栄養凝縮オリーブの実:あなたは食べたことありますか?
みなさんは、オリーブの実を食べたことがありますか?イタリア料理のパスタやピザなどによく使われるので、目にする機会はあるでしょう。
普段の家庭ではオリーブオイル以外での出番はあまりないかもしれませんが、本来は毎日食べるものなんですよ。オリーブの実は、栄養が豊富でいろいろな健康への効果が認められています。
とはいっても、あまり馴染みのないものだと食べ方に迷いますよね。そんな方のために、記事の最後にオリーブの実の食べ方や、レシピ、調理の仕方も紹介するので、最後までお付き合いください!
オリーブ豆知識①
地中海沿岸が名産
オリーブは、イタリア、スペイン、ポルトガルなどの地中海地方で多く栽培されています。これらの国々の市場ではたくさんのオリーブの実の量り売りが見られ、スーパーでは大瓶で売られていたりと、毎日の食卓には欠かせないものなんですね。
前菜としてつまんだり、ペーストにしてパンに塗ったりといろんな食べ方があります。
文化にも影響
ヨーロッパでは、オリーブは食文化の他にも宗教的なシンボルに使われたり、文学や絵画の題材になったりと現地の人々の人生ときっても切り離せない関係となっています。
ヨーロッパ人にとってのソウルフードとも言えるオリーブは、日本人にとっては梅干しのようなものでしょうか。
日本で売られているオリーブの実のほとんどは外国産ですが、日本産オリーブもちゃんとあります。瀬戸内地方にある小豆島というところがオリーブの産地で有名です。
この地方は、一年を通して暖かく湿気が少ない爽やかな夏が地中海式気候と似ているので、日本で唯一オリーブの栽培に適しています。
オリーブ豆知識②
オリーブの歴史
オリーブが日本に渡ってきたのははるか昔の安土桃山時代。ポルトガル人の宣教師フランシスコザビエル一行が持ってきたと伝えられています。日本人が初めて触れたのは、オリーブの実とオリーブオイルの形としてでした。
当時の日本人は、オリーブオイルを「ポルトガルの油」と呼んでいたそうですよ。江戸時代になると、蘭学者(西洋の学問や技術の学者)たちが薬としてオリーブオイルを使っていたそうです。
オリーブの効能や健康効果は昔からよく理解されていていたんですね。現在の日本でもオリーブオイルは日本薬局方に載っているので、その健康効果は本物です。
ウェディングにも
食べ物以外で、日本でオリーブが登場する場面といえば、結婚式です。キリスト教式のウェディングでは、安らぎ、幸せ、長寿のシンボルであるオリーブが用いられます。優しいグリーン色のオリーブの葉はウェディングブーケに映えるでしょうね。
家庭で栽培もできる
地中海地域ではオリーブの木は昔から今までいたるところに自生しています。日本の特定の栽培地以外では、普段あまり目にしないオリーブの木ですが、なんと家庭で栽培している人もいるんです。
オリーブの木は淡い色が美しいので、鉢植えにすると海外風インテリアを楽しめるし、庭に植えて栽培に成功すれば実の収穫もできますからね。自家製オリーブ漬けを作ったら手間はかかるかもしれませんが美味しそうですよね。
もし興味がある方は、記事の最後のオリーブの栽培のしかたの記事リンクをご覧ください。
オリーブの実の種類
ところで、オリーブの実には緑色と黒色があることはご存知したか?緑色はグリーンオリーブ、黒色はブラックオリーブとも言われます。この色の違いは、実の熟成の度合いによるものです。
緑が若い実で、だんだん赤色になり、しっかり熟成すると黒っぽくなります。オリーブの実のいろんな色は、種類が違うのではなく、収穫した時期が異なるからなんですね。
気になるお味の方は、緑色は少し酸っぱめ、黒はもっとマイルドです。また、グリーンとブラックでは、栄養成分の量に若干の差があるようです。次は、オリーブの実に含まれる栄養成分とその効能と効果についてお話ししていきます。
栄養たっぷりオリーブの実!栄養成分は?
栄養価が高いから高カロリー?
ダイエットをしている方はカロリーが気になりますよね。オリーブは実は高カロリーではありません。
●グリーンオリーブ: 145kcal /100g
●ブラックオリーブ: 118kcal /100g
成人女性一日当たりの消費カロリーは1200kcalなので、1日の目安量(5〜6個)を食べるなら心配いりませんよ。それよりもオリーブに凝縮されている栄養とその効能に注目してみましょう。
オリーブの実の主な栄養成分
オリーブの実に豊富にふくまれている栄養成分はこちら。
●オリーブポリフェノール
●オレイン酸
●食物繊維
●ビタミンE
●βカロチン
それぞれの栄養成分にはどのような効能があるでしょう?
