので自家着果します。そのため、多くの赤い実が秋にはついて四季を感じさせてくれるんです。そんなモッコクの実はたくさんなるので、種を取り出して植えてみたいと思う人も多いかもしれませんね。モッコクは苗木で園芸店で流通しており、種は市販されていません。自宅のモッコクの実から種を採取できたら、種まきをしてみましょう。
種まき方法
10~12月頃に、良く熟して乾燥した実を採取します。その実から種を傷つけないように取り出し、湿らせたキッチンペーパーか川砂に入れて、冷蔵庫で保存しておきましょう。暖かくなった3~4月に、種まき用培養土に種まきをして新聞紙を湿らせてカバーしておきます。種から育てて大きくなるまでには、4年ほどかかり、開花するまでにはさらに長い時間がかかります。
庭木に仕立てるモッコク
モッコクは、耐陰性がある樹木です。それどころか、西日に弱く耐寒性が低い樹木のため、半日陰に植えるような育て方のほうが良く成長しますよ。庭木に植える場合は、シンボルツリーとして風の当たらない半日影に植えるとよいようです。言い伝えのように、モッコクと一緒に万両・千両といった縁起を担ぐのも良いと思います。夏の西日と、冬の寒風に当たらなければ日本で広く分布します。
剪定によって、低木に仕立ててみたり自分の好みに合わせて強剪定をしてもよいと思います。和の庭園では、他の樹木との高低差を意識してみるときれいに仕上がります。
庭木モッコクの育て方①植え付け
モッコクの育て方をさっそく紹介していきたいと思います。モッコクを植え付けたい場合は、夏の時期を除いて植え付けるようにしましょう。モッコクを植え付けるときには、モッコクの種類も確認しておくとよいと思います。花を開花させる雌木・雄木、またその両性を持つ品種があるためです。まずは、土づくりから見ていきましょう。
土作り
モッコクは、栄養豊富で、水持ちと水はけがよい土質を好みます。やや粘りけのある土だと、モッコクの根が良く成長します。そのため、掘り出した土に栄養分を腐葉土で補給します。最初から作る場合は、赤玉土(小粒):腐葉土を、6:4の割合で混ぜ合わせて植え付けるようにしましょう。水はけが悪い場合には、盛り土にして高植えにすると改善されます。
植え付け時期
苗が出回る、4~7月中旬がベストな時期のようです。夏の暑さには弱いため、8月9月は植え付けると枯れる原因にもなるので、植え付け時期は春と秋に行うようにしましょう。
モッコクの植え方
モッコクを植え付ける場合は、鉢植え・地植えにわかれると思います。西日や寒風に弱いといった短所も、鉢植えの場合はカバーすることができそうですね。地植えの場合は、手入れの作業がしやすいといった利点もあります。それぞれにあった、モッコクの植え方を紹介します。
モッコクの植え方・鉢植え
鉢植え出モッコクを植え付ける場合は、苗よりも2回り大きい鉢植えに植え替えます。あまり苗に対して大きすぎる鉢だと、根が呼吸しずらくなってしまい枯れることもあるので注意が必要です。また、下へ下へと根が進む性質があるため、鉢植えの場合は深さのある鉢を選ぶとよいと思います。
モッコクの植え方・地植え
モッコクを地植えする場合は、植え付ける場所の土を天地返しして、1日太陽の熱で殺菌します。その後、よく耕して土作りを行いましょう。苗よりも2回り大きな植え穴を掘り、根まきをほどかずに植えつけましょう。根付くまではよく水やりを行い、幼苗の時は、風で倒れてしまったり折れて枯れることもあります。寒風に当たっても台風でも倒れないように、支柱を横に立てるとよいですよ。
庭木モッコクの育て方②剪定
モッコクは、剪定しなくても広い面積があれば剪定の必要がないほどにきれいな樹形で収まります。しかし、苗木が大きくなってくると、枝が重なり合って枯れているものや、成長が止まっている枝も見られます。基本的に、あまり手入れの必要がない樹木ですが、剪定を行うことによって、健康な枝葉に栄養がいきわたって活性さます。さらに、蒸れの防止にも役立ちますよ。自然な樹形を残しつつ、少し剪定してきれいにしてあげるとよいかもしれません。
剪定時期
モッコクの剪定を行う時期は、年に二回です。夏前の6~7月の時期か、休眠時期に入っている12月ごろに行います。特に、春の時期に行う場合は梅雨のムシムシした湿気で病気になる前には、剪定を済ませておいたほうがよいでしょう。
剪定方法
剪定を行うことによって、枯れる原因にもなる病気の抑制や、害虫の発生に備えることができます。葉が茂りすぎると、光合成できなくなった打つ側の葉が枯れたり、モッコクの株全体の風通しが悪くなりがちです。剪定にも強く、株もとから出る側枝は根元から切り落としても構いません。春先の剪定では弱剪定にしておき、休眠時期の12月に行う剪定で短く切り詰めると良いでしょう。
三枚透かしの方法
枝先から三枚の葉のみを残し、他の葉を落として剪定します。芽吹きは弱く、一度この剪定を行うとしばらくは樹勢も落ち着きますよ。このように剪定して仕立てれば、手入れの少ないローメンテナンスな庭木として、立派な仕立てモッコクができがります。
