はじめに
イルミネーションのように光るホタルイカ。TVや雑誌などで、幻想的なホタルイカの漁風景や身投げのシーンを見たことがある方も多いと思います。しかし、実際にその風景を見たり、ホタルイカすくいをしたことがある方は少ないのではないでしょうか。今回はそんなホタルイカの身投げや、ホタルイカすくいについてシーズンや場所、ルールなどについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
ホタルイカとは
ホタルイカの生態
ホタルイカは大きくなっても7cm程度の小型のイカです。日本の周辺では太平洋の一部と、日本海の全域に生息してます。水深200~500m程で生活していますが、夜間になると50~100m程の浅い場所に移動します。寿命は1年で、1年のうちに成熟し産卵して子孫を残した後に死んでしまいます。
名前の由来
ホタルイカは、その名前の通り、蛍のように光ることから名づけられました。英名でも同じようにfirefly squidと、ホタルイカと名付けられています。日本海側ではかつて、松の肥料に使われていたため、「マツイカ」とも呼ばれています。
ホタルイカの漁獲地
ホタルイカの産地は富山県が有名ですが、実は兵庫県が漁獲量日本一です。その他には福井県や鳥取県で多く漁獲されています。富山県のホタルイカは定置網で採られるため、傷が少なく、港から近い場所のため、鮮度が高いため、人気があります。
ホタルイカの旬の季節
ホタルイカの旬の季節は主に春です。都道府県によって、漁を行う時期が違いますが、基本的には春の季節が多くいです。鮮度の落ちやすいホタルイカですが、漁が盛んな春の季節だけは生の物が流通するようになります。チャンスがあれば、ぜひ調理してみて下さい。
ホタルイカが光る理由
ホタルイカの発光の仕組み
ホタルイカはルシフェリンとルシフェラーゼと言う2つの発光物質を持ち、この2つを反応させることで発光します。これは蛍と同じ発光の仕組みですが、実はまだあまりはっきりとした事が分っていません。今後の研究によって解明されることを期待しましょう。
光でコミュニケーションをする
ホタルイカは、発光によってコミュニケーションを取っていると考えられています。群れの中で、オス同士、メス同士、オスとメスでそれぞれ光で合図をだしていると考えられています。しかし、具体的にどの用は合図を送っているのかは不明です。
発光で驚かせる
体の小さなホタルイカは、大きな魚などの恰好の餌となってしまいます。そこで、万が一捕食者に出くわしたときに発光し、相手を驚かせて、その間に逃げるのではないかと考えられています。タコが吐く墨と同じ役割です。暗い深海ではわずかな光でも十分な威力を発揮するのではと考えられます。
発光で身を隠す
ホタルイカが生息している深海でもわずかな光が届きます。その光によって、影ができ、下層にいる捕食者などに見つかってしまいます。そこで、ぼんやりと発光することによって、影を打ち消すことができ、姿をくらましていると考えられています。
ホタルイカの身投げとは
身投げの理由は未だなぞ
ホタルイカの身投げは、浜辺に打ち上げられることを言います。身投げの理由には様々な説があり、産卵で浅瀬にやってきて、産卵後に力尽きて浜辺に打ち上げられる説と、新月によって方向が分らなくなって打ち上げられる説があります。最近ではその2つの説が合わさり、産卵が新月に行われ、力尽きるのと同時に方向が分らなくなるのが合わさった説が有力とされています。
ホタルイカの身投げの季節
ホタルイカの身投げは、産卵の時期と言われ、例年、2~6月の春の季節に見られます。しかし、自然現象のため必ず見られるわけではなく、より確率が高く見られる時期はシーズン中の中でも特に3~4月によく行われると言われています。
ホタルイカの身投げは新月前後
産卵が行われるのは新月の夜が多いと言われています。身投げを観察するのであれば、新月の前後2日がおすすめです。2019年の身投げシーズンの新月は2月5日(火)3月7日(木)4月5日(金)5月5日(日)6月3日(月)です。しかし、新月だからと言って必ず見られるわけではありませんので注意しましょう。
身投げが見られる場所
身投げが行われるのは富山湾の砂浜です。どの砂浜でも可能性がありますが、富山市の八重津浜海水浴場や、岩瀬浜海水浴場、射水市の海老江海浜公園などは過去の実績から可能性が高い場所です。地元の人でも、どの浜に身投げするのか分りませんので、1つの浜に狙いを絞ってジッと待機するか、SNSの情報などを元に、身投げが起こった場所へ駆けつけるのも1つの手です。
身投げは富山湾の春の風物詩
ホタルイカの身投げが起こると、砂浜一帯が青白く光り、幻想的な雰囲気になります。新月のため空は暗く、まるでイルミネーションが光っているかのようです。近年では、その美しさを見ようと、多くの人が見物に訪れるようになり、富山湾の風物詩となっています。
ホタルイカすくいとは
身投げしたホタルイカをすくう
ホタルイカすくいとは、その名の通り、ホタルイカをすくって捕まえることです。ホタルイカが身投げを起こす際、砂浜に打ち寄せます。その打ち寄せたホタルイカを捕まえるのです。砂浜に打ち上げられたホタルイカを捕まえても良いのですが、砂にまみれてしまっているのであまりおすすめできません。最近では、ホタルイカの身投げの観賞と共に、ホタルイカすくいが人気で、県内外から人が集まります。
ホタルイカすくいの場所