栄養成分①オリーブポリフェノールの効能
ポリフェノールは全部で4000〜5000種類あると言われています。ワインやチョコレートにも含まれており、その効能はよく知られていますね。オリーブの実のポリフェノールは「ヒドロキシチロソール」と「オレオカンタール」の2種。
●「ヒドロキシチロソール」: 強い抗酸化作用があり、それはビタミンCの10倍もあります。オリーブの主成分オレイン酸を守ったり、血管関係の健康を増進する働きがあります。
●「オレオカンタール」: 脳内で作られる、あるタンパク質を制御することができます。加齢とともにこのタンパク質が溜まると、脳細胞の破壊され、認知症の原因になります。
栄養成分②オレイン酸の効能
オレイン酸は、オメガ9系の不和脂肪酸です。オメガ9は体内で作ることができないので、食事から取る必要のある脂肪酸。脂肪酸は、体温を保ち、太陽光からビタミンDの合成、ビタミンA、D、E、Kの吸収を助ける働きがあります。
特にオメガ9は悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにしてくれます。また、他の脂肪酸に比べて酸化しにくいので、調理に向いていますよ。
栄養成分③食物繊維の効能
便秘に効くことで有名な食物繊維。食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があります。水溶性食物繊維は、 粘りがあるので消化をゆっくりにし、腸内にたまった老廃物を外に出す働きあります。
不溶性食物繊維は、 腸内で水分を含んで膨らみ、腸のうごきを刺激して排便を促進します。
栄養成分④ビタミンEの効能
通称「若返りのビタミン」と呼ばれるビタミンE。特筆すべき点は酸化防止作用です。悪玉コレステロールが酸化して血管の壁につくのを防いでくれるため、血液の流れがスムーズに保たれます。赤血球の破壊を防ぐので貧血防止にも◎
ビタミンEは、血液サラサラ効果は冷えの解消にも役立ちます。女性の不妊治療にも使われるそうですよ。
ビタミンEを取るときのポイントは、脂質と一緒にとることです。オリーブの実には脂質のオレイン酸が豊富に含まれているため、ビタミンEの吸収も促してくれるというメリットがあります。
栄養成分⑤βカロチンの効能
βカロチンは、かぼちゃのオレンジ色を作っている成分です。体内に入るとビタミンAに変換されます。ビタミンAとして目の神経伝達物質になり、視力に貢献するんですよ。また、皮膚と粘膜の健康を保ち、免疫力を上げてくれます。
βカロチンにも抗酸化作用があるので、血管に関する様々な病気から守ってくれます。ちなみに、βカロチンはオリーブオイルを作る過程で失われるので、オリーブの実からしか取れないんですよ。
グリーンとブラックで栄養に差がある?
ポリフェノール、オレイン酸、食物繊維、ビタミンEを例に、どちらが多く含まれるかみてみましょう。
●ポリフェノール: グリーン>ブラック
●オレイン酸: グリーン<ブラック
※緑は約66%、黒は約70%の割合で含まれる。
●食物繊維: グリーン>ブラック
●ビタミンE: グリーン>ブラック
※ビタミンE1日の目標摂取量は6.0mg
グリーンは5.5mg/100g、ブラックは4.6mg/100g含有
オリーブの実の健康効果①便秘解消
なぜ便秘にいいの?
オリーブの実のオレイン酸は、腸内の滑りを良くする効果があり、食物繊維(特に不溶性食物繊維)には、お通じを促すのに役立っています。便秘の原因の一つに食物繊維不足がありますが、それは1日あたりの目標量(20g)を取るのが難しいからです。
目標量の約3分の1でさえも、オリーブの実10個分も食べることになります。これはさすがに食べ過ぎになるのでお勧めできません。しかし、食物繊維は便秘の直接的な解消方になるのでしょうか?