庭木モッコクの育て方③開花時期
モッコクの開花は、枝先にいくつもの花をまとめて咲かせる房前です。皮状の光沢のある葉とのコントラストが一番美しい時期ですが、開花が終わった花から順に花がら切りを忘れずに行いましょう。房前になった花葉しだれるように頭を下げ、美しいですね。つぼみをつけたころに水やりと日光によく当てて、硬くなった土をよくほぐして中耕しておきます。
庭木モッコクの育て方④開花後のお手入れ
このころは、水やりを欠かさずに行うようにするとたくさんの花が色鮮やかに開花します。モッコクは、水持ちがあってさらに水はけのよい土が大好きな樹木です。暑さに負けないように土の状態をよく見ながら水やるをお行いましょう。また、このころは、カイガラムシやすす病などに注意します。病気は、なるべく予防するように薬剤を早めに散布しておくとよいと思います。カイガラムシは、花や葉の裏にいることが多いので、見つけ次第捕殺します。ひどい場合は、薬剤を散布して開花後のモッコクのダメージにならないようにしましょう。
庭木モッコクの育て方⑤肥料
肥料は、開花前の蕾の時期と、休眠期の後半2月に行います。休眠中に肥料を与えることによって、春先の芽吹きにかけての栄養を補いましょう。休眠期に与える肥料は、有機肥料が好ましく堆肥や油かすなどを地中にマルチングしておきます。
庭木モッコクの育て方⑥結実時期のお手入れ
たくさんの鮮やかな花を咲かせたモッコクは、秋の時期にかけてゆっくりと実をつけていきます。秋の10月11月にもなると、真っ赤な実がたくさんなっています。この時期は、このモッコクの実を食べに鳥たちが行きかうにぎやかな庭になりますが、カラスなどの害鳥に合わないようにネットをすることも可能です。
庭木モッコクの育て方⑦増やし方
モッコクは、葉・花・実と通年私たちを楽しませてくれる庭木でしたね。一本庭にあると、つい増やしてみたいと思います。移植は大株になればなるほど難しいですが、大株から出た枝を使った増やし方なら充実した苗木ができるようになります。モッコクは、挿し木で増やしていくのが基本です。
挿し木
モッコクの春の剪定の時に出た、新しく伸びた若い枝を使って、挿し木で増やしてみましょう。挿し木に使う切り取った枝を、3cmより上は残して後はかき取ります。挿し木用の切り口を、メネデールなどの発根促進剤を薄めた液体に1時間浸しておきます。その後、小粒の赤玉土か挿し木用培養土の中にさして、日陰で養生しておきます。挿し木をしたパットから発根したら、ポット苗に植え替えて、挿し木苗を徐々に日に当てていきましょう。
庭木モッコクの育て方⑧植え替え・移植
モッコクを鉢植えで育てている場合は、根詰まりを起こしてしまうと枯れることにもなるので植え替えを行いましょう。植え替えの時期は、9月です。夏場を乗り切った株は充実していて、根が傷んでもあまり影響が出ないことが多いです。今の鉢植えより、2回りのほど大きな鉢に植え替えます。
庭木モッコクの枯れる原因①
モッコクを枯らしてしまうのは、土壌環境というよりも病気にかかることが多いです。多いのは、すす病とうどん粉病です。
すす病
すす病は、カビの一種ですすのように葉っぱや枝が枯れてきます。すす病の原因は、アブラムシです。アブラムシの糞によってカビがどんどん繁殖していくため、一度発生したら株全体が徐々に浸食されてしまいます。
うどん粉病
そしてうどん粉病も、涼しい時期に発生するカビです。雨に濡れるとほかにも感染が広がっていきます。どちらもかかってしまった場合は、薬剤散布を行うことで対処できます。
庭木モッコクの枯れる原因②
病気でも害虫でもなく枯れてしまう原因が、寒波です。寒さには対応できないため、葉がなくなったり芽が出なくなってしまいます。また、剪定の時期も12月以降の寒冷地で強剪定してしまうと、一気に枯れこんでしまいます。大きく樹勢の整ったモッコクは、一番上の葉を何枚か残して剪定を行うように気を付けてくださいね。芽吹きにくい庭木のため、一度剪定を間違ってしまうとすぐに枯れてしまいます。
樹木モッコク・害虫
その他の枯れる原因になるのは、ハマキムシという害虫です。すす病の原因にもなるアブラムシとは違い、ハマキムシは通称モッコクハマキとも呼ばれるほどモッコクを侵食してくる害虫といえます。ハマキムシがつくと、モッコクの葉を糸で絡ませて葉っぱを食べていきます。卵を付けたら大量にふ化して浸食していくので手が付けられません。こうなる前に6月から9月の時期は、月に一度の薬剤散布をして防ぐようにしましょう。
モッコクできれいな花を咲かせよう
モッコクの花言葉やお手入れ方法についてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか?枯れる原因に着目して、病気や害虫には早期発見早期対策を施しましょう。また、モッコクの苗木が大きくなってきたら剪定で撮った枝を利用して上手に増やしてみましょう。モッコクの開花時期、湯受け継時期に合わせたお手入れ方法で、ぜひ縁起を担いでみてくださいね。