ホタルイカすくいは、ホタルイカが身投げをする砂浜はもちろん、近辺の港でもすることが出来ます。砂浜であれば、波打ち際に立ち込み簡単に掬うことが出来ます。港の場合は、柄の長いたも網が必要になりますが、砂にまみれていない状態で掬うことができるため、後処理が楽に食べることができます。
ホタルイカすくいのシーズン
シーズン中盤がおすすめ
ホタルイカすくいのできる季節は身投げの時期と重なります。2~6月頃にチャンスがありますが、年によってスタートと終わりの時期が違うため、2月と6月は可能性が低くなります。そのため、シーズン中盤である、3~4月頃の時期が最も確率の高い時期となります。
防寒対策は必須
ホタルイカすくいが出来る季節は晩冬~春先のです。シーズン終盤こそ暖かくなってきてはいますが、夜間は冷え込みます。身投げが始まるまで、浜で長時間待機したり、海水を被ってしまったりと、体が冷えることが予想されます。防寒着はもちろんのこと、手袋や帽子、カイロや暖かい飲み物など、寒さ対策は万全にしておきましょう。
ホタルイカすくいの道具
ヘッドライトは必需品
ホタルイカは浜に上がって初めて光ります。そのため、水中を泳いでいるホタルイカは光らず、暗闇では姿を確認することができません。海面を照らすためにライトが必要です。手持ちの懐中電灯でも良いですが、両手にたも網やバケツを持つことになるので、ヘッドライトが良いでしょう。
たも網とバケツを用意
ホタルイカをすくうたも網と、捕まえたホタルイカを入れるバケツは必需品です。たも網は大きすぎると取り回しが大変なので、適度な大きさのものを用意しましょう。バケツはホタルイカが飛び出したり、こぼしてしまわないように蓋付きが良いでしょう。2つ用意して、1つで砂出しをし、1つを手に持ってホタルイカすくいをすると効率的です。
胴長があるとベスト
ホタルイカをすくう際、長い網があれば砂浜からでも採れますが、波を被る恐れがあるため長靴が必要です。しかし、突然の大きな波が来たり、夢中になって長靴を水没させる恐れもあるため、胴長があるとベストです。胴長があればやや沖合まで入れるので、より効率よく捕まえることも出来ます。また、港からホタルイカすくいをする場合は、滑り止めの付いた、歩きやすい靴を履きましょう。
持ち帰り用にクーラーボックスを
ホタルイカは鮮度の落ちやすいイカですので、持ち帰るためのクーラボックスは必需品です。氷を入れて、しっかりと保冷できるようにしましょう。ジップロックの袋があると、クーラーボックスの中が汚れずに便利です。
ホタルイカすくいの注意点
マナーを守る
当たり前ですが、最低限のマナーは守りましょう。違法駐車や立ち入り禁止の場所への侵入、ゴミのポイ捨てなど絶対にしないようにしましょう。最近は注目を浴び、富山県外の方も多く集まります。一部の方のマナー違反によりホタルイカすくいが禁止になる可能性もありますので、必ずマナーは守りましょう。
ホタルイカすくいは誰でもできる
浜辺に打ち寄せるホタルイカには漁業権が設定されていません。そのため、誰でもホタルイカを捕まえることができます。近年はTVなどでも紹介され、富山県内外から多くの人が訪れています。産卵を終え、力尽きたホタルイカを捕まえるとはいえ、しっかりとルールを守り自然を壊さないようにしましょう。
生では食べない
生のホタルイカには寄生虫がついている可能性が高いです。そのため、絶対に生で食べることは止めましょう。ボイルや焼くなどして必ず火を通して食べましょう。地元のお店では、しっかりと処理をして、生で食べられるところもありますので、気になる方は地元のお店を尋ねてみましょう。
捕まえるのは食べる分だけ
大量にホタルイカが打ち寄せられたときには、かなりの数のホタルイカを掬うことができます。しかし、沢山採れるからと言って、むやみに採り過ぎるのは止めましょう。死んでしまったホタルイカは、海鳥や様々な海洋生物の餌となります。富山湾の生態系を形成する大事な一部分ですので、節度あるホタルイカすくいをしましょう。
ホタルイカすくい後の持ち帰り方
クーラーに入れて持ち帰る
一番簡単なのはクーラーボックスに入れて持ち帰ることです。氷を入れて保冷しながら持ち帰りましょう。ホタルイカは鮮度が落ちやすいため、ホタルイカすくいのあとはなるべく早く帰宅することをおすすめします。
ボイルして持ち帰る
富山県外など、遠方からホタルイカすくいに行く方は、その日のうちに帰れない方も多いと思います。夜通し待機をしていた場合など、運転に支障が出る可能性もあります。そんな時は、現地でボイルしてから持ち帰るのも1つの手です。カセットコンロと鍋を用意しておきましょう。
ホタルイカすくいと身投げ情報のまとめ
以上、ホタルイカの身投げについて紹介しました。身投げはいつどこで起こるか分らない自然現象です。身投げがおきそうな場所と、時間などを予想して海に出かけるのも楽しいですね。必ず出会えるわけではないのも、生き物の楽しさではないでしょうか。ぜひホタルイカの身投げによる幻想的な海と、ホタルイカすくいによる美味しいホタルイカを楽しんで下さい。
ホタルイカの身投げが気になる方はこちらもチェック!
今回はホタルイカの身投げやホタルイカすくいについてご紹介してきましたが、他にも海の生き物などに関する記事が沢山あります。気になる方は是非見てみて下さい。
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