便秘には様々な要因があり、それを総合的に解決するためにオリーブの実は役立ちます。
便秘の原因
便秘の原因には以下があげられます。
①食物繊維、水分不足
②精神的ストレスによる自律神経の乱れ
③運動不足による筋力低下
①は、オリーブの食物繊維が補います。②の自律神経の乱れは、ストレスにより活性酸素が増えることで起こります。これを除去するために、オリーブの実の抗酸化成分が役立ちます。③筋力が弱いと腸の扇動運動が鈍くなります。血液の流れも悪くなるので腸がむくみます。
効率的な便秘解消にはオリーブの実を積極的に食べるなどの他に、日常的に運動をすることも必要なんですね。
オリーブの実の健康効果②美容とダイエット
美容
脂質であるオレイン酸はお肌に潤いを与えてくれます。ビタミンEやβカロチンは、体内の錆つきによる老化から守り、アンチエイジング効果があります。粘膜や皮膚の機能を正常にしてくれるので、若々しい見た目を保てます。
ダイエット
オリーブの実の抗酸化作用はダイエットへの効果にも注目されています。活性酸素が増えると、脂肪が燃えにくくなったり、血の巡りが悪くなったりします。オリーブの実の栄養成分は、痩せやすい体づくりや、血色を良くするのに繋がるんですね。
オリーブの実の健康効果③がん予防
体の錆びつきは万病の元?
人間の体内は、何もしないと自然に酸化していきます。細胞が酸化してダメージを受けると、老化や、様々な病気につながります。体の酸化は、過労やストレスなどによって加速すると言われています。
いつまでも若くて健康な体を維持するためには、抗酸化作用のある食べ物を日頃からとることがとても大切になってきます。
老化とガン
多忙な毎日でのストレスや、年齢を重ねるごとに陥りやすい健康問題は、高血圧、血管のつまり、肥満、ガンなどが挙げられます。これらは、日々の生活週間や健康状態を良い状態に維持していくことで、できるだけ防ぐことができます。
がんは、一般的に年齢の倍数の4乗に比例して発症する、と言われています。例えば、30歳の人が60歳になると、年齢は2倍ですが、がんが発症する確率は、(2の4乗で)16倍と一気に高まります。
老化の元となるサビつきを減らして、ガンを発生させない体にすることが大事なんですね。
オリーブの名産地が実証
地中海沿岸に住む人たちは、オリーブの実を日常的に食べていると既にお話ししましたね。研究結果によると、地中海料理を食べる人たちには心臓病やガンの発生率が少ないことがわかっています。
そして、他のヨーロッパ諸国よりもオリーブの実やオイルを取り入れた多くのレシピが肥満を防いでいるとして注目されています。
栄養満点でも食べ過ぎ注意!
食べ過ぎ=お腹がゆるくなる
オリーブの実は1日にち5、6個が適量です。脂質と食物繊維が多いので、食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがあります。美味しくてもくれぐれも食べ過ぎないようにしましょう。レシピに沿って調理すれば適量を守れるでしょう。
食べ過ぎ=よく噛んでない
無意識に食べ過ぎている時は、よく噛んでないということ多々あります。
咀嚼が十分にされないまま体に入ってしまうと、消化が悪くなり、便秘につながるので注意。
オリーブの実の食べ方
オリーブの実が健康に良いことはわかったけど、食べ方がイマイチわからない方も多いと思います。日本でそこまで浸透してない原因のひとつは、食べ方や調理の仕方がわからないからかもしれません。
食べ方①漬けたもの
基本的には、塩漬けやオイル漬けしてから食べます。収穫したままの実は、渋くて食べられません。ちなみにこの渋さはポリフェノールによるもので、虫から守る役割があるんです。
自分で漬けるには手間がかかるので、お店で瓶詰めや缶詰を買うのが一般的です。
輸入食材店だけでなく、普通のスーパーでも売っているので気軽にトライできますね。ちなみに、おつまみとしてそのまま食べるには、種つき、料理に使うときは、種なしが調理しやすいのでおすすめですよ。
食べ方②おつまみ
一番のオススメの食べ方は、おつまみとしてそのまま食べることです。
調理の手間がかからない上、オリーブの実の美味しさを堪能できるからです。
ビールやワインのお供として、小皿に盛ってすぐ出せるので、おつまみに迷った時試してみてください。ただ、オリーブはクセがなく食べやすいので、つい食べ過ぎてしまうことがあります。
食前につなぎとして出す場合は、お腹いっぱいにならないように注意しましょう。
食べ方③ポテトと相性◎
オリーブの実の爽やかな味わいは、フライドポテトともよく合います。手軽にポテトチップスと一緒に食べるのは、ヨーロッパでポピュラーな食べ方です。
食べ方④青魚と相性◎
オリーブの実は、青魚(アジ、イワシ、サンマ、ニシン、サバなど)と一緒に食べると栄養の吸収が強化されます。青魚は、DHAと EPAを含み、悪玉コレステロールを減らす効果がありますよ。
おすすめレシピ3選①栄養満点オリーブサラダ
作り方(2人分)
オリーブの実を使ったボリュームと栄養豊富なサラダのレシピを紹介します。調理方法は、オリーブの実、ミニトマト、きゅうり、茹でたブロッコリー、クリームチーズを全部食べやすい大きさに切ります。
味付けは、オリーブオイル、塩胡椒、白ワイン、黒酢、バジルを入れて混ぜ合わせます。サニーレタスを敷いたお皿かボウルに盛り付けて、生ハム、粒胡椒、バジルをトッピングして完成です。
地中海風のドレッシングの基本はオリーブオイル、塩、バルサミコ酢が基本ですが、このレシピのように、黒酢で代用したり、レモン汁でも大丈夫ですよ。オリーブの実は料理にすると、レシピ通りの量なので食べ過ぎを防ぐことができますね。
●種無しブラックオリーブ ●ミニトマト 4個 ●きゅうり 1/2個 ●ブロッコリー 1/4個 ●クリームチーズ 適量 ●サニーレタス 1/2個 ●生ハム 2枚 ●オリーブオイル 適量 ●白ワイン 少々 ●黒酢 少々 ●塩 適量 ●粒胡椒 適量 ●バジル 適量
おすすめレシピ3選②茄子のプッタネスカ
作り方(2人分)
オリーブの実入りトマトパスタの代表格といえば「プッタネスカ」。プッタネスカはアンチョビを使ったイタリアのパスタ料理です。アンチョビは青魚のイワシなので、オリーブの実と食べると相乗効果があります。
調理の仕方はまず、玉ねぎと茄子をフライパンで炒めて皿に出しておきます。別にパスタを茹で始めます。フライパンにオリーブオイル、ブラックオリーブ、ケッパーを入れて炒めます。
刻んだアンチョビとニンニクチューブを、最初の玉ねぎと茄子を加えます。カットトマトと白ワインを加えて煮込みます。茹でたパスタを投入して混ぜ合わせ、塩で味を整えます。お皿に盛ったら粉チーズを好きなだけかけてください。
●茄子 2本 ●玉ねぎ 1/2個 ●パスタ 200g ●オリーブオイル 大さじ2 ●ブラックオリーブ 1袋 ●アンチョビ 4切れ ●カットトマト 1パック ●ケッパー 適量 ●粉チーズ 適量 ●白ワイン 大さじ2 ●塩 適量
おすすめレシピ3選③バカリャウ・ア・ブラース
作り方(2人分)
地中海料理にチャレンジしたい方のために、ポルトガル家庭料理のバカリャウ・ア・ブラースのレシピを紹介します。バカリャウは日本語でタラ。本場では干し鱈を使いますが、生鱈でも大丈夫ですよ。
調理は、あらかじめ生鱈に塩をふり30分置いてから茹でてください。そして骨と皮を取り除きながら一口サイズにほぐします。ニンニクのみじん切りと玉ねぎのスライスをオリーブオイルで炒め、鱈、砕いたポテトチップスの順に加えながら炒めましょう。
最後にとき卵を入れ、ざっくり混ぜます。半熟の状態で完成です。オリーブのトッピングもお忘れなく。
生鱈 150g 玉ねぎ 1/2個 卵 2個 にんにく 1かけ パセリ 少々 ポテトチップス(うすしお)60g ブラックオリーブ 適量 オリーブオイル 大さじ1と1/2 塩 少々 胡椒 少々
まとめ
いかがでしたでしょうか?オリーブの実は健康へのメリットが多い食べ物ということがよくわかりましたね。特に、便秘でお困りの方には是非試していただきたいです。体に良くて美味しくても、食べ過ぎてしまわないように注意してくださいね。
調理がシンプルなレシピを参考にすれば、毎日の食生活に変化をもたらしてくれるでしょう。
オリーブの育て方が気になる方はこちらもチェック!
オリーブを自分で育てて実を収穫したい!という方は、詳しい育て方やコツを説明した記事をご覧ください。実を収穫した後の塩漬けの仕方や今記事にはないレシピの調理の方法も載っているのでチェックしてみてくださいね。
他にもインテリア用として鉢植えに挑戦してみたい方にもおすすめの記事を紹介します。
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